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〈討論会〉

性労働者運動は可能か?!

提案

▲韓国 性労働者運動と世界女性行進:ジェンダー-セクシュアリティー正義に立った「アナザーワールド イズ ポシブル」(コジョンガビ、『女/性理論』編集主幹)

▲世界化時代、性売買を抵抗の空間に(オム・ヘジン、世界化反対女性連帯)

▲性労働者の闘争に連帯しよう!(キム・ジョンウン、社会進歩連帯女性部長)

▲ 「韓国の性売買特別法が性労働者におよぼした影響」 (イソニ、全国性労働者準備委員会ハン女連)

日時:2005年6月30日

場所:高麗大学校政経大506号

世界女性行進と共に貧困と暴力に抵抗する女性行進

韓国の性労働者運動と世界女性行進:ジェンダー-セクシュアリティー正義に立った「アナザーワールド イズ ポシブル」

コジョンガビ『女/性理論』編集主幹

はじめに

インドのムンバイ世界社会フォーラムで会った世界女性行進。 「ジェンダー正義」に立ったもうひとつの世の中は可能だ。女性問題に関心を 持つ人が関心を持って見た集りが直ちに世界女性行進だった。 世界女性行進が主催したワークショップはとても小さな規模だった。 しかし彼らの筒は大きかった。 「地球的な次元から見れば、21世紀の2つの大きな行事は世界女性行進と 世界社会フォーラム」と言うことで、世界社会フォーラムの一部でなく、 世界社会フォーラムと同格に自分たちを置き、 それだけ「ジェンダー正義」を重要だと思った。

  1. 世界女性行進と韓国の性労働者運動の出逢い

全地球的な次元で女性の貧困と女性に対する暴力を問題にして、実際に全世界 を行進する世界女性行進が7月3日、世界の女性の手によるキルトを持って韓国 にくる。現在、韓国では性売買防止特別法が施行され、それに対する抵抗とし ての性労働者運動が本格的に始まった時期だ。昨日6月29日、蚕室では 「性労働者の日」のイベントが開かれた。6月29日、性労働者の日を宣言して 〈性労働者連帯ハン女連〉が一つの組織として出発した。時を合わせて、世界 女性行進が韓国に到着する。そんな状況で、世界女性行進と韓国の性労働者運 動が出会う今日の席は、いくつかの重要な意味がある。

第一に、性労働者の現実が、現在の劣悪な女性の貧困と女性に対する暴力を問 題とする世界女性行進が出会うという意味がある。性労働者の現実は色々な面 で貧しい。そして、性労働者に加えられる社会的暴力は、性労働者をさらに困 難にする。第二に、性労働者のほとんどが女性の現実であり、世界女性行進と 性労働者が会うことには意味がある。第三に、性労働者の問題は韓国の地域的 な問題であり、また全地球的問題でもあるからだ。第四に、韓国の性労働者運 動と性労働の問題を世界女性行進の議題に引き込む女性社会運動陣営の努力は、 世界女性行進の内容を変えるという意味がある。 韓国の性労働者準備委のハ ン女連は、世界女性行進の憲章に異議を提起している。自発的な性労働 (sex-work)と人身売買水準の性売買(sex-trafficking)を区別するようにとい う要求を伝えた。これは、これまでの世界女性行進が女性の暴力に対する解釈、 性売買に対する解釈の限界を示す事件だった。

  1. 性労働:女性的貧困と女性に対する暴力が形成される空間

世界女性行進と女性の議題の女性の貧困と女性に対する暴力除去は韓国性労働 の現場でも考えている重要な問題だ。

  1. 女性的貧困を再生産する構造:資本主義的家父長制

全世界的に女性は貧しい。女性の70%が非正規職で、非正規職の70%以上が女 性だ。こうした女性的貧困と性労働には関連がある。性労働をする女性の相当 数が、貧困から出発する。女性個人としての貧困であれ、家庭の貧困であれ、 その理由は貧困であることがほとんどだ。男性の集団と比べ、相対的に女性が 貧しいのは古い家父長制に起因する。男性が中心のこの体制は、女性の空間を 限定した。女は家にいなければならないという論理、女は男を補助しなければ ならないという論理が、まだ世界的に、そして韓国でも相変らず力を発揮する。 女性運動の影響で大きく変わり、女性が賃労働をする機会が増え、女性の権利 が増進されている今でも、まだ確実な構造的変革があったわけではない。女性 を家庭に縛り付け、女性を男性の生産労働を助ける人と縛り付ける家父長制、 現在は資本主義的家父長制は女性的貧困を再生産し続ける。このうちの相当な 数の女性が家事労働、あるいは性労働者になる。 そしていわゆる『社会』 労働の現場でも、家事労働や性労働に近い労働をすることがほとんどだ。

  1. 何を暴力と見るのだろうか?

何を暴力と見るのだろうか? この問題は現在、性労働者にとってかなり重要な 問題だ。女性運動と一部の女性主義は、性を売買する仕事自体が女性への暴力 と見ている。

しかしこの暴力は、資本主義的家父長制下でほとんどの女性が体験する問題だ。 女性全体が直面する構造的な問題だ。そしてこれまで性労働者に加えられてき た暴力について、再定義する段階にきた。

性労働者が受けている抑圧は、性労働そのものより、性労働者の仕事に対する 社会的烙印からきている。この烙印に基づいて、性労働は根絶されなければな らないと考える。してはならないことをしていると考え、明確に社会の中に存 在しているのに、社会人として生活しているのに、「社会の外側」にいると見 るその考え、その考えが優先的な問題だ。現在労働をしている人に、あなたの 仕事は労働ではないと言っているのが現在の韓国社会だ。この烙印は、現在の 性労働者の生存そのものを威嚇する。

もし資本主義的家父長制の被害者と言えば、現在この時代を生きる人々の誰も が自由ではない。

しかし唯一性労働者だけから労働権と生存権を奪っている。「社会への復帰」 という言葉のために、現在の生活の根拠が根元から奪われる危機に直面してい る。性労働者の生存権と労働権が保障される時、女性性労働者への暴力をさら に細かく取り除くことができるだろう。現在は性労働者女性一人一人に加えら れる暴力が表面化していない。性労働の場でも、一人一人を威嚇するセクハラ、 性暴行、身体的暴力がある。こうした暴力を取り除くためにも、とにかく性労 働者の権利が認められなければならない。

性労働は大部分が女性の貧困から出発する。男性が購買者になり、女性が販売 者になる構造自体は、現在としては性階級的矛盾を見せる。しかし、他の女性 と違い、性労働者女性は社会的な烙印という暴力を経験する。この烙印という 暴力により、彼女たちがする仕事は労働にならない。不法という名がつくので 相変らず犯罪の隊列にいる。男性が家長になり、女性が家庭の主婦になるとい う構造も、性階級的矛盾であるにもかかわらず、結婚制度は犯罪の隊列から逃 れている。この話をする理由は、性労働の場が大きく異なるものでないと言い たいからだ。体を売り、性を売ることがなぜ労働なのかと言う反対の声がほと んどを占めるのが現実だ。どこまでが体を売ることで、どこまでが人格を売る ことなのか? 資本主義社会から自由な者は、いったいどれほどいるのか? そ れなのに、なぜ性労働者だけが烙印を押されるのか? 社会構造的に女性への差 別があり、社会構造的に女性を卑下する男性中心主義があるのに、性労働する 女性だけが禁止、規制、統制の対象になっている。これは女性を分断している セクシュアリティーの位階化による。ある女性は貞淑で、ある女性は貞淑でな いというそうした位階化から、現在の女性主義者は自由なのだろうか?

  1. 韓国で始まった性労働者運動

性労働者運動はすでに始まっている。性労働者運動の歴史を見るだけでも、す でに性労働者たちは自らの生存権を主張する動きを始めており、労働権を主張 する動きに変わっている。韓国での2004.9.23の性売買防止法前後に本格的に 始まった性労働者の動きを見よう。

  1. 2002:群山火災事件

2002:女性長

  1. 9.23:性売買防止特別法施行

2004施行以後:3400人の性労働者たち街頭デモ。断食、断髪、喪服デモをする。

  1. 3.8:女性の日、性労働者の行進。女性労働者たちに認定を要求。
  2. 3.27:下月谷洞火災で5人死亡1人負傷
  3. 5.3.:下月谷洞生存権闘争デモ
  4. 5.25:性労働者準備委員会ハン女連カフェ開始
  5. 6:200人性労働者平沢夜間デモ
  6. 6.:世界女性行進側に性売買の用語使用の訂正を要求
  7. 6.19-24:第9次世界女性学大会に参加し、性労働について発表
  8. 6.29:性労働者連帯ハン女連発足、「性労働者の日」行事開催(蚕室)
  9. 性労働に対する韓国社会の反応

現在、韓国の大部分(女性主義者など含む)は、性売買はあってはならないなに ものか、と見る。性労働に対する認識が殆どない。性労働者は労働者ではなく、 彼女たちの仕事は労働にならないと考える。蚕室競技場の場所契約が破棄され たことも、まさにこうした集団的意識を反映する。労働になりえないと考える 立場は、「性売買」を防止すれば売春を根絶できるという論理を持っている。 この論理の問題は、被害者論理に土台をおく。この被害者の論理は、構造的な 被害者と人権次元の被害者の区分を薄める。性売買に従事する女性への殴打、 監禁、先払い金搾取輪、仕事場からの被害と家父長制の構造的矛盾を混同する 問題。このような混同から、また被害者を生む状況が起きている。性売買防止 法、性売買根絶、集娼村閉鎖につながる。70年代以後、進められた都市化の過 程での貧民街の撤去と似ていると言える。生存権と労働権を抹殺する結果をう んだ。

別の家父長的矛盾は徐々に解決していこうと言いながら、この矛盾は急進的に ほとんど暴力的に解決していこうとする理由は何か? 不平等の構造から生産さ れる問題を、その生産の根源を求めようとせずに枝を取り除くことで解決する ようなものだ。ジェンダー階級/セクシュアリティグループの交差から来る結 果である性産業と性売買は、ジェンダー階級の解決なくしては不可能だ。結婚 市場、労働市場が位階化されているから、性産業を根絶し、結婚市場から労働 市場に入れるようにするのは現実として可能ではない。結婚市場と労働市場の 矛盾は徐々に解決しようとしながら、性産業(性売買)市場、厳密には、性産業 市場ではなく、集娼村の矛盾を一気に解決しようとするこの意志はどこからく るのか? これまで社会から疎外し、排除しておきながら、最後に追い詰めるよ うなやりかただ。

