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直接雇用され、人間扱いされて働きたい

[ヨンジョンのバカみたいな愛](104)韓国道路公社料金所料金受納労働者の本社座り込みの話

ヨンジョン (ルポ作家) 2019.09.16 11:42

9月9日、韓国道路公社料金所で料金受納業務を行う約200人の労働者 (民主労総慶南一般労働組合公共連帯労働組合・民主連合労働組合・仁川地域一般労働組合所属)が、 慶北道金泉市栗谷洞にある韓国道路公社本社のロビーで座り込みを始めました。 短ければ数年から長ければ20年以上働いてきた労働者たちは、 子会社への転換を拒否して直接雇用を要求したという理由で解雇され、 3か月闘争を続けています。

8月29日、大法院は料金受納労働者が提起した勤労者地位確認訴訟判決で、 彼らは韓国道路公社の正規職だと判決しました。 しかし韓国道路公社(社長李康来(イ・ガンネ))は立場発表を先送りして、 9月9日に世宗市政府世宗庁舎で、大法院で勝訴した料金受納労働者だけについて、 子会社への転換の意思を確認した後に直接雇用人員を確定するという内容の記者会見をしました。 また、直接雇用を望む労働者の場合、 高速道路の環境整備や仮眠シェルター業務など 現場の補助業務を任せる計画だとし、事実上、子会社転換を強要しました。

この知らせに怒った解雇料金受納労働者たちは、 この日直ちに金泉韓国道路公社本社に駆け付けて、 1500人の直接雇用と履行方案を議論するために、 李康来(イ・ガンネ)社長との交渉を要求して座り込みに入りました。

不十分ですが料金受納労働者たちによる韓国道路公社本社座り込みの知らせを 読者に伝えたいと思います。 後で取材した内容をもう少ししっかり伝える機会があることを望みます。〈筆者注〉

断電4日目、直接雇用が重要だから耐えられます

9月15日、慶北道金泉市栗谷洞にある韓国道路公社の本社2階ロビー。 1500人直接雇用を要求する韓国道路公社料金受納労働者たちが 本社での座り込みをはじめて7日目だ。

[出処:ヨンジョン作家]

いつものように、解雇された受納労働者たちは午前5時にもならないのに 1人2人と起きて寝袋をたたみ、歯ブラシとタオルを持って洗面に行く。 6時になる前に半分以上が起床する。 ここには普通の座込場で1番2番と番号を付けて書いて貼る規則や規律がない。 夜明けに「起きてください」と叫ぶ人は1人もおらず、 目覚ましの音も聞こえないのに、本当に不思議に思った。 なぜこんなに早く起きるのかと聞くと、 隣にいた西岸山料金所料金所で19年働いて解雇されたキム・ソヒョン氏が答えてくれる。

「3交代の初番(朝6時出勤)の時、 朝の4時に起きた習慣で、自然に目が開きます。」

朝にトイレが混雑するのも、早い起床の理由になるでしょうが、 何よりも労働者たち自身が主体的に1500人の直接雇用闘争に参加していることを見せる姿だ。 料金受納労働者たちが洗面を終えてコーヒーやラーメンを食べ、 スキンとローションを塗ってコンパクトをたたく時ぐらいになると警官たちが起きる。

座り込み4日目の秋夕の日の朝、 涙の中で合同祭事を終えて出てくると一部重要な空間の電気が切れていた。 組合員たちが洗面の空間に使った3〜4階のトイレの電気が切れ、 携帯電話の充電をしていた2階の一部空間の電気が切れた。 2階の男性トイレの小便器はセンサー不作動で水が出ず、 悪臭が立ち込めているという。 窓がなく、電気が切れたトイレは暗黒だ。 韓国道路公社では座り込みをしていた労働者たちが トイレで洗濯をしたので漏電したとし、 秋夕連休が終われば措置すると話したという。

筆者が外でこの話しを聞いたら、そんな可能性について考えたかもしれないが、 その空間を共に利用している立場としては、いくら考えても納得できなかった。 座り込みをしていたロビーを毎日清掃して、 トイレで洗面し、床にある髪の毛の清掃までした料金受納労働者たちだ。 彼らは座り込みの中でも紙・プラスチック・カン・食物まで几帳面に分離回収し、 警察にも分離回収を提案した。 チリ紙も石鹸もみんな労働組合が購入して使っている。

