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放射線災害は、資本主義生産方式の結果

[寄稿]人類を抹殺する核発電所を廃棄しろ

ソン・ミア(労働社会科学研究所) 2011.05.09 14:45

放射線災害の根本的な原因:資本主義的生産方式の結果

2011年3月11日に発生した日本の大地震に続いて押しよせた放射線災害は、もは や自然の災害を越え、資本主義の荒廃はすでにその限界を越えたことをありの ままに見せている。福島で発生した放射線災害は、日本政府と東京電力資本が 作り出した人災だ。いや、あるいはそれは資本主義社会の中で利益追求の生産 方式に飼い慣らされ、問題の本質を把握できず、人類の破滅を持たらしかねな い途方もない不正に抵抗できなかった私たちの限界だろう。

世界的に1950年代の初めに建設が始まった原子力発電所は、最初は国家主導で 建設され、次第に私有化の過程を経て、巨大独占資本により建設されているが、 資本家階級はなぜそれほど原子力発電所を建設し続けてきたのか? まさに、 「原子力は一番安全なエネルギー」というのが彼らの説明だ。ところが、彼ら が言う「安全」とは、まさに電力を生産する原材料の側面から見ると、一度設 備を作れば20年以上続けて石炭や石油より相対的に原材料の購入費がかからな いため、不変資本を節約でき、大規模な機械設備の維持に必要な人件費が少な くなることで、可変資本を節約できるという二重の効果がある点だろう。だが 今、全世界の国民が知ったように、この「安全」の裏には寿命が尽きた廃発電 所と廃棄物を処理するために天文学的な費用と時間がかかるということは完全 に無視されている。

これがまさに資本主義的生産方式の一断面を示している。資本主義生産方式は 当面の利益のためであれば、どんな代価も払い、そこから生じる副作用や悪影 響の対策は全くない。その理由は資本主義的生産方式の核心が利益追求だけで、 それ以外はすべて副次的だからだ。まさにこうした資本主義的生産方式を主導 する階級が資本家階級だ。それで彼らは利益のためなら、労働者の寿命が尽き、 健康が悪化しても、彼らには無関係であり、庶民にとって害になる物質が入っ た食品を食べて事故が起きても彼らには無関係で、原子力発電所から吹き出す 放射能で地球が廃虚になり子孫に影響が出ても、彼らには無関係だからだ。

原子力発電所に対する資本家階級の態度も、まさにこうした利益追求の原理で 現れる。したがって彼らが言う「安全」なエネルギーの意味は、他のエネルギー よりも不変資本と可変資本を節約することができ、まさに20-30年間は使えるが 利益になる側面だけであり、それが残す副産物が人類を代代孫孫荒廃させると いう側面を意味するのでは全くない。全体的に見れば、原子力エネルギーは得 より損のほうが多いエネルギーだが、資本家階級は得に目がくらみ、その毒の 作用による弊害には全く関心がない。

資本家階級は、当面の利益に目がくらみ「天然エネルギー」、「安全」という 甘言利説で国民の目と耳をだましている。韓国ですでに私有化が進められて 「親環境エネルギー企業」をモットーとする韓国水力原子力(株)は、その広報 文そのもので全国民を愚弄している。われわれはこれまでTVから子供の笑い声 が聞こえて「安全で清潔なエネルギー、原子力〜〜安全な原子力! 国家経済の 力です〜〜」という、女性の軟らかい声の宣伝文句を毎日のように聞かされて きた。だが今、「原子力は親環境」と主張するのは明白な詐欺であり、嘘だと いうことは火を見るより明らかなのに、資本家階級は詐欺と嘘を日常茶飯事の ように続けている。

われわれはこうした利益追求だけを目的とする資本主義社会に生きているとい う事実そのものを忘れて生きていく。筆者は原子力発電所そのものが実質的な 利益を生むかどうかを論じようとしているのではない。今まで国家独占資本が 原子力発電所をめぐり見せているのは、利益追求を最優先とする資本主義生産 方式を体現する資本家階級のイデオロギーそのものだ。

帝国主義戦争を準備する核発電所

核発電所には一国家の独占資本の利益追求を越え、さらに大きな秘密が隠され ていた。それはまさに核発電所が帝国主義戦争の武器を準備する公然の秘密の 場所だということだ。あるいは韓水原の宣伝文句のように、原子力そのものは 問題の本質ではないかもしれない。資本家階級が原子力発電所により不変資本 と可変資本を節約する意図そのものは、むしろ非常に善良な意図なのかもしれ ない。米国、英国、日本をはじめ世界各国の資本家階級が、数百基の原子力発 電所を建てた表面的な理由の裏には、それが核兵器に発展する可能性が考慮さ れていた疑いが濃い。