  1. 性売買従事女性の仕事を労働と呼ぶべき理由
  2. 倫理的烙印の問題。汚名の問題は性労働者女性たちをさらに疲れさせるも のでもある。売春婦という烙印が他の何よりも、すべての女性のセクシュアリ ティーを規制する手段だった。この烙印は、女性のセクシュアリティーを拘束 し、女性たちを分断しつつ、男性に従属させる家父長的道具になる。性売買防 止法は、まさにこの烙印を再度強調するものだ。
  3. 性売買を女性に対する暴力と見なす立場に対して考える必要がある。

かなりの女性主義者と女性団体は、性売買を女性への暴力だと考える。性売買 を人身売買の水準で見て、これを禁止し、規制しようと思う。これは、性売買 防止法が発効した韓国の状況に関連する。そして、禁止主義や規制主義を選ぶ アジアの他の地域とも関連する。韓国社会では、性売買防止特別法が2004年の 9月23日から施行された。そして、他の国家でも性売買は不法だ。女性主義者 は、性売買を女性への暴力と見る。女性を被害者にするのだ。この脈絡で、性 売買被害女性という単語ができた。性売買に関する言語は、変化を繰り返して いる。売春、売買春を経て、性売買まできた。そして法も淪防法から性売買防 止法に変わった。売春と呼んでいた時には売春婦という単語があったが、性売 買と呼ぶようになり、性売買被害女性という単語ができることになった。

性労働者女性が性売買被害女性だとすると、彼らは救済と自活政策の対象にな る。これまで、自分と、時には家族の生計に責任を負って働いていた女性たち を社会的に呼ぶべき言語がない。単に被害女性という単語がつくだけだ。娼女、 あるいは売春婦という否定的な意味を帯びた単語は、もうこれ以上使わないと すれば、どんな代案があるのだろうか? これらの女性を単に被害女性の位置に 置き、彼女たちの仕事を消えるべき職業と見るとすれば、その行為を続ける女 性は法律違反者になる。こういう矛盾した現場が性売買の現場だ。したがって、 一瞬に消えないこの仕事に対する名前が必要だ。アジア地域ではすでに性労働 者という単語を使い始めた。性労働者宣言文を朗読したり、性労働者が会った りもした。

しかし韓国では、性売買防止特別法以後、初めて性労働、性労働者という単語 が本格的に登場した。売春婦、娼女などの名前で呼ばれてきた女性たちが、自 らを表わし、生存権を主張した。厳密に問い詰めて、一つの職業であり、仕事 である性労働が初めて否定的ではない言葉で呼ばれるようになったのだ。

現在、性売買根絶の意志を持つフェミニストたちは、性売買を性労働と見なし ていない。法と公権力そして社会的な力を持って性売買女性を救済し、救出し ようと努力する。これは、性労働者女性や性売買をほとんど奴隷や人身売買の 水準で見ることにより可能な結論だ。こうした脈絡では、当然、性労働者女性 は救済の対象になり、被害女性と位置づけられる。それで彼女たちが食べて寝 て金を稼ぐ空間が閉鎖されなければならないという話まで出てくることになる。 救出しなければならない対象だからだ。

  1. 女性の仕事が労働であることを話すのが重要だ。

女性の仕事が労働だと語ることは重要だ。これは専業主婦の仕事にも適用され、 性売買にも適用されることだ。社会で女性が男性と違う仕事をする現場は多様 だ。しかし集団的に性別分業が形成される所は、家庭と性売買空間だ。家庭で は、女性たちが家事仕事をして、子供を産む仕事をして、養育をする。集娼村 やその他の性産業、性売買空間では男性は購買者で、女性は性を売る人に分れ る。主婦の仕事と子供を産むことが労働とは認められない社会的文脈は性売買 に従事する女性たちの仕事が労働ではないという文脈につながっている。

認められた労働市場を除けば、女性の仕事を労働と認めていない所がはるかに 多い。社会労働をする女性のほか、相当数が非正規職の女性の仕事も労働とし てきちんと位置づけられていない。こうした状況で、家事と性売買女性の仕事 は『生産』を中心とする資本主義体制で、労働として認められない。サービス 産業が増加しているが、この領域での仕事もまたきちんと労働と認められない。

その中でも性売買はまた別の様相を帯びる。性的搾取とまで見ながらも、この 仕事がつらい労働であることを認めない。資本主義社会において、資本による 労働の搾取はしばしば語られる。しかしそれは労働という名を持っている。だ が、性を売る行為は労働ではなく不法行為と見なされてきた。女性の仕事を労 働と認めない男性中心的社会の断面が、性売買をながめる視線にも見られる。 もちろん、家事労働と性労働は違う。さまざまな異なる特性を持つ。だが、女 性の仕事が社会的に労働と認められないという点で共通点を持つ。一方は、金 で換算されない労働をして、他の一方は金で換算されるのに労働と呼ばれない 労働をする。

では労働と呼ばない勢力は誰なのか? まず資本主義自体で資本家たちは女性の 仕事が労働になることを望まないだろう。女性は再生産領域に残り、男性の生 産を助ける役割をすることにより、資本蓄積が可能になることを望むだろう。 そして一般的な男性集団もまた、女性の仕事が労働と位置づけられることを望 まないだろう。女性の仕事を労働に換算すれば、男性の優越性を打ち出すこと が難しくなる。家長という地位を維持することも大変になる。男性の優越性を 維持するためには、女性は労働の外側の仕事をしなければならない。そして、 性売買においては、男性集団ばかりでなく、性労働者女性を除く女性たちも、 そのように考える。倫理的な堕落と見なし、この仕事を卑下する。

  1. 性売買の非犯罪化のために

性労働という単語は性売買の非犯罪化と連結するだろう。性売買は男性集団が 男性中心社会で男性という社会的力を活用し、女性を求める行為だ。このよう な性別化された関係、性別化された売買の形態は、明らかに間違った構造だ。 性売買に対して女性主義者陣営が分かれる理由がまさにここにある。男性集団 が女性を性的対象として対象化し、商品化し、自分たちの欲望を解消する対象 とすることは明らかに間違いだ。この問題を変化させるためには性売買防止法 の施行を強く促進し、取り締まりを強化すべきだという主張が出てくることに なる。女性が対象化されること防ぐためだ。性売買は家父長制の矛盾の一つだ。 そのために、この場に変化がなければならない。しかし問題は、性売買の現場 は直ちに被害者女性の仕事場であり宿舎だという点だ。そしてそれを通じて生 計を維持する人は、男性ではなく女性だという点だ。ここに困難がある。それ で発表者は、男性が対象化しながら、男性の暴力に露出する可能性が多い職業 である性売買を性労働と見て、これを非犯罪化しなければならないと考える。 この法で被害を受ける側は、相変らず女性だということもある。法が男性購買 者を処罰するとしても、彼らを処罰するために女性も共に法律違反者にされた り、生存が困難になるからだ。

  1. 労働という単語は権利と抵抗の言語だから--自治組織、労働組合

労働という単語は、その単語を使うことにより搾取構造に対する抵抗の言語を 創出できるという点で有効だ。性売買に労働という単語を使うことにより、性 売買従事女性は被害女性ではなく、抵抗し、防御する主体になるのだ。性売買 女性はこのような主体になるための言語を一つ持つことになる。主体的に権利 を主張するためには性労働という単語が必要で、これを土台に自治組織や、さ らに組合までも作れる。発表者は、現在の社会構造上、性労働自体が全て女性 を主体的にするものではないと考える。なぜなら性的欲望は男性の欲望であり、 購買力を持つのも男性だからだ。だが、性売買を性労働と呼ぶことで主体的意 識化の道に入り込めると思う。それが脱性売買になろうが、性売買を維持する ものであれ、今より主体的な選択の幅が広がるだろう。

労働という単語を使うと、自治組織や労働組合の可能性が開かれる。これは、 容易なことではないだろう(移住労働者が労働組合設立を申告した状況で、ア ノアル委員長は出入国管理所職員20人に暴力連行され、清州外国人保護所に拘 禁されている。 標的連行だとして移住労働組合をはじめとする各団体が立ち 上がっている)。

聞こえなかった性労働者らの集団的な声のために、性労働という概念が必要だ。 社会で沈黙していた声のために自治組織が必要だ。韓国社会でもアジア地域の 他の国家でも、性売買女性の声は、沈黙しているか、出てくるとしてもまだと ても低い声に過ぎない。社会が不法として禁止している仕事をし、社会が倫理 の堕落と言う仕事をしているから、性売買従事女性は声を出せなかった。自治 組織を通じて自分たちの職業環境と、さまざまな問題を本人たちが話せる組織 が必要だ。性労働者と呼べば、労働組合さえ考えられる。労働組合かどうかで 女性たちの力が弱まることもあり、そこまで行くのか、さもなくばそれ以前に 性売買が女性にとっても良くないから自主的にやめるという決断をするのかも、 過程の中で決定できるので、自治組織が必要だ。この集りを通して、さまざま な仕事を共にすることができるだろう。

この自治的な組織は自ら本人たちを振り返りながら、健康権、生存権、労働権、 などを主張する力になるだろう。韓国でも自治組織がなかったわけではない。 龍山の『ケナリ会』、キムヨンジャ氏の自叙伝(未発刊)で言及される組織があ る。これらの組織は、全て性売買従事女性の組織ではなかったかもしれない。 『ケナリ会』のように社会浄化委員会という名前から出発し、自治的な性格に 変わった組織もあるだろう。

現在インドのDMSC、台湾のCOSWASは、性売買女性あるいは脱性売買女性の自治 組織だ。始める段階では、非性売買女性の助けが大きかったかもしれないが、 自治組織として自分たちの仕事に介入する力に対して抵抗できる力を育てる組 織と考えられる。台湾のCOSWASも、自分たちが自活を準備するような組織だ。 タイのEMPOWERは全て自治組織というわけには行かないが、性労働者女性のた めの組織だ。韓国では『ハン女連』(ハント女性従事者連盟)が一つの自治組織 として出発した。

自治組織が力を持つためには、支持組織あるいは支援組織が必要だ。支持組織 とは、心理的、イデオロギー的な支持を言う。この支持組織は、性売買を不法 と見たり、淪落と見ることのない組織を意味する。構造や救出を前提とする支 持と支援ではない。

