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移住労働者の休日ない農業労働

[人権オルム]韓国での1年、ビニールハウスで働いてばかり

キム・イチャン 2013.07.03 18:00

ストーリー1 - 独居を夢見ることができるか?

携帯電話に入っているビデオの中で、21歳の女性労働者Kは一人でトラックの 荷台に上がったり下りたりして、積み重ねられた20キロの肥料袋数十個を畑に 「運び出す」のではなく「引きずり出す」作業をしていた。

▲一人で肥料包袋をおろしている姿

「なぜあんなにたくさんの肥料袋を一人で運んでいるのですか?」
「私ひとりしか労働者が働きまません。社長のお母さんのハウス、社長のハウス、 合わせて12あって、私とおばあさん(社長の母)の二人が働きます。おばあさんは 肥料を運べません」。
「一人で働いているのですか? では夜、ビニールハウスに一人でいるのですか? 恐くありませんか?」
「いいえ。一人で暮らしているのではありません。私は社長の家で一緒に 暮らしています」。
「?」
「社長の家はハウスから20分(約1.5km)歩いた先の小さな村にあります」。

「... 社長の家は大きいのですか?」
「社長の家には2つ部屋があります。社長は外国人と結婚しました。 赤ん坊もいます。社長の家族の部屋一つ、私の部屋一つで暮らしています」。
「食事は? 朝6時に仕事を始めて、12時にお昼を食べて、また1時から6時まで 働くとのでしょう?」
「朝は5時に起きて一人で作って食べます。そして歩いて、6時までに ビニールハウスに行きます。韓国にきた時は、社長の奥さんが食事を作り、 社長と一緒に食べたのですが、1か月だけでした。もう社長は朝はご飯を食べません。 私は家を出るので、その後にご飯を食べているのかはよくわかりません。 昼食も大変です。家に行って戻る時間だけで40分かかりますから。 一時間で食事を作って食べるのにはとても時間が足りません」。

「夕食は?」
「夕方も6時過ぎに仕事が終わると家まで歩いて帰ります。社長に自転車が 欲しいと言ったのですが、くれません。家に帰っても、社長の家族が先に夕飯を 食べるまで待たなければなりません。彼らがご飯を食べた後、私が食事をします」。

「部屋は快適ですか?」
「私の部屋は問題があります。私の部屋とは言えません。部屋の中に社長の物や 社長の家族の荷物がたくさんあります。部屋には鍵がありません。1か月二日が 休日です。その時は本当に故郷の友人と遊びたいのに、友人を部屋に呼ぶことも できません。先日、いとこのお姉さんが遠くから訪ねてきたのですが、 社長がとても嫌そうにしていたので、そのまま外で遊んでいました」。
「......」
「先生、私そちらに住むのが不便です。他の職場で行きたいです。"

多くの農業労働者がそうであるように、Kも労働時間は長く、賃金は低い。実際 の労働時間に対する総賃金をみると、時給3500ウォン程度だ。2013年最低時給 は4860ウォンだ。だから最低賃金法違反を主張して労働庁に陳情を提起するこ とはできるだろう。だが労働庁勤労の監督官は「長い労働時間」の調査はでき ないと言い逃れをして、労働者がそれを「立証する客観的資料」を持ってこな ければ、主張を認めない。

こうした状況なので、単に契約当事者間契約事項に過ぎない(?)住居環境の問題を 理由に労働庁に陳情しても、事業場変更許可は得られるだろうか?

Kがため息をつきながら話した。

「私には自由がありません。社長の家で暮らしていますから」。

その通り。夜も昼も、低くて楽ではないだろう。だがすぐ代案を見つけるのは 難しそうだ。例えば彼女がその田舎の村で一人で独立した部屋を借りて暮らせる だろうか? でなければ勤労契約書に「住居を提供」すると書いた社長に(他の 多くの労働者のように)、人が少ない広い野菜畑のまん中、ビニールハウスの中に パネルで仮設の部屋でも作ってくれと哀願しなければならないのだろうか?

▲移住労働者が働くビニールハウス

ストーリー2 - 休日

ソウル市果川のある花卉農場で1年近く働いてきた21歳の労働者LとPに1か月に 何日休めるのかと尋ねた。しかし、彼らはずっと「休日」を思いせなかった。

「農業でも普通1か月に二回は休むでしょう。日曜や土曜は休みませんか?」
「どう答えればいいのでしょう。日曜には少し休みの時間があります」。

「どういうことですか?」
「最初の6か月は休みがありませんでした。日曜は朝7時から9時まで働きます。 そして9時から12時まで教会に行きます。社長が連れて行きます。午後12時から 1時まで、食事を作って食べます。食べた後、1時から6時までまた働きます。 教会に行く時に休みます」。

「... ひょっとして宗教はありますか?」
「私は仏教信者です。私の国は仏教国でしょう」。

彼らに1年間の勤労時間を記録するようにいった。最初の4か月は、平日と土曜は 午前7時から午後7時まで11時間、ずっと働いた、日曜に教会に行くが、その後 5〜6か月はそれもなく、ずっと働いていた。

月給は百万ウォンあるいは90万ウォンだ。だから時給3000ウォンを少し越える。 彼らが韓国で暮らしている間、1年間で行った場所は、自分たちが暮らす 「ビニールハウスの家」と社長夫婦の車で連れて行かれた「教会」が全てだ。 そうだ。1年間、まともな「休日」はなかったのだ。

「退職金発生日」まであと15日という頃、突然社長が彼らを追い出した。労働者 Lが「休日がないのに賃金はとても低い」と社長に話したのが理由だった。 社長は「他の労働者がくる。君たちは行きたいところに行け!」と言った。

行きたいところ? 彼らは1年間、起きている時間のほとんどをビニールハウスで 過ごした。どうすれば「行きたいところ」があるというのか? LとPは(地球人 の停留場シェルターがある)、移住労働者で混みあう安山市元谷洞にきて 「はじめて」、「突然押しかけた自由(?)」な時間を送る。

満20歳のLとPがここで暮らしている間、彼らがたとえ「ひどい(?)、やぼったい (?) 流行とはかけ離れた(!)」行動をしたとしても、おかしいと思うことは全く できない。彼らは馴染みのない世界に到着するとすぐ、1年近くずっと働く だけだった。何と3500時間働いていた。

「人」だ

労働部に陳情する時、「労働者たちが社長に連れて行かれ、教会に行った時間 を勤労時間と主張できるか?」をめぐって悩んだが、止めることにした。Lが気 まずそうに話した。「私は仏教信者でもありますが... 教会に行くと座ってい ることができ、うとうとする事もでき、仏様のことを考えたり、他の人を見る こともできました。しかし教会に行かなくなると日曜も働くばかりでした。 その時間は私にとって、それでも息をつける時間だったようです」。

LとPは労働庁の判断を待ちながら、似たような境遇の数十人の失業者が集まって いる[地球人の停留場]で暮らしている。彼らが予想になかったこの失業期間に、 何をしても、何もしなくても、どうであれその資格がある。彼らは20歳の「人」だ。

付記

キム・イチャンさんは「地球人の停留場」の常任役員です。 「地球人の停留場」は安山の移住労働者シェルターです。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2013-07-04 03:49:25 / Last modified on 2013-07-04 03:49:26 Copyright: Default

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