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クロムビは泣き叫ぶ[ドキュメンタリー] 100日間のジャム(JAM)ドキュメンタリー江汀
パク・ミヌク(ACT! 編集委員会) 2011.10.04 20:04
▲神秘を大事に守る済州クロムビ岩 クロムビに行ったことがあるか。済州島江汀村とその近海をつなぐ巨大な黒い 岩。その平らで広い岩の上に立てば、青い済州島の海が自分のものになったようで、海の上に浮かぶ美しいパム島は、すぐに手で触れそうだ。 クロムビは事実、1.2kmもの一枚岩だが、その表面が亀の甲羅のようにきれいに割れていて、 見ただけでは数千個の小さな岩が固まっているように見え、その形状がとても幽玄な岩だ。 その様子がいかに印象的か、自然が作った巨大な風景画をただ見ているだけで、簡単に半日は過ぎてしまうほどだが、その岩の上を裸足で歩けば、もうひとつの事実がわかる。 クロムビは明らかに生きているということを。 母の胸のように暖かいクロムビ岩は、波涛をその胸に抱き、名も知らぬ多くの生命体をその胸に抱き、済州の人々、そしてそのつらい歴史をその胸に抱いたまま、数万年も黙黙と生きてきている。 これは一つの驚異! 済州の歴史そのものだ。 この美しく神秘な江汀村の岩は、昔から済州道民と他の土地の人による無限の愛と驚嘆を受け、オルレギルコースの中でも断然第1景に選ばれてきた。 クロムビ岩は世界で唯一、淡水が湧く海の岩で、11種の絶滅危機動植物が棲息 する所であり、クロムビをはじめ江汀村の近海は、政府からは絶対保存地域に、 ユネスコからは生物圏保全地域に指定されている。 その上、最近になって近くで青銅器遺跡も発見され、自然と人間のすべての歴史が生きる、それこそ宝庫そのものだ。 ところが今、そのクロムビ岩の上にはショベルカーがある。そのどっしりしたドリルを岩に打ち込み、ドドドとクロムビを壊している。 ドドド-クロムビが大事に守っていた神秘と生命と歴史をぶち壊している。 ドドド-クロムビは今、泣き叫んでいる。
▲済州クロムビ岩を壊す工事現場 海軍は南方海洋自主防衛を名目として2007年から江汀村に海軍基地建設を強行し、 村人には基地開発による経済的復興を約束した。 だが、村人は海軍のバラ色のビジョンを信じる側と、 基地建設はむしろ村の疲弊を持たらすだけでなく村と国の安寧を害すると信じる側に分れ、激しい論争を続けている。 こうした状況の中で、チェハ・ドンハ監督など9人の独立映画監督は、江汀の状況を広く知らせ、クロムビを守るために江汀に集まった。2011年6月。〈100日間のジャム(JAM)ドキュメンタリー江汀〉はそうして始まった。
▲ジャム ドキュメンタリー江汀(2011) クロムビ撮影現場 アンニョン、クロムビ。 クロムビに残念な別れのあいさつを告げながら、映画は幕をあげる。 9人の独立映画監督は自分の作業をしばらく止め、クロムビに集まった。 まだクロムビにショベルカーが入る数か月前だ。 彼らはクロムビ岩の上を散策し、クロムビが大事に守ってきた神秘と生命と歴史の話を直接感じる。 遠からず破壊されるこの自然の驚異の前で、彼らができることは果たして何だろうか。 だが現実の疲れも、未来の不安もしばらく。クロムビは、このあらゆる事を慈愛深く抱え込む。ギョンスン監督はクロムビの美しさに一気に魅了され、自分の人生を振り返る時間をかけて、クロムビにありがとうと小さな挨拶をする。しかし戦いはすぐに始まってしまう。 キム・テイル監督はとても平和だった 村の記憶 を息子のサングに聞かせたがる。 海があって、私が流れて、良質のコメがよくとれた江汀。 その豊かな話を聞かせたがる。 だが今、江汀の老人は4.3事件を思い出している。彼らが決して望まなかった戦い。その血なまぐさい記憶。 済州は一度も全てが彼らのものだったことはなかった。日本の海軍基地であり、虐殺の現場であり、観光客の遊び場だった。 老人はまた済州が外部の人の悪だくみで混乱に包まれるかと恐れる。 しかし監督は、村の住民にインタビューをしながら、老人の恐れがもう現実になっていることを確認する。 政府は江汀に海軍基地を建設するために意図的に村人の混乱を助長し、平和な共同体だった江汀の村は今、兄弟の間でも互いに挨拶さえしないほどに分かれ、分裂してしまった。 村の入り口にある コサマートとナドゥル店。 互いに店の中が見えるほど近いこの二つの商店の間には今、南韓と北朝鮮を思 わせるような緊張感が漲っている。 海軍基地賛成側の住民と反対側の住民は、ラーメン一袋も互いに別のところで買い、兄は弟を左派従北勢力と呼び、トラックで轢こうとし、姑はアカの嫁が憎くて嫁の犬に赤い塗料を塗る。 平和だったこの閑静な漁村がなぜこんなになってしまったのか。
