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韓国:サムスン労働者自殺から14日、葬儀もできず
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サムスン労働者自殺から14日、葬儀もできず...遺族は鬱憤だけ

遺族「サムスンは懐柔するだけで、労働部は何もできず」

チョン・ジェウン記者 2011.01.25 09:06

サムスン電子LCD事業部の天安工場で、投身自殺した故キム・ジュヒョン氏が 14日間、葬儀場から出られず、遺族の悲しみが高まっている。

ジュヒョン氏の父、キム・ミョンボク氏は1月24日午後6時頃、同僚が弔問に 来ると、座り込んで顔を覆って慟哭した。これを見た父親の同僚も話しかけ られず、涙を浮かべて頭を落とした。

葬儀場を守っている労働、市民社会団体、進歩政党の関係者は、遺族は時間が 経つにつれてサムスンへの怒りが大きくなっていて、「心配だ」と口を揃えた。

パノルリム所属のイ・ジョンナン労務士は「今朝、ジュヒョン氏のお父さんが 初めて遺体を見た。お父さんは遺体を持って今すぐ工場に行くと言って鬱憤を 晴らした。葬儀もできない状況で、サムスン電子が金で遺族を懐柔し、警察の 調査も進まず、労働部もこれという行動を取らずにいる。ジュヒョン氏の姉も 午前中ずっとサムスンの関係者と争っていた」と伝えた。

労働部「陳情事件調査」 VS 特別勤労監督実施

「ジュヒョン氏個人の問題ではない...サムスン電子LCD全般の調査を」

1月24日午後4時、雇用労働部天安支庁で遺族、パノルリム、サムスン白血病 忠南対策委が、サムスン電子LCD工場に特別勤労監督を実施するよう要求し、 チョ・ソンジュン天安支庁長と面談をした。

これについて、労働部は特別勤労監督ではなく『陳情事件』として調査をする 予定だと発表した。特別勤労監督の実施対象ではないという理由からだ。

陳情事件で調査が入ると、労働部は基本的に事業主と、陳情を提起した労働者 への調査活動を行う。寄宿舎の管理と全般的な安全措置事項、勤労基準法およ び産業安全保健法の違反の有無を調査する。しかし具体的な調査の日程は決まっ ていない。

労働部がこうして陳情事件として調査することを約束したが、遺族と故キム・ ジュヒョン氏の死の真相究明を要求する人々は憂慮を示した。

これに先立ち、遺族は18日に労働部を訪れ、サムスン電子LCD工場を対象に特別 勤労監督を実施しろと主張した。

キム・ジュヒョン氏の自殺事件だけでなく、LCD湯井工場労働者の朴某(23歳)氏 も寄宿舎の18階から投身自殺しており、間接的に自殺に関する情報提供が続き、 キム・ジュヒョン氏個人の問題を越える事案の重大さがあると判断したためだ。

そのため特別勤労監督を要求する事項は、△サムスン電子LCD工場労働者たちの 連続する自殺など、事案の重大さを考慮して、特別勤労監督を迅速かつ責任を 持って実施するために、支庁長を責任者とする特別調査チームを構成して調査 し、その結果を1月24日正午まで公開する、△雇用労働部は故人の死因について、 徹底した特別勤労監督を行い、以下の事項を明白に公開し、再発防止の対策を 樹立して責任者を処罰する、△相次ぐ自殺の原因を提供したのは事業主である。 サムスン電子LCD天安、湯井工場の設立以後、現在までの労働者の自殺現況およ び会社が自殺をどう処理してきたかなど具体的な実態把握と公開、△サムスン 電子LCD労働者の死亡、疾病、作業中の事故、自殺事件などの現況と、労災隠し 行為全般を徹底的に調査し、責任者を処罰するなど11項目だった。

また、特別勤労監督を実施するかどうかは、労働部の事件解決の意志を示すも のでもあった。

勤労監督官執務規定第12条3号によれば、『特別監督』は「労働関係法令・団体 協約および勤労契約などが規定する勤労条件を履行せず、労使紛糾が発生した り発生の憂慮が高い事業場を対象に、労働関係法令違反の事実を捜査するために 実施すること」を言う。

特別勤労監督の要件が明示されているが、同時にある程度労働部の裁量権を認 める要件と解釈されるためだ。

面談でジュヒョン氏の父親は、「サムスンは懐柔するだけで、労働部は何もで きないと言われれば、私には選択権がない。格別の措置を取るほかはない」と 絶望感を現わし、周囲の人々を残念がらせた。

イ・ジョンナン労務士は「サムスン電子全般の調査を望んだが、労働部は特別 勤労監督はできず、陳情事件として処理するといった。陳情事件では、キム・ ジュヒョン氏個人の問題に閉じ込められる可能性がある」とし「労働部が陳情 事件として調査すると言うが、特別勤労監督を要求し続けるかどうかについて は遺族や関係者との議論が必要だ」と伝えた。

一方、サムスン電子と警察側は、故キム・ジュヒョン氏の投身自殺に関する 一部のCCTVを遺族に提出せず、論議がおきている。(記事提携=メディア忠清)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-01-25 18:21:52 / Last modified on 2011-01-25 18:21:54 Copyright: Default

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