| 韓国:釜山APECに労組はどう対応するか | |
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釜山APEC会議、『拒否』と『反対』だけするのか労働組合諮問会議設置など、 批判的介入を模索する時だ 来る11月12日から19日まで、釜山でアジア太平洋経済協力体(APEC・APEC)会議 が開かれる。12〜13日に最終高位官僚会議(CSOM)、15〜16日に閣僚会議(AMM)、 17〜19日に最高経営者会議(CEO Summit)、14〜18日には企業家諮問会議(ABAC) の日程で開かれるが、そのハイライトは盧武鉉大統領をはじめ、会員21か国の 首脳が参加する18〜19日の首脳会議(AELM)になるものと見られる。 1989年の発足以来、今年で16年目をむかえるAPECは、経済成長・貿易・投資を 促進するための国家間フォーラムとして出発した。発足当時は、韓国・米国・ 日本・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドとの東南アジア国家連合 (ASEAN) 6か国をはじめ、計12か国だけが会員国だったが、1991年に中国・台 湾・香港など3つの中華経済権が加入したのに続き、1993年にはメキシコとパ プア・ニューギニア、1994年にチリ、1997年にベトナム・ペルー・ロシアが追 加で加入したことで、2005年現在の会員国は21か国になっている。 APECは、世界貿易機構(WTO)や他の多国間貿易機構と違い、条約の法的強制力 は持たずに合意による自発的な機構という性格を持っている。だが、世界人口 の1/3にあたる26億人を包括し、世界のGDPの60%(19兆2,540億ドル)と世界貿易 の47%を占める世界最大の経済協力機構だと評価できる。 労働界の立場は、『全面拒否』と『批判的介入』か?
民主労総は『全面拒否』の立場を明らかにしたが、これは民主労総が9月7日に 発足した『APEC反対国民行動』の主要団体として参加したことで明確に確認で きる。民主労総と民主労働党をはじめ、54団体が参加する一時的な連帯組織と いう性格のこの組織は、APECを「新自由主義世界化と帝国主義戦争により、世 界を貧困と不平等、暴力が幅をきかす野蛮な世界にする金持ちだけの祭り」と 規定し、「超国籍独占資本の利益を拡大するための道具であるAPECに反対」と し、「全世界の民衆と連帯し、ブッシュ反対、戦争反対、新自由主義世界化反 対、APEC反対の旗印の下に強力な闘争を展開する」と宣言した。 また、彼らは11月12日に釜山で闘争宣言式を開くことにして、実力行使に入る 計画も用意している。11月17日のジョージ・ブッシュ米国大統領訪韓に合わせ、 大規模な訪韓阻止闘争を展開、APEC会議閉幕式前日の11月18日には10万人規模 の「APEC反対、ブッシュ反対国民大会」を開催する方針を立てている。 韓国労総は、『APEC反対国民行動』に参加していないが、APECが労働を強く排 除して現行のWTO交渉方式と貿易自由化を無条件に支持するなど、新自由主義 的な方向性を明確にしていると批判し、労働組合運動の基本原則により反対す るという立場を持っているものと思われる。 では、国際労働界がAPECを見る視線はどうだろうか? 国際自由労連(ICFTU)は、 APECに反対する『拒否』戦略ではなく、『介入』が必要だという立場を持って いる。地域次元の経済協力と経済のブロック化が世界的な傾向になっている状 況で、アジア太平洋地域次元の経済協力体を無条件に拒否することはできず、 積極的な介入によって労働組合の要求を反映させ、労働者の権益を実現してい くという構想を持っている。 すでにICFTUは『アジア太平洋労働ネットワーク』(APLN)を構成し、APEC会議 に合わせてそれなりの活動を繰り広げている。2004年にチリのサンティアゴで 開かれたAPEC会議では、チリ労総(CUT)の主管でICFTUの指導部・アジア太平洋 地域本部・南米本部とともに、APEC会員国の労総代表30人余りが『APEC共同体 の未来における労働』というテーマで労働組合会議を開いた。 この会議では、各国の労働組合参加者はAPECに対する労働組合の参加方案とし て、△APEC首脳会議主催国とAPEC事務総長がICFTU-APLNと例年協議を開き、 APEC全般についての意見を交わすこと、△APECの人的資源開発実務グループ (HRDWG)会議にAPLNの参加を保障すること、△APEC会員国の政府は自国の労働 組合と会合で、協力できる分野についての議論を行うこと、△APEC構造の中に 労働者諮問機構(Labour Advisory Council)を設置することの四点を議論した。 