▲ジャム ドキュメンタリー江汀(2011) 江汀村会長強制連行場面 クォン・ヒョ監督は、江汀の子供に視線を注ぐ。子供たちにカメラを渡して、 すぐ 赤イワガニの写真授業 が始まる。クロムビと江汀川は、子供の遊び場で、 絶滅危機動物の赤イワガニはこの子供たちにはお馴染の友人だ。 子供たちは海軍基地が何かはよく知らないが、「とにかく良くない」が、子供からクロムビと赤イワガニを奪う権利が、果たして大人にあるのだろうか。 壊されていくクロムビの遊び場と住む所を失った赤イワガニが、友人たちを見ながら、江汀の子供たちは今、何を考えているだろうか。 大切なものを奪われたのは子供たちだけではない。10年間、江汀の自然を守るために多くの犠牲を払ってきた江汀きれいな環境監視団。 ヤン・ドンギュ監督は彼らに案内され、 パム島に吹く風 と江汀の前の海の風景をカメラに収める。 その蠱惑的な美しさを呆然と見ていると、「あっという間にこれをみんななくしてしまおうと言うのだから、虚しいよ」。 ため息をつく監視団員の文句に同調しないわけにはいかない。 彼らの10年の努力で江汀の海は絶対保存地域になり、ユネスコから生物圏保全地域と認められたが、そんなものは政府の無鉄砲精神の前には何の効果もなかった。 なぜ政府はこんな行動をするのか。 海軍出身のチェ・ジンソン監督は、オタク気質を発揮して、空母のプラモデルを引っ張って回り、海軍基地建設の本当の目的を問い質す。 江汀に建設される海軍基地は米国ミサイル防御体制の一環ではないのか? だが監督は結局返事を聞くことができず、あえなく 中華料理店に行った空母 を見て、苦笑を浮かべる。 暴雨を受けながら国防部の前で座り込み、プラモデルを組み立てる監督。 横でロックバンドが絶叫する。「なぜ私がこうしているか〜なぜ私がこうしているか〜ありのまま生きたくて、おお。 これがそんなに大きな夢だったのか〜」。 そうだ。なぜわれわれはこんなことをしているのか。ただそのままにしておけというだけなのに。これら全ては話が通じない奴らのためだろう。 パム島海賊団はクロムビの上で一度巫女祭りで彼らに飴を食べさせる。 海賊団、江汀に行く。 今度はパム島海賊団だ。
▲ジャム ドキュメンタリー江汀(2011) クロムビで演奏するパム島海賊団 映画は同じ苦しみをあじわい、同じような闘いをしている済州江汀村とソウルのソンミ山の村の紐帯を感動的に見せ、大詰の幕を下ろす。 ソンミ山で闘争するホン・ヒョンスク監督は クロムビに立ち止まって この土地のあちこちで起きる悲劇を共に合わせようと悩む。 そうだ。これは江汀だけの苦痛、江汀だけの戦いではない。 江汀闘争で拘束されたチェ・ソンヒ氏はこう話す。「(江汀の問題は)地域の問題ではなく、国際問題だ。 済州島にもし海軍基地ができれば、東北アジアの平和は破壊されると考えなければならない」。 江汀の問題は私たちすべての問題だ。 今、破壊されているクロムビは、済州の神秘と生命と歴史だけではなく、私たちすべてのものであり、 私たちすべてのクロムビは今、惨めに壊されている。4.3事件がただ済州だけの悲劇ではなかったように、江汀の悲劇は私たちすべての悲劇であり、徹底的に分断された江汀のある兄弟の話の中には今、私たちの反目と対立がそのまま溶け込んでいる。 遊び場と友人を失った子供たちも、私たちの子供であり、つまり徹底的に破壊されてしまう江汀の美しい海も私たち皆の海だ。そして私たちにはこのすべての対立を解消して、大切なものを守る責任がある。 〈100日間のジャム(JAM)ドキュメンタリー江汀〉は、江汀に向けた9つの視線を一つに集め、観客に真摯な質問を投げかける。 あなたの江汀は、クロムビは今、泣き叫んでいる。あなたは何をするか? 〈100日間のジャム(JAM)ドキュメンタリー江汀〉は9月24日、第3回DMZ国際ドキュメンタリー映画祭で初公開され、その後、共同体上映などさまざまな経路で見ることができる。(出処=[ACT! 76号])
翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2011-10-05 04:31:17 / Last modified on 2016-03-27 14:33:28 Copyright: Default 世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ | |