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韓国:あなたの前に立つとなぜ私は小さくなってしまうのか
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ミン・ギョンハン、「あなたの前に立つとなぜ私は小さくなってしまうのか」

[討論会:サムソンと政検言同盟]ミン・ギョンハン民弁司法委員長

ユ・ヨンジュ記者 www.yyjoo.net / 2007年11月14日21時28分

ミン・ギョンハン民弁司法委員長はサムソンの前に立ちさえすれば小さくなる 検察と言論の態度を批判した。

ミン・ギョンハン委員長は、大きな権力を行使するサムソンと共に「サムソン の誘惑と不正の提案をきっぱり拒絶できず、これに野合して法と良心に外れて 職務を処理し、サムソンにあらゆる恩恵を与える政治家、検察、ジャーナリス ト、高位公務員も、サムソンに劣らず非難されなければならない」と話した。

ミン・ギョンハン委員長は財閥の前に立ちさえすれば小さくなる検察の例とし て、1998年、参与連帯が5大財閥グループの系列会社不当支援行為で5大グループ の会長、役職員83人を業務上背任罪で告発した事件、2000年6月法学教授43人が サムソンの李健煕会長などエバーランド理事陣と系列会社社長など33人を エバーランド便法贈与事件で告発した事件を上げた。

ミン・ギョンハン委員長は「検察や法院が司法不信を解消するために倫理規定 を作るより、被告人別、弁護士別に区別なく公平性を維持して迅速かつ公正な 捜査と裁判をすることが司法信頼回復の近道」と主張した。

言論のサムソン報道についても「サムソンの圧力と懐柔があったのか、さもな くばサムソンが大広告主なので新聞社が勝手にしたことかは分からないが、新 聞なら批判記事ものせられるのに、ましてサムソンを批判する本の広告も掲載 できない新聞社は痛ましい」最近言論の態度を残念がった。

ミン・ギョンハン委員長は以下の文を問題提起する形式で討論に参加した。

序論

テーマはサムソンと政府、検察、言論同盟だが、同盟は肯定的な意味で使われ ることが多いので、同盟より癒着という表現のほうがさらに的確だと思う。

国民の間でサムソン共和国、サムソン奨学生、サムソンの情報力が国家情報院 の情報力より優れているという言葉が広く知られている。これは、サムソンが 金力、権力、情報力などを利用して権力機関の政治、検察、言論、官僚社会を 管理統制し、あらゆる不正を行って我が国のあらゆるシステムを腐敗させてお り、その弊害が深刻だということを指摘する言葉だ。

サムソンがこのように絶対的な権力を行使して、わが国を腐敗させるのは、本 当に間違っているし非難されなければならない。しかし、サムソンの誘惑と不 正な提案をきっぱりと拒絶できず、これに野合して法と良心から外れて職務を 処理し、サムソンにあらゆる恩恵を与える政治家、検察、ジャーナリスト、高 位公務員もサムソンに劣らず非難され責任を負うべきであり、反省しなければ ならない。

いくらサムソンが悪いことをしても、政治家、検察、ジャーナリスト、高位公 務員がサムソンの誘惑と不正提案をきっぱりと断り、原則通りに業務を処理す れば、サムソンはそんな行動はできないだろう。私は財閥に対する検察と言論 の問題を具体的な事例を通して指摘してみよう。

財閥の前に立ちさえすれば小さくなる検察(あなたの前に立ちさえすれば私はなぜ小さくなるのか)

(事例1)

1998年、参与連帯がサムソン、現代など5大財閥グループの系列会社不当支援行 為で5大グループの会長、役職員83人を業務上背任罪で告発する事件があった。 この事件は、公正取引委員会がすでに不当内部取引行為を認め、5大財閥グルー プに数百億ウォンの課徴金まで払わせた事件であり、市民団体や経済学教授が 着実に問題を提起してきた事案なので、疑惑が認められる可能性が非常に高い 事件だった。

ところが検察は長い間(6年の間)ほとんど捜査をせず、いくらも控訴時効を残さ ずに拙速捜査し、2004年9月の秋夕連休の時に81人を無嫌疑処理し、1人を起訴 猶予処分をし、1人はすでに死亡した。

この事件は検察が徹底的に積極的な捜査をしていれば、控訴時効に追い込まれ る7年もかからなかっただろう。そして捜査の結果、処分内容が正当だったなら、 堂々と発表をすべきなのに秋夕連休の期間に簡単に結果を発表し、国民の誤解 を生む必要もなかっただろう。

検察がサムソン、現代など5大財閥でなく、30大、40大企業だったら、6年も捜 査をせずに持っていただろうか。言論などもこれに対して問題を提起して世論 を喚起することに熱心ではなかった。

(事例2)

2000年6月には法学教授43人がサムソンの李健煕会長などエバーランド理事陣と 子会社の社長など33人をエバーランド便法贈与事件で検察に告発した。2003年 12月、控訴時効を一日残して被告発人33人のうちエバーランドの前職、現職の 社長のホ・テハク、パク・ノビン二人だけを特定経済加重処罰法の背任疑惑で 起訴して、現在上告審が行なわれている。

検察は2000年6月に告発を受け付けた事件を3年半の間寝かせ、控訴時効が完成 する一日前に33人のうち2人だけを起訴し、残る31人はきちんと捜査もしなかっ た。とても理解できない。控訴時効は、共犯の裁判が確定するまで停止するの で、共犯の判決が単純業務上背任罪で確定すれば李健煕親子など残る31人に対 する控訴時効は一日しか残らない。

控訴時効が停止した2003年12月から残る31人を徹底的に捜査していれば、 すでに捜査は終わっていただろう。

ところが検察はほとんど捜査をせず、控訴審裁判所で立証を要求して釈明を求 め、その時だけホン・ソッキョン氏を召喚するなどで捜査をしようとした。ホ ン・ソッキョン氏は出頭を約束したが、検察の弱点を看破して控訴時効を越え るつもりで出頭を拒否して一足遅く捜査に応じたと報道された。ホン・ソッキョ ン氏が出頭をしたのかどうか、捜査がどの程度進んだのかは分からないが、ま だホン・ソッキョン氏に対する捜査の結果は発表されていない。

検察は、控訴審進行中に控訴審の結果を見て李健煕会長を召喚するとし、控訴 審で有罪判決が宣告されると今度は大法院の結果を見て召喚の有無を決めると 言葉を変えている。検察は告発して7年以上たった今まで捜査を終わらせてい ないが、これは検察の無能なのかサムソンの目こぼしなのか分からない。

1、2審とも有罪が出たうえ、ホ・テハク、パク・ノビン二人の社長が自ら処理 し、李健煕親子が無関係と考える国民は殆どいないだろう。検察はホ・テハク、 パク・ノビンなどを捜査する時か、遅くとも1審裁判中に捜査をするべきだった。 検察は大法院の裁判の結果とは無関係に、今からでも一日も早く捜査を終了さ せ、起訴の有無を決めなければならない。

月給取りの前・現職エバーランド社長を背任疑惑で起訴しても、事件を計画し て主導した実質的な責任者だと検察自身も疑っている李健煕会長やサムソン構 調本の責任者に対しては、起訴を先送りしているという報道があったが、正し い指摘だ。最近李健煕会長がしばしば韓国経済の困難を語り、捜査に影響を与 えようとしているという報道がある。韓国経済が困難なのかどうかも疑問だが、 韓国経済を生かすこととイ会長の捜査や処罰に何の関連があるのか。

李健煕親子やホン・ソッキョンも、見せ掛けの形を使ったり高位職出身の専属 弁護士を防壁にしようとせず、韓国第1の企業の総帥とその最側近らしく、検察 の捜査に応じなければならない。韓国の検察は、財閥の前に立つと、なぜこの ように小さくなってしぼんでしまうのか理解できない。検察は財閥を捜査し、 墜落した地位を回復することを望む。(京郷新聞2006.8.23.31面オピニオン)

(法院)

上の事件は2003年12月1日に起訴され、1審の裁判は2004年2月23日に初公判が始 まった。2005年10月4日に判決が宣告され、起訴から1年10か月かかった。計21 回の公判(2回の変更期日を除く)が開かれ、8人の証人尋問がなされた。控訴審 は2005年12月20日に初公判が始まり、2007年4月19日までに10回以上(2回の変更 期日を除く)の公判が開かれた。法的争点が多く、難しくても、1審から21回の 期日が必要だったのかも疑問で、1審でこれほど長い間審理して控訴審で10回以 上の弁論が必要だったことは、とうてい理解できない。裁判所が事件の結果に 負担を感じないのか、弁護士の影響はなかったのか、サムソンが自身に不利だ から遅延作戦を使わなかったのかが疑問だ。

検察や法院が司法不信を解消するために倫理規定を作るより、被告人、弁護士 で差別をせず、公平性を維持して迅速かつ公正な捜査と裁判をすることが司法 の信頼回復の近道であろう。

財閥の歪んだ法務室

最近、サムソンをはじめとする主な財閥グループは、法務室などに法院、検察 の高位職出身弁護士をたくさん置いている。財閥も経営が透明になって遵法経 営をするようになり、紛争が複雑になったので、会社の経営には法律の検討や 諮問、紛争の予防および解決のために弁護士が必要だ。

こうした目的なら金融、租税、会社法、行政、刑事など、各分野の専門家で構 成されなければならない。また彼らが訴訟を遂行しなければならない。しかし、 財閥は会社の問題や総師の法律問題について法務室の弁護士が弁論をせず、ほ とんどが大規模なローファームの弁護士に巨額の受託料を払い、民事・刑事上 の訴訟を依頼する。刑事問題は、検察の中堅幹部出身が何人かいれば充分で、 何人もの検察高位職出身弁護士を高額の年俸を払って採用する必要もない。金 弁護士が、サムソンはエバーランド事件以後、検察、法院高位職出身の弁護士 を数人迎え入れたと話したように、その背景は明らかだ。

