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サムスン物産事態、合併割合が1:1なら賛成するのか?

[ソーシャルパワー]国民年金、死んでも悪くても護具でも

ホン・ソンマン(編集局長) 2015.06.28 19:47

合併割合ではなく経営権変則継承の問題

意見が違って論争をしていると、どうして論争になったのか、 問題の原因が何だったのかを忘れてしまうことがよくある。 次々と自分の根拠だけを話していると、問題の始まりと原因がこんがらがり、 目の前に見えることが問題の原因であるかのように話されたりする。 サムスン物産と第一毛織の合併議論がそうだ。

この事態の発端になったのは、資産が3倍のサムスン物産の株式を第一毛織の株式価値の3分の1程度に評価して合併するということだ。 簡単に言えば、合併割合が問題だったのだ。 ところが、こうした問題を提起した集団が、他でもないエリオットというヘッジファンドだ。 エリオットは、合併割合がサムスン物産の株主価値を損なうと問題を提起し、 少数株主を集めて議論が始まった。

第一毛織はサムスングループの持株会社になる可能性が高い企業で、 合併した企業の株価は上がることになる。 そのためサムスン物産の少数株主も合併そのものに反対しているのではない。 議論の中心になったエリオットは、サムスンの経営権継承に関する支配構造再編には反対しないと公開で表明したのもこのためだ。

ことがこうなると、一方ではエリオットが合併に反対しておきながら相場差益を狙い、利益をあげた後に食い逃げするだろうと主張する。 だから国富流出を防ぐためにも、合併の過程での過度な株主補償は防がなければならないという。 つまり、こうした議論の過程で、現在の合併割合がさらに高まり、海外投機資本が利益をあげるからしっかり監視しなければならないということだ。

結局、株主の価値を守るにしても、国益を守るにしても、どちらも合併の割合が問題である。 果たして適正な合併割合を見つけることが、この問題の解決法になるのだろうか? サムスン物産の株主と第一毛織の株主が適正な補償を受けられる合併割合が出てくれば、 この合併はしてもいいのだろうか? では、また質問をしてみよう。 問題の発端になったサムスン物産と第一毛織の合併はなぜ行われるのか?

李在鎔(イ・ジェヨン)が横車を押して合併しようとしているのは、 この合併がサムスングループ経営権の三代世襲に有利な条件になるからだ。 サムスン物産は、グループの循環出資構造における核心であるサムスン電子の株式を保有している。 合併により李在鎔は自分の金は一銭も出さずにサムスン電子の株式を獲得することが合併の目的だ。

初めからこの合併は李在鎔の私益のために用意されたもので、国富流出や国益守護とは何の関係もない。 合併の過程で過度な株主補償が行われようがどうだろうが、それはほとんどサムスンの問題だ。 また合併割合はサムスンと株主の間の利益配分の問題で、サムスンの経営権継承問題を判断する基準にはならない。 エリオットが主張するサムスン物産への株主補償は、サムスンが合併による通行料をもっと払えという話でしかない。

土地投機屋がやってはいけない所の土地を買ってアパートを作ろうとし、 補償金狙いの土地買収をしていた別の投機屋がもっとたくさん補償金を払えと争っている。 誰の味方をすべきなのか。 土地投機そのものが出来ないようにして、アパートを作らせないようにするべきであって、 補償金をいくらにすれば適正なのかを問い詰める議論に包まれる理由はない。

したがって、この議論は株主価値を守ることでも、国益を守る問題でも、双方の株主価値を保障する適正な合併割合を見つける問題でもない。 財閥の変則的な経営継承、合併による循環出資の変則的な悪用が問題だ(われわれは何度かソーシャルパワーを通じ、これを主張した)。 新しい循環出資は、現在の法でも禁じられている。 しかし、合併により事実上、新しい循環出資構造を作り、李在鎔がサムスングループを支配する踏み台にしようとしているのだ。 既存の循環出資を変則的に活用し、新しい循環出資構造を作ろうとしているのだ。

