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産業団地構造高度化、「投機産団」になるか

「KEC労組破壊の背景に構造高度化事業」

キム・ハンジュ記者 2019.10.08 00:54

韓国の生産、輸出の70%以上は産業団地から出る。 それだけ産団が韓国経済に与える影響は大きい。 2008年の金融危機は、製造業の競争力悪化を呼び、 これに続いて産団にも打撃を与えた。 またほとんどの産団は老朽化した状態。 韓国政府は2009年の「産業団地リモデルおよび管理システム改善法案発表」で、 構造高度化事業を始めた。 趣旨は製造業競争力を強化し、労働者職場環境を改善、 地域経済まで活性化するということ。 しかし現在進められている構造高度化の実状は違う。 ほとんどの事業がホテル、デパート、オフィスホテルなどの 不動産利益の獲得を中心として進められている。 その中で、労働者たちは構造調整の直撃弾を受けていた。 こうした問題で、金属労組と共に民主党の禹元植(ウ・ウォンシク)議員室は 10月4日に国会議員会館の第2セミナー室で 「構造高度化事業は果たして製造業競争力強化に寄与したのか」討論会を開いた。

「集積団地、否定的機能が多い」

国家が主導する構造高度化事業の核心は「産業集積施設」の建設だ。 知識産業センターを中心とする 労働者福祉施設、住居施設、商業施設が複合した複合団地を造成することが 構造高度化の大きな絵だ。 だがポステク人文社会学部のキム・チョルシク教授は 開発中心の構造高度化、集積施設は産業機能の活性化に否定的影響を与えると指摘した。

キム教授は「構造高度化の核心は知識産業センターであり、 知識産業センターが産業集積のための代表施設として建設されているが、 知識産業センターの産業活動の余地は制約的」だとし 「むしろ知識産業センターは新しい不動産開発事業、 民間主導の『アパート型工場』建設事業と見ることができる。 構造高度化が短期的な景気浮揚の一環として推進される実情」と説明した。

彼はまた「開発によって地価が上昇すれば、新興業者の団地入居が難しくなる」とし 「特に構造高度化事業はファンドと連係する。 政府が民間資本の参加と金融資本の投資を促進するためのシードマネーとして ファンドを造成する。 構造高度化事業だけの状態で、開発収益の獲得が難しくなれば、 ファンドがなくなり、産業団地そのものが荒廃する結果を生むかもしれない」 と説明した。

産業団地公団が明らかにした資料によれば、 2011年から2016年までの産業団地環境改善ファンドの実績は、 知識産業センター7つ、寄宿舎型オフィスホテル4つ、ビジネスホテル2つになる。

「構造高度化、公共は抜けて民間資本が掌握」

『公益人権法財団共感』のユン・ジヨン弁護士は、 構造高度化事業から公共の役割が消え、 民間資本が掌握した点を問題にした。 ユン弁護士は「(構造高度化関連)法律は、 政府を事業承認、管理の主体と定めている」とし 「民間企業が事業の施行に参加する道も開いているが、 これはあくまでも例外的な事案だ。 だが今までに施行された構造高度化事業のほとんどは民間に頼っている」と話した。

2018年6月基準、完了または推進中の62の構造高度化事業のうち、 民間が参加しない事業は16、総事業の25%に過ぎない。 総事業が2兆2千億ウォンのうち民間資本の割合は70%にのぼる。

ユン弁護士は 「民間資本は収益性があると判断するから構造高度化事業に参加する。 したがって、利益創出の対象である構造高度化事業は公的であるのは難しい。 民間資本が主導する構造高度化事業は、ともすると収益確保だけを目的とする事業、 特に不動産開発事業に転落する恐れがある」と指摘した。

実際に産業団地公団が明らかにした構造高度化事業現況を見れば、 2017年〜2019年の構造高度化事業11の事業のうち8か所が オフィスホテル、寄宿舎、近隣生活施設事業を推進している。 また6か所が産業用地から支援施設用地に区分を変えた。 産業用地は工場建築物だけ上げられるからだ。 民間資本が主導する構造高度化事業が不動産開発だけに集中していると 思われるような項目だ。

ユン弁護士は 「民間業者と違い、産業団地公団は公共機関なので公益的な目的により 産団管理、入居企業の支援などに注力しなければならない」とし 「しかし公団は公共機関の限界を克服するという名分で、 構造高度化事業にさらに多くの民間投資を誘致する一方、 構造高度化事業に対する責任を回避している。 その結果、構造高度化事業をしても、 実際の産団内企業と労働者に対する効果は小さい」と指摘した。

「構造高度化、KEC労組破壊の背景」

金属労組KEC支会(以下労組)は、 使用者側が労組破壊に乗り出した背景に、構造高度化事業があると主張した。 KEC使用者側の立場としては、 構造高度化事業で製造業から脱皮するにあたり、 この時に必要な労働者の構造調整を難なくするために労組破壊をしたということだ。 亀尾国家産団1号企業であるKECは、 2010年からストライキ誘導、用役投入、金属労組脱退工作などの 不当労働行為をしてきた企業だ。

KECが労組破壊を始めた頃、構造高度化事業に専念していた情況はあちこちに現れる。 まず2011年、KECは事業報告書で事業内容を大幅に拡大した。 追加事業の内容は、 △観光、宿泊施設および運営、 △大型ショッピングモール運営、フランチャイズ業、 △デパート営業関連業、 △不動産開発および供給業、 △食品卸小売業、 △映画館運営業、 △オフィスホテル賃貸業、 △ホテル業だ。 商業施設を中心とする構造高度化事業を念頭に置くものだった。 当時、KECの売上額は3400億ウォン、 構造高度化申請総事業費は6200億ウォンだった。 しかし製造事業場に対する投資はこの10年間、なかったと労組は伝えた。

[出処:金属労組KEC支会]

KECは構造高度化事業承認のために全方向的なロビーも加えた。 2011年〜2012年頃、KECの役員は自分の業務手帳に産業団地公団本部長級、 知識経済部局長級、亀尾市国会議員、地域言論などと会い、 構造高度化事業に共感したと書いた。 最近、KECは4回目の構造高度化事業を申請したが、 亀尾市副市長は事業に関してKEC側と事前に協議した事実を認めた。

民主労総慶北本部のペ・テソン教育局長は 「すでにKECは亀尾工場のほとんどのラインを外注化した。 そのうち構造高度化として大型商業建築物、バスターミナルなどを作ろうとしている。 KECの半導体工場はクリーンルームを持っている。 振動とホコリに非常に脆弱な構造だ。 構造高度化で製造工場が廃業するという疑いは合理的だ。 KECの労組破壊で35人が解雇され、100人ほどが職位解除、 301人が損害賠償請求を受けた。 損賠請求過程で150人を越える労働者が雇用から追い出された。 KECが構造高度化だけに頼り切った結果だ。 多くの労働者がいなくなり、今でも雇用が揺れている。 われわれは切実に働きたい」と伝えた。

一方、最近産業団地公団の関係者がKEC支会側に意見収斂を理由として KECの事業申請を断ることができないと明らかにしたが、 2013年に産業通商資源部(事業主務部署)が 洪宜洛(ホン・ウィラク)国会議員室に 「産業部は同事業(構造高度化)に関し、 地域小商工人、市民団体、利害関係者の合意が前提にならない限り、 申請を受けない予定」だと答えた文書が公開され、議論が予想される。

[出処:金属労組KEC支会]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-10-13 02:03:29 / Last modified on 2019-10-13 02:03:30 Copyright: Default

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