本文の先頭へ
韓国:韓国のワーキング・プア
Home 検索

働いただけなのに..金を借りて暮す

民主労総、低賃金労働者家計簿調査の結果... 働いても毎月34万ウォンの赤字

キム・ヨンウク記者/ 2010年03月11日17時06分

小さなビルの清掃をするシン某(69歳)氏は、1か月の所得が84万ウォンだ。だが 所得のほとんどを占める食費と税金などを払い、その他の生活費を少し払うと 35万ウォン程度の赤字だ。シン氏は足りない金は親戚に借り、カードローンな どで暮している。

朴某(62歳)氏は保証金100万ウォン、月貰10万ウォンの部屋で暮していたが、大 家が賃貸専用にしたため保証金500万ウォン、月15万ウォンの部屋に引っ越した。 どちらも長屋だ。トイレがなく、家の周辺の地下鉄の駅のトイレを利用する。 地下鉄の駅が閉まると、ビニール袋に大小便を解決して捨てる。朴氏の1か月の 所得は145万ウォン程度だ。朴氏は地下鉄清掃用役で115万ウォン程度を受けて 30万ウォン程度は別の仕事で稼ぐ。朴氏はからだの調子が悪くても、さらに稼 ぐために夜も働く。しかし朴氏の所得も支出より少なかった。朴氏が1か月に使 う病院費は45万ウォン程度だ。

朴氏は2007年、電気掃除機で水清掃をして感電し、右腕が縮んでほとんど切断 する状態だった。事故の後に労災判定を受けるのも大変だった。電気による事 故という証明が難しかった。あちこちを飛び回ってようやく労災判定を受けた が、1次手術で800万ウォンの借金をした。難しい手術なので労災処理ができな い項目が多かったためだ。

その後、また手術を受けたが相変らず腕は縮んでいる。病院では3次手術を受け なければならないと言うが、2月28日に労災が終了した。朴氏は「われわれは死 ぬ程働いても、月給はそれしか上げない。年を取り、夜の仕事をしているので 体が故障して、時間があれば物理治療を受けに行くが、病気になっても誰も10 ウォン玉一つくれない」とし「賃金を調整する人は何を考えているのか、切実 な貧乏をしなければ貧しい人々の気持は分からない」と非難した。

中高齢の低賃金労働者の生計費はさらに多い。『最低賃金生計費基準の拡大』切実

民主労総は3月11日、シン氏や朴氏のように最低賃金の労働者の家計簿調査結果 を発表した。今回の調査は低賃金労働者14人が昨年12月から1月までの2か月間、 直接作成した家計簿を分析した。家計簿分析に参加したのはソウル3、大邱3、 イチョン2、慶南1、蔚山1、大田1、忠北1、忠南1、光州1人で、民主労総最低賃 金対策会議に参加する公共運輸連盟、女性連盟、一般労協が人口比例地域割当 で標本を選定した。

今回の調査の結果によれば、最低賃金労働者は働いても毎月34万ウォンほどの 慢性赤字を脱することができなかった。家計簿調査の結果、ソウル、清州、光 州の市場で豆腐一丁の値段がどこも1500ウォンで同じだった。風邪薬も3千ウォ ンで全国が同じだった。民主労総は「政府が最低賃金を地域別・産業別に差別 適用し、高齢、研修、移住労働者に減額適用をしているが、財閥グループの大 型ディスカウントショップが全国を寡占した韓国の市場物価は、いかなる地域 別の違いも発見できなかった」と明らかにした。地域差を押し出した政府の最 低賃金政策は事実上、最低賃金削減でしかないという指摘だ。

民主労総は、政府が最低賃金決定基準として使っている『29歳未満の未婚単身 労働者』の生計費基準も再検討せよと主張した。今回の調査の結果によれば、 中高齢の低賃金労働者は祝儀金や香典など、年令的な特性による社会的支出が 他の階層よりはるかに高かったためだ。彼らは80代の老母にもお小遣を払い、 孫にやる金もあり、支出はさらに多かった。また法的には『単身』世帯ではな いが、病気にかかって労働力を失った夫や青年失業の子女を持つ2〜3人世帯の 家計収支はさらに悪かった。このような現実をきちんと反映するには、『最低 賃金生計費基準の拡大』のほうが切実だという説明だ。

民主労総のイ・ジョンホ政策局長は「今回、家計簿を作成した労働者はすべて 典型的なワーキングプア(勤労貧困層)」とし「雇用を増やすと言って安モノの 雇用を大量に創ってきた13年の雇用政策が、働いても貧困から抜け出せない構 造的な矛盾の主犯」と説明した。

民主労総は、今回の資料に基づいて2011年に適用される最低賃金を「労働者の 平均賃金の半分になる25.4%の引き上げ(時給4110ウォン→5152ウォン)をしよう という要求は決して多くない」と主張した。イ・ジョンホ局長は「財界は中小 企業の困難を理由に昨年は最低賃金削減案を持ち出し、今年は最低賃金を物価 上昇率にも至らない2.7%の引上げに終わった」とし「中小企業の困難を解消す るには、最低賃金を下げるより財閥元請会社の『不法下請けの慣行』をなくす ほうがはるかに効果的」だと明らかにした。

民主労総のキム・ヨンフン委員長は「今年の最低賃金闘争は、国民賃金闘争と して80万組合員の壁を越え、つらい中で苦しい労働をする民主労総の外にいる 人々と一緒にする」とし「今回の具体的な調査に基づいて、最も苦しんでいる 方々の最低賃金を現実化し、経済危機の本質がどこにあるかを糾明する」と明 らかにした。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-03-13 15:33:12 / Last modified on 2010-03-13 15:33:16 Copyright: Default

関連記事キーワード



このフォルダのファイル一覧上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について