本文の先頭へ
韓国:龍山惨事が投げかける義務
Home 検索

法治主義が崩れ、公権力が私有化されれば

[寄稿]龍山惨事が私たちに投げかける義務

オ・ユンシク(民弁)/ 2009年02月06日21時45分

6人の高貴な人命が犠牲になった龍山惨事は私たちに国家権力とは何かという根 本的な疑問を持たせる。韓国の憲法はすべての権力が国民から出てくるという 民主共和政が国体であることを宣言している。また韓国の憲法は、わが国が法 治国家であることを確認しており、公務員は国民全体の奉仕者であることを宣 言している。それにもかかわらず、龍山惨事の過程で表れた現実は、韓国が果 たして上のような憲法の内容が具現する国家なのかを疑わせる。

公権力が私有化されている強い兆候

まず、龍山惨事の過程で公権力が私有化されているという点が如実にあらわれ ている。今まで確認された事実だけでも以下のようだ。

(1) 2009. 1. 19. 某撤去用役業者の課長が警察の護衛の下に撤去民に放水した事実

(2) 2009. 1. 20. 明け方の鎮圧が始まった後、POLICIA(『警察』というスペイン語)が書かれた盾を持って撤去業者3人が警察兵力の後に従って移動し、ナミルダンビルに進入を試みた事実

(3) 「外部警備員、ハンマーなど装具をブラシ7(持参)と兵力の後について3階から4階その装置解除しているところ(進行中)です」等の警察と撤去用役業者職員の間に無電交信がなされた事実

(4) 2009. 1. 20. 06:41頃警察特攻隊を乗せたコンテナが大型クレーンで櫓に投入される瞬間、'POLICIA'と書かれた盾を持った撤去用役業者職員がナミルダン建物近隣建物屋上で警察と共に両側に並んでいる事実があらわれた。

上のような事実に対し多くの犯罪の罪目が付けられる。

上の(1)行為と関連して、その撤去業者職員には暴行罪、警備業法違反罪を、そ うした犯罪を制止せず、これをむしろほう助したり黙認した警官には職権乱用 罪、職務遺棄罪および警備業法違反罪の共同正犯の責任を問える。

また上の(2)行為には公務員資格詐称罪を、後の事実に対しても上の(1)行為に 該当する犯罪が成立すると見られる。このような犯罪が成立することも問題だが、 上のような事実からみて、さらに根本的には警察が私人でしかない用役業者の 職員と共同で鎮圧作戦を行った点だ。

このような点から見て、筆者が持つ根本的な憂慮は警察公務員が全国民の奉仕 者ではなく、撤去用役業者、さらに開発事業を進める組合および施工者などの 利益のために服務し奉仕する者に転落している点だ。それこそ公権力が私有化 されている強い兆候である。

警察力は代表的な侵益的行政作用なので、厳格な手続きと十分な法的根拠によ り厳正に執行することで国民の被害を最小化できるというのが歴史的な経験だ。 そのため、わが国は上のように法治主義、公務員の全国民に対する奉仕者性お よび中立義務を宣言している。それにもかかわらず、現実には上のような原則 がゴミのように思われているという現実によって、法律家のひとりとして驚き とみじめさを禁じえない。

▲クォン・ヨングク弁護士とオ・ユンシク弁護士が6日の真相調査団記者会見で用役が犯した犯罪を告発している。

韓国憲法の根本原則である法治主義が崩れているという強い兆候

しかも一つ、私たちが注目すべき点がある。龍山消防署が作成した『龍山ナミ ルダン デモ事故関連段階別現場対応状況』によれば、△2008. 1. 20. 02:13頃 ナミルダン建物の3階階段に積まれた廃木材から火災が発生した事実、 △2008. 1. 20. 03:06頃、建物の3階の部分の廃木材から火災が発生した事実、 △2008. 1. 20. 04:26頃、建物2階で焚き火を焚いた撤去用役業者職員に消防署 員が焚き火を消すよう要求した事実が明らかになり、こうした点は2009.1.19と 20日の未明に何回も木と古タイヤなどを利用して火を付けたという撤去民や目 撃者の陳述とも一致している。

このような行為は当然、現存建造物放火罪などの犯罪が成立する。筆者がこの 点でそうした点だけを指摘するために上のような事実を指摘するのではない。 むしろ筆者が問題にしたいのは上のような放火に対して公権力が取っている態度だ。

その当時、ナミルダンビル周辺には多くの警察兵力がいた。それなのに、この ような犯罪を制止したり予防しようと努力した痕跡はみられない。むしろこれ をほう助したり黙認したという強い疑いを感じざるをえない状況だ。万一そう でなかったとすれば、何度も上のような放火がありえるだろうか?

法治主義とは何か? 人治で現れる権力乱用による人権侵害などの甚大な弊害を 防止するために、そして公権力に対する予測の可能性および信頼を付与するた めに、法の支配を宣言した韓国の憲法が採択する大原則ではないのか? ところ が、こうした大原則が法執行現場において、耐えがたいほどに無視されている という点が今回の龍山惨事の過程で如実にあらわれている。

さらに私たちを憤慨させるのは、そうした放火容疑者に対して客観義務を金科 玉条とする検事が免罪符を与えようとしている点だ。このような容疑者を厳罰 しても不足な時に、これを容認して肩を持とうとしているのだ。

現政権が自分の誤りを改心しなければ、新しい社会契約が必要だ

法治主義が崩れ、公権力が私有化されれば、韓国の国民が味わう被害は朴正煕 独裁、全斗煥独裁、いやこの世のどんな独裁体制よりさらに残酷な結果だろう。 そうした事態に至らないために、韓国の国民はどうするべきか?

筆者は国民が現政権の堕落を明らかに認め、現政権にそうした誤りを認識させ て自分たちの誤りを悔いるようにする道しかないと見る。万一それでも現政権 がこれを無視するのなら、現政権と国民が結んだ社会契約はこわれたと見るし かない。それではその次は何だろうか? 新しい社会契約の締結、つまり政権交 替が必要でないだろうか。

龍山殺人鎮圧関連記事一覧

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2009-02-08 07:45:14 / Last modified on 2009-02-08 07:45:15 Copyright: Default

関連記事キーワード



このフォルダのファイル一覧上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について