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「性売買防止法」を推進するしかない理由

性売買防止法1年を 振り返って

金ヘジョン (性売買被害女性支援センター「サリム」)

性売買防止法、その効果と論争

性売買特別法が施行されてちょうど1年をむかえた。この半世紀、社会的な黙 認の下で、あるいは保護されながら形成されてきた性売買を明確に犯罪と規定 し摘発するこの法は、施行から多くの論議を呼んだ。これまで不法な性売買で 莫大な利潤をあげてきた性売買事業主の反発と、性売買を男性の性欲を噴出す る代案的な空間と感じている社会的な雰囲気は、性売買防止法をあらゆる論議 と非難の対象にした。

しかし一年間の性売買防止法の施行は、韓国社会の性売買の深刻性を知らせ、 性売買が犯罪だという認識を拡散させたばかりでなく、それにともなう韓国社 会の男性中心的な性文化と接待文化の変化をもたらした。実質的には、性売買 集結地で、36.2%の業者、50.9%の女性を減らす成果をあげた。何より性売買の 問題を個人や倫理の問題として見る立場から抜け出し、人権の問題として接近 し始め、性売買問題を社会構造的な問題と見て具体的な政策により解決策を 用意しようと思わせたという点で大きな意味を付与できる。

もちろん性売買防止法は、コントロールできない男性の性欲を解決する幸福 追及権を侵害するという否定的な意見や、性売買防止法により経済に及ぼす悪 影響への憂慮も少なからず存在することは事実だ。また性売買防止法による摘発が 性売買をさらに陰性化、知能化するという憂慮もある。何よりも、 性売買女性の生存権を語り、性売買女性を労働者と規定しようとする 『性労働者』運動もまた論争の種になっている。

しかしこうした論争を見ていると、論争の本質は、基本的には性売買被害女性 に対する人権と自活対策、性売買の効果的な根絶方案に対する議論ではなく、 既存の韓国社会の男性中心的な性文化にある。そして性売買女性を人質に取っ て、彼女たちの生存権を言いながら、これに寄生してきた事業主と 韓国社会の歪んだ経済論理に基づいているように思われ、苦々しさを感じる。

性売買、女性は弱者にならざるをえない権力関係

従来、韓国の社会が性売買を見る視点は、推奨するとはいわないまでも性暴力 を減らし、未婚・離婚・死別・外国人の性欲を解消する社会的な必要悪だと いう認識が多かった。性欲をきちんと解消できなかったり調節できない人々の ために、性売買は必要だということだった。

このような主張は、性を売る行為を自発的な行為と理解し、性売買女性を被害 者と見ないことから出る。いつでも自由意志により性市場に出入りできると 考えるものだった。しかし性売買の構造はそうではない。社会経済的にぜい弱な 女性が性売買に流入せざるをえず、一度足を踏み入ると性売買の斡旋と搾取の 輪から脱することは容易ではない。

何よりも、男性の性欲求解消のために女性の性が金で取り引きされる商品扱い されることに対し、人権の問題を提起せざるをえない。基本的に性購買者に対し、 性売買女性は弱者にならざるをえない権力関係が発生する。したがって、 性売買は労働と理解するのではなく、一種の性搾取と見なければならない。

性売買は、家父長制のもとで女性を娼婦と純潔な母に二分化してきた男性 中心的な二重的性の倫理、女性を支配の対象と把握する女性差別的な イデオロギー、女性の性と身体を資本蓄積の道具に転落させる資本主義的な 利潤追求の論理、男女差別的な労働市場において女性の性の商品価値が女性 労働の価値より高く評価される環境などが複雑にからみあって発生する社会的 現象だと思われる。このような社会的現象は、実際に経済的・社会的に排除される ぜい弱な女性集団に性売買を選択させるよう誘引する社会構造的な不平等を 根に持っている。

「性売買防止法」を推進するしかない理由

性売買防止法は、これまで黙認されてきた性売買を、国家が根絶するという 意志を示し、性売買を明らかな犯罪行為と規定した点で、非常に大きな意味を 持つ。したがって、性売買防止法1年をむかえる今の議論は、性売買に対する 効果的な根絶方案、性売買被害女性に対する人権と自活対策を中心に形成 されなければならず、公娼制の主張や性労働者認定などにより、歪んだ韓国社会の 性文化を認める昔の状況に戻してはならないと思う。

性売買防止法は、性売買を女性や弱者に対する暴力であると規定し、これを 人権の問題と考え、斡旋業者への強い根絶の意志で被害者を保護する全ての 過程に国家が責任を負わせる。したがってこれは構造的に性売買産業を育てて 拡散させ、自国の女性の性で富を蓄積してきた誤った歴史を正す努力であり、 韓国社会の未来のためにぜひとも必要なことだと考える。

性売買防止法施行1年をむかえ、この法によりいかに多くの人々が処罰され、 いかに多くの業者が減ったのかについての数値的な意味ではなく、性売買に 流入した女性の状況がどの程度変化し、性売買の現場がどれほど変化したのか、 性売買を見る韓国社会の認識はどれくらい変化したのかという事実が、さらに 重要な評価点になるべきではないかと考えてみたい。

もちろん、性売買防止法は、韓国社会の性文化の意識改善と、性売買被害女性 の自活という課題を持っている。この1年間、性売買の現場で性売買女性の人 権保護の側面に相当な成果があった。韓国の社会の随所で認識の変化が起きて おり、小さいがさまざまな成果も少しずつ現れている。このような法施行の成 果を土台にして、社会全般にわたる文化意識改革をはじめ、陰性化した性売買 への取締りの強化と国際的に人身売買されている性売買被害女性の支援が着実 に形成されなければならない。今、何よりも重要なことは、変化し始めた韓国 社会の変化の可能性を最大化する方案を研究し、性売買防止法をきちんと定着 させることに対しわれわれの社会全体が努力することだ。

2005年09月23日11時27分

原文

翻訳/文責:安田(ゆ)


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