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差別の視線が「臭い」を作る

臭いに象徴される社会的少数者の差別

ホン・クォンホ記者 2013.08.08 18:04

▲「乙」の連続発言の四回目が6日の晩、大漢門前で「臭いの出処」という主題で開かれた。[出処:ビーマイナー]

差別禁止法制定連帯と連続発言企画団が主催する「乙」の連続発言の四回目が 8月6日晩、大漢門前で開かれた。

この日の連続発言には、移住労働者のマムン、東子洞サランバンのチョ・スンファ、 記録労働者のヒジョン、差別禁止法制定推進連帯のジュンウが「臭いの出処」 という主題で参加した。

16年前に移住労働者として韓国にきて、家具工場で働き始めたマムン氏は、 「共に工場で働く韓国人の同僚が初めから『飯食いに行こうぜ』とぞんざいな 言葉を使うので、一度、私も同じように『飯を食いに行こうぜ』と話すと、 雰囲気がおかしくなるのを感じた」とし「また韓国では年上の人を『兄貴』と 呼ぶと思っていたので、兄と呼ぶと、韓国人の同僚は『お兄さんと呼べ』と 言われた」と伝えた。

マムン氏は「そのうちに移住労組活動で会った韓国人の妻と結婚すると、私に 対する態度が変わり、工場長までするようになった」とし「しかし外部から来 た人たちは今も私を見ると『君が工場長?』という反応を見せる」と伝えた。

マムン氏は「タクシーに乗ると、私は韓国人と結婚をして帰化したという事実 に、ほとんどの運転手は『うまくやった』と話す」とし「しかし私は愛する人 と結婚しただけで、韓国で大統領のように高い地位についたのでもないのに、 なぜうまくやったと言うのかわからない。こうした経験をすれば、肌の色から 臭いという感じを受ける」と吐露した。

東子洞サランバンのチョ・スンファ事務局長は「東子洞の貧民村では、実際に とても臭くて、ある人々は不快だという」とし「しかしスラムの住民や私は 慣れて、あまり臭いを感じない。慣れなければその空間で暮らせないからだ」 と伝えた。

チョ事務局長は「作って50年を超える建物、非衛生的な在来式トイレ、路地ご とに積まれた焼酎瓶などから出るにおいが部屋の中まで流れきたり、部屋から 出るにおいもある」とし「例えばある住民は部屋の中にあらゆるゴミを積んで いる。その理由はそれが必要だった野宿時期の経験があったから」と説明した。

チョ事務局長は「そして貧民村には住民が『腐った生臭いにおい』と表現する においがある。これは孤独に死んだ住民の死体が腐っていくにおい」とし、 「貧民街の住民は『腐った生臭いにおい』で人が死んだことを知って、遺体を 処理するが、一年に三、四回はあることなので、住民たちは黙っている。すぐ 遺体を片づけて清掃すれば、他の住民がその部屋に入居する」と伝えた。

チョ事務局長は「野宿者たちは『スラムにでも住めば多くの福祉支援がある』 としばしば話すが、実はスラムの住民たちはそうした支援をありがたがらず、 むしろそのために争ったり怒ることが多い」とし「その理由は、それを受け取 る『乙』に何も聞かずに与え、それを受ける『乙』が感じるみじめさについて も全く考えないから」と指摘した。

[出処:ビーマイナー]

記録労働者のヒジョン氏は「清掃労働者の労災の問題を取材しに行って、清掃 労働者と一緒に清掃車の後にしがみついて移動したことがある」とし「積んだ ゴミの臭いはひどいものだったが、一緒に捕まっていた清掃労働者は『それでも 今は冬だからましだ。夏は鼻が曲がるほどひどい』といった」と伝えた。

