本文の先頭へ
韓国:言論の沈黙は、誤ったメディア政策から
Home 検索

「『サムソン秘密資金』言論の沈黙は、誤ったメディア政策に始まる」

大統領選挙メディア連帯李、鄭、権、文など各候補陣営訪問

チョ・スビン記者 bination@jinbo.net / 2007年11月05日20時58分

サムソン秘密資金波紋局面でのマスコミの沈黙に対して「サムソン家族を自任 するもの」と強く批判を提起した言論団体が11月5日、「今のマスコミの報道姿 勢は過去の誤ったメディア政策に始まった」と主張した。49の市民社会団体で 構成された大統領選挙メディア連帯は、5日、言論改革13課題提案のため各大統 領選挙陣営訪問に先立つ記者会見でこれと共に明らかにして、サムソン秘密資 金波紋に対する言論の積極的報道を要請すると同時に、メディア政策に対する 各陣営の立場を要求した。

大統領選挙メディア連帯は、「最近サムソン・グループの秘密資金不正の実態 が白日下にあらわれているが、マスコミが見せる姿は情けない」として「大統 領候補に提示した13の言論改革課題はこのような問題意識から出発した」と明 らかにした。

韓国記者協会のチョン・イリョン会長はこの日の記者会見で「こうした状況の 時(サムソン秘密資金など)、こうした席(記者会見)に立つのは20数年記者生活 をしてきた記者の一人として心が楽ではない」とし「言論は記者室問題(政府の 取材先進化方案にともなうブリーフィングルーム問題)より、最近のサムソンの 秘密資金報道を積極的にするようお願いする」と言論に訴えた。

「メディアに無知な大統領候補、このような現実に当惑させられる」

大統領選挙メディア連帯は、各政党大統領候補陣営が密集する汝矣島国会前で 記者会見を開き「大統領選候補が13大改革課題を公約に反映すること」を要求 した。大統領選挙メディア連帯は現業言論団体、受容者団体、言論市民団体な どの議論を経て、10月25日に第17代大統領選挙メディア改革課題を導出、発表 した。13大改革課題には、△市民直接参加によるメディアの公共性強化、△情報 人権の実現、△韓米FTAメディア市場開放反対、△情報公開拡大と知る権利の伸長、 △ 新聞の公共性強化、△インターネット・ポータルの社会的責務強化、△放送の 公共性と競争力向上などの重要な課題が含まれている。

大統領選挙メディア連帯 メディア改革の13の課題

(1) 市民の直接参加を保障する公共的メディア構造の拡大

  • パブリックアクセス拡大
  • デジタル メディア時代、共同体放送領域制度化
  • メディア教育活性化
  • 地域、共同体、社会的少数者に対する参加的メディア活動支援拡大
  • コミュニティラジオ事業支援拡大

(2) 独自、視聴者権利保障と情報人権の実現

  • 放送会社の許可と承認時に視聴者の意見を実質的に反映する制度化
  • 視聴者委員会義務設置対象の拡大と委員選任時の内部構成員意見反映
  • 放送局の視聴者支援構造一元化と独自の活動の保障
  • 新聞社独自の運営委員会と苦情処理人制度活性化
  • インターネットを利用した国家監視、統制制度廃止(私生活保護と表現の自由実現)
  • 言論被害救済法改正

(3) 無分別な市場開放反対と文化アイデンティティ守護

  • 韓米FTAによるメディア文化開放阻止
  • 拙速に進められた韓米FTA交渉妥結進行過程の真相究明
  • 韓米FTAと韓EU FTAなど無分別な二国間貿易交渉中断
  • 2006年10月ユネスコ総会で通過した文化多様性協約批准要求

(4) 情報公開拡大と知る権利の伸長

  • 情報公開法を改正し、公共機関の情報公開制度の実効性確保
  • 情報公開目録公開と故意の情報公開回避処罰
  • 自由な取材接近権の保障

(5) 新聞の公共性強化および世論多様性保障

  • 新聞放送の兼営許容試み阻止
  • 新聞法改正による編集委員会設置強制および編集規約の制定義務化
  • 新聞告示改正を通した不公正取り引き行為と市場支配的地位乱用行為の実質的遮断

(6) 新聞市場の正常化と振興政策の強化

  • 新聞発展委員会の地位強化と新聞発展基金の拡充
  • 地域新聞支援特別法の有効期間延長または一般法化
  • 地域および社会的少数者を代弁するインターネット言論への政府支援保障

(7) インターネット・ポータルの社会的責務強化のための法制化

  • ポータル関連基本法制定
  • インターネット空間の民主主義活性化ためのポータルの社会的責務付与
  • 言論仲裁と被害救済対象にポータルとインターネット・ドットコム報道機関含む
  • ポータルの新聞、放送およびニューメディア進入規制

