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サムスンの私益より知る権利…「知る権利は生きる権利だ」

[企画連載]サムスン作業環境測定結果報告書非公開裁決批判(1)

イ・サンス(パノルリム常任活動家) 2018.10.02 09:37

[編集者の言葉] 去る8月23日、中央行政審判委員会がサムスン電子など3つの系列社が提起した 「作業環境測定結果報告書情報公開決定取り消し請求」行政審判事件のうち、 主要争点事案をすべて非公開と決定したことでまた問題になっています。 しかし法律専門家、産業保健専門家、パノルリムの活動家らはこうした行政審判の結果は不当であり、 営業秘密よりも生命健康権の情報への知る権利が優先されるべきだと要求します。 そのためチャムセサンはなぜサムスンの安全情報が公開されなければならないのか、彼らの声を4回にわたり連載します。 今回の企画連載はOhmyNews、プレシアン、民衆の声にも共同掲載されます。

[連載順序]

  1. サムスンの私益より知る権利…「知る権利は生きる権利だ」 |イ・サンス(パノルリム常任活動家)
  2. 労働者の生命を放棄した中央行政審判委員会|シム・ジェソプ弁護士(民主弁護士会労働委員会)
  3. 安全保健情報は秘密にできない|コンユ・ジョンオク(職業環境医学科医師)
  4. サムスン作業環境測定報告書が核心技術と言えない理由|ユン・チュンシク(ソウル大学校保健大学院)

[出処:キム・ヨンウク]

去る9月4日、サムスン工場でまた人が死んだ。 二酸化炭素ガスが流出して協力業者の労働者が命を失ったのだ。 負傷者のうち1人も事故後、一週間ほどで結局亡くなった。 サムスンでの事故は隠せない時にあらわれる。 今回も隠蔽疑惑が深刻だ。

サムスンは事故の発生から2時間近く通報しなかった。 産業安全法を守っていたので問題はないというのがサムスンの立場だったが、 消防法は守らなくてもいいのかという反論が提起された。 救助と救急が必要な状況が発生すれば、すぐに当局に通報しなければならないという消防法に明らかに違反しているからだ。 化学事故が発生すればすぐに通報義務が生じる化学物質管理法違反だという指摘も従った。

産業安全法もきちんと守っていたのかという疑問が提起された。 死亡者の発生の他にも3か月以上、療養が必要な負傷者が2人以上なら通報義務が発生する重大な災害だ。 労働者3人が事故直後、すでに心停止状態であった。 1人は直ちに死亡し、二人は集中治療室に運ばれた。 これほど状況が深刻でも、これを重大災害ではないと判断したサムスンを理解するのは容易ではない。 それさえ、当初申告した死亡時間よりも1時間以上早い時刻が記録された事故当時の救急車の記録が発見され、 サムスンの弁解も偽りであることがわかった。 これでは、死亡事故でなければ果たしてきちんと伝えられたのかという疑問を感じる。

2014年、サムスン電子水原事業場で今回とほとんど同じ事故があった。 その時も二酸化炭素が流出して協力業者の労働者が死んだ。 非難の世論が高まり、市民社会との懇談会で雇用労働部京畿支庁は 安全保健改善計画樹立命令をした点を確認してくれた。 危険な二酸化炭素を安全な清浄薬剤に変えろという内容が含まれていた。 この命令がきちんと出され、履行されていれば、今回の死はなかっただろう。

当時の雇用労働部京畿支庁の該当命令は、 事故が発生したサムスン電子水原事業場だけに出された。 先日、労働部京畿支庁との懇談会でわかった事実だ。 サムスン電子の全事業場で同じ消火用の二酸化炭素を使っており、 その危険も違わなかったがそうだった。 サムスンの費用と努力を減らした「命令」の代価は4年後、 器興工場で労働者たちが命で支払った。