そして参加者は、当時の主催国だったチリのラゴス大統領と面談で、上のよう な議論の内容を説明し、ラゴス大統領はその回答のなかで労働組合の要求事項 をAPEC首脳会議に伝えると約束した。 APEC内に労働組合諮問会議(LAC)を設置せよ APECを「超国籍資本の執行委員会」として無視すれば、反対集会を開いて会議 を失敗させるための『簡単な』努力を傾ければそれまでだ。だが、APECを「超 国籍資本の執行委員会」と規定したところで、APECをめぐる複雑な問題が解決 するわけではない。 ある者は、それも新自由主義政府ではないかと皮肉るかも知れないか、労働党 と社会党が政権を取るニュージーランドとチリの国家首班がAPECに参加し、現 行の米国が主導する一方主義的な国際秩序に批判的な伝統的な強国である中国 とロシアの国家首班も参加することになる。 2004年のAPEC首脳会議の前に開催されたAPEC閣僚会議でニュージーランド政府 代表が、APECでの議論の過程に労働組合の参加を保障することを公式に提案し た。これは、APECに対する労働界の戦略を立てるにあたって重要な意味を含む。 特に、APECの構造が首脳会議を頂点として、閣僚会議、部門別閣僚会議、企業 家諮問会議(APECBusiness Advisory Council、ABAC)の三軸で構成されている ことを考慮すると、政府-企業の国家間協議機構に留まるAPECの性格を、政府- 企業-労働という3者協議機構に再編する必要性はさらに切実な課題といえる。 似たような性格を持つ国家間国際フォーラムのアジアヨーロッパ首脳会議 (ASEM)の場合、政府-企業の協議構造とともに労働組合が参加するフォーラム が公式に認められていることを考慮すれば、組織労働(organized labour)を排 除したAPECの構造的問題は労働組合陣営が関心を傾けるべきポイントに違いな い。 今は『拒否』と『反対』だけをしている時ではない 実際に、開発途上国や貧困国の立場としては、多者間交渉は非常に重要だ。超 強大国や力の優位を持つ相手国の一方主義を制御できるからだ。こうした点で、 WTOのような貿易協議機構も、ASEMでもAPECのような国家間フォーラムの枠組 みは、二国間での交渉より優れた制度に間違いない。問題は多者間交渉の枠組 みをどのように民主化するかであり、それは交渉の枠組みそのものを否定して 『金持ちの祭り』と非難するだけで簡単に無視してしまう『ボイコット』戦術 ではなされない。 もちろん、交渉と交渉だけで制度が民主化されるわけではない。労働が制度を 民主化させ、それに自分たちの声を入れるには、それに似合った政策能力がな ければならない。バランスのとれた経験と感覚を体得しなければならない。そ して何よりも重要なことは、一線組合員の動力と国民の支持を得ることだ。真 摯な悩みと摸索を最初から遮断して『道』に出れば問題が解決するわけではな いということだ。 このような点で、2005 APEC会議の釜山開催を契機としてAPECの問題点を指摘 し、その改善の方向性を模索する作業は、労働界にとって意味のある至急な課 題として浮上している。 韓国経済が世界経済で発揮する影響力と韓国労働界が国際労働界で占める地位 を考慮すると、労働界のAPEC会議への対応が『全面拒否』のような古い戦術で あっては困る。一般の組合員と国民の即時的な拒否反応を別として、APECや ASEMのような国家間機構に対する労働界の今後の対応戦略に関しても、特別な 成果や教訓を残せないからだ。時には『拒否』と『反対』による戦術戦略も必 要だ。だが、今はその時ではない。遅くはあるが今からでも11月釜山で開かれ るAPEC会議への労働界の周到綿密な対応戦略を用意することが必要な時点だ。 ユン・ヒョウォン毎日労働ニュース国際担当客員記者 2005-09-20午前10:21:23入力(c)毎日労働ニュース 翻訳/文責:安田(ゆ) 労働組合が釜山APEC会議の取り巻きになってはいけない理由9月20日付のユン・ヒョウォン国際担当客員記者の 主張に反論する 私は9月20日付毎日労働ニュース(レイバートゥデイ)に掲載されたユンヒョウォ ン国際担当客員記者が書いた「釜山APEC会議、『拒否』と『反対』だけか」と いう文に対する異論を述べたい。 ユンヒョウォン記者はその文で、APECに反対する『拒否』戦略は「古い戦術」 だと批判した。ユン記者は、「真摯な悩みと摸索を事前に遮断したまま『道』 に出さえすれば問題が解決するわけではない」とし、APEC会議に批判的介入を 模索することを主張した。 