実際、英国と米国で1950年代の草創期に建設された原子力発電所は、核兵器を 製作していた。一例をあげれば、実際英国のウィンズケール(Windscale)発電所 では、1950年代初期に核兵器用のプルトニウムを生産していたし、1952-1958年 には核兵器の検査に従事する労働者だけで22347人にのぼっていた。また米国で もハンフォード(Hanford)原子力発電所で実際にプルトニウムの製造に従事して いた労働者で、すい臓ガン、多発性骨髄種、肺ガンなどの発生が増加したと報 告されているが、これは米国でも実際に原子力発電所で核兵器を製造していた ことを示すものだ。最近、日本の原子力発電所から放射能物質の漏出事故があっ て、人々は日本帝国主義権力が使い古しの核燃料棒を廃棄処分せず積んでおい た理由について少しずつ知り始めている。

帝国主義段階に発展した独占資本家階級は、常に彼らの生存のために帝国主義 戦争を準備している。もし第2次世界大戦の時のように、ファシズムで武装した 資本家階級が戦争に狂奔すると、いつどんな状況になるのか誰にも分からない。 一例として、米国が全世界で最も多くの原子力発電所を保有している理由は、 まさにここにあるのだろう。米国は現在104基の原子力発電所を持ち、200基以 上の原子炉を設置する計画があるという。現在、世界で440基の原子炉が稼動中 で、58基が建設中であることを見ると、米国が一番多くの核保有国である。そ の一方で、米帝国主義は、彼らの敵対国が防御的な次元で対応しているとして も、とても小さな国が二個程度の原子炉を持っていることに非常に敏感に対応 し、彼らが核兵器で確保した優位を根拠に弱小国家を統制しようとしているで はないか。米国の資本家階級と政府がイランの核兵器を統制する試みや核実験 を理由として北朝鮮を封鎖する試みなどは、まさにこのように米国が帝国主義 的な支配により世界で優位に立ちたいという意図を示している。人類に悪影響 を及ぼす核の問題は、まず核を最も多く持つ米帝国主義に求めるべきだろう。

放射線の資本主義的利用の結果

放射線そのものは、人類の発展に莫大な貢献をした。1896年ドイツの物理学者 レントゲン(Wilgeelm Konarad Rontgen)がX線を発見し、1898年にポーランドの 女性科学者キュリー(Marie Curie)がラジウムを発見した時、それは驚異そのも のだった。放射線の発見は非常に偉大な出来事だった。放射線は現在も、なく てはならない重要な役割を果たしている。特に医学の側面から見れば、放射線 は疾病の診断やガンの治療にとても重要な役割を果たしている。今まで放射線 による診断と治療でどれほど多くの人がガンから生き返っただろうか。

ところが、このような放射線が資本主義的に使われると、人類の毒になるのだ。 2003-2004年に扶安の民衆が原子力発電所建設反対闘争をした時、原子力発電所 を「核発電所」と呼んだ。これは、原子力発電所が資本主義的に利用されてい る現実を示す名前だったのだ。原子力発電所は自然環境を資本主義的に利用す る代表的な事例であり、この核発電所の建設により発生する人間と自然の荒廃 は、資本主義的生産の結果だ。資本家階級の資本主義的な利益追求の欲求が、 核発電所を建設させたのだ。資本家階級による無差別な開発で、自然の法則に 逆らって環境が破壊されるという結果を招いたのである。

自然環境の資本主義的な利用の過程は、莫大な自然環境の破壊と荒廃の過程だっ た。そうした自然環境の荒廃で苦しむ集団は誰か。結局は荒れはてていく所で 密集し、スラム化して暮す民衆と労働者の集団である。

現在、世界各地に設置された無数の原子力発電所から発生する弊害は、資本家 階級とその政府が作り出したもので、彼らはすでにマルクスが言及したように 「土地を恒久的に共同所有し、譲渡できない人類代代孫孫の生存・再生産条件 として意識的に合理的に取り扱わず、知力の搾取と蕩尽」を招いている。マル クスは土地、さらに広く、自然環境の資本主義的な利用がいかに自然を破壊し たのかを次のように告発している。

「農業および産業一般の発展ははるか以前から森林 を破壊する作用をしてきたが、これに較べればその発展が逆に森林の保存と生 産に尽くした一切の貢献は全く何でもない」。 (K. マルクス、「第2編 資本の 回転、第13章 生産時間」、 ≪資本論≫ 第2部(第1改訳版)、2004、 p. 290.)