支持組織あるいは支援組織が必要なのは、法や公権力のような威圧的な力では なく、近くで自治組織を支持し、支援しなければならないためだ。そして特に、 公権力が力を行使する場合、支持と支援が必要だ。これは、現実的に見て、性 売買が不法であり、犯罪行為であり、売春行為になっているため、直ちに自治 組織が力を得ることが困難なとき、支持し、支援する力が必要だという点から 出た言葉だ。(脱)性売買/性労働者女性の自治組織は、さまざまな支援を必要 とするだろう。社会的資源を持てない性階級として、女性たちが自ら始めるこ とに役に立つ力が必要だろう。

性売買女性が自治組織の形成を望めば、支持し、支援しなければならない。家 父長的矛盾の性売買に変化をもたらすためには、中間段階の過程で性売買従事 女性の自治組織が必要だ。これまでにもいくつかの組織があり、今でも自らの 組織がある。このような組織を再構成し、新しく構成しなければならない。こ の話は脱植民主義という単語のように、性売買女性の組織ではあるが、その中 には脱性売買した女性が参加する。この組織は、現在の性売買の問題点を捜し 出して、そこから抜け出す(脱)組織といえる。

(脱)性売買女性の自治組織は、労働権、生存権と直結する。女性たちは自らの 権利を主張し、健康権と市民権を獲得する運動をすることができる。その運動 のために、自治組織は一つの土台になりえる。この自治組織を通して、政治的 な交渉力を育てるだろう。女性部、労働部、警察庁などの政府の部署や公共機 関に対し、自分たちの要求をする力を育てなければならない。復帰政策、自活 金なども、自分たちが要求して勝ち取れるようにしなければならない。ここに 必要なら、女性主義の知識もまた支援することもできるだろう。国家に要求し、 女性部に要求し、労働部に要求する、そんな力を持てるように、横で女性主義 者が補助する役割になるだろう。そして、法律的、医療的支援がこの自治組織 と共に動くこともできるだろう。

この自治組織は、未来の脱性売買方向を主導するかもしれない。当分はそうで はなくても、誰よりも家父長制の弊害を全身で耐えてきた主体だという点で、 彼女たちの判断を社会は信じなければならない。しばらくは混乱もあるだろう。 長い間の社会の因襲の中に堆積したさまざまな観念を振り切ることは容易では ない。一般的に、女性全体が男性中心の家父長的社会で、そうした過程を経て きたし、今もやはり経ているのと似たの過程を性売買女性も体験するだろう。 似ていながらも、性売買女性の経験は特殊性と個別性を帯びているといえる。

  1. 一年に24兆ウォンを越える性産業の規模を考慮すると、性労働の概念を呼 び起こす必要がある。集娼村だけに適用される用語ではない、性労働の概念が 必要だ。
  2. 人権と労働権の差をいう必要がある。

人権を語れば、購買者の人権の話もある。購買者の人権(障害者の性と関連し た人権議論/男性の性欲に関する貧困層男性の人権議論)の議論を性売買を連結 して語ることは男性中心的な論理だ。結婚制度の外にいる男性の性欲と人権を 語ることは男性中心的な論理だ。経済的な論理として、男性購買者がいなけれ ば女性たちの職業が維持されないという側面のために開いておくことと、購買 者の人権を積極的に擁護することは別の話だ。

男性階級のうちの支配階級は、韓国女性を妻としたり(買ったり)、性的サービ ス対象者としたり(買ったり)することができるが、セクシュアリティー階級と 経済的階級(障害者、農村男性など)の下層階級は、東南アジアの女性を妻とし て買う。障害者男性が車椅子に乗って性欲を解決するために集娼村に出かける 場面をテレビの画面で見せ、障害者にも性があるという。人権が重なる点、こ の死角地帯で、どう考えるのだろうか?

人権の議論を労働権の議論に言い換えれば、性労働者女性に焦点が合わせて、 現在、直面しているさまざまな問題を解決することができる。人権は保護の次 元や恩恵授与の次元で語られることが多い。しかし労働権で行けば、行為者の 主体性をもっと拡大することができる。

そして人権は別に語られなければならない。国家の公権力が加える圧力などに 対応する言語が必要だ。公権力はむしろ別の社会構成員に行われるような支援 をする必要がある。国家の公権力は強制的に要求するのではなく、発想を変え、 性売買女性が要求すれば直ちに動き、助ける方向に転換しなければならない。 性売買女性に加えられる強姦のような性暴行、身体暴力、セクハラに対して、 警察の助けが要請されたら、いつでも警察は応じなければならない。だがいつ まで公権力と国家の力を借りて、市民社会の問題が解決するだろうか。女性自 らの力でこの問題を解決する意志が生まれるようにする過程が必要だ。キム・ カンジャ氏が公娼制を語る時、公娼制は女性に対する警察の保護を意味する。 現実として保護が必要な場合もあるだろう。しかし、女性たちが自分たち自身 の組織力を持ち、市民として、警察に要求することにより変わるほうがさらに 望ましい。

  1. 労働から語れば、これまでの浅薄な現実で生存闘争をしてきた性売買従事 女性の生存力と労働力を認めることになる。道徳的烙印より経済的自立を追求 する女性の政治性を、女性主義者などの場に持ってくることになる。救済と自 活、社会復帰の論理ではなく、家父長的矛盾の中で生存してきた生存力を評価 できるようになる。性売買女性は、自分たちの経済力を経験した女性だ。この 生存力がすでに社会の基礎になり、女性主義の政治性をさらに高め、いいろろ な劣悪な性売買の場で闘った女性の女性史を書き、彼女たちの労働史を書き、 彼女たちの歴史を発掘し、家父長制の抑圧を告発して、率先して新しい社会共 同体を作るために、(脱)性売買あるいは性労働者フェミニストの出現、性労働 者アクティビストの出現を社会が見守るべきだ。
  2. 労働として話す時、性労働者の間の連帯が拡大する。陰の場所で性産業、 性売買に従事し続け、抜け出せない状況に置かれる代わりに、国家の境界越え て類似の女性たちにも意識を拡大できるほどの政治的意識を拡張していける。 すでに多様な性労働者女性のネットワークが形成されている。韓国内の問題だ けではない。韓国内でも性産業は膨大な規模だが、もう全地球的な移動の中で 女性たちの移動、女性労働の移動をきちんと問題化する言語が必要だ。
  3. 労働ではなく性労働として話す時、性階級との連係が形成される。これは、 資本主義としかつながらない性労働議論との弁別性を持つ。
  4. 性労働運動と女性運動、女性主義運動

先日の女性の日に性労働者が私たちも女性労働者だというピケを持った時、女 性労働運動陣営は歓迎しなかった。国家と女性部そして女性団体の一部が性労 働者を被害者として救済の対象と見る。釜山、仁川などが試験地域として現在、 脱性売買の可能性に向かって動いている。こうした状況で、今まで聞こえなかっ た性労働者の声が聞こえ始めた。性労働者運動が始まったのだ。

もはや女性運動と女性主義は、新しい局面を迎えた。これまで女性運動に含ま れていなかった性労働者女性が運動を始めた。新しいアイデンティティーが誕 生している。女性運動は性労働者女性運動を大切に認識する必要がある。共に 女性運動、女性主義運動をしていく主導者だからだ。

女性労働運動は、これまで女性の正規職、非正規職運動をしてきたが、性労働 を認めていない。女性労働運動もまた、性労働運動を認識して、女性労働運動 の一部として考えなければならない。

女性労働の最も大きいな場の一つが家事労働と性労働だ。もちろん「賃労働」 も今は女性労働の大きな場になっている。しかし、これまでの女性労働は、賃 労働だけを労働と見た。もはや家事労働と性労働は、女性労働運動に含まれ、 女性運動に含まれ、構造的変革運動を共にしていかなければならない。

また、性労働運動は女性主義運動に変わらなければならない。女性主義運動と いう今の女性主義の議題を見てもわかるように、全地球的な資本主義家父長制 が作り出すあらゆる問題だ。今回の韓国で進められた第9回世界女性学大会全 体の20の主題を見ると、東西南北、言いかえれば全地球的次元で女性の議題が 設定された。世界化、戦争、家族、セクシュアリティー、宗教、環境、農業、 科学、文化、メディア、労働、経済、法、政治、健康など、さまざまな議題が 扱われた。これらの議題はすぐこの前で性労働者運動の議題でもある。性労働 運動と既存の女性運動が出会い、互いに変化しながら、新しい女性主義運動を 作り出す、その道はすでに開かれている。すべての運動がそうであるように、 女性主義運動も現在進行形だ。固定されたものではなく、作り出すことが運動 である。性労働運動は、資本主義が作り出すさまざまな問題と人種主義、民族 主義、国家主義などが作り出すさまざまな問題に直面しなければならない。性 労働の場に入る外国人移住性労働者への認識も含まれなければならない。韓国 という国家のアイデンティティーの中に閉じ込められることなく、不法滞留者 という烙印を押された移住女性性労働者の問題までを悩む、そうした性労働運 動にならなければならないだろう。今まさに始めようとする性労働者運動をす る方々に対してとても多くの要求をするようだが、これから性労働者がすべき ことはあまりにも多い。性労働者の性階級的矛盾を変化させようとする動きを 女性主義運動と性労働者が共に作り出さなければならないだろう。

  1. 世界女性行進と性労働者運動:ジェンダー正義とセクシュアリティー正義

世界女性行進の構成として、フェミニズム代案経済チーム(ペルー)、レズビア ン権利チーム(オランダ)、そして特別チームとして国際連帯チーム(ブラジル)、 平和、脱軍事チーム(アフリカ、ルワンダ、ブルンディ、コンゴ共和国が引き 受ける)、情報通信チームなどがあることが分かる。そして性売買チームは、 主にフィリピンが担当する。しかしこのチームの意識は、性売買を被害と見て、 暴力と見る。性労働者の権利チームが新しく形成されなければならない。性労 働者に加えられる国家的/資本主義的/性差別的暴力を共に話せる場が形成され る必要がある。韓国の性労働運動は、世界女性行進の認識を変えようとしてい る。韓国が、性労働者の権利チームを形成することもできる。

世界女性行進は、「ジェンダー正義に立った」他の世の中を夢見る。もう韓国 での世界女性行進は、「ジェンダー正義」ばかりでなく「セクシュアリティー 正義」をも含む世界女性行進になり、もうひとつの世の中を夢見る行進をして いく必要がある。これは、韓国の性労働者運動が始めることができる。