ユン記者はその例としてアジア太平洋の労働組合がAPECのある実務グループに 持続的に参加して、APEC構造の中に『労働組合諮問会議』(Labour Advosoy Council)を設置することを主張しようという提案をした。さらに進んで「政府- 企業-国家間協議機構に留まっているAPECの性格を政府-企業-労働という3者協 議機構に再編する必要性」が「切実な課題」とも主張した。 まず私は、ユン記者が言及していなかった点、すなわちAPEC内での政府-企業- 国家の間で何が協議され、また協議されているのかから話したい。 APECは親企業・反労働協議体 APEC首脳会議だけでなく、各種の閣僚会議の実務グループ会議、そして企業の 諮問会議(ABAC・APECBusiness Advisory Council)は、WTOの補助的な役割をす る各種の合意だけでなく、企業規制の撤廃と私有化促進といったあらゆる企業 の権利章典が協議される場だ。APEC企業諮問団会議は「より良い企業環境造成」 という旗印の下に動くが、これは単にABACだけのスローガンではない。 一例として、2003年にタイで開かれた首脳会談の時、盧武鉉大統領は米商工会 議所と米国APEC事務局が主管する『米国企業家との懇談会』で「韓国の市場改 革と外国人投資環境改善努力」という主題の発表を行い、ここで米国企業から 大きな好評を受けたという。 ユンヒョウォン客員記者が望むように労働組合が参加すれば、どんな姿になる だろうか? その姿を想像することはそんなに難しくない。取り巻きになるのか、 さもなくば無視されるか。 事実上、一年中さまざまな部門で進められるAPEC傘下の各種会議で形成される 協議は、単に抽象的な協議だけでもない。今年のAPECのある実務会議では大型 惨事の原因となったロンドン地下鉄私有化方式をアジア太平洋地域で推進する ことを薦める協議があった。2002年、APECは規制改革合同会議を開き、韓国の 「発電設備民営化、戦力卸売市場の改革」を特に強く要求した。 最近、APECは『企業規制緩和』協議を『反腐敗行動』と呼ぶ。最近、最も目立 つAPECの成果として広く知られる『反腐敗』のスローガンは、公企業を私有化 するためのアジア企業ハンティングのための『機会の窓』のような役割を果た している。米国のAPEC大使、Laren Moriartyが書き、米大使館ホームページに も載っている『2005年APECにおける米国の政策』という文には、上の意図がと ても率直に書かれている。 環境破壊・公共医療破壊のためのアジア太平洋機構 また、APECはすべての平凡な人々の生存と人生を威嚇する内容を交渉して協議 する。 APECは最近の気象異変を多少なりとも緩和する京都議定書を拒否する名分を提 供する国際機構としても『活躍』している。京都議定書批准を拒否する米国と オーストラリアは、温室ガス縮小義務対象国ではないが、これから対象国に含 まれるアジアの主要国の支持を得て国際的圧力を形成しているが、APECはここ でも決定的な役割を果たす。APECが全世界の環境破壊の走狗になっているのだ。 APECのエネルギー実務グループ(EWG・Energy Working Group)には、政府官僚 ばかりでなく、京都議定書批准に反対する代表的な環境破壊企業であるシェル と米国のシェブロン・テキサコなどをはじめ、米国のユノカル、東京ガス、日 本の代表的グループでイタイイタイ病の原因のカドミウム放出で有名な三井、 台湾の重油公社、チリの石油企業、韓国電力公社などが含まれている。大韓商 工会議所と外交通商部主催で去る4月11日にソウルのハイヤット・ホテルでは、 20か国から百余名の政府官僚とCEOが集まり、『APECと気候変化』国際会議を 開き、京都議定書無用論を主張することもした。 環境だけではない。APECは公共保健医療体系の破壊をも狙う機構だ。多国籍企 業の権利を保護するために、APECが叫ぶ知的財産権強化のために用意された APECアジア太平洋保健首脳会議の参加リストには、政府の閣僚と実務者以外に も遺伝子操作とバイオ・ピラシーで利潤を狙う多国籍製薬会社のリストでいっ ぱいだ。 APECの他の実務グループ協議が自主性を持つかもしれないと期待するかもしれ ない。しかし『企業だけのための彼らのリーグ戦』に、労働者の利益を潜り込 ませる空間は存在しない。 ユンヒョウォン記者は、ニュージーランドの政府代表がAPECの議論の過程に労 組の参加を保障することを提案したという点に注目しようと話したが、この点 は全く驚くような提案ではない。すでに昨年、韓国でも開かれた大企業のアイ ディア博覧会世界経済フォーラムは、『NGOと労働組合の参加を保障する』と し、自分たちがかなり民主的になったかのように宣伝した。 私たちが注目すべき点は、一連の国際機構がたびたび労組の参加を歓迎すると 語る理由が何なのかという点だ。私は2002年、企業規制緩和と私有化といった 政策のためには、『労組とNGOの積極的な参加と協力』が何よりも重要だとい う結論を下したAPECとOECDが主催する国際会議のある報告書の中に、その答え が得られるのではないかと思う(2002年11月号)。ユン・ヒョウォン客員記者の 主張は、上のような彼らの意図に利用される余地がある。 アジア太平洋の平和を脅かし、ブッシュの『テロとの戦争』を支持するAPEC 何よりさらに重要な真実が一つある。『遅々と進まない』という評を聞いてき たAPECが復活した契機は、まさに2001年ブッシュの『テロとの戦争』を支持す る道具としての役割をした時であった。 かつて米国は、東ティモールといったアジア内での政治的紛争が勃発した時に もAPECを使った。当時、APECでオーストラリアは東ティモールに自分たちの軍 隊を派遣する正当性を得た。 米国の対外政策で決定的な助言者役をして、アフガニスタン侵攻の理論的基盤 を提供したブレジンスキー(1997)は、かつてAPECが米国の『賢い』覇権戦略を 推進する空間になることを力説した。彼は中東ほどに政治的な躍動性と危険性 を持つアジアこそ、はっきりと米国の覇権を示すべき空間でありり、それに較 べればAPECはとても甘いと不満を言っている。 別の見方をすれば、2001年からジョージ・W・ブッシュはまさに戦争狂の理論 的支柱であるブレジンスキーの注文に従っているのかもしれない。 2001年の上海会談でブッシュは、アジア太平洋の首脳と共に、テロに反対する 戦争というスローガンを採択する交渉に成功した。ユンヒョウォン記者が話す 「米国が主導する一方主義的な国際秩序に批判的な伝統強国の中国とロシアの 国家首班」も、ブッシュの戦争を黙認した。それでこそプーチンはチェチェン 介入を、当時の江沢民はアフガニスタンに近い新疆ウイグル自治地区を思いの ままに料理する権利を行使する機会を得た。 2003年のタイ首脳会議では、『テロとの戦争』を支持するための具体的な方針 をたてて従おうという交渉案が通過した。それで、この協議案を履行するため の実務グループの議論では、希代の悪法である米国の愛国者法がアジア太平洋 の模範として推薦された。このような機構に、果たして労働者が足を踏み込む 理由は何だろうか。そしてそこで何を得ることができるだろうか? 私は韓国ではすでに破綻した『実験』である労使政協議をアジア太平洋でまた 実験しようというユンヒョウォン客員記者の主張がかえって空しく「古い戦術」 に感じられる。 APEC反対運動とブッシュ訪韓反対運動の意味 そして今回の釜山APEC会議反対闘争には重要なしんばり棒が一つある。 企業中心の世界化や、戦争に対する反感の共通項にはある『特別なもの』があ る。つまり全世界の元凶であるジョージ・W・ブッシュだ。ブッシュ訪韓に反 対する運動は、幅広い支持を受ける余地がある。 とりわけ今、ジョージ・W・ブッシュは米国内の反戦の世論と、数日前の数十 万人の反戦行動で焦っている。そんなブッシュが国際労働界で高い地位を占め ている韓国労働界から少なくない反対をうけて恥をかいて帰ることを多くの アジア太平洋の労働者が願っているかもしれない。 もちろん、ブッシュの訪韓とAPECになぜ反対するのかについて、広範な国民的 支持を得られるかどうかは、労働組合の活動家と民衆運動団体と市民社会団体 がどうするのかにかかっている。何よりも、ブッシュ訪韓反対、APEC 反対闘 争は、労働組合が新しいエネルギーを蓄積する機会になるという 「真摯な悩みと摸索」が必要だ。 9月7日に発足したAPEC反対・ブッシュ反対国民行動(www.antiapec.org)は、そ れなりの努力をする準備をしている。パンフレットの発行、ブッシュ訪韓反対・ APEC反対街頭キャンペーン、ブッシュ・APEC告発大会…。そしてAPEC反対・ ブッシュ反対国民行動は、11月16日から17日まで釜山で国際民衆フォーラムを 開き、17日の前夜祭、18日の汎国民大会を開く予定だ。多くの社会団体だけで はなく、多くの労働組合と共に努力しようと思う。 キムオジンAPEC反対・ブッシュ反対国民行動宣伝広報チーム長 2005-09-28午前11:57:33入力(c)毎日労働ニュース 翻訳/文責:安田(ゆ) Created byStaff. Created on 2005-09-29 03:18:49 / Last modified on 2005-09-29 03:24:08 Copyright: Default | |