本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国:「パノルリム叩き」…保守言論、サムスンの共謀者
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1512389885237St...
Status: published
View


「パノルリム叩き」…保守言論、サムスンの共謀者

「パノルリム言論報道被害訴訟判決の意味」討論会

キム・ハンジュ記者 2017.11.29 12:16

「団体(パノルリム)存立のために家族を担保にしている」(デジタルデイリー、2015.9.6.)
「パノルリムがサムスン電子に毎年純利益の0.05%を外部の社団法人に寄付しろと要求した」(デジタルデイリー、2015.10.7.)
「名分を失ったパノルリム…IS引き込みなど、極端集会に変質」(ニューデイリー経済、2016.4.12.)
「パノルリム、野宿闘争に『顰蹙』…『毎晩酒盛りでゴミ』」(ニューデイリー経済、2016.7.12.)

言論が事実関係を確認せず「パノルリム叩き」に没頭した記事だ。 裁判所は11月13日、「ニューデイリー経済」に対し 「虚偽の悪意の内容で名誉が毀損された」とし、 1000万ウォンの損害賠償支払いを判決した。 7月にはパノルリムを非難報道した「デジタルデイリー」に対する損賠判決もあった。

相次ぐ裁判所の判決は、言論を変えられるだろうか。 また企業の「広告で言論を手懐けること」は止められるだろうか。 裁判所の判決の意味を振り返る討論会が11月28日に国会議員会館で パノルリム、言論改革市民連帯、言論人権センター、秋恵仙(チュ・ヒェソン)議員室共同主催で開かれた。

裁判所の認定と社会的費用という限界

ニューデイリー経済、デジタルデイリーのパノルリム報道は、 パノルリムとサムスン電子の交渉過程そのものを歪曲した。

サムスン電子とパノルリムは2012年に交渉を始めた。 サムスンは被害者家族の少数に限定して補償を進めようとしたし、 パノルリムは補償の議論にその他の被害者も入れて、 再発防止対策用意を要求したが、合意できなかった。 その後、被害家族6人が別に作った家族対策委員会は、 サムスン電子と調停委員会を構成することに合意した。 調停委員会は2015年7月に調停勧告案を発表した。 パノルリムはこれを受け入れたが、むしろサムスンが公益法人による補償に反対して調整手続きを中断、補償委員会を発足させた。 パノルリムは補償委員会の議論の中断とサムスン電子の謝罪を要求して2015年10月から今まで座り込みをしている。

一部の言論は交渉支障の原因をすべてパノルリムに転嫁した。 ニューデイリー経済は「交渉の最大の障害は『パノルリム』」、 「公益法人の運営費に原告の活動費も含まれるため、 原告が自分の利益のために公益法人設立を主張している」といった報道をした。 同時に調停勧告案を拒否したサムスンの責任は消えた。 調停委員会は昨年「再発防止対策には合意されたが、 残り『補償』、『謝罪』については議論が保留された」と書いた。

法務法人ヘネムのキム・ソンスン弁護士は 「裁判所もまたデジタルデイリーが経緯に対する説明なく、 数回にわたり過度に軽蔑的な表現でパノルリムを非難する記事を報道し、 監視、批判、牽制という正当な言論活動の範囲から逸脱して相当性を失ったケースに該当すると明らかにした」と伝えた。

続いてキム弁護士は裁判所の判決でパノルリムの名誉は一部回復されたが、 数年間のパノルリムに対する歪曲報道で発生した社会的費用は裁判所の介入の限界だと指摘した。 特に報道機関が通信会社の歪曲報道をそのまま引用報道することが多く、 裁判所の救済手段の行使も難しいと話す。

一例として、聯合ニュースが昨年9月に国連人権報告書がサムスン電子職業病問題解決の努力を肯定的に評価したという記事を報道し、 30社ほどの報道機関がこれをそのまま引用報道した。 実は、報告書はサムスン電子を賞賛したのではなく、 サムスン電子と政府の態度を批判する趣旨であった。 報告書を作成したバスクト・トゥンカク国連特別報告官が直接韓国言論の誤報を指摘することもあった。

一部のマスコミしか報じない「サムスン」職業病

故ファン・ユミ氏が2007年3月、サムスン電子器興工場で白血病で死亡した後、 2017年11月27日まで国内44の報道機関(朝鮮日報、中央日報、東亜日報を除外)で報道されたサムスン半導体職業病記事(検索語『サムスン半導体』、『白血病』、『労災』)は389件だ。 このうち京郷新聞が105件、ハンギョレ新聞が95件だった。 しかし、毎日経済、ファイナンシャルニュース、ソウル経済などの報道機関は、サムスンの立場を代弁する記事を生産した。

慶煕サイバー大学のシム・ヨンソプ教授はこれについて 「(サムスン職業病問題に対する)マスコミの報道がきわめて一部の報道機関に偏っており、 ほとんどの報道機関が沈黙しているが、 最大広告主であるサムスンから言論が独立して活動できないことが分かる」とし 「パノルリムの活動を歪曲しないまでも、サムスンの立場を代弁したり沈黙するのが現実」と指摘した。

続いてシム教授は「インフォテイメント(情報娯楽)」性の記事しか生産しないメディア環境を指摘した。 実際に報道機関(定期刊行物登録)数は2013年の8770か所から2015年には1万838か所に増えた。 しかし、購読率は2013年の20%から2015年には14%へと減少したが、 結合閲読率(新聞閲読率+インターネット記事利用率)は2013年の76%から79%に増加した。 シム教授はこれについて「インターネットの刺激的なコンテンツに集中する報道機関が 広告主の善意に依存するメディア環境を作った」と診断した。

したがって「広告依存性により、マスコミは『書き写し』の取材慣行が固まった」とし 「広告主から独立して活動できるマスコミが必要であり、 ジャーナリストは自律的な倫理を強く遵守し、教育に臨まなければならない」と付け加えた。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-12-04 21:18:05 / Last modified on 2017-12-04 21:18:06 Copyright: Default

関連記事キーワード



このフォルダのファイル一覧上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について