韓国の性労働者運動は、性労働者の権利運動から出発するが、全地球的な軍事 主義に対しても他の女性運動と共に対抗し、新自由主義に対抗しつつ、代案的 な経済を夢見て、それを実現する国際連帯を模索する必要がある。このうち、 韓国内では特に性労働者の権利運動が先行しなければならないだろう。女性主 義と女性主義運動、女性運動は、もはや新しい局面を迎えている。世界女性行 進が韓国に到着する7月3日を期して、こうした場を組織する人々に謝意を表し たい。

世界化時代、性売買を抵抗の空間で

オム・ヘジン|世界化反対女性連帯

  1. 国際的な水準での性売買議論

19世紀ヨーロッパ公娼制反対運動と性売買関連国際協約の祈願

フェミニストが性売買に関して、本格的に国際的な論理の舞台に登場したのは、 ヨーロッパで近代的な公娼制、すなわち規制制度(regulation system)が成立 した19世紀だ。もちろん、19世紀以前にも性売買を禁止したり規制する法制化 が試みられなかったわけではないが、産業革命とフランス革命以後、新しく変 貌した社会、文化的規範で性売買は、ブルジョア家族規範のアンチテーゼとし て、セクシュアリティー統制の中心懸案として国家の重要な管理対象になった。 初めて規制制度を導入したフランスは、性売買を必要悪と見て、これを一般社 会と分離し、特定の地域に集中させて統制しようとした。このような規制主義 の先駆者は、1836年に『パリの売春(De la prostitution dans la ville de Paris)』という本を出したパラン-ティシャトゥレ(Parent-Duch?telet)という 医師だった。彼は、売春婦が存在しなければ、性的欲望を持つ男があなたの娘 と家族を堕落させ、家庭内の不和を引き起こすだろうとし、売春を病気にかかっ た社会で肉親を守る必須不可欠な排せつ現象だと考えた(Corbin、1978). いわ ゆる社会的防疫手段としての性売買の国家的管理を推進するパラン-ティシャ トゥレの主張は、その後の公娼制の世界的な見本になった(Corbin、1986)。

1866年に制定された英国の伝染病防止法(Contagious Diseases Act)もこの影 響下にある。軍隊内に蔓延した性病を統制する例外的な医療対策として始まっ た伝染病防止法は、結局すべての性販売女性に対する検診を義務化し、居住と 移動を統制するばかりか、『医療警察』を導入するなど、法規から社会的規律 へと変貌していった。英国は、こうした規制体制に対するフェミニストの抵抗 が成功した唯一の国家だという点で大変重要な意味を持つ。ジョセフィン・バ トラー(Josephine Butler)のLNA(Ladies' National Association) を中心とす る伝染病防止法、すなわち公娼制反対運動は、何よりも悪徳(vice)の被害者の 女性を処罰し、加害者性に免罪符を与えるということを根拠に、この法案に反 対するこでこの運動に参加した多様なスペクトラムの政治的指向の中でもジェ ンダー的観点を持つ最も影響力のある勢力として、1883年法案の廃止を率いた。 しかしLNAは、強制的に性産業に投入された罪のない少女、医者による『道具 的強姦』という恐怖を助長することに集中したことで、道徳主義の限界を越え られなかった。なぜなら『罪のない女の子』の売買と強制性売買に反対する運 動は、ビクトリア王朝の価値観を少しも揺るがさず、むしろその価値観に訴え たからだ。すでに1885年の段階で、「承諾年齢法」(注1) と「反ポルノ法」が 通過したことからもわかるように、英国の公娼制撤廃はフェミニストの勝利で あるばかりでなく、道徳主義者の勝利でもあった(フジメユキ、2004)。

このような背景で伝染病防止法が廃止された後、バトラーを中心とする伝染病 防止法廃止の活動家は、当時増えつつあった女性人身売買と児童性売買に反対 する運動に関心を転換し、これを制御する国際的なキャンペーンを組織する (Walkowitz、1983)。1890年代から1910年の間に、婦女子に対する売買禁止と 性病に対する危険性が国際的な問題として浮上した。事実、現在のような人身 売買の形態は、19世紀末のヨーロッパと米国で始まったもので、当時、女性の 人身売買の問題はアフリカの黒人奴隷貿易と区別するために『白人奴隷制 (white slavery)』あるいは白人奴隷貿易問題と呼ばれ(Levenkron & Dahan、 2003)国際的に大きな反響を起こした。

ところでこの運動には、公娼制や性売買搾取に反対するバトラーのようなフェ ミニストはもちろん、自由主義者、福音主義者、参政権反対論者などが大勢参 加した。当時、婦女国際売買禁止運動が広い支持を得て、バトラーは彼らと積 極的に協力し、国際婦女売買禁止運動を率いる。もちろん『白人奴隷』という 言葉をフェミニストが率先して使ったわけではないが、ナイーブな白人女性に 対する被害だけを思わせる人種差別主義的な言葉だったばかりでなく、強制的 な性売買と被害者化を最大化しようとする当時のフェミニストの理解を表わし ている。このような関心は、ヨーロッパと米国を中心とする政府間の国際会議 につながり、1904年には白人奴隷に関する国際協約(International Agreement for the Suppression of the White Slave Traffic)(注2)が締結される。12か 国が批准したこの同意案は、米国のマン法(Maan Act、性売買などの不道徳な 目的で州境界を越えることを禁止)などのように、各国で(性売買)女性を統制 する純潔主義運動につながる。結局この国際協約は、性的『非行』を制裁する など、窮極的に社会浄化運動(注3)に帰結した19世紀の規制廃止運動の性格と その結果を反映しているばかりか、結局は自発的な性売買とそうではない性売 買を区別する国際的な議論の起源になった。しかし、この協約の起源を叙述し たのは、この協約が自発的な性売買に対する認定に基づき、強制的な性売買を 統制しようとしたものではなく、性売買を不道徳と悪徳と見なし、保護すべき 女性とそうではない女性を分けるイデオロギーに基づいていたと見られる。性 売買に関するフェミニストの初めての運動は、性(sex)に対する論理を展開し、 男性の悪徳に対する攻撃を動員し始めた。そして、これを国際的な公論の場に 押し上げたが、結局、それが分化した時に、運動の統制権を喪失した。それは 当時のフェミニストが性売買に対して持っていた矛盾した態度と、さらに長期 的なフェミニスト的展望の不在に起因する。

注1: 英国は1885年刑法を改正して、女性の同意年齢を13才から16才に高め、 下宿屋遊郭に対する体系的な取り締まりを行う。これは結果的に労働者階級の 女性を法律違反者にして、性販売女性を労働者階級共同体から分離させる原因 になった。

注2:この協約は、国際連盟創設後の1921年、女性および児童の人身売買防止協 約(Convention for the Suppression of Traffic in Women and Children)に 用語を変更、改正され、第2次世界大戦後の1949年、国際連合の人身売買およ び性売買による他人の搾取禁止に関する協約(Convention for the Supperession of the Traffic in Persons and of the Exploitation of theProstitution of others)に継承される。

注3:社会浄化主義運動は、中間階級の利害に奉仕したが、男性労働者にも多様 な含意と機会を提供した。それは、責任感ある家父長の権威を後押しして、家 族賃金のイデオロギー的結果、家族外部だけでなく内部で家父長制の権威の道 徳的な合法化に服務した(Walcowitz、1983)。

急進主義フェミニズムの断絶と継承

ポルノグラフィー、性暴行、そして性売買の連続性という概念を通し、女性へ の性的搾取を通して具現される男性支配社会を分析した急進主義フェミニズム は、現在に至るまで国内はもちろん、国際的な水準の性売買関連の議論で強い 影響力のある位置を占めている。1970年代に台頭した急進主義フェミニズムは、 性売買の自発性と強制性という概念が女性を抑圧する男性支配社会の性購買者 側に立つ『虚構的区分』と主張することで、性売買を道徳的地平に縛り付けた 第1世代の反性売買フェミニズムの限界を越えた。急進主義フェミニズムは、 結婚が女性に対する身体的、性的所有を事実上強制的に具現しているように、 性売買も強要されたものだとし、性売買に対するいかなる制度的法的な正常化 (nomalization)も明確に拒否した。特にマキナン(1993)は性売買女性が生存権、 平等権、財産権など、いかなる市民権(civil rights)も享受できずにいる性的 な奴隷だと主張し、性売買女性は持続的な強姦と、あらゆる慣習的な因襲の中 で拷問されていると語った。

こうした急進主義フェミニズムの認識が国際的な議論に反映されたのは、1979 年の女性差別撤廃協約(The Convention on The Elimination of All Forms of Discrimination Against Women、CEDAW)だ。性売買と女性人身売買を扱うこの 協約の6条は、「女性人身売買と性売買女性に対する性的搾取を禁止するため のすべての適切な措置を取ること(take all appropriate measures... to suppress all forms traffic in women and the exploitation of prostitution of women)」を明示している。もちろん、『性売買女性に対する 性的搾取』を禁止することが、性売買の禁止(suppression of prostitution) を意味するものではないが(注4)、この協約は1949年の国際連合の人身売買お よび性売買による他人の搾取禁止に関する協約から一歩踏み出し、女性に対す るあらゆる形態の差別をも撤廃するという基礎により、性売買が女性に加えら れる人権侵害だと明らかに規定した点に意味がある。この協約は、法的拘束力 を持ち、女性に対する差別を防止することを国家の義務としている。韓国も 1984年に加入し、今回国内で制定された性売買防止法はこれを参照している (イチャンジン、2001)。

注4:オランダとイタリアの反対により今の条文案で確定する。

ところで、性売買を超歴史的な抑圧のコンポーネントと見る急進主義フェミニ ズムは、主な攻撃の対象が男性の悪徳と二重規範であった19世紀の第1世代の 反性売買運動から根本的に断絶していなかった。男性の日常的な権力の行使で あるとして性暴行を一喝したスーザン・ブラウンミラーは、あるインタビュー で「私は浄化(purity)、道徳性、品位といった言葉は非常に良い言葉だと思う。 私は女性運動がこうした言葉を取り戻すことを希望する」と述べた内容は、急 進主義フェミニズムと第1世代の反性売買フェミニズムの親和性を裏付ける。 19世紀のフェミニズムが性売買に関心を持ったことと、現代のフェミニズムが 性的テロとして強姦を強調することの間には、かなり似た構造がある(Duboi & Gordon、1984)。すなわち、一夫一婦制の中から性的な危険を除去し、女性の 安全を企てたこの第1世代反性売買フェミニズムと、男性支配社会で女性に加 えられる性的危険と女性のセクシュアリティーの抑圧的な性格を強調した急進 主義フェミニズムは、何よりも性売買女性の複雑な現実を性的暴力として単一 化し、結果的には性売買女性の主体的条件を非表面化したという点で共鳴した と見られる。

