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韓国:金属労組、サムスン電子サービス労組の組織化を宣言
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金属労組、1万人規模のサムスン電子サービス労組の組織化を宣言

サムスンの業務用スマートフォンでネットワーキング組織化...労組加入を妨害しにくい構造

キム・ヨンウク記者 2013.07.02 16:25

民主労総金属労組が、偽装請負の波紋が起きているサムスン電子サービス労働者の全面的な組織化を始めることを決め、無労組神話・サムスンに大規模な労組が誕生するのかが注目される。

サムスン電子サービス労組の加入対象は、全国に散在する不法派遣・偽装請負が 疑われている98のサービスセンターエンジニア約6300人、直営センターをはじめ 管理と受付、資材パートの派遣労働者約3500人(推測)など、合計1万人程度になる。

金属労組は7月2日、金属労組の会議室で記者会見を行って、本格的に労組を 組織するために傘下15地域の支部にサムスン電子サービス組織担当者を 選定したと明らかにした。

金属労組の関係者は「すでに一部の金属地域支部では組織化事業が始まっている」 とし「最初は組織化事業が難しかったが、ある程度マスコミの影響で職員の 反応が爆発的で、組織化にはずみがついている」と伝えた。

民主労総最大組織の金属労組が前面に出たことで、サムスン側の対応も 小さくないだろうという予想もある。

長い間、不法派遣非正規職闘争をしてきた民主労総のチュ・ボンヒ副委員長は 「11年前にリンナイ・コリアの労働者も偽装請負により労組を作り、約100人 が5-6か月野宿ストライキをして戦ったが、結局、全員が個人事業者になって 復帰するという悪循環があった」とし「サムスン電子サービスもそんな形の 懐柔作業が強まるものと予想している。金属労組がこの部分を積極的に防御 しなければならない」と事例を伝えた。

「サムスン側、複数労組で対抗馬を育てる可能性が高い」

金属労組は、偽装請負労働者が労組を作る場合、サムスン電子サービス使用者側が 主導して複数労組を作る可能性があると見ている。

サムスン電子サービス労組(金属労組サムスン電子サービスセンター支会)の ウィ・ヨンイル準備委員長は「最初、浦項、釜山、東仁川などでは、労組加入 そのものを防ごうとしていたが、最近は反応が違うようだ」とし「労組への加入を 完全に防ぐことはできないと思ったのか、課長級以上は加入するなといった話を している」と伝えた。

ウィ・ヨンイル準備委員長は「われわれ職員は全員サムスンのスマートフォン で仕事をしているので、ネイバーバンドのようなネットワークを使って集中さ せることも簡単だった。スマートフォンを通じて急速に集まっている」として 「全国の職員は、使用者側が労組の口を塞ごうとすれば、スマートフォンで 採証して録音もするので労組への加入を防ぐのは難しいだろう」と説明した。

彼は「予想されるシナリオは、複数労組を作り対抗馬を育てること程度がある と思う」とし「サムスン側は、私たちの力が弱いとみており、これまでの態度 で踏みにじれば崩れると思っているようだが、私たちは、この戦いを単に勤労 環境改善の問題とは考えていない。これは不正と正義の戦いであり善と悪の戦い」 だと強い意志を明らかにした。

ウィ・ヨンイル委員長によれば、サムスン電子サービスの釜山、東莱サービス センターの場合、10年ほど前と7年ほど前に二回ストライキを行ったことがある。 とても仕事がつらく、不当で、労組もないA/S技術者が無断で1週間ほど仕事を 止めたのだ。

ウィ・ヨンイル委員長は「当時、使用者側は各支部に『期限内に業務に復帰し なければ、損害賠償訴訟を提起する』という脅迫状を送ったが、法も知らず、 民主労総や社会団体の支援もなかったため、何も勝ち取ることができなかった」 とし「私がその時、その過程をすべて見ていた。今はそれほど簡単に崩れない」 と自信を見せた。

当時はセンター一つだけのストライキで、本社記事や周辺センターの技術者が 業務を代替したため、ストライキ効果があがらなかったが、今は全国的な規模 で労組が組織されており、しっかり闘争すれば本社の200人程度の技術者では 業務の代替は不可能だという。

サムスン資本がサムスン電子サービス労組を簡単に瓦解させるのは難しいという 自信は、すでにA/S技術者の労働環境が底辺まで落ち、これ以上落ちるところが ないということからも出てくる。

ウィ委員長は「一般会社のように、ある程度の月給があれば家庭を守るために 労組加入を諦めるかもしれないが、勤労環境そのものが70-80年代の水準で あまり悪いので、もう失うものがない」とし「サムスンの中で生きていくという こと自体が恐ろしい人生で、今は恐れの中から希望へと飛び出してきた」と話した。

ホ・セウ金属労組副委員長は「金属労組が前面に出て、サムソン資本を相手に 労組を組織するという出発を宣言したことの意味は大きい」とし「金属労組は サムスン電子サービス労組がしっかり独り立ちするために闘争する」と明らかにした。