(8) 放送の独立と視聴者、利用者中心放送通信委員会の設立

  • コンテンツと広告、通信と放送関連機構法の一元化
  • 放送の独立と自由、公共性と公益性保護のための放送通信統合機構の設立
  • 視聴者、利用者中心の合議制放送通信委員会の定立

(9) 公共性基盤のIP-TV導入など有料放送の公益性の強化

  • IP-TVを放送と規定して公共性と公益性を具現する義務を賦課
  • 現存有料放送の公益性と公共性の強化

(10) 地上波放送の公共性、独立性の強化

  • 公共サービス義務履行のための地上波放送の私有化遮断
  • TV受信料引き上げ
  • 「公共機関の運営に関する法律」改正

(11) KBS 2TV、MBC民営化は絶対反対

  • 公共領域拡大のためのKBS2、MBCの公営放送体制の維持

(12) デジタル情報格差を解消するための無料普遍的放送サービスの拡大

  • 「地上波テレビ放送のデジタル転換とデジタル放送の活性化に関する特別法」国会通過
  • マルチモードサービスの導入で無料地上波のチャンネル拡大
  • 地上波DMBに地上波固定テレビを「義務同時再送信」するよう放送法改正
  • ラジオの早急なデジタル転換

(13) 地域性具現のための放送政策樹立

  • 地域性具現のための地域放送の公共サービス機能の役割と責任強化
  • 地域放送発展委員会権限強化
  • 地域放送コンテンツの全国流通体制用意

大統領選挙メディア連帯は、「言論の公共性がいかに重要か、世論多様性が何 かについての概念もない人物が大統領になろうとしているのが韓国社会の現実 だ。当惑し、みじめに感じる」とし「一部の大統領選候補の反公共的なメディア 公約を糾弾する」とし、特定の大統領選候補のメディア政策を批判した。

李明博メディア政策「清浄地帯を取り替えてひっくり返そうとする浅はかな..」

大統領選挙メディア連帯が特に言及した候補は、ハンナラ党の李明博候補だっ た。まだ政策公約集が提出されていない状況で、マスコミの報道を通して候補 のメディア政策が流れ、言論内外の混乱はさらに加重している局面だ。李会昌 (イ・フェチャン)前総裁の立候補とBBK波紋など、李明博候補の政策公約がどの 程度の影響力をおよぼすのかは不確定的だが、大統領候補のメディア政策が提 示されただけに言論界は「来るものが来た」と、意気込んでいる。チェ・サン ジェ言論労組委員長は「蜂の巣をつついたような」とマスコミ内部の雰囲気に 言及した。

李明博、鄭東泳二候補のメディア政策を比較した11月1日の朝鮮日報の記事によ れば、ハンナラ党の李明博候補は報道機関の間で交差所有を認めるべきだと言っ ている。李明博候補側はまた、KBS 2TVをKBSから分離して、MBCを段階的に民営 化すべきだという立場を明らかにした。

李明博候補のメディア政策に対し、大統領選挙メディア連帯は「言論改革の逆 行を辞さないという無謀でしかない」とし「強引な開発論理を押し出して清浄 地帯をひっくり返そうという浅はかな資本主義を捨てるべきだ」と、さらに強 く批判しており、今後双方の政策対応に注目される。

一方、『サムソン秘密資金』で高まっているマスコミ内外の雰囲気と一部候補 のメディア政策がマスコミを通じて流れた状況まで加わり、大統領選挙メディ ア連帯の言論改革13の課題の提案に対する各陣営の表情と反応は微妙な差異を 見せた。

▲(右側から)権永吉、ムン・クキョン、李明博の各陣営

『サムソン王国』との戦争を宣言した民主労働党権永吉候補陣営のパク・ヨン ジン民主労働党スポークスマンは、サムソン秘密資金関連の報道に深刻な憂慮 を示して「マスコミ各社がサムソン秘密資金関連の報道に集中できるようにし てほしい」と要請した。

ハンナラ党の李明博陣営を訪問した大統領選挙メディア連帯のイ・ガンテク政 策本部長は、陣営の関係者として出てきたイ・サンフィ秘書室秘書官に「討論 の場には姿を表さず、マスコミを通じてメディア政策が提示された」とし、 「これの真偽はどうか、情況はどうかについて、何らかの場ではっきりさせる べきだ」と李陣営に圧力を加え、一瞬沈黙が流れた。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2007-11-08 03:26:34 / Last modified on 2007-11-08 03:26:37 Copyright: Default

関連記事キーワード



このフォルダのファイル一覧上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について