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タクシー労働者、『最低賃金引き上げ? 社納金も引き上げだ!』

最低賃金を適用しても劣悪な環境は変わらない

ユン・ジヨン記者 2010.06.29 19:34

タクシー労働者たちが6月29日午後4時、最低賃金委員会の前に集まり、『最低 賃金争奪』を叫んだ。だが彼らの『最低賃金争奪』は、他の労働者のように、 最低賃金委員会の最低賃金引き上げ決定だけを要求するのではなかった。最低 賃金が上がっても、最低賃金を受けられないタクシー労働者たちは、悪徳事業 主と政府にも最低賃金を要求しなければならない三重苦を味わっている。

最低賃金値上げ? 社納金値上げで恩恵なく

ソウルでタクシーを運転するA(50)氏は一日12時間働いている。勤労契約書では 一日6時間40分、週5日勤務だが、その労働では社納金も払えないからだ。

昨年ソウル、釜山、光州など7大都市でタクシー労働者にも最低賃金法が導入さ れたが、それだけ社納金もまた増えた。A氏は一日に10万3千ウォンの社納金を 納付しなければならない。1時間1万ウォン稼いでも、4万ウォン以上足りない。

しかたなくA氏は一日2交代、12時間働くほかはない。それだけ働いて彼が一日 の収入と認められるのは、平均17000ウォン。だが会社は一定額しかガソリンを 支援しないので不足のガソリンは私費で充当するほかはない。

一日12時間、週6日働いて、彼が受け取るのは基本給40〜50万ウォンの賃金と、 夜間手当てと賃金手当てを合わせた120万ウォン。

だからA氏はもっと働けないのが残念だ。彼は「一日12時間働くが、食事をして ガスを入れれば一日10時間程度しか仕事ができない」とし「最低賃金が導入さ れてもタクシー労働者の人生は良くならなかった」と吐露した。

実際に最低賃金が適用され、タクシー労働者は1か月31万ウォン以上の社納金を 払い、彼らが受けるのはせいぜい10万ウォンほどしかない。またタクシー料金 が500ウォン値上げされたが、タクシー会社は結局500ウォンの値上げ分をすべ て取った状態だ。

A氏は「最低賃金が上がっても、タクシー会社の構造的な問題を解決しなくては タクシー労働者の劣悪な環境は改善されない」と話した。

だが労組に属さない労働者の環境はこれよりさらに劣悪だ。A氏は「それでも労 組があるからこの程度だ。労組がないタクシー会社の労働者の環境はもっと劣 悪だ」と説明した。労組がないタクシー会社がほとんどなので、全般的なタク シー労働者の現実はこれよりさらに悪いという。

A氏は続いて「民主労総や韓国労総でない、自主的に労組を作ったところは社納 金や賃金交渉がどんぶり勘定式になる」とし「使用者側はほとんど労働者に一 方的に通知しており、実際に無労組のところは労組がある所より社納金が 10000ウォンから20000ウォン高い」と説明した。

タクシー労働者、過労で死んでも『労災処理』は困難

12時間以上運転しなければならないタクシー労働者の勤務環境はさまざまな持 病を起こしたりもする。ソウルでタクシー運転をするB氏は視力低下が最大の問 題だという。彼は「夜と夜明けに運転をすると、光を見続けなければならない から、翌日起きると目が開かず視力もまた急激に低下する」と吐露した。

それだけでなく狭い空間に固定した姿勢で長い時間を送らなければならないの で関節炎や肩の痛みもまた侮れない。疲労の累積で事故もよく起きる。法人タ クシー運転手の事故発生率は個人タクシー事故発生率の5倍を越える。

だが疲労累積による事故は解雇の原因になったりもする。B氏は「事故が多く起 きればそれだけ保険率が上がるので、会社では3回事故がおきれば労働者を解雇 する」と明らかにした。

だがタクシー労働者の業務による健康悪化は労災と認められない。B氏は「事故 がおきてやっと労災と認められる」とし「運転で過労死で死んでも、労災と認 められるためには複雑な訴訟が必要で、訴訟をしても過去の持病と見なされて、 労災と認められにくい」と話した。

最低賃金も保証されず、各種の危険に露されるタクシー労働者たちだが、彼ら の状態はなかなか良くなる兆しが見えない。

昨年の7大都市に続き、今年の7月から中小都市のタクシー労働者は最低賃金法 を適用されるようになったが、使用者側はこれを口実に労働者を大量解雇して いるためだ。

慶南道内昌原、晋州、鎮海、密陽、統営、金海など20余りのタクシー会社は民 主タクシー本部約1000人の労働者に「2010年7月1日から適用される最低賃金制 施行による経営上の理由でやむをえず従事者の貴下を2010年6月30日付で解雇する」 と解雇予告通知書を発送した。

最低賃金も労働者には払わないという立場を固守しているのだ。グ・スヨン民 主タクシー本部長は、タクシー労働者総力闘争決意大会で「慶南地域のタクシー 労働者は7月1日には解雇される危機に置かれているが、政府は傍観している」 とし「憲法によりすべての労働者に最低賃金を保障すべきだ」と鬱憤を晴らした。

最低賃金交渉時限最後の日。最低賃金委員会の中では委員が最低賃金引上げ案 を議論しているが、外ではそれさえ担保されない労働者が最低賃金適用を要求 していた。

5ウォンや10ウォンの値上げで激しい討論が行われる最賃委は6月に終わるが、 その制度的な補完は最賃委の関心外だ。したがって「最低賃金だけを決めるの ではなく、私たちにもきちんと最低賃金が適用されるよう努力してくれ」とい うタクシー労働者の要求は、最賃委の値上げ案決定後も続くものと見られる。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-06-30 03:46:29 / Last modified on 2010-06-30 03:46:31 Copyright: Default

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