こうした資本主義的生産様式は、生産と消費の過程でばく大な量の廃棄物を作 り出すが、こうした産業廃棄物が自然環境を傷つけ、人間の生を脅かし、人間 の生を根こそぎ疲弊させているのだ。

現代の資本主義社会でも、資本主義的生産の過程が自然環境を破壊し、自然の 一部である人類を荒廃させる事例は到底推しはかれない。その代表的な事例が まさに核発電所の建設だ。私たちが日本政府と韓国政府の例で具体的に見たよ うに、世界の資本家階級の政府は彼らにより行われる荒廃の問題を隠そうとす るだけで、根本的な問題解決を回避している。いや、資本家階級の政府が問題 を解決することを望むこと自体が、私たちの自由意志を彼らに拘束させるのだ ろう。

放射線災害は階級的な問題

日本の放射線災害で、われわれが認識すべきもうひとつの重要な事実は、この 災害はまさに労働者階級と民衆に直接的に加えられているということだ。日本 の大地震が色を失うほど、すぐ登場した放射線災害はその災害の規模と深刻性 が予測できない程、莫大な破壊力によりまるで資本主義社会全体を破壊し尽す かのように近付いてきている。

しかし詳しく見ると、それは特に民衆と労働者を威嚇している。放射線の被害 を一番直接受けている人々は、福島地域の民衆と、破壊され尽した原子力発電 所の復旧に投入される労働者だ。日本ではすでに広島、長崎に落とされた原子 爆弾により放射線の危険がよく知られている。ところが、その直接的な災害が 発生した福島地域にまだ残っている人は、民衆と労働者だ。人災を避けられる 階級は、すでにみんな逃げ出してしまった。結局、労働者階級と民衆、そして その子孫が放射線の被害をそっくり受けている。

原子力発電所が破壊された時、一番直接、放射線に晒された集団は、その中で 働いていた労働者であり、政府の嘘にだまされてまた特別な自己救済策を用意 できず、近隣地域に留まっている人々だ。先日、東京電力は福島原子力発電所 の復旧までに6か月から9か月かかると言い、そして9か月以上かかるかもしれな いといった。この言葉は、9か月以上、労働者はその中で命をかけて復旧作業を しなければならないということだ。

職業的被曝、すでに始まった放射線災害

突然、韓国にせまってきたように見える放射線災害は、実はすでにかなり以前 から私たちのすぐ周辺で職業的な被曝として進行している。事実、私たちにとっ て放射線災害はかなり前から始まっていた。最も身近なサムスンを見よ! 一例 として、サムスン半導体などでは放射線は、すでに労働者の生命を奪っている。 サムスン半導体で放射線被曝し、白血病にかかった労働者はすでにかなり前か ら労働の過程で放射線に被曝してきた。サムスン半導体の忠南温陽工場で働い ていたパク・チヨン氏とキム・オギ氏は放射線被曝で白血病にかかり、パク・ チヨン氏は2010年に死亡し、キム・オギ氏は現在闘病中だが、サムスンと勤労 福祉公団は職業病と認めず、ファン・ユミ氏はサムスン器興工場で働いていた が白血病で死亡した。

パク・チヨン、キム・オギ、ファン・ユミ氏のようにサムスン半導体工場で働 いて白血病にかかった労働者は、すでに作業の過程で放射線被曝の経歴があっ た。パク・チヨン氏はサムスン半導体忠南温陽工場で2004-2007年まで2年8か月 の間、放射線機械での検査業務を遂行し、放射線(X線)に被曝した。ファン・ユ ミ氏もサムスン器興工場で放射線被曝した。ファン・ユミ氏は2005年に白血病 が発生し、使用者側は2007年にすでにファン・ユミ氏が働いていた工程のライ ンを新工程に変えたが、産業安全公団は2007年の後に改善された新工程ライン で放射線を測定したにもかかわらず、一部の工程では放射線が一般人の線量限 度を超える水準だった。これは、サムソン資本が隠そうとしも、もう隠せない 状況に達していることを示している。