「トイレで洗濯をしたら漏電するのでしょうか? そこにカエルの巣があるわけでもないのに…」

「そうですよ。 床にある水道のホースで水を出して洗濯をするのですが、 なぜ漏電するのでしょう? とんでもありません。」

韓国道路公社西岸山料金所で8年間働き解雇されたキム・ジスク氏は納得できないと言う。 なぜ、わざわざこのビルの中で、料金受納労働者が利用している重要な空間だけが漏電したのか? 緊急に国家人権委員会に連絡したが、実質的な措置は取られなかった。 使用者側の言葉が怪しく、何の措置も取らない国家人権委員会の態度が苦しい。 だが、その不便のために怒り出す労働者は見ることができなかった。 女性労働者たちは携帯電話の懐中電灯に頼って大小便をして、 顔を洗い、歯磨きをしてシャワーをする。 それも列に並ばなければ利用できない。

座込場に入ってきて5日目の夜、筆者は初めてシャワーをした。 外で行われる当日の集会だけを見て帰るつもりだったが、 うっかり入って「今日まで」、「明日まで」と思っていたら、こうして時間が流れた。 「明日帰るつもりだが、一日だけ我慢しよう」を繰り返し、 明日帰って一度ぐらいシャワーも浴びてゆっくり寝て行こうと思った。 シャワーをしに行く前に座込場の隣の西岸山料金所女性労働者に 詳しいシャワー戦術を伝授されて実行に移した。そして成功した。

「生まれ変わったような感じですか?」

「そのとおりです。 まさにその感じです!」

無から有を作り、 「歯がなければ歯ぐきで」の精神で 200人の労働者たちがこうして新しい歴史を書いている。

「とても不便です。 携帯電話の懐中電灯をつけても暗く、前がよく見えないので、 服を着る時も不便で、 髪を洗ったりシャワーをすればせっけんが落ちたのか確認もできず。 床がすべりやすいので怪我をするかもしれません。」

キム・ジスク氏はそれでも 腹は立たないと言う。

「癇癪を起こしても何も変わりません。 青瓦台で野宿座り込みした時は天井がありませんでしたが、 ここは天井があって、雨にも濡れずに良いです。 青瓦台も良かったです。 天井なければすがすがしい(笑)。 私たちは直接雇用に行く方が重要だから、大丈夫です。 みんな我慢して耐えなければね。」

闘争を始めた時にそうだったように、 ジスク氏は今回の本社座り込みも1日か2日で問題が解決して、 秋夕を家で過ごせるだろうと考えたと言う。

「家でも状況を知っていますが、気持ちは楽ではありません。 本来私が祭事をするのですが、子供お父さんにやれと言ってもできないといいました。 大学入試の準備をしている高3になる娘が電話でつらいと、 『お母さんは私に関心があるのか?』と泣くので、ちょっと傷つきました。 それでも名節はその時だけです。 こちらの方が重要だから我慢しなければ。 祭事の時にとても泣きました。」

今日一日、無事に過ごそう

「こんにちは」
「寒かったけど眠れた?」
「レインコートを着込んで寝た。とても寒かった。口が曲がりそう。」
「市場でジャンパー一つずつ買って着た。」
「どの市場?」

午前9時。 外でテント座り込みをしている労働者たちと、中にいる労働者たちが 警察を挟んで「面会」する時間だ。 毎日こうして会っても、会うたびに涙が出るという。

面会が終わって組織ごとに会議が開かれる。 互いの安否を確認して、不便な点も話し、言いたい話を交わす。

「警察が変わり続けています。 京畿道、江原道、釜山... 今日は大田ですね。大田の組合員いますか? 忠南、大田近くは?」

「論山、清州がいます。」

「故郷の人もいるので、 今日一日、無事に過ごそう。」

民主一般労組料金所支部の パク・スニャン副支部長が警官たちを見ながら話す。

10時になると食事が始まる。 朝のメニューはかまぼこ汁ご飯だ。 食事担当の労働者たちがクッパの上にキムチをひと箸のせる。 特におかずはない。このようにして一日二食を食べる。

賃金ピーク制を一度体験してみたい

霊光料金所で料金徴収員として働いて17年になるキム・ミエ(仮名)氏は、 来年6月に定年を迎える。 ミエ氏は料金徴収員として働きながら「人間扱い」されなかったのが 一番つらく、傷ついたという。 17年間、最低賃金で働いたが、 働いて苦情があれば無条件すべてが徴収員のミスにされた。 とんでもない理由で無理を言い、悪口を言って叫ぶ顧客のおかげで 受納労働者が支払うことも一度二度ではなかった。 未納金をたくさん受け取るために死ぬほど受け取れば、 すべての恩恵は用役業者の社長と韓国道路公社に行く。