ウィ・ヨンイル準備委員長一問一答

▲ウィ・ヨンイル サムスン電子サービスセンター支会(準)準備委員長

  • 主にネイバーバンド(スマートフォン環境に最適化されたサークルの会)を通じて ネットワークを維持すると聞いた。2週間ほど前にサムスンがバンドも 査察するという話があった

    本来、バンドには核心人員だけが加入していたが、偽装活動家がいるという 話がある地域から出た。そのバンドは使用者側からもすっかり見えるように フルオープンにして、全国のすべての職員が見られるようにした。代わりに 核心メンバーは他のバンドに移った。代わりのバンドは最大千人が加入できるが ネイバーに電話して5千人に変えた。

  • 三星に対する恐れはないか

    70-80年代水準のひどい勤労環境なのに、恐ろしいことなどない。サムスンの 中で生きていくということ自体が恐ろしい人生ではないかと思う。むしろ、 恐れから希望に飛び出してきた。そんな人たちに何が恐ろしいか。

  • 資本が過激だという民主労総金属労組を選んだ理由があるか

    最初から金属労組を選択したのではない。私たちは全国に散っているので、 産別労組が一番いいと考えた。民主労総を知る前に韓国労総との接近もあり、 親しい先輩が韓国労総にいる。向こうの某議長さんとも会ったことがある。 その人が私たちの勤労環境の話をずっと聞いてくれて、扉が開かれた。韓国 労総ではなく、民主労総に行け。そこに行って記者会見して、放て。それが 一番早いといわれた。

    労組の「労」の字も知らない職員に金属労組だと言うと「ああ、あの過激派」 そんな話もした。だが実際に入って話をしてみると、過激ではなく、強力に 私たちの暮らしを変える意志が強いようだ。

  • 労組組織化のほかに至急な活動計画があるか

    組織化は急務だが、元からわれわれ職員は反労組指向が強い。労組に対して 誤った教育を受けて生きてきたので、観念的な恐れがある。これを破らなけ ればならない。だから教育が一番急がれる。しばしば年配の職員の人達は、 労組をアカだと思っている。

    私が法に保障された労使協議会委員長になった時も、私にアカと言った人が いた。必ず法で設置することになっている労使協議会をアカというサムスン は、本当におかしな集団だ。サムスンのある管理者が、自分たちはサムスン 共和国の国民だ、そんなことを言ったことがある。朝鮮王朝の時代なら逆賊 ではないか。管理者も、すべての人が労組のことを考えることさえ出来ない ようにする。労働という言葉を口に出しただけでも良く思われない。

  • 勤労環境が決定的に悪くなった契機は何か

    2012年4月頃に会社が完全請負制を話した。その前は、サムスン電子サービス が月給を払う時、これは社長、これは各職員の月給、こんな形で明示されて 出てきた。そして、請負法の暗黙的勤労契約関係で問題になった。請負法が 問題になると、統合手数料だとしてすべてをどかんとまとめて協力社の社長 に払うようになる。協力社の社長が適当に判断して分けろということだ。

    ちょっと見れば、まるで正当な契約金で、請負業者が独立した経営をするよ うに見えるが、請負契約書を見ると詳細な指示がある。とても細かい。誰は いくら、どう賃金を払えという内容が項目別に詳しく書かれている。これは 請負契約ではない。

    そんな状況で、労使協議会の委員長として勤労基準法を守れというと経営難 になるという。協力社の社長は別途に収入を払う構造になっていないので、 時間外手当てを払えないのだ。

  • 平均勤続はどれくらいか

    今いる人たちはみんな10年を越えるが、最近は新しく入るとほとんどが3か月 以内にやめる。1年頑張るのが難しい。仕事自体が顧客から悪口を聞かされる。 悪口や暴力にもさらされ、そうなると会社は保護してくれず、職員を叱責する。 なぜ問題になったのか、対策書を書かせられる。

    ひどい感情労働に苦しんで、報酬もよくないので辞めるしかない。10年以上 働いている人々は、私たちが技術者だという自負心がある。いつか良くなる と会社を信じてついてきた。また、ある人は年齢のため行くところがない。 ずっと残って働くしかない。

  • サムスンとの戦いの本質は何だと思うか

    サムスン電子は資本のバベルの塔だと思う。バベルの塔は人類が初めて神の 権威に挑戦した事件だった。神という権威に挑戦したが、結局は崩れる。 資本のバベルの塔と似ている。

  • 新規職員が大量にやめれば残る人の労働強度がさらに強まるのではないか

    本来、それぞれの製品別にA/S領域が分かれていた。ところがマルチ化という 名目で、すべて修理しろというのだ。どんな顧客でも、自分の製品は最高の 技術者がきて直してくれることを望む。しかしひとつの製品をきちんと修理 できるようになるには3年の時間が必要だ。ところで何でもやらせるので技術 のクォリティーが落ちるほかはない。マルチ化する重要な理由は、人がこな いからだ。入ってもみんな辞めてしまうので、結局残った人を最後まで絞り 取る。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2013-07-02 19:40:40 / Last modified on 2013-07-02 19:40:41 Copyright: Default

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