本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国:つらい冬がすぎてまた闘争を始めるKTX乗務員
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1209980701262St...
Status: published
View


つらい冬がすぎてまた闘争を始めるKTX乗務員

[インタビュー]オ・ミソン鉄道労組KTX列車乗務支部支部長職務代行

チェ・イニ記者 flyhigh@jinbo.net / 2008年04月22日16時52分

きれいにまとめた頭にすっきりした乗務員制服姿でぎこちなく拳をつきあげ始 めたのが2006年の初め。その年の3月1日にストライキに突入、すぐ集団で解雇 された後、あちこちでの占拠座り込みと堅固なストライキ隊伍の維持は、労働 界だけでなく、市民社会の驚きと支持を呼び、外注化撤回と直接雇用を要求し て巨大公企業の韓国鉄道公社を相手に戦ったKTX乗務員の闘争は、代表的な「非 正規職問題」として2年間、ずっと韓国社会にあまねく知れわたった。

チャムセサン資料写真

いつのまにか3年目、5月初めには闘争800日を迎える鉄道労組KTX列車乗務支部 のオ・ミソン支部長(職務代行)と、ソウル龍山駅付近鉄道労組ソウル地方本部 で会った。広場一角のコンテナで宿泊するKTX乗務員もそのままで、実に久しぶ りに連絡した記者を喜んで迎えるオ・ミソン支部長の表情も明るかった。

事実、近頃の非正規職闘争を話す時、ある瞬間からKTX乗務員たちに関すること はこっそりと消えた。昨年末、「合意書履行」を要求してソウル駅広場でテン ト座り込みをした後はニュースが静かになった。長考の末に「直接雇用」の代 わりに「駅務契約職」を受け入れ、大統領選挙を意識する鉄道公社のため静か に待っていたが、大統領選挙が終わると暫定合意書も紙切れになった。

苦心の末に選択した「駅務契約職」も挫折

オ・ミソン支部長は「どの駅に配置されるのか、どんな教育を受けなければな らず、どんな手続きが必要なのか、賃金はどうなるのかといった具体的な交渉 をして、大統領選挙が終るまで待ったが、李哲社長が辞任して決定単位がなく なってしまいました。1月24日、鉄道公社理事会でも決定権限がないと。水の泡 になりました」と話した。

これで働けるようになったという希望も消えた後、KTX支部組合員たちは苦しい 時間を送った。「乗務員としての直接雇用」をあきらめた瞬間から「契約職」 の代案も座礁し、セマウル号乗務員を合わせて70余人の組合員だけが残った。 長期闘争の疲労、若い年齢の現実的な悩みたちもあったはずだ。

「初めは380人だった隊伍は、もちろん少しずつ減っても、十人、二十人が抜け たことは一度もなかったのに、最近そんなことが起きています。私たちの年齢 が三十近くになり、月曜日から金曜日までここで座り込みして週末には家に行っ て寝て、月曜日の朝またここにきます。私たちの両親が『おまえ、もう嫁に行 かなければならないのに、両親と20代の時にいっしょにきちんと生活もできず 下宿のように行ったり来たりするのはおもしろくない』と言います。地方から 上がってきた乗務員たちは本当にもっとみじめで大変でしょう」

オ・ミソン鉄道労組KTX列車乗務支部支部長職務代行/チャムセサン資料写真

直接雇用を放棄して駅務契約職を選んだ時「今になってなぜ駅務契約職を受け なければならないのか」という組合員内部の混乱もあったが、連帯勢力や他の 労組でも残念なことがあった。「これまで戦ったのが惜しくないのか」という 人から「もうそろそろ闘争をたたもう」という人もいた。

「闘争をたたむのは事実、やさしいことです。私たちはこれだけストライキの 正当性を叫び、法院では私たち手をあげる判決も出てきたので整理する、と話 すこともできますが、そうではなかったんですよ。契約職を受けざるをえなかっ たのは、それだけ現実的に大変だったということを認てほしいですね。むしろ 長期闘争事業場の方らはその決定を残念と思いますが、それで敗北意識を感じ たり恨んだりしないでほしいと言いました」

鉄道労組でストライキ中のKTX列車乗務支部に支給される生計費の削減議論があ るという話を聞いたこともあり、これを用心深く尋ねた。

「鉄道労働組合は大きな単位で、さまざまな議決の手続きを踏まなければなら ないので決定が遅れるようなことはあります。ソウルと釜山地方本部の組合員 CMS後援もあり、委員長様も闘争を支援しなければと言い... 闘っている他の単 位より、私たちの事情は少しましです。組合員が見る時は色々な面で空しいこ ともあるでしょうが。