結局、急進主義フェミニズムがポルノグラフィー、性暴行、そして性売買の根 絶への反対に没頭していた1970年代後半には、性売買女性が初めて自分たちの 権利を宣言し、『労働者』としてのアイデンティティを表し始めるが、この二 つの女性陣営は和解することができなかった。

北京行動綱領、『女性に対する暴力』としての性売買

フェミニストたちは、普遍的権利としての『人権』という事実は、女性を排除 した近代男性市民の間での社会契約に立っているという点を明らかにする一方、 各種の国際協約の没性性(gender-blindness)を批判して、女性への差別を撤回 させ、女性の権利の記入に努力した。こうした努力は1947年の国連女性地位委 員会の設置以後、1979年の女性差別撤廃協約の締結と、最近の北京行動綱領 (1995)に至るまで、国際的な水準で女性の人権を表面化し、女性の実質的な法 的、制度的な平等権の確保に集中している。さらに1980年代以後、フェミニス トたちは、急増する女性の人身売買、児童性売買、セックス観光などに対する 国際的なキャンペーンを行った。これにより、性売買は国際的な女性人権協約 の中心的な議題に浮上した。

特に『女性の人権増進において歴史的で画期的な転機』と評価されている北京 行動綱領は、「女性の人権は性的かつ再生産的な健康、強制と差別、暴力から の自由をはじめ、彼女たちのセクシュアリティーに関するさまざまな問題につ いて、自由で責任を持って自らを統制し、決定する権利を含む」と強調した。 これにより、女性の性的自己決定権と身体に対する権利を宣言する一方、強制 された性売買を女性に対する暴力の例として言及したことで、女性差別撤廃協 約からさらに一歩進み、性売買を女性に対する暴力と規定するところまで進ん だ。

1995年の北京女性大会は、強姦、戦時強姦や殺害などの女性暴力、妻殴打など の家庭内暴力から性器切除、持参金殺害などの地域的な様態に至るまで、女性 に加えられる多様な形態の暴力を暴き、女性の劣悪な人権の現実を表わすこと に大きく成功した場だった。だが、女性に対する暴力に対する第1世界と第3世 界の女性の間の差を表わしたという点でも意味が大きかった。

何よりもこの大会では、性売買に関してフェミニスト内部の差が初めて表面化 したという点で興味深い。この北京大会には『性売買労働者』はもちろん、反 対の立場を持つ性売買関連NGOが参加し、ロビー活動を行った。CATW (Coalition Against Trafficking in Women)、WHISPER、Human Rights Watch などは、性売買を性器切除や強姦と同じ性的搾取の一形態として性売買をなが め、反人権的行為で禁止させるよう主張した。その反面、自発的性売買を認め るGAATW(Global Alliance Against Trafficking in Women)、オランダの女性 人身売買反対基金(Foundation Against Trafficking in Women)等は『性売買 に参加する成人の個人的意志を無視する』国際的な機構に反対し、人権と自己 決定の尊重に基づき、人身売買と戦うことを主張した。これに対してCATWのフェ ミニストは、人権を個人の同意に矮小化することは、権利の意味を市場経済に 奉仕し、道具化することだ(ベリー、2002)とし、女性主義の人権概念の必要性 を力説した。結局、綱領は強制的な性売買を禁止する内容に帰結し、妥協案と して性売買女性に加えられる害悪に対する再考を挿入した。この北京大会は、 国際的な論議の場で性売買関連の団体はもちろん、性売買女性が直接自分たち の権利を記入するために公開的な宣言をしたという点で、これまでの国際的な 議論と区別される。

ところが、女性に対する暴力はどのように定義されるべきか、フェミニスト的 人権議論の長期的展望(注5)は何か、何よりも競合する反性売買フェミニスト と、性労働フェミニストの議論の展望は何かなど、一筋縄ではいかない課題を 提出した。

注5:ベリーの主張は、女性の性的自己決定権と身体に対する権利を自身の身体 に対する『所有』および『資本化』の概念に立ち、享有する自由主義的人権の 見方の限界を指摘しているという点で示唆するところが大きい。

  1. 新自由主義世界化、抵抗の空間としての性売買

実際、韓国では性売買はフェミニズムの理論的な議論さえ、少なからず倫理的 な地平で扱われてきた。人身売買、殴打、監禁、暴力、さらに殺人につながる 性売買をめぐる犯罪的な現象と、性売買女性の極悪な現実は、こうした状況に 力を貸し、少数の反性売買運動団体を中心として隠蔽された性売買の実態を 『暴露』して関心を触発させた活動が、理論的な疑いと反論を圧倒してきた。 しかし、新自由主義的世界化により性売買女性をはじめ、周辺化された女性が 直面する現実と、性売買女性自身の権利宣言は、性売買を古ぼけた根絶論の空 間ではない、抵抗の空間で思考させることを促している。

新自由主義世界化と性産業の世界化

1970年代以後、全世界的な資本生産および投資の再構造化が始まり、利潤を創 出する企業の新しい戦略は、安価な労働、組織労働の回避、そして柔軟な労働 政策を駆使する国家に資本を移動させることから始まった。失業と不安定労働 という疫病が、開発途上国ばかりでなく先進国にも広がった。ILOによれば、 1994年の全世界の労働力の30%が失業状態に置かれ、最低生計以下の生活を維 持している。こうした中で、WTOや世界銀行といった超国籍制度および企業の 権力と影響力は、強大化していく。そしてNAFTA、GATT、FTAといった国際協定 や、あるいはIMFの債務償還条件により強制された構造調整プログラムは、開 発途上国の無限競争的な利潤創出に基づく経済政策の指針になった。性産業は、 こうした開発途上国の新しい利潤創出産業として浮上する。開放経済および輸 出指向的な発展戦略を支援する世界銀行の政策は、低開発国家の観光産業と性 産業の肥大化、拡張の積極的な追求者であった。結局、電子、コンピュータ、 贅沢材産業とともに、性産業は1970年代中盤以後急成長し、性差別、人種主義、 軍事主義などのさまざまな文化的要素を通して強化され、セックス・ショー、 セックスショップ、マッサージ、エスコート・サービス、テレホンセックス サービス、セックス観光などとして広がった。

性産業はすでに数十億ドル規模の高付加価値産業だ。タイでは、性産業の直間 接的収入が年間50億ドルの規模で、軍事指導者、政治官僚、観光事業者、マフィ アなどとの複合的なネットワークにより利潤を上げている。その他にキューバ やドミニカ共和国など、いわゆる南半球の第3世界諸国では、性産業が国家経 済に重要な位置を占めている。西欧の遊び場になった観光地の若い黄色人女性 の性的労働は、彼女たちへの社会的烙印とは別に、国家経済の大変重要な財源 になっている。キューバでは、形式的には性売買を反革命的な職業と見ている が、国家次元で観光産業を国家的に奨励している(注6)(Kempadoo、1998)。

注6:このような性産業の世界化は、1980年に2億6千万人から1996年には5億9千万人と、 2倍以上の世界旅行客の増加が見せるように、セックス観光による性産業は 第1世界と第3世界を分割しながら途方もない収益創出産業として浮上している。

これほど拡大した性産業の供給は、農村共同体の解散と都市失業人口増加、そ して実質賃金の下落による貧困の増加などの新しい経済秩序により、非常に萎 縮した貧民階層の女性により満たされた。事実貧民女性には(農村)地域経済の 没落と反比例して急成長している性産業への流入は、貧困化と伝統的な家庭の 没落による家長としての扶養責任の漸増などで予定された手順だった。新自由 主義的経済体制の下で、企業主は女性を従順で、組織的でなく、結婚や妊娠な どの理由で解雇しやすい存在と見ている。また下請け、および時間制労働、季 節労働、成果給労働などが正規職雇用に代わりつつある世界経済で、女性は特 に不安定でさらに搾取的な状況に露出している。その上、彼女たちの労働は、 副次的と見なされて、常に解雇優先対象者になる。女性労働者の94%が非正規、 非組織部門で働く状況で、彼女たちは社会的、法的保護さえ受けることが難し く、労働権団体の支援も期待し難い状態に置かれている(マヤ・ジャンシ、 2000)。結局、公式経済の外に追いやられた女性たちにとって、特にタイのよ うに性産業の規模が大きな国では、性売買はそれほど遠い未知の世界ではない。 むしろ、女性女性のからだと性別化された性的サービスに基づく性産業は都市 の消費指向的な生活世界の拡大とともに、女性たちにとって一つの魅力的な選 択肢になっているのだ。

移住労働の女性化と女性セクシュアリティーの商品化

1996年のILOの報告書によれば、最近の社会経済的な現象のうち最も特徴的な 現象が全世界移住労働の女性化と指摘した。全世界移住労働者の半分以上が女 性だが、相変らず公式的な政策において、女性は男性移民労働者の扶養者と見 なされている。事実、女性の公式労働の部分での雇用機会は、男性と比べて、 いかなる権利や保護もない、劣悪かつ非公式、脱規制化された労働市場に流入 する可能性がはるかに大きい。特に性産業の拡大は、こうした『移住労働の女 性化』を作ることにも寄与している(注7)。たとえば1990年代に合法的に日本 に入国したアジア女性移住労働者の80%はいわゆるエンターテイナーである。 1996年に公演芸術ビザの発給許可で本格化した韓国でも、性産業関連の移住女 性労働が急速に増加している。しかし、移住労働の主な輸入国は西ヨーロッパ 国家が占めている。国家の公式の政策は、いわゆる第3世界諸国、最近では中 東部ヨーロッパ諸国の労働移民を禁止していて、多数の国家では国内では許可 しても、性売買を目的とする移民は許可していない。ところが実際には、スイ スのようにそれが公式の政策であっても、オランダのように単に慣行によるも のだとしても、実際に移住女性労働者ができることはエンターテイメントや性 産業だ。国際移民機構(IOM)の2000年の報告書によると、年間最大50万人の女 性が西ヨーロッパの性産業に流入している。最近ではメールオーダー、インター ネット注文新婦制のような新種の売買性移住が増えており、これは国際的なブ ローカーによる人身売買などの組織的な犯罪問題として大きく浮上している。 特にソ連と東欧、ヨーロッパの崩壊以後、人身売買が幾何級数的に増加し、 『新白人奴隷』現象として論議を起こしたりもした(ハランド、2000)。ところ で一部のフェミニストは、彼女たちを人身売買の被害者として限定しようとす るだけの主流的観点に抵抗する。外国人の移住を厳格に統制する一方、性売買 を労働と認めず、移住労働者を周辺化された産業として追いやる公式の政策こ そ、不当な手数料、先払い金などのような人身売買的取り引きを逆にあおって いるものであり、性販売者、メールオーダー新婦、そして家政婦の日程的な経 験から大きく乖離していると主張する(Kempadoo、1998)。さらに重要なことは、 性売買をする大部分の男性と女性は、非公式のステータスが低い職業(low status job)に従事する人々と、さらによく似た経験を共有しているというこ とだ。