また、放射線による職業的な被曝は病院放射線取扱労働者、高度な放射線治療 を受けている患者、核造船で働く労働者、核兵器検査員などで発生する。

放射線災害による健康障害、人類抹殺への道

(1)低濃度の放射線も人体に害を与える

2011年3月の日本の原子力発電所爆発事故以来、韓国政府は微量の放射線は人体 に影響しないから安全だとし、まるで低濃度の放射線は安全であるかのように 国民に宣伝している。しかし事実は絶対にそうではないという。放射線が人体 に及ぼす影響は、DNAの損傷、染色体の変異、染色体異常のように遺伝学的変異 を誘発し、生物の本質も変化しかねない致命的なものであり、この放射線に対 して許容基準を論じること自体が無意味だ。そのためすでにかなり前から研究 者たちは放射線には「限界点がない(No threshold)」と主張してきた。つまり、 放射線は確率的にその危害を把握することもできず『ある限界内では安全だ』 という上限もなく、ごく微量でも遺伝子の変異が発生するなど、人体に致命的 な危害を与えることを証明してきた。したがって、放射線を予防するためには 許容基準以下に維持することが核心なのではない。

放射線を予防する方法の核心は、やむをえず露出する太陽光線などを含む自然 放射線以外は、どんな放射線にも絶対に暴露されないようにすることだ。さら に労働の過程は一日8時間を越えるので、労働の過程で放射線に被曝することは 長時間の暴露を意味するため、ごく微量でも人体に累積して致命的な損傷を与 える。こうして見ると、サムスンをはじめとする資本家階級や産業安全保健公 団、勤労福祉公団を含む国家機関で放射線許容濃度に言及し、問題の本質を回 避することは労働者の生命を利益に変えようとする彼らの意志の表出である。

(2)放射線が人類にとって致命的な理由は? 遺伝子変異のため

放射線が人体に与える影響は非常に致命的だ。その理由は放射線は人体の本質 を変形させるからだ。放射線は人体に作用して、DNA分子の原子、または細胞の 生存に重要な役割を果たす細胞構成要素と反応し、細胞の増殖や生存に影響を 与える。つまり、放射線に十分な数の原子が影響を受けると、染色体の複製に 失敗したりDNA情報に激しい混乱が起き、細胞が死滅するという。また放射線の 人体への間接的な影響は、放射線が人体の水と反応して過酸化水素(H2O2)など の毒性を持つ化合物を作り、それがDNAを攻撃してDNA螺旋を切断するという。

細胞が放射線に被曝すると細胞分裂遅延、細胞致死、細胞死滅、細胞変成が起 きる。細胞分裂が遅れると細胞損傷、細胞致死および細胞死滅になり、細胞数 が減少して細胞が変成し、発ガン、遺伝的な影響を与える。放射線によりDNAが 損傷した後の復旧の過程でも、遺伝子の変異が起きる。このように、DNA分子の 変異が起きればガンが発生する。また生殖細胞での遺伝子変異は被曝当事者の 次の世代に遺伝的な障害として現れたりもする。組織の放射線の感受性は組織 の再生能力が高いほど、細胞分裂の期間が長いほど、そして形態的・機能的に 未分化な段階で強い。放射線の感受性が高い細胞は、未分化性増殖細胞で血球 (赤血球、白血球、血小板)、生殖器、水晶体だ。お母さんが妊娠している間に 放射線に被曝すると、受精卵が子宮壁に着床する前の時期なら胎児は出生前に 死亡し、器官形成期なら胎児は奇形になったり、生まれても新生児の時期に死 亡する。

一方、放射能物質が人体に侵入する経路を見ると、放射能物質に汚染された地 域で汚染された植物(闊葉野菜、緑色野菜)や動物(精肉)またはそれから作られ る加工食品(牛乳または牛乳加工品)を摂取したり、空気からの吸入で体内に入っ た放射能で内部被曝したり、土壌の中に入った放射能物質により外部被曝する 場合だ。特に、放射性物質は半減期が長ければ、土壌、川、海、植物、動物な どの自然環境に長期間滞留し累積して、累積効果を誘発する。

放射能に露出した時、一番早く健康障害を受ける集団はもちろん放射線が発生 する現場で働いていた労働者だ。一方、放射線が全人口集団に与える健康障害 を見ると、放射線が漏れた周辺に居住していた妊婦と胎児、子供、青少年が一 番多く被害を受ける。なぜなら最も未発達な状態の細胞が放射線に最も敏感で、 破壊が大きいからだ。こうして全体的に見ると、放射線に被曝した時に一番健 康障害を受ける集団は、労働現場の労働者と周辺に暮す妊婦、胎児、子供、青 少年たちだ。