ヒジョン氏は「実際、夏に清掃車の横を通って冬の臭いより三、四倍はひどい 臭いだった。その臭いをかぎながら、鼻が曲がるという言葉は誇張ではないと わかった」とし「しかし清掃労働者たちはそんな臭いの中で移動するしかない。 一日に二百回以上、運転席に乗り降りするのを繰り返すより、いっそその臭い の中で移動する方が清掃労働者の労働条件としては合理的な選択だからだ」と 説明した。

ヒジョン氏は「しかも仕事を終えた清掃労働者たちは、会社にシャワーの設備 がなく、ミネラルウォーターで手を洗って帰宅していた」とし「しかし、必ず しも会社だけに責任を問えない。市が低い単価でしか契約をしないので、劣悪 な状態の会社が下請けを受け、そのようにして下請けをする会社は金がないか らだ」と指摘した。

ヒジョン氏は「これ以外にも宅配労働者は、働いているとき家庭から流れてく る焼き魚のにおいをかいだり、豪華な食卓を見ると『私がここで何をしている のだろう?』と思って悲しくなるという」とし「現代車では、正規職と非正規職 はからだについたタバコの臭いでわかるという。安全な場所で働いている正規職 は自由にタバコを吸えるが、非正規職は危険なところで働くのでタバコを吸え ないことが多い。それでなくても非正規職がタバコを吸っていると助長、班長 などが次々とやってきてタバコを吸うことについて小言を言う」と伝えた。

差別禁止法制定推進連帯のジュンウ活動家は「3年ほど前、地下鉄で何か執拗な 視線を感じて振り返ったところ、お年寄りが私の爪と服装などをかわるがわる 見つめていた」とし「その時、老人は私に『男が爪を塗って歩いてはいけな い』、『男が爪を塗れば他人が見下す』、『衛生に良くない』と話し続けて、 私は『気にしないで下さい』と言って逃げるしかなかった」と伝えた。

ジュンウ活動家は「人々は性別に関する身なりに簡単に干渉するが、食堂に行っ て食事をする時も、丁寧に対応してくれていたのに『女だと思ったら男だった』 と言って、態度が急変することも多い」とし「しかし、こうした問題は明白な 差別だとか権利だと表現するには曖昧な部分がある。つまり、差別だと言語化 できる所が空いている」と指摘した。

ジュンウ活動家は「だからこうした経験を当事者でない人たちにどう伝えるか 悩んでいる」とし「皆さんも年齢に合わない、職業に合わない、場所に合わな い身なりの時に、おそらく似たような経験があるだろう」と付け加えた。

続いてある参加者が東子洞サランバンのチョ・スンファ事務局長に「東子洞の 貧民村を担当する社会福祉士はたった2人だと理解している。業務が過重の状況 では、社会福祉士が横柄に振舞っているように見られるような条件があるとい うことを考慮しなければならない」とし「また労働能力があるのに働かない人 にも、なぜ私たちが支援しなければいけないのか。これはいけないのではないか?」 と尋ねた。

これに対してチョ事務局長は「福祉は権利として保障されるべきで、それを受 ける人が羞恥心を感じてはいけない」とし「こうした脈絡で私の話は受ける人 の必要について何も聞かずに与えていることについて問題を提起した」と答えた。

チョ事務局長は「基礎生活保障制度の場合、労働能力とは無関係に福祉を与え るために作った制度で、これは労働をしても暮らしが良くならない、労働をし たくてもできない社会的条件があることを認めるもの」とし「もし青年失業者 に『君はなぜブラブラしているのか?』と質問すれば当事者は答えられず、 とても当惑するだろうが、受給者も同じだ。『君はなぜ労働をしないのか?』 と尋ねれば受給者個人としては返す言葉がない」と答えた。

一方、「乙」たちの連続発言五回目(8月13日)、六回目(8月20日)は「労働」を 主題で開かれる予定だ。(記事提携=ビーマイナー)

[出処:ビーマイナー]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2013-08-09 06:56:48 / Last modified on 2013-08-09 06:56:49 Copyright: Default

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