注7:全世界的には5億人程度の移住民が女性で、そのうちフィリピン、スリラ ンカなどの開発途上国出身の女性は3億人を占めている。アジア地域の移住民 の65-75%が女性である。1996年だけでも、580億ドルに達する移民者の送金額 を調べると、移住労働全体の規模を伺うことができる。

このような主張が説得力を持つ理由は、新自由主義の下での女性労働の不安定 化が加速している現実において、女性の労働がセクシュアリティーと性的サー ビスに対する対象化を最大化するサービス職種に大きく依託しているところに ある。もちろん、これ以前にも女性労働は伝統的に家事労働や世話労働に要求 される軟らかさ、世話、親切さなど、いわゆる『女性的』特質を利用する領域 に集中してきた。ところが、経済危機と新自由主義的な経済構造の変化は世話 労働の商品化を通して労働市場を再度性別化する一方、もはや女性セクシュア リティーの商品化を伝統的な性売買に限定させず、さまざまなサービス領域に 拡張している。

このような過程で、国際移住労働の『女性化』は家事労働をはじめとする感情 労働領域が急速に商品化される現実と関連する。また、親密性が急激に『商業 化』する後期近代社会で新しく拡張された欲望産業は、もはや人種と宗教、国 籍が異なる女性を遊興と娯楽の新しい『資源』として捕捉し、国際的な移住を 追求しているのだ(金ヒョンミ、2004)。こうした移住労働の女性化および女性 セクシュアリティーの商品化は、性売買女性、そして中心から排除され、周辺 化された女性が共通して経験する労働の質だといえる。

性売買女性たちの権利宣言

これまでの性売買に関連する国際的な論議の場で、性売買は抵抗の言語として 大きく浮上することはなかった。経済的、政治的な問題に対する解決法を説明 するさまざまな集団により呼ばれたが、性売買女性(prostitute)の複雑な現実 を反映する人々の声は沈黙させられた。また彼女たちの人生は、さらに大きな 社会勢力の犠牲者として単純化された(Jeffrey、2001)。しかし、新自由主義 的世界化による性産業と性売買の拡大の中に広がる女性の性産業流入増加の様 相は、性売買女性を単に被害者に還元すること以上のことを要求する。国内で は性売買防止法制定以後、性売買女性の本格的な集団化の動きが起きたが、外 国では性売買女性は人権が侵害された『被害者』ではなく『性労働者(sex worker)と自己規定をしている。これは、性売買をある階層の女性に対する社 会的、心理学的な性格としてではなく、職業として再規定するためであり、彼 女たちは労働者との親密性と類似性を主張しつつ、絶えず認定闘争を繰り広げ ている。 フジメ 1970年代以後、性産業の肥大化とともに性産業で働く女性が増え、初めて性売 買組織が建設されたが、1973年にサンフランシスコで誕生した性売買女性の組 織COYOTE(Call Off Your Old Tired Ethic)は、性売買の非犯罪化を主張した 初の組織だった。ヨーロッパでは、1975年French Collective of Prostitutes というフランスの性売買女性がストライキを行って、ヨーロッパの中での性売 買女性の権利検索運動を始めた。オランダのRed ThredとドイツのHYDRAといっ た団体も、性労働者運動の歴史において大変重要な役割をしたが、これらは 1985年にアムステルダムで初めて性売買女性の国際的な会議を開催し、権利宣 言(International Committee for Prostitute Rights)を作成する(Kempadoo、 1998)。この権利宣言は、性売買を非犯罪化して性売買女性の人権と労働権を 要求する、性売買女性の権利運動の象徴だった。非公式にシンガポールとタイ、 ベトナムの性売買女性も参加したが、この大会は西欧を中心とする性売買女性 の組織だった。アジアでは、タイのEMPOWER、台湾のTALP(Taiwan Association of Licensed Prostitute)とCOSWAS(Collective of Sex Workers and Supporter)、インドのトゥルバ委員会(Durbar Manila Samanwaya Committee) などがある。EMPOWERは1985年に設立され、性売買女性のための教育と生活を 支援する団体として、性売買女性の教育と生活共同体として機能している。台 湾のTALPは、1997年台湾政府の集娼村閉鎖命令に反対する対政府闘争の中で形 成された性売買女性の組織だ。COSWASはこの性売買労働者たちを支援するネッ トワークで、台湾性売買活動家は国内労働組合との連係はもとより国際的な性 売買労働者フォーラムなどを開催するなど、活発に活動している。トゥルバ委 員会は、1992年に性病とエイズ予防プログラムの一環として始まった共同体に 端を発するが、この組織のように1990年代以後、エイズへの問題意識は性売買 女性の権利運動の導火線になった。そしてエイズ関連の国際的な議論の場に性 売買労働者の権利という文脈で、エイズを自分たちの観点から分析し、予防戦 略を樹立したりもした。こうした性売買女性の組織結成過程と活動に見られる ように、性売買女性は自分たちの生存権と労働権を主張しつつ、世界化した性 売買の舞台に登場し、自分たち存在基盤を抵抗の空間として作り出している。

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性労働者の闘争に連帯しよう!

キムジョンウン|社会進歩連帯女性部長

われわれは今日この席で、社会変革と女性解放のために闘争する女性活動家と して、どのように性売買問題をながめ、性売買問題を解決するためにいかなる 行動が必要なのかを議論しようと思う。性売買は、社会構造的な問題として女 性一般の問題であり、女性解放の過程の中で廃絶される。では性売買の問題解 決にあたり最も重要な地点は、性売買女性の人間としての権利を擁護すること でなければならない。権利を勝ち取る過程は、彼女たちの肯定的な主体化、組 織化の過程を通じてのみ可能で、そのために労働する者、性労働者として彼女 たちを認めることが重要だ。性売買『根絶』という当為的な宣言ではない、性 労働者との連帯を模索することが性売買廃絶の運動の中で今、最も重要な実践 にならなければならない。

性売買関連法律案に対する批判的考察

性売買防止法は1961年に制定された「淪落行為防止法」を多少修正した改正案 に過ぎない。既に『自ら堕落して、からだを捨てた』 『淪落』女たちを処罰 してきたものを、『性売買』という犯罪行為者を性売買女性だけでなく性売買 斡旋行為者と性購買者に拡大し、彼らを処罰できるようになったという点で、 これは性売買に対する『禁止主義』の立場を継承する。性売買の需要と供給で 性購買者と斡旋者、性売買女性を処罰することにより、性売買を根絶できると いうのが性売買防止法案の趣旨というわけだ。『強制』的に性売買されたこと を証明できる女性は、『性売買被害者』になり、処罰を免がれる方案が備わっ ている。ところで性売買行為者などを処罰することで性売買撤廃ができるのか、 性売買禁止主義が歴史的にどんな結果を産んだのか調べよう。

歴史的には、禁止主義は性が金で売買されることを道徳的堕落のためと考え、 愛と分離した性売買に反対し、国家の規制が性売買根絶の解決策だと考える立 場だ。禁止主義の態度を取る立場は、法の執行を通して性売買を管理したり減 少させることができると前提にしているが、禁止主義は歴史的に性売買を根絶 させることも減少させることもできなかった。むしろ、性売買をさらに陰性化 した。問題は、性売買女性が陰性化したことにより、暴力と搾取の無防備状態 に追いやられるのに、犯罪者であるという身分により、性売買女性はいかなる 市民としての権利も享受できないという点だ。そして性売買を禁止する法律は 現実的に性売買を通じて生計を維持している女性を抑圧し、性売買を発生させ る社会構造的な原因は除去できないという点だ。

女性運動陣営は、性売買女性をすべて性売買『被害者』に拡大する方向で再改 正の意志を明らかにしている。ところで禁止主義の下での性売買女性を被害者 と概念化し、非犯罪化することについて、憂慮される問題が存在する。性売買 が犯罪なのに、性売買女性が被害者であるためには、彼女が所属する空間で強 制的に性売買されたことを立証する具体的な証拠が提出されなければならない ためだ。男性購買者や抱主だけを処罰することに反発する社会的世論を静める ために、性売買女性の不遇な犠牲や被害がさらに表面化しなければならない。 そして、被害者の女性は一刻も被害の状況に留まっていてはならず、脱性売買 だけが彼女に要求される。ところが問題は、性売買女性を被害者と概念化し、 処罰を免がれることはできても、彼女たちを見る社会的認識を変えることはで きず、彼女たちの生存の権利は保障されないということだ。

性売買をめぐる社会構造的諸要件

これまで性売買の原因は『性を売る』女性の道徳的な欠陥、または女性の性を 買う男性の問題に置き換えられてきた。性売買減少のために性売買に関与する 行為者などを処罰しなければならないという性売買『根絶』論理が優勢だった。 本当に性売買が一人一人の行為のために発生する問題なのだろうか? 性売買を 発生させる原因は何か?