国民年金、死んでも悪くても、護具でも

ここで、まず最大株主の国民年金の立場に関心が集まっている。 国民年金は最近、SKとSK C&Cの合併に反対した。 国民年金がサムスンの合併に反対すれば、事実上、合併計画は水の泡になる。

国民年金が株式市場に投資し始めた後から財閥と金融資本の財布で操り人形の役をして「護具」と呼ばれた。 国民が集めた数十兆ウォンの年金基金を株式市場に注ぎ込みながらも 「財務的投資」に制限され、口先だけの中立でそのまま金だけを出していた。 金融資本の護具という批判が続くと、国民年金は「社会責任投資」という名分を打ち出して、議決権を行使したりもした。

しかし社会責任投資はやはり見掛け倒しだ。 国民年金は、口では社会責任投資を語るが、サムスンをはじめとする財閥大企業に投資を集中した。 国民年金は2014年上半期、時価総額に対する国民年金投資金の割合が6.8%で、国内株式市場の最大株主だ。 投資金は合計90兆ウォンに迫る。 国民年金の上位5大財閥企業に対する投資額の割合は83%、10大企業は93%に達する。 このうちサムスングループの株式評価額が20兆ウォンを超え、 30大グループの中で40%を越える割合を占めている。 相変らず国民年金は財閥、特にサムスンの財布役をしてきただけだ。

また、2013年に李彦周(イ・オンジュ)議員が明らかにした内容によれば、 社会責任投資の上位20企業のうち最近5年間(2008〜2012年)に公正取引法違反で摘発された企業は11社で55%に達し、 合計60の企業が公正取引法違反で摘発され、社会責任投資企業274社の22%を占めた。 国民年金が社会責任投資をした企業の相当数が公正取引法違反企業である。

一方、最近、国民年金は株主価値という名で既存の理事会に反対する意見をとても少しずつ出している。 しかしこれも形だけだ。 初めから社会責任投資も企業の社会的な価値ではなく、株主価値の極大化を目標に形成された。 良く言えば社会的責任だが、事実上株主に対する責任である。 下請企業の単価切り下げ、内需市場価格の差別、路地商圏獲得、人員構造調整などの独占利益を拡大するための財閥の活動は、株主価値という面でいつも無視されてきた。

国民年金はSKの合併についても、株主価値の毀損を理由として合併に反対した。 国民年金が名分を得るために株主価値をあげたのでなければ、問題は深刻だ。 SKとSK C&Cの合併も、財閥支配構造の変則再編と関係があるからだ。 この合併は、初めから仕事集めの規制対象だったSK C&Cが巧妙にこれを避けて、 現在、詐欺・横領で拘束収監されている崔泰源(チェ・テウォン)会長の支配構造をさらに強める方便にした。 国民年金が少なくとも社会責任投資を標榜するのなら、犯罪者の崔泰源会長の地位をさらに強めるような合併に賛成してはならなかったし、 それが明らかな合併に反対する理由でなければならなかった。

株主価値が問題なら、国民年金はサムスン物産の合併に反対する理由も明らかではない。 国民年金は、サムスン物産の株式だけでなく、第一毛織の株式も相当数保有している。 国民年金が保有する株式価格の上昇に合併が寄与するかもしれない。 現在のような条件では、国民年金を単なる財務的投資家、 あるいは株主としての役割を制限するのは金融資本の護具に留まっていろという言葉と同じだ。

国民年金はその上、合併の割合が改めて算定され、サムスンとエリオットが合意をしても、 財閥の三代世襲を防ぐために循環出資の変則的な悪用を防ぎ、合併に反対しなければならない。 財閥が総帥一家の所有物としてもてあそばれるのではなく、社会的役割を拡大するために議決権を行使するべきだ。 それこそ公的年金基金が株主ではなく、国民のために国民経済により大きく尽くすところだ。[チャムセサン研究所(準)]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-06-29 22:37:59 / Last modified on 2015-06-29 22:38:00 Copyright: Default

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