(3)放射線の影響:死亡、ガン、心血管系疾患、白内障、再生産機能障害および遺伝

1896年に人類が放射線を発見して以来、今までに多くの放射線事故があった。 最も大きな事故は、1945年に米国が広島・長崎に原子爆弾を投下した事件、 1948-1958年の間の米国による無数の核実験、1957年ウィンズケール原子炉火災 事故、1979年のTMI原子力発電所事故、1986年のチェルノブイリ原子力発電所事 故、そして2011年3月の福島原子力発電所事故につながる。放射線事故の草創期 に政府と発電所側は、放射線の危険を一般人に知らせもせず、事故そのものを 隠すことに汲々とした。そのため草創期の研究は多くなく、あまり知られても いない。これまでの大規模な事故である広島・長崎の原子爆弾投下と1986年の チェルノブイリ事故で放射線が健康に与える影響が研究された。したがって、 この文ではこれまでの研究の結果を基礎に、放射線による健康障害の事例を調 べてみよう。

最初に放射線に被曝した時、一番先に健康障害で発生するのは死亡そのものだ。 放射線に被曝した細胞が直接破壊されて死ぬのだ。強い放射線を直接被曝した 時、人体は急性放射線症候群(Acute Radiation Sickness)を起こして死亡する。 この急性放射線症候群が発生した代表的なケースが、広島と長崎に落とされた 原子爆弾の例だ。別の例としては1957年にウィンズケール原子炉の火災事故が 発生した時、33人が死亡し、200人にガンが発生した。別の例としてチェルノブ イリ事故で2-20 Gy以上の被曝をした復旧作業に参加した労働者と消防署員134 人のうち、1986年に28人が急性放射線症候群で死亡し、1987-2004年に19人が追 加で死亡した(UNSCEAR 2000)。

また放射線で被曝した地域の死亡率が増加する。チェルノブイリ事故は汚染さ れた地域の死亡率を増大させたが、1990-2004年にウクライナとロシアの汚染地 域での死亡全体の約3.8〜4.0%がチェルノブイリ事故によるものだった。1990年 からチェルノブイリの清掃労働者の死亡は大幅に増加し、2005年までに死亡し た清掃労働者はチェルノブイリ全体の清掃チームの約15%に達した。チェルノブ イリ事故は数十万人を死に至らせ、数千万人が放射能に汚染された。また放射 線汚染地域での嬰児死亡率が増加した(Bebeshko 2004)。

次に、DNA変成と染色体異常などの遺伝子変異による障害だ。特に、遺伝子変異 による問題は、父親と母親の再生産機能が破壊されるだけでなく、胎児の遺伝 子にも異常が及ぶのが最大の問題の一つだ。放射線による遺伝子変異はとても 弱い線量に長い間さらされた時も、一度の非常に大量な被曝と同じ効果を持た らすという。そのため放射線が長期間続く場合、遺伝子の変異による障害はさ らに深刻になる。

両親の再生産の過程に与える障害は、妊娠前に両親が放射線に被曝した時、妊 娠能力の減退、潜在的な遺伝的問題などが生じることがあり、奇形出産、嬰児 死亡などが発生する。ある報告書によれば、男性の場合、たった一度1.5-4 Gy の被曝をしたり、何度も0.1-2 Gyの被曝をすると、睾丸が一時的な不妊 (Strility)状態になり、繰り返し2-6 Gyの被曝をすると、永久的な不妊状態に なり、1-6 Gyの被曝で精子減少症(Hypospermia)が発生すると報告されている。 女性の場合、卵巣にたった一回1.5-6.5 Gyの被曝をしたり、繰り返し1.5-12 Gyの被曝をすると、一時的な不妊が発生する。また一度に3.2-10 Gyの被曝をし たり、さらに強い被曝を何度もすると、永久不妊状態になる。