性売買は、女性の貧困、低賃金・不安定な雇用に苦しむ女性労働の現実、女性 の肉体とイメージが商品化した状況、家族制度の下で抑圧される女性のセクシュ アリティーなど、女性一般が体験する問題が重なってあらわれる社会構造的な 問題だ。このような社会構造の下で、ほとんどの性労働者は経済的な動機で性 売買に流入する。女性の貧困と性的搾取という構造的問題が解決されない限り、 真の脱性売買は不可能だ。この問題を解決しないのは、むしろ「まだ」性売買 に流入していない女性の流入をほう助することにさえなる。このような社会構 造の下で脱性売買を一個人に強要することは、性売買をめぐる真の解決策にな りえない。

しかし、性売買で生存を維持する女性労働者が存在することを認めるとしても、 性労働が自己実現のため『労働』にはなりえない。終局には廃絶されるべきも のという指向性は明らかだ。性売買は女性の肉体と性的イメージが商品価値と して取り引きされる性の商品化の一形態だという点で、女性一般の自律性を抑 圧する女性への暴力だからだ。しかし、性売買廃絶の過程は、性売買根絶を当 為的に繰り返してできることではない。性売買の原因の資本主義、家父長制、 性の商品化などの社会構造的な原因を除去する闘争を通してのみ可能だろう。 女性たちが自身の肉体と性的イメージを統制できる女性の性的自己決定権、労 働権などを認識し、要求する運動の過程の中で、その一形態である性売買もま た廃絶されるはずだ。では性売買の現場に存在する性売買女性とわれわれは、 いかなる関係を結べるだろうか。

性売買女性は私たちの姉妹で、労働者だ!

性売買防止法の制定と施行以後、これまで韓国の性売買禁止主義法の下で犯罪 者として『みだらな』女性という烙印を押されて生きてきた性売買女性が集団 的なデモで、自分たちを表わし、権利を要求している。生存権を保障すると言っ て、性売買防止法の猶予を要求する彼女たちの姿をどのように受け入れなけれ ばならないのか、多くの女性に問題を投げかけた。

性売買女性をいわゆる『堕落した女性』とみる社会的な視点は、すべての女性 を『貞淑』という単一の定規を基準として、『堕落した女性』と『貞淑な女性』 に区分してきた家父長的家族制度にその原因がある。われわれは連帯すべき女 性たちを分断するものに対して立ち上がり、女性たちとの連帯を復元しなけれ ばならない。そしてそのために肉体的な取り引きという道徳的基準を固守し、 彼女たちとの差を強調するのではなく、人間として労働する者としての共通の 権利を肯定する過程が必要だ。

性労働者は自分たちを『労働による対価で生活を営む人であり労働者』と言い、 権利を要求している。性産業の一環である性売買に従事するのは本当に労働者 ではないか? 資本主義社会では、誰もが自身の賃労働を売らなければ生計を維 持できないという現実が存在する。そして、生計を維持するために性売買をす る女性たちがいる。もちろん、性売買が真の自己実現を達成する『労働』では ないのは、現在の資本主義に存在する多くの労働がそうした『労働』でないこ とと同じだ。資本主義において、賃労働は抑圧的で搾取的な形態を帯び、労働 者の集団的な権力によって搾取に対抗し、権利を要求することが賃労働関係を 廃絶する運動の一環になる。しかし、抑圧的で搾取的な賃労働関係を廃絶する ことで即刻そのような賃労働関係から撤収しろという主張につながるのではな い。同じ理由で、集結地の女性も生存のために自らの仕事場から撤収できない と主張した。

ところで性売買女性を性労働者と認めようすると、「性売買を労働と肯定する ことで性売買を持続させようとしているのではないか?」という問いが提起さ れる。果たして性売買を性労働と呼ぶと性売買が拡大するのだろうか。それな ら、これまで性売買が人権を侵害する犯罪行為だと明示されていたにもかかわ らず、根絶できない理由は何か。性売買が労働かどうかという性格規定は、性 売買の減少・拡大に決定的な影響を及ぼすものではない。

性労働者に必要なことは、現場の『閉鎖』ではなく、自分たちが搾取されるこ となく労働できる集団的な権力を形成する権利争奪の過程だ。現在、性労働者 は劣悪な労働条件の下で搾取されながら、健康権を侵害されている。性労働者 は他の人が寝ている時間に労働し、労働時間も非常に長く、労働の過程で望ま ない妊娠、それにともなう堕胎、性病やAIDSのような疾病に露出する危険を持っ ている。このような状況を統制する力は、まさに性労働者自身から出てくる。 したがって、彼女たち自らが主体になり、彼女たちが直面している現実を認識 して、それに対して発言する時、決して単純ではない性売買問題をどのように 解決していけるのか、その容易ではない議論が始まるはずだ。そして代理人で はなく、主体として社会構造と密接に連結した彼女たちの人生を表面化するこ とは、彼女たちを抑圧している社会的偏見と烙印を粉砕する運動の過程になる だろう。そして、女性運動家は女性解放のための闘争の過程で、性労働者との 連帯を通して、性売買問題を解決していくだろう。

性売買を非犯罪化しよう

性労働者の人間としての権利を認め、権利争奪のための組織化を可能にするた めに、性売買の非犯罪化は必然的な要求だ。当然、現行の犯罪者の身分が性労 働者の主体化と組織化にとって障害物にならざるをえないということは容易に 予測できる。そしてこれは禁止主義の法律の下で、性労働者の最小限の権利ま でが抑圧されてきたという批判的な評価を提起するところでもある。禁止主義 は、性労働者の人権を保護することもできず、あらゆる暴力に露出させた。禁 止主義は、性売買の陰性化を伴うが、陰性化は法の枠外で性売買を量産する犯 罪組織、それと結託した警察を作り出すことで、陰性的な性売買を可能にする 構造を量産する。陰性化は、単に性売買業者が目に見えないこと、取り締まり が難しくなる現象を指すのではない。性労働者の人権の死角地帯を作り出すと いう点で、積極的に批判されなければならない。抱主と男性購買者は性労働者 が犯罪者だという身分を悪用し、彼女たちに暴力と搾取を振り回した。しかし 性労働者は処罰を恐れて、自分たちの権利を要求できなかった。しかも、男性 は社会的に性売買が容認されるのとは別に、性労働者は道徳的に堕落した者と して後ろ指を差される『娼女』の烙印は、性労働者を家庭と共同体から追放し、 さらに孤立させた。孤立した女性たちはあちこちに売られ、持続的に殺人や強 姦などの犯罪の被害者になり、自分の子供を養育する権利まで疑われた。

しかし、非犯罪主義が性売買をめぐるすべての法律を除去するわけではない。 実際、性売買自体を規制することも、性売買を合法的と認定することもない英 国、フランスなど、西ヨーロッパの非犯罪主義国家では、売春を目的にした人 身売買、商業的目的のための児童と成人に対する性的搾取行為に加担した者に 対しては、強い処罰の規定をおくなどの積極的な措置を取っている。しかし、 むしろ法律の介入が必要な部分は、性売買を禁止することではなく、性労働者 の権利を保護することでなければならない。抱主から不当に賃金を搾取されな い権利、男性購買者の暴力と強姦から保護される権利、正当な代価を払わない 男性購買者を処罰する権利、一生の職業でもない性売買を自身が望めばいつで もやめられる権利、自分の意志と無関係に人身売買されない権利などは、性売 買を禁止する刑法ではなく労働法や商法、民法のような法律で保護できる。

現在、性売買をめぐる各国の立法政策は、禁止主義、合法的規制主義、非犯罪 主義に区分できる。非犯罪主義も、国家が性売買を管理・統制下は法律の一環 ではないかという質問が提起されたりもする。しかし、非犯罪主義は19世紀の ヨーロッパにおける合法的規制主義政策が、公娼や登録制で性販売女性を『統 制』することに反対し、廃娼運動の中で摸索された一つの試みであり、戦略で あったという点に積極的な意味を求めなければならない。したがって、私たち の主張は禁止主義ではなく、合法的規制主義や非犯罪主義のどちらか一つを選 択しようということでもない(男性が合法的に性を買う権利を云々し、性労働 者を国家次元で管理する合法的規制主義に、われわれは反対する)。もちろん、 ある社会でいかなる政策を行おうが、性売買を完全に根絶したり統制すること は不可能だ。性売買関連法律案の意味を相対化して社会的に蔓延した性売買の 形態を抑制し、そこに発生するさまざまな問題を最小化することに、性売買法 律案の意味があったとすれば、われわれは性売買政策を思考する上で、いかな る法律案の形態が性労働者の権利を最大限に保障できるのかを最も重要な点と して考えるべきだろう。そして性売買が道徳的かどうか、法的な判断が要求さ れる個別行為者などの行為ではない、社会構造的な支配、搾取、暴力の問題と して争点を拡大するためには、性売買の需要・供給において、性購買者と斡旋 者、性売買女性を性売買成立の原因と見て、彼らを処罰することで性売買が減 少するという禁止主義の観点を廃棄することが重要だ。非犯罪主義を通じ、わ れわれは性労働者の権利を擁護して、性売買問題を解決するための多様な社会 構造的な原因を認識し、除去する運動を展開することができる。

性労働者と連帯を実践しよう

1961年に制定された淪落行為等防止法は、朴正煕軍事政府が『社会悪』を根絶 するという次元で制定されたように、2004年に制定された性売買防止法も、 『国家のイメージを向上するための』のものである。真に性売買女性の人権を 保護するためのものではなかった。都市開発事業で集結地を閉鎖するという政 府の意図は、集結地を重点的に取り締まり、目の前からなくすという発想を示 す。政府は、性労働者が叫ぶ生存権保障の要求にもかかわらず、撤去計画を押 し切ろうとしている。女性部は、性売買女性への経済的支援の予算を拡充する と言うが、まだ現実的な水準に至っていないのが実情だ。しかし非常に少ない 自活生計費が脱性売買という『社会復帰』のために甘受すべきだと話しながら、 性売買女性の生存権の問題は軽い問題として置き換えられたりもする。そして、 性売買を併行する女性には集結地の女性の自活生計費を支援してはいけないと いった世論が社会的に形成され、性売買女性の生存を支援する問題が法律上の 文句に背くのではないかという机上の空論が提起される実情は、性売買防止法 が決して性売買女性の生存権を保障できないという点を明らかに見せる。現実 に存在する性労働者と彼女たちの生存をかけた要求を、法論理という口実で抑 圧し、傍観する政府を糾弾する。われわれは、性労働者が自分たちの正当な権 利を要求する闘争に共に闘うだろう。すべての女性運動がこれ以上躊躇せず、 性労働者と連帯しなければならない。私たちが連帯すべき主体として、権利の 主体として、性労働者を認め、連帯を模索することは、女性解放運動に新しい 地平になるだろう。

