| 韓国:韓国山本労働組合委員長インタビュー | |
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「時間の違いはあっても、馬山地域の企業閉鎖は発生し続けるだろう」[インタビュー] 馬山自由貿易地域・韓国山本労働組合のソンミジャ委員長 朴サンヒ記者 マスコミでたまに報じられるが、以前は韓国最大の輸出地帯と言われた馬山 自由貿易地域で、最近「総入れ替えブームが起きている」というニュースに 接する。履物、時計、ラジオ、繊維などの斜陽産業に従事する企業が門を閉 じて馬山地域から消えているためだ。その空席を埋めるのはIT産業だ。 斜陽産業なのでどうしても競争力が劣り、財政状況の悪化で企業として生き 残れず、廃業を宣言することになったと言うのが、当事者、使用側の理由。 また、馬山市や馬山自由貿易支援管理院などの地方自治体や政府側は、新し い企業が入ってくるのだから問題はないだろうと反応するばかりだ。 しかし、長い間その企業に身を置いていた労働者の怒りの程度は高まってい る。中小企業とは言っても、ほとんどが30年以上の長期事業場で、労働者も ほとんどが30年以上働いてきた中壮年層が多いからだ。廃業や構造調整にな れば、結局他の仕事を見つけなければならないが、何の対策も用意せず廃業 が宣言されるので、とり残された労働者たちは生計と進路の前で、苦しい闘 いをするほかはない。
(株)韓国山本のケースも同じだ。日本の山本製作所が100%出資して作った会 社が韓国山本だ。山本側は、主な生産品目だった時計の文字盤事業が斜陽化 したため、1月から労使は構造調整の程度について協議を続けてきた。しか し、6月末に突然会社側が一方的に廃業を宣言、社長が潜伏したことで、労 働組合の組合員58人をはじめとする社員73人の生存権が危うくなった。 韓国山本労働組合(委員長ソンミジャ)は現在、約一か月にわたり本社である 山本製作所がある日本に遠征闘争まで行って、無条件の廃業撤回と安定した 雇用保障などを要求して闘っている。 2年前の、時計分野の企業として有名なシチズン企業事件と山本の状況はと ても似ている。当時、シチズンは韓国、馬山の子会社を中国に移転するため、 閉鎖措置を取った。そのため労働者たちは激しい闘争を始めた。ソンミジャ 委員長から現在の状況と今後の闘争の方向性などを聞いた。 「斜陽産業の退出、どうすることができるのか」という反応
73年度に日本の山本製作所が100%投資して設立された企業だ。男子13人、女 子45人が組合員だ。業種自体は斜陽産業だが、長期勤続者が多い。特に女性 が多く、ほとんどが18年以上勤めてきた長期勤続者だ。組合員ではない社員 も合わせると、73人になる。現在ひとりの離脱者もなく闘っている。 時計産業が斜陽産業だということは同意する。事実、会社の経営もやや難し くなったのも事実だ。だから、時計の文字盤生産だけでは運営自体が困難で、 他の事業をしてきた。携帯電話の部品の下請けをした。現在管理院は「今は IT産業、自動化産業へと時代が転換している時期。転換時点なのだから斜陽 産業の退出はやむをえない」という言葉で片付けてしまっている。しかし、 一方的に会社が撤収することを黙認している。 利益が上がらない限り企業が出ていくことを防ぐ方法はないが、外資企業が 韓国にきて、訳もなく出て行く、そういう問題が発生するたびに、国家は発 生した問題について目をふさいでいる。「残されたのは慰労金だけ」という 言葉が聞かれる。馬山市も同じだが、社会的にこの問題についてセミナーや 公聴会などが何度かあったと思う。しかしいつも内容は原則的なものでしか ない。 現在は韓国山本の社長が潜伏中というが。 自分(経営陣)は会社も整理したし、退職金も支払ったのだから法的な問題は ないという。だが、決してそうではない。退職金算定と支給について労働者 との合意が当然だ。 生産品目を携帯電話の部品に変えた後、山本は史上最高の生産売り上げを記 録した。だが、時計産業が主な生産品だったため、時間がたつにつれて技術 的な問題が起きて、結局放棄することになった。 だから、会社はまた時計の文字盤事業をするしかないが、社員73人で売上を 上げるには力不足だ。また、赤字は明らかなので構造調整をせざるを得ず、 今年の初めに話し合いを始めた。われわれ労働者の立場として、会社がなく なるよりも構造調整で良いアイテムを開発し、再生した方がいいと判断し、 初めて構造調整の話が出た時には、同意した。 