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韓国:労災保険制度の趣旨に従い立証責任の所在を正せ
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サムスン半導体白血病控訴審判決、習った通りに話します

[寄稿]労災保険制度の趣旨に従い立証責任の所在を正せ

キム・ジェウォン(産疎通) 2014.09.01 15:00

「業務と災害発生との間に相当な因果関係がなければならなず、 この場合、勤労者の業務と病気、または上の病気による死亡との間の因果関係に関しては、 これを主張する勤労者側が立証しなければなりません。 (中略)わが裁判所はこのような大法院判例に立脚してこの事件を判断しました。」

2014年8月21日、ソウル高等法院第1別館311号法廷、判決理由を簡略に要約作成してきた裁判長は、 判決宣告を上のような言葉で始め、私はそこですでに半分ぐらい諦めました。 やはり、裁判長がその後で宣告した控訴審判決の主文は1審判決の結論と違いませんでした。

それでも、控訴審が故ファン・ユミ、イ・スギョンさんに対して勝訴趣旨の判決を維持したのは幸いですが、 あとの故ファン・ミヌンさん、キム・ウンギョンさん、ソン・チャンホさんの死亡または病気が労災と認められなかったのは残念です。 自分が勝訴したのに、ただ喜ぶことができなかったファン・サンギのお父さん(故ファン・ユミ様のお父さん)と、 敗訴の悲しみを抱かせられたチョン・エジョンさん(故ファン・ミヌンさんの妻)の後ろ姿が痛いように記憶に残ります。 控訴審判決が従った大法院の判例法理が私は本当に残念です。

因果関係の証明責任を労働者に賦課することが 労災保険制度の趣旨に合っているでしょうか?

私たちがこの事件で見るように、 すでに病気にかかって退社した労働者が、自分の病気の証拠を会社で探せというのは不可能に近いです。 会社が関連資料を出さなければそれまでです。 勤労福祉公団が疫学調査をしても、すでに時間が経ちラインそのものがすべてなくなっていたり、 きれいに清掃された状態での疫学調査の結果にどれだけの信憑性があるでしょうか。

さらには何の病気なのかもわからない希少病でも、 なぜそんな病気になるのか医者もよくわからない病気にかかった労働者に、 「あなたの業務と病気との間の医学的な因果関係を証明しろ』と要求するのは事実上、 補償をしないという言葉と別段差異がありません。

いったいどんな物質が使われたかがわからなければ、なぜ病気にかかったかの証明ができないではないかと言いますが、 サムスンは営業秘密だと言って頑張り、わが国の法制度はその頑張りの前にあまりにも無気力です。 現行の法制度では、会社が営業秘密だと頑張れば、 勤労福祉公団も、裁判所も、どうしようもありません。 こうした状況で、いくら裁判所が因果関係の証明の程度を緩和して、 因果関係が明確に証明されなくても「推測判断」だけでもいいとお情けをかけても、 それはただ口先だけの「ばらまき」でしかないのではないでしょうか。

こんな状況なのに、因果関係の立証責任を労働者に賦課することが 「勤労者の業務上の災害を迅速かつ公正に補償する」労災保険制度の趣旨に合っているでしょうか?

法は変わったのに、なぜ判例はそのままなのでしょうか? 訴訟法原理はなぜ労災保険だけを避けるのでしょうか?

だから立証責任が問題になるのです。 先に見たように、 証明の程度を緩和するだけでは労災保険制度の趣旨はとても達成できないからです。

法的には、立証責任とはどんな事実があるのかないのか、真偽が不明の状態に陥った時、 誰が訴訟で負けるのかを決めることです。 勤労者に証明責任があるということは、 勤労者が業務と病気との間の因果関係を証明できなければ、 勤労福祉公団(労災訴訟は勤労福祉公団に保険給付をしてくれという趣旨の行政訴訟なので、 勤労者の相手方(被告)は勤労福祉公団で、使用者(会社)は「被告補助参加人」として訴訟に参加します)がじっとしていても、 勤労者が負けるということですね。

2007年に全面改正された労働災害補償保険法の第37条第1項は 「ただし、業務と災害との間に相当な因果関係がない場合にはそうでない」という調子で、 これまではなかった因果関係の規定を入れました。 訴訟法上の証明責任分配の基本原則である、いわゆる「法律要件分類説」によれば、 法文言上の但し書きに(例えば「ただし」の後に)規定されていることは、 その法律の規定による効果を阻止しようとする者により証明されなければならないそうです。 つまり、労災保険法第37条第1項の場合、 「因果関係がなければそうではない」という趣旨の規定を但し書きに入れているので、 因果関係があるから給付を受けるという勤労者ではなく、 因果関係がないから給付をしなくていいという勤労福祉公団が、 その因果関係がないことを証明するべきだと読むのが正しいということです。

大法院は1989年以来、上の控訴審裁判所が引用した立証責任の法理を20数年間、 一度も変えたことがありません。 法が変わったのに判決が変わらないのは本当におかしなことです。 百歩譲って、2007年の改正前には勤労者に因果関係の立証責任があるという判例法理が正しかったとしても、 2007年の改正後もそれが維持されることは正しくありません。 それでも裁判所は上の2007年の改正後も、やはり1989年の判例を引用し続けるだけで、 学者たちは何の説明もなく、ただ立証責任が転換されてはいけないという言葉を繰り返すだけです。

今でも公団に立証責任があることを明確にしようといえば、 それは証明責任を転換しようということだと言って、 そんな話をする人を「慎重ではなく」過激な人だと見ているようです。 しかし、それでも裁判所もすでに立証責任は一定部分、 勤労福祉公団と使用者側にあることを確認しています。 ソウル高等法院は2009年のいわゆる「副鼻腔ガン」判決(ソウル高等法院2009.12.2.宣告2009ヌ8849判決、大法院でも扱われ、上告棄却で確定した判決です)で、 勤労者が取り扱った物質が発病の原因になる医学的可能性、露出の事実と、 元は健康だったという事実、 そして業務遂行中にその病気にかかったという事実さえ証明できれば (今回のパノルリム事件にこの法理をそのまま適用すれば、これらの部分は当然十分に証明されています)、 取り扱い物質が勤労者の発病原因ではないという事実や、 業務ではない他の原因によってその病気が発生したという事実を逆に勤労福祉公団と使用者側が証明しなければならないと判決しました。 つまり、勤労福祉公団が「業務と病気の間に因果関係がないという事実」を証明して始めて、 保険給付をしないことが訴訟で正当化されるという話なので、 これがまさに「立証責任の転換」です。 それでも裁判所も認めたことを「慎重ではなく過激な」話だといえるでしょうか。

他の訴訟法領域では通説として受け入れられている立証責任分配の原理が、 なぜ唯一労災保険法だけには適用されてはならないのでしょうか? 裁判所もすでに確認した法理です。 過激な話をしているのではないということです。 法の通りにしよう、一般法原則をこの問題にもそのまま適用しよう、 そう言っているだけです。

私たちはありのままに勉強し、学んだ通りに話そうと思います

われわれ産疎通は、何年か前に私たちの科のある教授を通じ、サムスン側から半導体工程の見学の提案を受けました。 学生たちがとても「一方的な立場」だけ聞いているので、会社側の立場も聞いてみなければならないのではないかということでした。 私たちは論議の末に提案を断りました。 私たちは誰かの肩を持つのではなく、ありのままに勉強し、それで学んだ通りに話そうと考えたためです。

大法院が勤労福祉公団に証明責任があることを宣言するのも、 勤労福祉公団が「迅速な災害補償」のためにこれ以上上告をしないことも、 「法の通りに」するだけのことだというのが私たちの考えです。 大法院と勤労福祉公団にそうしろということは、決して「過激な主張」でありません。 「片方の肩ばかり持つ」主張ではありません。

現行の労災保険制度には、問題が多いです。 しかし一応、その労災保険制度だけでも、今の法律のまま、古い判例法理ではなく改正された法の通りに、適用してくれというのです。 迅速な災害補償を試みるという労災保険なのに、これらの法は労災申請からすでに8年も戦っています。 控訴審だけで3年かかりました。 あの人たちはあとどれだけ待たなければならないのですか。

勤労福祉公団は「勤労者の業務上の災害を迅速かつ公正に補償する」労災保険法の趣旨により、 原告勝訴の部分に対する上告を放棄して、 大法院は敗訴した原告3人の上告審で業務と病気の間の立証責任の所在を正してくれることを願います。

付記
「産疎通」はソウル大学校法学専門大学院人権法学会「労働災害労働者たちと疎通する学生たちの会」です。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2014-09-02 05:44:12 / Last modified on 2014-09-02 05:44:13 Copyright: Default

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