今年6月、子会社設立を控えて韓国道路公社の管理者が10回以上ミエ氏のところに来て、 子会社への転籍を強要・懐柔したが、 ミエ氏は拒否した。 来年6月に定年を迎えるミエ氏にたいし、 厳しい直接雇用闘争の道を選択した理由を尋ねた。

「子会社に行けば定年が一年延びて、給与も30パーセント上げてやるから行けといいました。 直接雇用されれば賃金ピーク制にかかって賃金が削減されると言い、子会社に行けと。 私はこう言いました。 私も一度人間扱いされて働いてみたくて、直接雇用に行くんだと。 私のように最低賃金の人にとって、賃金ピーク制は夢のようなことで、 私も一度賃金ピーク制を体験してみたいといいました。 ですから私にこれ以上話すなと言いましたが、何度も訪ねてきました。」

ミエ氏は現在、子会社で働く労働者たちが、 韓国道路公社の言葉と違い、ずいぶん難しい状況だといった。 道路公社が話す賃上げも、実際には人員が減って休みたい時に休めずに働いて受け取る手当だという。

9月9日、ここにきた日、ミエ氏は李康来(イ・ガンネ)社長に 1500人の直接雇用交渉を要求するため、 社長室がある20階にのぼり呼吸困難で倒れた。 病院に運ばれたが、応急措置だけですぐまた座込場にきて、 今まで座り込みを続けている。

「私がどれだけ力になるでしょうか? 一緒に力を補って、私たち皆が揺らがず一つに固まろうということです。 私もどこからそんな力が出たのかわかりません。 闘争を始めて私がこんなに耐えられるとは思いませんでした。 私が考えることができなかった私のもうひとつの姿を見ることになりました。 誰がこの年で労働組合をしますか? 私は自分がとても誇らしいです。」

筆者がはじめてここに日の夜。 何もかぶるものがなくて寝ていると、明け方頃に誰かが寝袋をかけてくれた。 ミエ氏だった。 ミエ氏が今している闘争は、 ミエ氏の後輩の労働者たちが生きていく非正規職ない世の中の礎石になるだろう。

警察の侵奪が予想されています

座込場では6日目の夜から2次鎮圧に備えた本格的な準備に入った。 鎮圧が始まった時の位置と姿勢、スローガンも決めた。 誰がどの位置にいて、腕はどうするか、足はどうするか、 具体的な方法を共有して「実戦に備えたトレーニング」もした。 この日、3回トレーニングをした。

[出処:ヨンジョン作家]

内部で進められる日程と共に、 外で進められる午後の集会と文化祭まで、 一日は我を忘れて、そして早く過ぎ去る。

「警官が突然 増えていませんか?」

「そうなのです。 さっきはこれほど多くはなかったのですが。」

「8時に民主労総の集会が あるからだそうだ。」

午後7時20分。 8時の民主労総文化祭を前にして、しばらくの休息時間に組合員と話をしていた時だ。 突然、放送スピーカーから差し迫った声が流れる。

「警察の侵奪が予想されています。 全組合員は今すぐ集まってください! 警察の侵奪が予想されています。 全組合員は今すぐ集まってください。」

トイレで歯磨きをしていた組合員、体を洗っていた組合員、 横になって休んでいた組合員たちが、 いっせいに2階ロビーの約束した集結地に向かってどっと走って行く。 「★◇△□」、「★◇△□」 一部の労働者たちは、侵奪を意味する暗号を叫んだりもする。 あっという間にロビーの座込場に全労働者が集まって隊列を備える。 筆者も急いで取材装備をまとめて座込場に駆けつけた。

「スクラム!」
「スクラム!」
「横になれ!」
「横になれ!」

スクラムを組んだ200人の料金受納労働者が横になる。 9月14日、座り込みをしていた料金受納労働者たちは、 組別討論で警察の鎮圧の時に 全女性労働者が上着を脱衣して抵抗するという決議を集めた。

「直接雇用争奪! 大法院判決履行! 李康来罷免! 暴力警察退陣!」
「直接雇用争奪! 大法院判決履行! 李康来罷免! 暴力警察退陣!」

秋夕の連休が終わる今夜以後、すぐに起きるかもしれないことの練習だった。 緊張で女性労働者の上気している。

「私たち、 はやかったでしょ?」

「はい。 光の速度で走って行しました。」

今になって緊張が少し解けた組合員たちが、 笑いながらまたやりかけの仕事をしに行く。

夜10時半、長い文化祭が終わり、 労働者たちが1人2人と席で横になり始める。 深夜12時になると物寂しい座込場をいびきが埋める。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-09-17 08:56:11 / Last modified on 2019-09-17 08:56:13 Copyright: Default

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