しかし、構造調整をすれば退職する人がでるだろうし、また彼らに慰労金と して支払う一定額が必要だ。だが経営陣はその支払い能力もなかった。それ で日本の本社と相談し、慰労金を払えるようにすると言うことだった。しか し、日本の本社は「10年前に韓国に全て委任したので、そうした問題は韓国 で解決すべきだ」という言葉で一蹴した。 本社が支援しなかったから(会社を)放棄したのかどうかはわからないが、わ れわれとの交渉も終わっていないのに突然廃業を宣言して、消えてしまった。 もちろん、法的責任はないのかもしれないが、道義的な責任はあるのではな いのか。使用側はもっときちんと本社と議論して責任を持って問題解決を図 るべきだ。 直接日本に遠征闘争に行ったが、結果はどのようだったか? 事前に本社に連絡をして行った。8月14日に本社を訪問した。韓国の経営陣 がダメだから、私たちでも事情を知らせなければならないと思って訪ねて行っ た。われわれは関係者との面談で、要求事項を伝えようとしたが、本社側は 警察まで動員してバリーケードを張り、シャッターも下ろした。 会社の人は「会社の中に上司がいない」、「連絡ができない」、「話あれば 私に言え。伝える」と繰り返すばかりだった。もちろん私たちが直接電話し て議論できる内容だった。しかし2時間ほど本社前で抗議集会をして、われ われの切迫した事情を伝えた。結局その日は会えなかった。 新しい企業誘致はいいが、非正規職量産問題はどうする? 長期闘争が避けられないと思っているという。 体力的にも精神的にもとても苦しい。以前もわれわれと同じような企業があっ たが、最大の問題は企業が問題を隠して覆ってしまおうとしている点だ。だ からわれわれも簡単に終わるような戦いではないと判断している。この闘争 は最後まで行くほかはない。 以前のシチズン事件もそうだが、国内の輸出自由地域内でこうした問題が発 生するたびに、産業資源部などに要求しても責任のなすりあいをする。従事 者への実質的な救済策などはない。30年続いた日本の外資企業だ。私たちの 闘争は、明らかに今後この問題を見る視点を変える契機を作るだろうと確信 する。企業を問わず、われわれと同じようなことが起きる可能性はとても高い。 馬山市側の立場は? かなり以前からこうしたことが発生しているのに何か対策はないのか? 馬山市はこの問題を産業資源部の管轄だと言って一蹴する。互いに問題を回 避しているのだ。日本出征式の時も馬山市長との面談を要求したが、会えな かった。「市長がいない」と言い続けるだけだった。 馬山市庁の通商局長と会って聞いた話では「8月は困る。9月初めでなければ 市長との面談はできない」ということだった。特別なことを望んだわけでは ない。馬山市が市として日本の地方自治体に連絡し、日本の本社に圧力を加 えるように話してくれと言うことだったのだが。 馬山地方自治体が言う新しい企業誘致もいい。しかし会社が出ていかず、長 く留まるような会社をきちんと誘致する政策的な代案を用意すべきではない のか。管理院は、IT産業中心の核心技術を持つ企業が来たから幸いだという 反応を見せるが、ほとんどは大企業の下請け企業だ。だからほとんどは非正 規職として人材を採用するほかはない。そんなことを企業誘致だと言ってい るのだから、本当に皮肉だと思う。2〜3年のうちに、われわれのような事業 場がたくさん発生するだろう。 今後の計画は? 9月4日に本社前で、日本の労働団体と連帯した集会を開く。日本の労組を中 心として、韓国山本を応援する会が結成される予定だ。9月15日には、日本 の国鉄民営化で解雇された人々と共に集会を開く予定だ。大規模なものにな るだろう。韓国でも闘争は続くだろう。 2006年08月31日(c)民衆の声 「民衆の声」のご好意により 翻訳・転載します。原文は http://www.voiceofpeople.org/new/2006083149910.htmlを参照してください。 翻訳/文責:安田(ゆ) Created byStaff. Created on 2006-09-11 01:40:29 / Last modified on 2006-09-16 14:11:24 Copyright: Default 世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ | |