本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国:サムスン白血病交渉が霧の中、再登場した調停委員会設置で攻防
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1411307873288St...
Status: published
View


サムスン白血病交渉が霧の中、再登場した調停委員会設置で攻防

「サムスンの『交渉回避名分』になる」 VS 「膠着を打開する突破口」

ユン・ジヨン記者 2014.09.19 12:16

サムスン白血病の交渉が各主導者の立場の違いで突破口を見つけられずにいる。 その上、前の交渉で「補償基準の議論」を始めることで合意をしたが、 これさえ議論は進んでいない。

さらに去る4月、一回議論があった「第3の仲介機構の構成」に関する争点もまた浮上している。 家族対策委は現在、遅々として進まない交渉に速度をつけるために「調停委員会」を設置することを提案し、 サムスン側もこれを受け入れている。 だがパノルリムは調停委員会は時期尚早だとし、 サムスンが現在、被害者との交渉の議題に誠実に臨むべきだと主張している。

特に、今までサムスンがパノルリム側の要求案の受け入れを拒否したり、議論自体を回避しており、 事実上、サムスンが調停委員会という争点を打ち出し、交渉の論点自体を曇らせようとしているのではないかという憂慮もあがっている。 これまでパノルリムという枠組み中で、同じ釜の飯を食べていた一部の被害者が「家族対策委」に分離し、双方の感情の谷も深いためめ、 サムスンに対するパノルリム-家対委の共同対応も当分は難しそうだ。

サムスン白血病交渉は霧の中、再登場した調停委員会の設置で攻防

9月17日、サムスン-パノルリム-家族対策委は江南区論硯洞の建設会館で、 5時間にわたる8次交渉を進めた。 この日の交渉では、各主体が立場の一致を見せた補償基準に関する議論が続くと予想されていたが、これも霧に包まれた。

先立って9月13日に開かれた6次交渉でサムスンは、 「交渉団に参加している8人の被害者を先に補償で合意した後、補償の基準を作る」という従来の主張から一歩退き、 所属会社、病気の種類、在職期間、在職中の担当業務、退職時期、発病時期など6項目で構成された補償基準を用意した。 同時にパノルリムは、サムスン側に労災申請者33人のリストを渡した。 これで被害者33人を包括する補償基準を作る糸口が見つかるのではないかという期待感がふくらんだ。

だがパノルリム-家対委が分裂し、「補償基準の議論」に関する争点は水面下に沈んだ。 7次交渉でも、サムスン-パノルリム-家対委の3主体の交渉枠組みに関する議論により、 争点が転換されて8次交渉でも 「補償基準用意」の議論は進められなかった。 特に補償基準の議論は、パノルリムと家対委の共通した要求だが、 8次交渉でサムスンが「交渉の枠組みが決まっていない」という理由で議論を避けているため、 状況はさらに悪化している。

「交渉の枠組み」に関する争点に終止符が打たれる前に、「調停委員会の構成」という争点が再登場したことで、 今後の3者交渉はさらに少しも前を見通せなくなった。 家対委は8次交渉で会議中断を宣言した後、 サムスンとパノルリム側に「調停委員会構成」を提案した。 4か月間、各主体の間での意見対立だけが続き、交渉が遅々として進んでいないだけに、 調停委員会を構成して突破口を作ろうという要求だ。

サムスンはすぐ「調停機構が問題解決の一番速い解決法になるという立場に共感する」という立場を表明し、 家対委側の提案を受け入れた。 だがパノルリムは、調停委員会の構成は「時期尚早」だとしてこれに合意しなかった。 サムスンは今の交渉で、補償基準と再発防止対策の議論に誠実に臨めば、 今でも早急に議論を続けられるという指摘だ。 結果として「調停委員会」に関する争点が登場したことで、 サムスンは謝罪、補償、再発防止対策などの争点の議論についての負担が当分、 小さくなることになった。

