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被害者164人のうち8人だけに補償? サムスン、結局、職業病を無視するか

「残りの被害者は倒れろというのか」サムスン職業病被害者が反発

ユン・ジヨン記者 2014.08.18 14:32

サムスン電子とパノルリム(半導体労働者の健康と権利を守る会)が、 職業病問題解決のための交渉を始めたという知らせに、 数百人の被害労働者たちは内心希望を抱いた。 だが希望が絶望に変わるまで、それほど長くかからなかった。 交渉に突入して三か月間、サムスンは被害者に対する補償案さえも出さなかった。 交渉に参加する8人の被害者と家族に対する優先補償の主張だけを繰り返すばかりだった。

現在、サムスングループ内の電子産業部門系列会社で働いて 白血病、脳腫瘍など職業病にかかり、パノルリムに情報を提供した労働者は223人だ。 そのうち今回の交渉対象者に包まれるサムスン電子半導体、LCD部分情報提供者は164人だ。 これらのうち、すでに70人が死亡した。

サムスンが交渉団に含まれる8人を優先して補償するという方針を曲げず、 情報提供者と家族はまた深い傷を負った。 交渉団に参加している家族さえ「受け入れない」と反発している。 結局、乳ガン、多発性硬化症、再生不良性貧血などで闘病している職業病被害労働者と子供を失った被害労働者の母親などが8月18日午前、 瑞草洞のサムスン電子本館前に集まった。 彼らは証言記者会見を開き 「サムスン電子は働いて病気にかかって死んでいったすべての被害者に謝罪し、補償しろ」と声を高めた。

被害者164人のうち8人だけに補償? 「残り被害者は倒れろというのか」

職業病被害者のパク・ミンスク氏は91年から98年までの7年間、 サムスン半導体工場で働いて乳ガンにかかった。 朴氏は「働いている間、周辺で流産、不妊などの苦痛を見てきた。 私も流産と不妊に続いて乳ガンにかかった」と明らかにした。 彼女と共に働いて白血病にかかり、闘病してきた故イ・スギョン氏はすでに亡くなった。 朴氏は「情報を提供した人ではなくてもかなり前の事なので、隠そうとする被害者も多い」とし 「苦しんでいる人々が直接出てこなければ世の中に知らされないと思い、勇気を出した」と声を高めた。

キム・ミソン氏も高校三年に在学していた97年の6月に入社し、 3年半サムスンLCD工場で働いた。 働いている途中で突然、足と腕から力が抜ける症状が現れ始め、結局病院にかかった。 彼女の病名は名前も聞いたことが無いような「多発性硬化症」という希少病だった。 左半身が麻痺し、視力も落ちて極度の鬱病に苦しんだ。

キム・ミソン氏は「私以外にも被害者はあと二人以上いる。 彼らも途方もない被害を受けた」とし 「15年間闘病生活をして、いつも入院と退院を繰り返している。 いつどこの部位で再発するかもしれずに不安だ。 視力も殆どなく、再発の危険もあり、働けないまま医療費と生活に苦しんでいる。 途方に暮れるばかりだ」と涙を流した。

続いてキム氏は「交渉を始めたという話に内心期待した。 だが実際の状況を見ると、とても苦しい。 もう出てきて害を話さなければならないと考えた」とし 「サムスンは私以外にも、被害を受けたすべての人に誤りを認めてほしい」と強調した。

サムスンとの交渉の過程を見守る職業病被害労働者の家族も胸が潰れそうだ。 サムスンLCD工場で働いて再生不良性貧血にかかり、 2012年に死亡した故ユン・スルギ氏の母親のシン・ブジョン氏もこの場で鬱憤を晴らした。 シン氏は「私の娘は働いて6か月で重症再生不良性貧血になった。 工場では臭い化学物質のにおいがして、間食のパンもとても食べられないといった」とし 「結局13年間闘病をし、股関節が壊死し、 肺と膓の出血が続いて、鼻と口から血を吐いて、三十二で命を終えた」と話した。

