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裁判所、控訴審でもサムスン白血病労災認定...勤労福祉公団が敗訴

被害者5人のうち2人だけを労災認定、3人は敗訴...「過度な被害者立証責任のため」

ユン・ジヨン記者 2014.08.21 15:41

裁判所が原審に続いて控訴審でもサムスン白血病労働者の労働災害を認めた。 被害者が勤労福祉公団に対して労働災害認定の戦いを始めて約7年、 控訴審が始まって約3年目の判決だ。

ソウル高等法院第9行政府(部長判事イ・ジョンソク)は8月21日午後1時30分、 サムスン半導体器興工場で働いて死亡した故ファン・ユミ氏のお父さんファン・サンギ氏など、 職業病被害者5人が提起した「遺族給与および葬儀費不支給処分取り消し訴訟」控訴審で、 原審と同じく一部勝訴の判決をした。

▲パノルリムと被害者遺族らは判決以後ソウル高等法院第1別館の前で立場を発表した。

裁判所、控訴審でもサムスン白血病の労災認定...勤労福祉公団が敗訴
被害者5人のうち労災認定一部勝訴、3人は敗訴

裁判所は「ファン・ユミ、イ・スギョンは、 業務遂行と白血病の間に相当な因果関係が存在すると判断した」とし 「湿式エッチング工程と洗浄作業過程でベンゼンなどに露出した可能性があり、 作業場移動の過程での電離放射線露出の可能性など、さまざまな事情に照らして、 業務と病気の間に相当の因果関係がある」とし、 控訴を提起した勤労福祉公団に敗訴の判決をした。

故ファン・ユミ氏は2003年にサムスン半導体器興工場に入社したが、 2年後に急性骨髄性白血病診断を受け、2006年に死亡した。 ファン・ユミ氏と2人1組で作業していた故イ・スギョン氏も急性骨髄性白血病と診断され、 2006年に死亡した。

また裁判所は今回の判決が「相当の因果関係の存在は医学的、自然科学的証拠だけでなく、諸般の事情も考慮して推定しなければならない」という大法院の判例に基くものと明らかにした。 これに関して裁判所は 「この事件は災害と業務の間の因果関係立証のための判断が決して容易ではなく、 一目瞭然に立証するのは難しい部分がある。 勤務年から相当な時間が経過しているため証拠の確保が難しく、 原告が情報に接近することに限界があった」と説明した。

しかし裁判所は原審で労働災害を認められなかった故ファン・ミヌン氏をはじめソン・チャンホ、キム・オギ氏の3人に対しては、原審と同じく労災を認定しなかった。 業務と病気の間の因果関係は、被害者本人が直接立証しなければならないが、 立証できるだけの証拠が不足しているという理由だ。

裁判所は「ファン・ミヌン氏など3人は、 業務と病気の間に相当の因果関係の証拠が不足している」とし 「彼らはファン・ユミ、イ・スギョンとは違い、 業務内容で発病原因になる有害物質に直接露出したり、 病気を誘発するような他の工程の有害物質に露出したと認める証拠が足りない」と明らかにし、 1審と同じく彼らの控訴をすべて棄却すると明らかにした。

故ファン・ミヌン氏は、サムスン半導体器興工場に設備エンジニアとして入社し、 7年間、設備の維持および保守業務を遂行し、 急性リンパ腺白血病と診断され、2005年に死亡した。 また、温陽工場設備エンジニアだったソン・チャンホ氏は、6年間働いて悪性B細胞リンパ腫と診断され、闘病中だ。 キム・オギ氏もサムスン半導体温陽工場で5年間働き、急性骨髄性白血病と診断され闘病中だ。

「被害者に対する過度な立証責任で3人が敗訴...法制度の改善を」

被害者と労災認定の戦いを行っているパノルリム(半導体労働者の健康と権利を守る会)と遺族は、 今回の判決を歓迎すると明らかにした。 また今回の判決が今後のサムスン半導体白血病死亡労働者たちの控訴審判決にも影響すると見通した。

ただし被害者に対する過度な立証責任のために3人の被害者と遺族の労働災害が認められなかったとし、法制度の改善を要求した。 控訴審でも敗訴判決を受けた故ファン・ミヌン氏の妻、チョン・エジョン氏は判決の直後に涙を流した。

パノルリム常任活動家のイ・ジョンナン労務士は 「今回の判決は2011年のソウル行政法院の労災認定判決に対し、 勤労福祉公団が控訴を提起したため、3年という長い時間、また法廷での攻防の末に下された貴重な判決」とし 「被害者の白血病が職業病などの業務上の災害だという判断は極めて合理的で常識的だ」と評価した。

続いて「今回の判決は故ファン・ユミさんと同じ仕事をしていた別のサムスン半導体白血病死亡労働者、故キム・ギョンミさんの控訴審判決にも決定的な影響を与えるものと見られる」とし 「また、すでにサムスン半導体工場だけで白血病、悪性リンパ腫などの重症リンパ造血系疾患被害者70余人があらわれている。 今回の判決で別の被害者たちにも労働災害認定の道が開かれることを願う」と明らかにした。

故ファン・ユミ氏のお父さんファン・サンギ氏も 「二人は勝訴したが、三人は敗訴した。 働いて化学物質に露出し、病気にかかったことを家族が立証しなければならないからだ」とし 「サムスンは営業秘密だとして資料も出さずにいる状況で、 被害者に立証責任まで負えというのはおかしい。 サムスンは労災認定を受けた人をはじめ、 すべての被害者と家族に謝罪して補償と再発防止対策を用意しなければならない」と声を高めた。

イ・ジョンナン労務士も「労災認定を受けるために、これほど長い時間がかかり、証明責任まで労働者に賦課されるのは、 病気の労働者を保護する労災保険制度とはとても距離が遠い。 だから今回の労災認定判決を歓迎するが、 労働者に労災責任を立証させる現行の法制度は一日も早く変えなければならない。 今日敗訴した三人の労働者たちも、職業病が認められるように最善の努力を尽くす」と明らかにした。

また「勤労福祉公団はこれまでの誤りを心から謝罪して、 今回の判決の結果を謙虚に受け入れなければならない」とし 「今回もまた勤労福祉公団が上告すれば、 勤労福祉公団自らが法を無視し、企業主のための機関であることを宣言するもの」と強調した。

サムスンも事態の責任を取り、すべての被害者らに謝罪と補償をしろと要求した。 イ労務士は「サムスン電子は、労働者を有害な業務環境に追いやっただけでなく、 労災承認を積極的に妨害してきた」とし 「したがってサムスン電子は、これらの諸々の事態に対する責任を取り、 今日の判決で勝訴した当事者だけでなく、すべての被害者に適切な謝罪と補償をするべきだ」と強調した。

なおサムスン白血病被害者5人は2007年6月から勤労福祉公団に労災申請をしたが、 2009年5月に全員不承認の通知を受けた。 そのため被害者たちは労災認定のための訴訟を提起し、 ソウル行政法院は2011年6月に原告一部勝訴判決をした。 だが直ちに勤労福祉公団が控訴を提起し、3年間の法廷での攻防が続いた。 特に裁判の過程で勤労福祉公団の代わりに被告補助参加人としてサムスン電子の代理人団が参加したことで論議がおきた。

その後、サムスンとパノルリム、遺族が交渉に突入し、 サムスンは今年の7月に被告補助参加を撤回した。 現在、パノルリムとサムスンは6回に渡る交渉を進めているが、 補償と謝罪、再発防止対策などをめぐる意見の差が狭まらずにいる。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2014-08-22 00:54:53 / Last modified on 2014-08-22 00:54:54 Copyright: Default

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