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韓国:冷蔵庫に両手をあわせ...サムスン電子サービスはピエロ
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冷蔵庫に両手をあわせて丁寧に...サムスン電子サービスはピエロ

感情労働者アフターサービス技術者の霊魂ない微笑...「みじめだ」

チョン・ジェウン記者 2013.11.06 10:53

サムスン電子サービス支会のチェ・ジョンボム烈士の葬儀場に入る人が騒がしい。ぞろぞろと集まったサムスン電子サービス下請労働者のアフターサービス技術者たちは、タバコ一本吸う短い時間にも対話が絶えない。モンスター顧客とモンスター社長の経験について互いに言葉が多かった。

ある労働者が「サムスンのチペル冷蔵庫に両手を丁寧にあわせて働く。冷蔵庫 にも礼を尽くさなければならない」と話すと、他の労働者が「膝も折ってチペ ルを修理する」と受け返した。謙虚ではないと顧客が文句をいうので両開きの 大型冷蔵庫はひざをつき、資材を使って修理しなければならないためだ。

別の労働者は「冷蔵庫の下の結氷したところを溶かすため、一時間以上ひざを ついていて足が痛くなり、腰掛けているとサムスン電子サービスに顧客から抗議 が入った」と言う。「ご飯を食べて来なかった」と言うと「今飯をくれといって いるのか」と顧客が怒ったり、製品を修理する時に冷蔵庫の扉を強く閉じたと 顧客が抗議したことなどが続々と出てきた。

結局彼らは両手をあわせてひざまずく「謙虚」な行動が顧客のためか、冷蔵庫 のためか、まったくわからないと虚しく笑った。感情労働者のアフターサービス 技術者らは顧客がいない時も顧客という単語の後にいつも「様」を付けた。

▲東大門センターのアン・ヤングン氏の膝の肉が固くなっている。両開きの大型冷蔵庫はひざをつき資材を使って、修理しなければならないからだ。[出処:メディア忠清]

「お前」、「このやろう」、「この気違い野郎」、「おかしな奴だ」…
一瞬で破壊される人間の尊厳

サムスン電子サービスのアフターサービス技術者、故チェ・ジョンボム氏は、 協力社のサムスンTSPのイ・チェグン社長から9月に激しい悪態と暴言を聞いた。 顧客の不満事項が「顧客の声(VOC)」で入ってきたと人格を冒涜された。顧客 は冷蔵庫を修理する時、手を腰においたり、製品を説明する時に片膝をついた として、チェ氏に悪態をついたことが伝えられている。

この事件で協力社の社長は4分ほどの電話で「お前」、「このやろう」とチェ氏 に浴びせた。不満を申告した顧客に対しても「顧客を捉えるなら犬のように捉 えろ」、「ナイフで刺し殺せ」等の放言をした。人間の尊厳は一瞬で破壊された。

メディア忠清が入手した録音記録によれば、アフターサービス技術者K氏も先月 激しい悪態を聞いた。利川センター協力社の社長は日曜午前9〜11時まで3件の 顧客訪問修理を処理しろと一日前にK氏に一方的に通知した。

K氏はさまざまな事情で出られず、社長は同日午後に電話で40秒間「オイ、この 気違い野郎、そこの黒板にみんな書いてあるだろう」、「オイ、冗談言ってるのか」、 「おかしな奴だ」等の悪態と暴言をした。

K氏は「シーズンの時、他のセンターと実績を合わせるため休日勤務を強要する」 とし「社長は3か月前にもVOC関連処理でひどくののしった」と話した。彼は 続いて「こうした侮辱に耐えて、ずっとサムスンに通わなければならないのか わからない」とし、「故チェ・ジョンボム氏の消息を聞いて、他人事ではなく、 苦しかった」という心境を伝えた。

[出処:メディア忠清]

笑いながら、製品修理を説明すれば「あざ笑っているのか!」
モンスター・カスタマーに防御権なく、会社は労働者の責任に

サムスン電子サービスの労働者たちは、暗い表情で「ちょっとした悪口と暴言 は基本」と話す。天安センターのアフターサービス技術者のナム某氏は「大型 冷蔵庫を動かすと受け台の跡がついてしまうが、部屋の床に傷が付いたと顧客 からひどい目にあった」とし「顧客が怒っても、われわれはしかめっ面をして はいけないので、笑いながらまた説明する。そうすると『あざ笑うのか』、 『怒らせるのか』と顧客が怒ることもある」とした。