均衡感覚を失った言論報道

A.偏向的な報道

金弁護士によるサムソンの不正暴露は、シン・ジョンア、ピョン・ヤンギュン 事件よりはるかに影響も大きく、国民も非常に関心を持っている事件であり、 報道する価値も大きいと思う。記事の大きさや掲載面数は、全的に新聞社の専 権事項だとしても、シン・ジョンア事件は数日間、何面にもわたって紙面を埋 め尽くした。だが、金弁護士が暴露したサムソンの不正事件はほとんどの新聞 が12面などに2段記事で掲載されるような事件なのか、とうてい理解できない。

もし暴露者や暴露内容がサムソンではなく、大統領府の秘書官や高位公務員が 同じような内容を暴露したとすれば、マスコミ各社は沈黙を守ったのだろうか という疑問を感じる。

昨年、週刊誌の時事ジャーナルの記者が編集権の独立を勝ち取って、正しい経 営のためであれほど長い間闘争をした。その発端も結局サムソンに関する記事 報道問題だったが、多くのマスコミがその問題には沈黙を守っていたのを見て、 記者の水準が疑わしかった。その背景がサムソンではなく他の大企業の報道問 題でも言論は沈黙を守っただろうか。

言論は、社会的な問題や国民が関心を持つ事件に関してバランス感覚を持って 公正に報道し、批判、監視、牽制して問題点を指摘し、代案を提示することが 本来の使命だ。言論はよく反省してきちんとしなければならない。

B.広告主の圧力と懐柔に屈服する言論

数年前、長い間サムソンで働き、サムソンの人材開発院の教育チーム長で退職 した私の親しい友人が、今年の夏に自分の経験と忠実な資料を根拠にサムソン と財閥グループ、報道機関、法曹界、政府官僚、市民団体の問題を痛烈に指摘 し、代案を提示する財閥批判として『コルディウスの決着』というパンフレッ トを発刊しました。

上の本の広告を出そうと、いろいろな新聞社に広告の問い合わせをしたが、二 つの新聞社を除きすべて断わられたという。1つの新聞社は3回カラー、2回白黒 で掲載することにしたが、1回掲載した後に中断した。某経済新聞社は広告料ま で受け取った後に、約束の日に突然広告が殺到して掲載できないと言ってきた が、友人は緊急ではないので何日か後でもかまわないと言った。だが掲載しな かったので抗議すると、私たちも暮らすためには仕方ないと言って広告料を返 還したという。

サムソンの圧迫と懐柔があったのか、あるいはサムソンが大広告主だから新聞 社が勝手にしたのかは分からない。だが新聞なら批判記事ものせられるのに、 サムソンを批判する本の広告さえ掲載できない新聞社が痛ましい。

C.

新聞・放送で経済政策や動向、統計を引用する時も、LG経済研究所や他の経済 研究所も多いのだが、サムソン経済研究所の資料が引用されることが圧倒的に 多い。サムソン経済研究所が他の研究所より優秀だから、たくさん引用される のだろうか? サムソン奨学生の役割、サムソンのロビーの結果ではないだろう か。サムソンは自分たちの提案や統計が政府の政策に反映されるように影響力 を行使したのではないか。

ジャーナリストは広告料の割合がとても高いので仕方ないと抗弁するかもしれ ない。製造業やその他の分野でも、甲と乙の関係は数えきれない程多いが、こ れほど卑屈で低姿勢ではない。公務員が薄給で苦しいから、わいろを受けたと 合理化することはできないのだ。広告料への依存度が高いからといって正当化 することはできない。日本は購読料収入が50%から60%だが、韓国の新聞社は広 告料収入が90%に達するというのを見て驚いた。言論の環境が違うとしても、日 本を見習うとか、購読料収入の努力をしてみたのだろうか。サムソンがゴルフ 接待、酒宴提供、寸志を出したらそれを断る記者は何人いるだろうか。今日討 論されたイ・サンホ記者は、Xファイルを含む多くの不正を暴露したが、不正に 接すれば屈することなく暴露して不正を断る記者になるよう努力しよう。

ほとんどの言論、特にメジャー新聞は、検察のように財閥、特にサムソンの前 に立ちさえすれば、なぜこんなに小さくなってしぼんでしまうのか、理解でき ない。私たちすべてがサムソンの圧力と懐柔に屈せず、不正の提案に応じず、 自負心を持って自らの職分に忠実に原則と良心に立脚して事を処理すれば、多 くの部分が改善されるだろう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2007-11-17 12:29:38 / Last modified on 2007-11-17 12:29:39 Copyright: Default

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