それでも「命令」の存在も具体的な内容と履行の有無も、 雇用労働部はきちんと公開しなかった。 市民団体が訪問して声を上げて、やっと1、2個のつまらない情報を出すだけだった。 人が死に、批判の世論が強い状況だったがそうだった。 この不十分な「命令」の具体的な内容がすでに公開されていれば、 批判があっただろう。 そして今回の死はなかったかもしれない。 労働者たちにとって、知る権利は生きる権利だ。

サムスンの安全情報はいつも「営業秘密」

サムスンの安全情報はいつも「営業秘密」だった。 2013年のフッ酸漏出事故の後、サムスン半導体全工場に対する安全保健診断を実施して作られた報告書も同じだった。 サムスン職業病被害者が職業病の認定を求める裁判で、証拠資料として要求した時も違わなかった。 サムスンが「営業秘密」だと主張すれば、労働部は何も言わずに従った。 結局、この報告書は困難な訴訟の末に、昨年末、受け取ることができた。

サムスン工場の有害環境を測定した作業環境測定結果報告書もいつも「営業秘密」だった。 やはり訴訟で、さる2月に公開の判決を受けたが、もう「国家核心技術」になって相変らず公開されない。 この過程で産業資源部と行政審判委員会が大きな役割を果たした。 このように、安全情報が隠蔽されてきた結果、 サムスン職業病被害者は証拠もなく職業病を立証する境遇に追いやられてきた。 傾いた運動場で被害者は職業病を認められなかったり、 認められても何年も時間が経った後で、 時には生を終えた後だった。 職業病を認められない劣悪な境遇が病気をさらに深めたのだろう。

去る9月18日、イ・ヘジョンさんの職業病が認められた。 イ・ヘジョンさんは全身が固まり、臓器まで固まって息をすることも、横になって寝ることも難しい全身性硬化症に苦しんで亡くなった。 治療と生計支援が必要だった2014年、闘病中の労災申請は認められなかったが、 昨年の秋夕に故人が亡くなった後、遺族が再申請して認められた。 とても遅れた。 そして認められた多くの被害者たちも、このように遅れた。

三人の子供のお母さんだったイ・ヘジョンさんの 生前のインタビューを思い出すと、 いつも胸が詰まる。*

「5年生存率が20〜30%という話を聞いた時、とても恐ろしかったんです。本当に…」。
「欲がでました。 10年だけ子供たちの横で暮らせれば良い。 しかし自分のからだ一つ面倒を見るのも難しいほどになると、 夫や子供たちにも被害を与えているようです」。
「私のような被害者がもう出なければいい。 申し訳ないと謝罪はしなくてもいいですから。 これからこうした病気がないことを望むだけですから。」

機会があるたびに話すヘギョン氏の鬱憤も 同じように胸が詰まる。

「危険だと..私がこのようになるかもしれないと。 なぜ誰も言ってくれなかったのかを聞きたいです。 私は必ずサムスンの謝罪を受けなければなりません。」

ハン・ヘギョンさんはサムスン電子でLCDを作り、 脳腫瘍手術で視覚、言語、歩行障害になった。

薬の副作用は、薬を飲む前に知らせなければならない。 そうすれば判断もして、対処もすることができる。 薬を飲んだ人だけに知らせるとか、 薬の副作用が疑われる人が副作用なのか確認してくれと要請する時だけ知らせるとすれば容認できるだろうか? 製薬会社が「営業秘密」だから知らせられないと言えば認めるだろうか?

サムスンは副作用確認のために安全情報を要請しても出さないほど、相変らず厚顔無恥だ。 しかしイ・ヘジョンさんとハン・ヘギョンさんは、 単に職業病を認めさせるためにサムスンの安全関連情報を望んだのではない。 二度と自分のように、知らずに病気にかかって苦しむ人がいなくなることを、 職場の危険がなくなることを望んだ。 サムスンの利益よりも私たちの知る権利の方が貴重だ。 知る権利は全て保障されなければならない。 知る権利は生きる権利だからだ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2018-10-11 08:58:27 / Last modified on 2018-10-11 23:30:14 Copyright: Default

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