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診療拒否で5時間病院を転々としたホームレス死亡…「社会的他殺」

安山病院、警察、市庁など応急状況からホームレス受け入れ拒否

カル・ホンシク記者 2015.01.15 11:30

安山で応急状況に置かれたホームレス(野宿者)が病院の診療拒否、 関係機関の無関心の中で5時間も適切な診療を受けられずに死亡した事件をめぐり、 ホームレスに対する医療福祉の空白が呼んだ社会的他殺だという指摘があがっている。

▲ホームレス行動は14日、清雲孝子洞住民センター前で記者会見を行い、シン氏の死を「社会的他殺」と規定した。ホームレスの医療の現実を糾弾するプラカードを持つ参加者。

1月2日午後11時50分頃、頭部損傷による出血で倒れたシン某氏(38)は、 救急車で安山のH病院に運ばれたが、病院側はシン氏が常習酒酔者(酒に酔った人)だという理由で診療を拒否した。 救急隊員は再度H病院に診療を要請する一方、近くの2つの病院にも受け入れを問い合わせたが、これらの病院はシン氏を受け入れなかった。 また警察、安山市庁、ホームレス・シェルターなどにもシン氏の身柄受け入れを要請したが、すべて拒絶された。

安山近隣の病院を転々としたシン氏は3日の午前5時にH病院に入院したが、 脳出血が激しくなり入院から7時間で亡くなった。

ホームレス行動は1月14日、青瓦台に近い清雲孝子洞住民センターの前で記者会見を行い、 シン氏の死を社会的他殺と規定した。

ホームレス関連の医療制度は地方自治体が個別に施行する医療保護事業、 「野宿者などの福祉および自立支援に関する法律(以下、野宿者福祉法)」に基づく 野宿者1種医療給付などがある。 しかし地方自治体の医療保護事業の場合、一定の居住地がなく扶養義務者がいないなどの要件を充たした急病患者しか支援を受けられない。 野宿者1種医療給付も3か月以上の施設居住の要件と健康保険未加入、 あるいは6か月以上の滞納要件を充たす人しか申請できないなど、 医療制度がカバーするホームレスの範囲は狭い。

ホームレス行動はまたこれらの制度が本人負担金の支援が不足していたり殆どなく、 医療費負担を加重させ、指定病院を限定することで医療接近権を制限しており、 特に安山地域では野宿者1種医療給付で診療を受けられる病院が一か所もないという点が問題だと指摘した

記者会見の参加者たちは、制度的な問題が今回の事件と同じように診療費を払えないホームレスの診療を医療機関が敬遠する状況を生んだと指摘し、 国家が率先してホームレス医療対策を全面改善することを要求した。

健康な世の中ネットワークのキム・ジョンスク常任活動家は 「ホームレス医療制度の難しい条件と低い保障性により、 シン氏は制度的な殺人にあった」とし 「政府はホームレス医療の問題を解決するために真剣に努力したことはなかった。 そのためホームレスは医療の敷居を越えられずに死んでいく」と糾弾した。

応急医学と専門医の人道主義実践医師協議会のキム・デヒ事務局長は 「頭部出血なら応急症状で、医療法では応急状況の患者を拒否してはいけない。 常習酒酔者だという理由で病院がシン氏の診療を拒否したのは明白な違法」と指摘した。

キム事務局長は「公共医療がない状況で、 野宿者の診療を金儲けを重視するほかはない民間医療に任せるしかなかったのが問題」とし 「公共が率先して野宿者の死を防がなければならない」と明らかにした。

▲ホームレス行動は1月14日、清雲孝子洞住民センターの前で記者会見を行ってシン氏の死を「社会的他殺」と規定した。

付記
カル・ホンシク記者はビーマイナーの記者です。この記事はビーマイナーにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-01-16 01:13:46 / Last modified on 2015-01-16 01:13:47 Copyright: Default

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