一方、放射線が母親と胎児に及ぼす影響は非常に深刻だが、その理由は母親が 妊娠した時、胎児に直接影響するのは勿論だが、母親または妊娠可能な女性が 妊娠していない時にも放射線に被曝することで遺伝子の変異が発生し、その後 に胎児に遺伝子の変異が伝えられたり母親(女性)に遺伝子疾患が発生するとい う(UNSCEAR 1982)。これまでの研究によれば、妊娠中に被曝すると胎児の成長 が止まったり妊娠が中断して流産したり、新生児や嬰児の死亡が発生する。一 方、動物実験の研究で授産期の実験動物に放射線を照射すると、受精卵が着床 後、0-10日で胚芽が死ぬ危険に直面し、0.5 Gy以下で致死に達した。また着床 後3-7週期の器官形成時期に被曝すると、胚芽の奇形ができる可能性は最も 高かった。

実際、放射線による再生産障害が発生した例は、広島・長崎に原子爆弾が投下 された時、男性に無精子症が発生し、妊婦は妊娠最後の3か月に被曝すると死産 が増え、原子爆弾が投下された時に生き残った幼児は精神遅滞症状が増加した。

また広島・長崎の原子爆弾が投下された地域で被爆した人口集団284,000人を 1950-1974年まで追跡調査した結果、被爆当時、子宮内にいた胎児が生まれると 精神遅滞児が発生したり頭蓋骨が小さい子供が発生した(Gloag 1980)。また、 広島、長崎で30人の妊婦のうち7人(23%)は死亡し、6人(20%)は出産しても新生 児または嬰児が死亡した(Yamazaki Wrightなど1954)。また広島、長崎に原子爆 弾が投下された後、1950-1985年に生き残っていた人は知能(Intelligence Quotient)が低下し、投下当時に小児だった子供たちは成人になった時、ガンの 発生が増加した。

一方、チェルノブイリ事故が発生した近隣の地域では出産率が減少しており、 またダウン症候群、先天性奇形、子宮内発達損傷、神経系欠乏などが増え続け ている。

三つ目に、ガン発生の増加だ。被曝時に一番多く発生するガンは甲状腺ガン、 白血病、その他各臓器に発生するガンがある。まず甲状腺ガンは、チェルノブ イリ事故の例を見ると、原子力発電所の復旧作業に参加した労働者と近隣地域 の住民には、一般人口集団より多くの甲状腺ガンが発生し、放射線の塵の影響 を一番強く受けた子供と青少年にも甲状腺ガンの発生が増加した。特に甲状腺 ガン発生の危険は生まれたばかりの新生児や、5歳以下の小児が一番高かった。 労働現場で働いていた労働者は直接放射線で被曝し、近隣地域の住民は放射性 ヨウ素の塵の吸入や汚染された食品の摂取で放射性ヨウ素に被曝した。

また、甲状腺ガンの他に最も敏感なガンは白血病だ。広島、長崎に原子爆弾が 投下されたことで、人類は放射線が白血病を誘発するという事実をはっきりと 知った。一例として広島で20-50 radsの被曝をした人口集団に白血病の危険が 増加した。広島、長崎の事故で特異な事実を知ることになったのが、広島には ガンマ線(gamma rays)と中性子(neutrons)で被曝し、長崎にはガンマ線だけに 被曝したが、長崎では200 rads以下で白血病は発生しなかったが、広島では微 量の放射線でも白血病が発生し、中性子の方が白血病に関連があることが明ら かになった。また広島、長崎で生存者のうち、原子爆弾爆撃当時15歳未満だっ た子供に急性白血病の発生が増加した。また広島、長崎に原子爆弾が投下され た地域で被爆した284000人を1950-1974年まで追跡調査した結果、白血病の発生 が増加した。

また広島、長崎事故以後、生存者から慢性の白血病より急性の白血病が増かっ たことが明らかになった。結局、これにより放射線による健康障害として慢性 白血病よりも急性白血病のほうが多いことが明らかになった。一方、英国のウィ ンズケール発電所では、1950年代初期に核兵器用のプルトニウムを生産し、 1952-1958年には核兵器の検査に従事する労働者だけで22347人になったが、全 人口集団より、これらの労働者の方が白血病の発生が高かった。また、 1946-1979年の間に英国の原子力公社で働いた労働者と米国のハンフォード原子 力発電所で働いていた労働者にも白血病による死亡が増えた。チェルノブイリ 清掃労働者も白血病の発生が増加した。またチェルノブイリ事故で放射線の塵 が多い地域で生まれた子供に白血病の発生が増加した。