最近になって思いますが、私たちが労働者だから資本と権力を相手に戦います が、労働者たちにも資本や権力がなければ戦うのが難しいというアイロニーを 痛感しています。苦しい時期に支部長職務代行を引き受けてつらいですが、そ れだけ責任感が大きくなって、どうにか望む方向で終えられればという欲があ ります。またそうにできそうですね」

また「乗務員直接雇用」闘争決意

ひとつの峠をすぎたKTX列車乗務支部はまた新しい闘争を準備している。闘争の 本質は果たして何だったのか、明確に初めから契約職になるため2年以上闘争し たのではない。支持して連帯した人々がどう見るかに悩まないように総会を開 き、初めからやり直すことにした。

チャムセサン資料写真

「どのように闘争するかもわからず恐慌状態に陥っていて総会で決定しました。 駅契約職はだめだ、私たちが本来主張していた『乗務員直接雇用』で闘うべき だと。直接雇用で闘うことで、闘えることがもっと多くできると。組合員たち と虚心坦懐に話してから、むしろ闘争動力も生き返るようで、もっとがんばっ てみようという意志も生まれます」と話すオ・ミソン支部長の表情はさっぱり している。

最近、鉄道公社の使用者性を認めた高等法院の判決も好材料だ。ソウル高等法 院は4月8日、長文の判決文で乗務員への公社の教育と業務指示関係、子会社の 非適合性など、詳細にKTX乗務員の主張を立証した。「不法派遣の余地はあるが 全体的に見て、適法な請負だ」など、ソウル地方労働庁の判決に深刻な不信を 持っていた組合員に多少の希望が見られるところだ。

鉄道公社は新社長を待っているが乗務員たちは闘争をやり直すことにした後す ぐ、ソウル駅リレー一人デモに入った。鉄道労組組合員の内部でもKTX乗務員闘 争が終わったと思う人もいて、指導部が交替し、各地域と単位幹部もずいぶん 変わったので、一々現場を巡回している。近い将来記者会見をして、本格的な 闘争を宣言する計画も立てている。他の労組や連帯団体のような外部組織も一々 巡回して知らせるために、闘争800日に際した連帯の夜も考えている。

「380人だった時と比較すれば、みんな出て行ったようなものですが、それだけ 意志が弱くなったのかというと、そうではありません。一歩後退するだけです (笑い)。380人の時は十人が幹部で残りが組合員だとすれば、今は7、80人全員 が幹部です。ひとりひとりが意志も自負心も強く、最後まで団結して必ず勝利 するという信頼が大きいです。前は外で私どもに対して言う方々が『女たちだ けですごい』と言った時は、あまりそう思いませんでしたが、今は私が組合員 を見れば本当にすごいと思います。組合員が、私に力をくれます」

チャムセサン資料写真

「正当な闘争、また足踏み」

「どんな結末が出るか、事実わかりません。駅務契約職になるかもしれず、観 光レジャー(子会社)に行くかもしれず、直接雇用乗務員になるかもしれず、そ のままストライキが終わる事もあるかもしれません。だが象徴性はあると思い ます。女性たちがこうして集まって、3年近く闘争し、私たちも自負心がありま すから高く評価して下さい。それでこそ女だけで集まって、ストライキできる 勇気を出せなくなっている人々にも力になりたいのです」

「私たちの最も切実な要求は、もちろん乗務員としてまた働くことです。今、 ソウル駅で一人デモをしていますが、通り過ぎる赤い乗務員の制服を見るたび に心の中で何かがむらむらとわき上がって、このように長くストライキしたの だからKTX列車が通るのを見ると、まだあそこが自分の席のようです」

最後にこれまでKTX乗務員闘争の知らせが気になっていた人々への話を尋ねた。

「私たちがとても静かで気になったようです。こっそり休息を取ったと、ただ 休んだのではなく、それだけ苦しかったと思って下さったらいいですね。また 春がきました。内部でも決意し、連帯の力で、また動くつもりですよ。もちろ ん、私たちより長く闘争している方々もいますが、長い闘争をしていると流れ というものはあるようです。最高潮になり、次第に冷めてまた背伸びして始め て。今、私たちはまた足踏みする段階と考えます。組合員たちは減っても、誰 一人(闘争を止めた)人々を恨んだり責任を問いません。われわれは自分の意志 でここまできたし、自ら闘争を選択したのですからそれだけに正当なのです」

チャムセサン資料写真

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2008-05-05 18:45:01 / Last modified on 2008-05-05 18:45:02 Copyright: Default

関連記事キーワード



このフォルダのファイル一覧上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について