シン氏は「だがサムスンはひどいことに、私の娘の病気はサムスンでかかった病気ではないと言う。 そして(交渉で)顔を見せた8人とだけ合意するという。 では顔を知らない他の被害者はそのまま倒れろというのか」とし 「私のスルギのことを考えると血の涙が出る。 サムスンはひどい行動を止めて、私のスルギを生き返らせろ」と声を高めた。

サムスン半導体の乳ガン被害者イ・ヒョン氏の兄イ・ヒョンベ氏も 「高校卒業前にサムスン半導体工場に入り、4年以上働いた。 今は片方の乳房がなくなって5年になる」とし 「乳ガンの闘病薬を飲みながら、子宮内膜手術も2回した。 交通法に違反しても罰金を払うのに、これほど多くの事故と患者を作り出したサムスンはなぜ処罰を受けないのか。 被害者が続出しているのだから、サムスンは責任ある姿勢で問題を解決しろ」と強調した。

6回の交渉、補償、謝罪、再発防止対策、何一つ進まず

サムスンとパノルリムは5月末から3次本交渉を始め、現在まで6回の交渉を続けてきた。 しかし補償、謝罪、再発防止対策といった主要争点でいつも意見の差が発生したり、 まったく扱われなかった。 補償問題に関してサムスンは、交渉に参加した8人に対して優先的に補償するという立場を固守しているが、 パノルリムは労災申請者をはじめとする潜在的な被害者に対する全員補償を要求している。

特にサムスン側はこれまでの交渉で、 8人に対する優先補償案を受け入れなければ補償基準について話せないという主張を曲げず、 8月14日になって6項目の補償基準案を提示した。 パノルリムは「第六回交渉でサムスンは直接交渉に出てきた8人の被害者への補償の議論を先にしようと言って被害者を分断しようとした」とし 「そして補償基準を作るべきだとし、補償対象になる被害者らを選別しようとした」と批判した。

直接交渉に参加している職業病被害労働者と家族もサムスンの「8人先補償案」に反発している。 故ファン・ユミ氏の父親で、交渉団団長のファン・サンギ氏は 「サムスンはユミの勤労期間を偽造した文書を勤労福祉公団に提出し、 この前は権五鉉(クォン・オヒョン)副会長がまた詐欺を働いた。 被害補償と謝罪、再発防止をするといいながら、長い間何の措置も取らなかった。 何一つ変わったことはない」と批判した。

ファン氏は「情報提供者だけでも200人を越えるのに、 たった8人だけ補償して、あとは今後議論しようというのはおかしい。 死亡した人や重症患者は意志表示も難しい。 そうした人々は排除されるほかはない」とし 「また病気にかかった労働者を懐柔・脅迫したこと、 多くの労働者が職業病にかかったことなどについて、 具体的に謝罪しろ」と要求した。

交渉団に参加しているハン・ヘギョン氏(サムスンLCD脳腫瘍被害労働者)と母親のキム・シニョ氏も、 すべての職業病被害労働者への補償を主張した。 ハン・ヘギョン氏は「8人だけを先に補償するというサムスンの主張はひどい。 サムスンで働いて病気にかかったのもくやしいが、 誰には補償して、誰にはしないというのか」とし 「サムスンは色々な理由を上げず、一人の労災申請者も排除してはいけない。 落伍者なく、全員が治療を受けられるべきだ」と声を高めた。

キム・シニョ氏は 「サムスンが話にもならない我を張っている」とし 「働いて同じように病気にかかった被害者なのに、8人しか補償しないという。 それでは職業病被害者全員がベッドと車椅子を押して出て来いというのか」と反発した。

なおパノルリムはこの日の記者会見文で 「わかっている被害者だけで164人で、そのうち、死亡者は70人だ。 あとどれほど死に、病気にかかれば誤りを認め、全ての責任を取る態度を見せるのか」とし 「一部の被害者に対する選別的補償だけでは決してこの問題は解決しないことを肝に銘じろ。 すでに世の中に知らされたすべての被害者に対して責任を取って補償しろ」と要求した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2014-08-19 03:11:48 / Last modified on 2014-08-19 03:11:49 Copyright: Default

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