四つ目、甲状腺ガンと白血病以外の放射線による健康障害として、白内障、心 血管系障害、脳病変などの増加がある。チェルノブイリ事故以後、放射能で汚 染された地域に暮す人口集団の体内にはセシウム(137Cs)が累積した。これらの 集団では内分泌疾患、造血機関、循環器、消化器疾患が多いことが明らかになっ た(UNSCEAR 2000)。また各事例を見ると、チェルノブイリ事故で清掃作業をし た労働者に白内障が、そして放射線に被曝した小児に後皮膜(Posterior SubCapsular:PSC)レンズ変成が発見されている。また30歳の時に被曝したチェ ルノブイリ清掃労働者は、循環不全脳病症(Dyscirculatory Encephalopathy)が 頻発するという報告もある。チェルノブイリ清掃労働者は、低い放射線量に被 曝した時に心血管疾患の危険が増加している(Cardis and Hatch 2011)。

結局、放射線による健康障害は一世代だけで終わらず、子々孫々代を継いで、 変形した遺伝子により遺伝するため、人類抹殺への近道である。

帝国主義的戦争の野心を呼ぶ核発電所を拒否する

人類の科学技術が今のように発展しても、石炭と石油に替わるエネルギーを開 発できず、だから現在原子力を使用するのが最善の方法だという論理は妥当で はない。こうした主張が意味するものは、恐らく資本主義社会では利益を蓄積 しないエネルギーは開発しないという意味だろう。資本家階級が太陽エネルギー を開発しない理由は、そのエネルギーの生産の過程で利益を獲得できないから だろう。つまり資本主義社会では資本家階級の言葉の通り「生産性」がないの だ。私たちが今すぐにでも確信できるのは、代替エネルギーは確かに可能だと いうことだ。それは代替エネルギーを開発する自由と条件があるような社会を 作ることだ。現在、資本家階級の手中に入る剰余価値をこうした基幹産業の発 展に使えば、全人類はすべて今すぐ幸せに豊かに暮せる。

一方、資本家階級が核発電所を維持し続けようとする一番根本的な理由は、核 により、世界を帝国主義的に支配するという意図だ。核発電所は資本家階級の 帝国主義的支配の野心を呼び起こす促進剤になっている。こうして見れば、帝 国主義的な戦争の野心を防ぐためにも核発電所の設立はぜひとも阻止しなけれ ばならない。

今、資本家階級に奪われた環境を労働者民衆が主体的に取り戻す時だ。われわ れは、核発電所設立反対のための闘争の代表的な事例として、扶安の民衆闘争 を記憶している。2003-2004年の扶安での核発電所反対闘争は、扶安の全住民の 闘争を越え、祭りの場でもあった。今日、扶安の闘争から一歩進めば、一地域 に限られた闘争ではなく、全地域、全世界的に、帝国主義的戦争と資本主義的 な環境破壊の主犯である資本家階級への闘争を展開する時だ。

今、われわれは資本主義、資本家階級が環境を破壊尽し、地球を破壊し尽す前 に、私たち自らが立ち上がって利益と搾取中心の資本主義社会の矛盾を解決して 新しい社会に進むしかない。

マルクスは、すでに資本主義的な環境の利用により発生する問題の代案を提示 した。マルクスは正しく土地を使用することが重要だと強調している。マルク スは正しく土地を取り扱えば、土地は改良され続けることを強調している。こ れがまさにマルクスが言う環境を開発する方法だろう。

「生産力の発展を与えられたものと前提にすれば、 機械はただ悪くするだけだ。生産力が急速に発達すれば、古い機械全体はより 有利な機械に取って替わられるべきで、したがって廃棄されるべきだ。これと 反対に、土地は正しく取り扱われる限り、継続的に改良される。土地の優越性 [つまり順次的な投資が以前の投資を無用の物にせず利益を持たらすこと]は、 同時にこうした順次的な投資の間に生産性の差が生じる可能性を内包する」。 (K. マルクス、「第6編 超過利潤の地代への転化、第46章 建築地地代。鉱山地 代。土地価格」、 ≪資本論≫ 第3部(第1改訳版)、pp. 948-949.)。

現時期のすべての環境破壊の問題は、環境の資本主義的な利用、環境を私的に 所有する資本主義の所有関係に始まる。環境破壊の問題を本当に解決するのは、 資本主義の搾取関係、所有関係を断ち切り、社会が自然を共同で所有し、自然 の法則により培っていくことであろう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-05-10 05:57:12 / Last modified on 2011-05-10 05:57:18 Copyright: Default

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