〈世界女性学大会に参加しながら〉

「韓国の性売買特別法が性労働者たちにおよぼした影響」

イソンヒ|全国性労働者準備委員会ハン女連

-性売買特別法趣旨は実現されるか

性売買特別法(以下性特法)を立法した人々は、女性の性労働者を社会的弱者と みて、やはり強制的に性売買にあった被害者と認識し、今一度社会に戻り、自 活できるように助けて窮極的に性売買を根絶させると主張します。

しかし法の趣旨がいくら良くても実効性がなければ空念仏になってしまいます。 性労働者は経済的に極限状況に達しており、ここにくることになった人々です。 さらに私たちは個人である以前に、家族を扶養(約80%)する実際の家長が多い のです。女性部が今年までに288億ウォンの予算をかけて、脱性売買女性に職 業訓練費と緊急生計費などを支援し、創業資金も1人当り最大3千万ウォンまで 無利子で貸し出すという計画は、性労働者を個人としてのみ認識したから可能 だった本当に無謀な発想でした。

今日韓国社会は80:20の社会で、90:10に向かうほど深刻な貧富の格差で生活が 困難になっています。性労働者が性労働に従事するようになったのは、こうし た社会経済的構造の結果です。そして性購買男性も性と無関係ではないさまざ まな条件が相対的に劣悪なので、われわれ性労働者のところに来る貧しい人々 です。これを見過ごしたまま、単に性売買が悪いという前提だけで性労働問題 を扱うと、決して性売買は根絶できないでしょう。私たち性労働者は、社会安 全網が構築された共同体社会こそ性売買を減らす近道だと信じています。

-性労働者は人間で労働者です

用語は対象を規定します。性特法では既存の淪落行為という否定的なイメージ を性売買という価値中立的な用語に変えたと言います。ではそれで性売買をし なければ必要な金が用意できないわれわれ性労働者に対する認識が良くなるの でしょうか?また「性売買」という用語で、性を買う人と売る人、そして斡旋 業者などの全体的な関係が見えるようにしたと言いますが、実際の性労働者に とってどんな効果がありましょうか?

用語だけを論じれば、今日の性特法が淪落行為等防止法(淪防法。全文改正 1995)の時より一歩進んだように見られます。道徳的に堕落した女という意味 の淪落女の代わりに性売買被害女性になったのでね。しかし、私たち性労働者 には真実だけが必要で、言語だけの飾りは望みません。性売買被害女性という 言葉は、それを受け入れたい女性にだけ適用すればいいのです。社会経済的な 諸般の条件で、自ら「性的サービス業」を選択した絶対多数の女性たちにとっ て、国際社会で無理なく通用する「性労働」「性労働者」という言葉が適して います。性売買被害女性という言葉は私たちが主体になって、労働者としての 権利宣言をして、組織化するためにはむしろ障害物になるだけです。

私たちは国際労働機構(ILO)が言う性売買と結びついた人身売買、監禁、恐喝、 暴行のような極悪な犯罪には絶対反対します。したがってわれわれは、このよ うな類型の犯罪と連結して、性労働者を政治的に攻撃しようとするいかなる形 態の陰謀も容認しないでしょう。われわれは生存のために自発的に「性的サー ビス」業である「性労働」を選んだのであって、「脱性売買」の部分は成人の 性労働者自身の自由意志に当然にまかせます。

-性購買者と斡旋者をどう見るのか

既存の淪防法が性売買防止と女性に対する処罰に焦点を合わされ、性購買者の 処罰は綿棒と同じだったと非難し、しかし性特法は性売買女性に責任を転嫁す る態度から脱却し、性購買者と斡旋業者をはるかに重く処罰すると主張します。

処罰の対象と軽重によって性特法は相対的に女性たちに考慮しているといいま すが、性購買者への処罰は私たちをさらに劣悪な労働環境に置くことになりま す。性購買者は自分たちが処罰を覚悟して私たちに会うことをとても不公平に 感じ、心理的に性労働者たちより優れた位置に置かれるようになって結果的に 強力な性労働の原因として作用します。

そして斡旋業者の処罰は、実際のところ、性労働者を路上に追い出すことにな りそうです。ここで言う斡旋業者とは、性労働者と協業が可能な「正直な事業 主」を指します。私たち性労働者は一定の営業所と住居を提供する人がいなけ れば、結局陰の売買市場に移動するほかはありません。韓国は資本主義を採択 しており、その骨格は私有財産制です。したがって、正直な事業主が自分の私 有財産を投資して、私たちと協業する時、性労働者は分配原則が合理的なら快 く応じるでしょう。性特法一つをめぐり「正直な事業主」さえ頭に角が生えた 悪魔と描写することは有り得ません。

-女性界の自活対策では見込めない性労働者の冷厳な現実

次に出てくる統計は、昨年9月23日に施行された性特法を基準として、その前 後で区分し、「以前」はハント女性従事者連合(ハン女連)資料(性労働者515人 対象)であり「以後」は韓国人権ニュースが今年5月アンケート調査(性労働者 103人対象)をした結果です。

性労働者は今瀬戸際に立っています。私たちの学歴は中卒以下が38%で、高卒 以下が56%で、家族の生計費と医療費、兄弟の登録料など、緊急な出費を一般 的な方法で調達する方法は一つもありません。また、性労働者が最も多く集ま る年令帯の24才〜26才は、韓国の社会の青年失業問題と関係がなくはありませ ん。女性界は今、私たちを救出すると言って、自分らが考案した自活プログラ ムにかかりきりです。しかし次の資料はこの計画が実現の可能性がない展示行 政であることを明白に立証するでしょう。

まず収入の部分を見ましょう。性特法以前には、性労働者の月平均収入は350 万ウォン程度でした。しかし以後の月平均収入は220万ウォン程度(収入が少な くて答えない性労働者を考慮すると、月平均収入は150〜170万ウォンと推測さ れる)で、38%から最大58%まで激減したことが分かります。性特法で性売買取 り締まりには成功したかもしれませんが、性労働者の生存権は無惨に踏みにじ られたのです。参考までに、現在、性労働者は自分たちが解決すべき月平均の 経済規模を401万ウォンとしていました。

性労働者の債務を見ます。性特法以前に性労働者は25%が借金をしており、債 務者の平均金額は1千419万ウォンでした。その後、28.2%の性労働者が平均 1890万ウォンの借金をして、増加傾向にあります。主な負債は私債とカード貸 し出し、銀行貸し出しで、結局、性特法が性労働者の収入を大幅に減らして、 むしろ借金を増やす原因を提供しました。

性労働者の経歴にも大きな変化がありました。性特法の直前には性労働者の平 均勤務期間が29か月程度でしたが、その後は23ケ月と半年減りました。特別な 点は、性特法以後、集娼村に入ってきた性労働者は全体の10.7%で、平均勤務 期間が3か月半程度でした。 これは経済難に苦しむ女性たちが性労働者として 新規流入しているという反証です。一方、性特法の圧力で所得が大幅に減り、 経歴の長い性労働者ほど陰性的性市場に移動していると予測できます。

以前は性労働者は管轄保健当局により、定期的な検診を受けていました。しか し性特法施行以後は疾病検査がまるで性売買を認めるイメージを与えるように 思われて全く行われず、営業をしている性労働者も性売買の事実が明るみにな ることを恐れて疾病検査を忌避しています。特に取り締まりの時に最も強力な 証拠になるコンドームが忌避対象になることで、エイズなどの深刻な保健問題 を発生させる環境ができていますが、女性界と保健当局は沈黙を守るだけです。

-性労働者の団体構成に関連して

これまで私たちは性売買の代わりに性労働を、性売買女性の代わりに性労働者 という用語を得るために多くの努力をしてきました。報道機関と知識人から無 視された状態で、私たちのアイデンティティーを探す孤独な闘争でした。今は 既存のハン女連(ハント女性従事者連合)から一歩進んだ「全国性労働者準備委 員会ハン女連」(全国性労委. Daumカフェ)をスタートさせた状態です。現場の 闘争の経験に、インターネットなどの時間と経費をあまりかけずに生産的に性 労働運動を展開する方式を導入したのです。

現在、私たちは各個人が直面している経済的な困難により、性労働者団体の準 備に困難を味わっています。また性労働者というアイデンティティーを明らか に自覚できない人々も多いのは事実です。 そして性労働者の役員陣が大衆の 前に顔を出すという困難などがあるのですが、少しずつ克服しているところで す。そして正直な事業主たちは、性労働者の組織ができることが彼らにも結局 役に立つということ認識して、次第に協力する姿勢に出ているのは非常に鼓舞 される現象です。特に最近社会進歩連帯が「性労働者も人間だ。性労働者の闘 争に連帯しよう!」という文を発表したことで「全国性労委」が意図するさま ざまな民主勢力との連帯に希望を与えています。

-性労働者が望むこと

私たちは性労働を善悪の定規で区分し、性労働者に汚辱と烙印を押そうとする いかなる試みにも断固として抵抗します。そして性特法は、私たちの労働権と 人権を認めない根本的な限界があるため、この法の廃止を要求します。

以前の淪防法もそうでしたが、さらに強化された性特法により、性売買は男女 すべてに犯罪視され、特に多くの性労働者が不利益を受けています。例えば、 一部の性購買者から言語的暴力や身体的暴行、そして金品を奪われるなどの人 権を蹂りんされても関係当局に申告さえできません。したがって、性労働者が 人権を保証され、顧客の選択権を確保するためには、性売買に関して私たちの 社会が禁止主義を放棄して前向きな「非犯罪主義」に進まなければならないで しょう。韓国の成人男女が自分自身の性的決定権を法律により支配されるとい う前近代的な発想ではいけないからです。

そのための公論化の過程は必然的です。特に女性界学者の関心と努力が必要だ と思います。今日、性特法誕生の背景として急進主義の女性界の人々が主軸に なったという事実は、韓国の女性主義がそれほど古い学問に捕われているとい うことのようです。私たち性労働者は、自由主義と文化主義と社会主義とマル クス・フェミニズムが選んだ発言権を持って、国際的な水準で性労働関連の公 論化を主導すればという心が切実です。

最後に申し上げたい言葉は、皮肉にも性特法が性労働者の闘争力を強化し、そ の結果、性労働者が正直な事業主と民主的な議論をする契機として作用したと いう事実です。地域により若干の差がありますが、企業体の労使協議会のよう な性格の団体が徐々に浮び上がっていることを注意深く見守って下さい。 ありがとうございます。


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