天安センターの技術者イ某氏は「先に製品が故障した原因の説明を望む顧客、 先に製品修理を望む顧客など多様だ。人により性格が違うからだ」とし「MOTの 通りに仕事をしても、われわれは顧客のすべての感情に合わせられない。顧客 が文句を言えばVOC不満事項処理になり、使用者側はすべて職員の責任で処理す る」と批判した。

顧客応対マニュアル(MOT)は一種のアフターサービス技術者の行動綱領で、外勤 エンジニアの場合、名刺の渡し方、服装、謙虚な姿勢、原因・結果の説明、徹底 した時間遵守、目の会わせ方、挨拶など12〜18種類で構成されている。技術者 たちはマニュアルを熟知してその通りに働かなければならない。

MOTを基準で顧客に満足度を聞くサムスン電子サービス「ハッピーコール」で 10点(とても満足)ではなく8点(満足)以下が一つでも発生すれば、労働者たちは 始末書を書く。労働者たちはモンスター顧客への防御権もないばかりか、ハッ ピーコールを基準として実績を圧迫する会社の統制政策のため作り笑いをする ピエロになる。

[出処:メディア忠清]

特にずる賢い一部の顧客は顧客満足度評価を利用することもあると労働者たち は話す。東大門センターのアン・ヤングン氏は「顧客評価を知っている顧客は 駆け引きをする。「とても満足」を与えるから修理費をタダにしてくれと言う」 とし「みじめだ。感情を表わすこともできず、われわれは笑うしかない」と吐 露した。

ナム氏はこれに関連して「顧客満足度は製品修理技術力とは無関係だ。製品を ちゃんと直しても修理費が気に入らないと5点になる」とし「とても主観的な 評価基準だ」と指摘した。

顧客の「満足」、「不満足」により生存権剥奪...労働者統制に悪用
「夏のシーズンには一日に一回以上死にたくなる」

サムスン電子サービスのアフターサービス技術者にとって顧客満足は生存権の 一部だ。一例として顧客が修理費を入金しなければ、労働者個人が責任を取ら なければならない。サムスン電子サービスに修理費が入金されなければ、月給 から「未収金」として控除されるので、労働者たちはスマートフォンで口座を 確認していらいらする。また顧客満足評価は成果給で差別支給される。

労働者たちは未収金により、修理費の入金を督促すると顧客が会社に抗議して、 この場合、労働者がまた不利益を受けるので自腹で修理費を入金すると言う。 ウィ・ヨンイル金属労組サムスン電子サービス支会長は「東莱センターで働い ていた時、月平均23万ウォン程、顧客未収金があり、賃金から削減された」、 「顧客が修理費を入金しないので難しい境遇を訴えて修理費を督促したアフター サービス技術者が解雇された」と伝えた。

このようにどうしようもない二重搾取構造に置かれた労働者たちは、自分の仕事 に自負心も感じられないという。1件当たりの手数料基準の低い賃金に顧客満足度 評価で、また賃金が削減されるので、顧客を「金」と見るほかはない現実が 悲惨だと言う。さらに、腹が立っても笑うしかない抑圧された感情は、そのまま 精神的ストレスになる。

ナム氏は「精神的ストレスでやめる同僚が多い。私はサムスンで働いて数年で 脱毛で苦労している」とし「他のA/S技術者はストレスで歯が抜ける」と伝えた。 それと共に彼は「悪口は悪口として聞き、怒ることもできず、われわれは サムスン電子の製品が一流製品だというイメージで代弁している。サムスン電子 が、われわれは職員ではないと言っているのに」と付け加えた。

イ氏は「夏のシーズンには一日に一回以上死にたいと思う」とし「顧客がクレー ムを出し、会社まで顧客に肩入れして私を切り捨てるので本当に死にたい」と 話した。

韓国労働安全保健研究所のコンユ・ジョンオク研究員は、「感情労働者は自分 の喜びと悲しみをすべて隠してにこにこと笑いながら『ありがとうございます』 と言って暮らすので、相当な精神的ストレスを受けている」とし「サービス業 が増え、顧客満足を重要に思う社会なので、感情労働の弊害はますます深刻化 している」と明らかにした。

続いて彼は「サムスン電子サービスと共に顧客満足の理由で、組織内部の規律 と統制のしくみとして悪用することも相当ある」とし「労組を弾圧し労働者を 手懐ける目的で活用している」と指摘した。

[出処:メディア忠清]

付記
チョン・ジェウン記者はメディア忠清の記者です。この記事はメディア忠清にも 掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文の同時掲載を許容します。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2013-11-07 04:07:36 / Last modified on 2013-11-07 04:07:36 Copyright: Default

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