「サムスンの『交渉回避名分』になる」 VS 「膠着を打開する突破口」

調停委員会構成が争点に浮上したのは今回が初めてではない。 4月に正義党の沈(シム)サンジョン議員は「第3の仲介機構の構成」をサムスン側に要求し、 その時もサムスンは「真剣に検討する」と前向きな立場を明らかにした。 当時はパノルリムとサムスンの実務交渉が4か月間、膠着状態から抜け出せなかった時だ。 サムスンがパノルリムを交渉の当事者として認めなかったため、交渉自体が開かれなかったためだ。

だが沈サンジョン議員の第3の仲介機構の提案は、 パノルリムとの協議の下で出てきたのではなかったため論議がおきた。 パノルリムとサムスンが交渉をしている状況で、内部的な合意のない「第3の仲介機構」はサムスンが交渉を懈怠する名分として作用するという指摘だった。 政界などが介入する仲裁機構が当事者の協議を排除した「合意案」で双方を圧迫し、 交渉を妥結してきた慣行があるため、不信も大きかった。

今回再登場した調停委員会も、サムスンを圧迫する手段というよりも、 サムスンが各種の争点から一歩退くことができるように、 喉を開く役割を果たす可能性がある。 何よりもパノルリムが調停委員会構成に反対している状況で、 調停委の構成も合意は難しい。 調停委員会に推薦する人物の割合はどう調整するのかに始まり、 人員、地位、役割、権限など、合意すべきことは一つや二つではない。 当初の目的とは違い、むしろ調停委員会の構成が交渉の論点を曇らせたり、 交渉を長期化させかねない問題だ。

パノルリムの関係者は 「サムスンは8次交渉で補償を議論しようという要求も受け入れなかった。 交渉する気持ちがないということ」とし 「調停委員会の構成を別として、 サムスンにその意志さえあれば十分に議論を進められる問題だ。 サムスンはそれなのに補償議論には答えず、調停委員会の構成は直ちに受け入れるという立場を明らかにしている。 (交渉から)パノルリムを押し出すために考えているようだ」と説明した。 続いて「調停委員会構成の議論で交渉がさらに遅れるかもしれない。 今後、サムスンの責任回避の名分になる憂慮もある」と指摘した。

しかし家対委は交渉自体が4か月間空転するばかりなので、 何としても突破口を用意すべきだという立場だ。 今の状態では交渉膠着状態が長期間続くほかはないという憂慮だ。 家対委の関係者は 「今回の交渉は(4月の)仲裁機構の話から始まった交渉だ。 当時、パノルリムは仲裁機構の構成は今後のことを考えて先送りした部分」とし 「4か月間、交渉が膠着状態だ。 この程度ならまともな交渉とは言えないのではないか。 新しい枠組みが必要な状況」と説明した。

また家対委は「調停委員会」を補償の議論だけでなく、 謝罪、再発防止対策まで包括して議論できる枠組みとして構想している。 一部のマスコミで家対委が「8人優先補償」だけを要求しているように言われていることについても憂慮を示した。 家対委の関係者は 「今までの原則を無視して初めから交渉をしようというのではない。 10か月間の実務交渉で、謝罪、補償、再発防止対策に関して勝ち取ったことは基本として抱いて行く」とし 「パノルリムがこれを拒否しても、尊重しなければならない部分だと考える。 だがそうなると、今後の交渉も混乱することになるだろう」と説明した。

なお家対委は、8次交渉でサムスン側に調停委員会構成の議論は実務協議で進める方案を提案している。 交渉の速度をつけるために、交渉の周期をこれまでの2週間から1週間に短縮する方案も提示した。 家対委は9次交渉で調停委員会の構成に関する具体的な計画を提出する計画だ。 現在は、9次交渉の日程は決定していない。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2014-09-21 22:57:53 / Last modified on 2014-09-21 22:57:53 Copyright: Default

関連記事キーワード



このフォルダのファイル一覧上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について