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雇用許可制8年、矛盾に満ちた再雇用の条件

[低い声](8)移住労働者長期滞留の権利が必要だ

チョン・ヨンソプ(移住労働者運動後援会) 2012.06.02 19:41

再入国再雇用許容

昨年末、国会は『外国人の雇用などに関する法律』改正案を通過させた。骨子 は4年10か月間の雇用許可制期間が終わった労働者に、また4年10か月を働ける ようにするという内容だ。ところがそれには条件がある。『事業場変更をしな いこと』というものだ。休業、廃業などの理由で事業場を移動した移住労働者 (この場合は事業場移動回数に含まれない)は、最後の事業場で1年以上、契約を 維持していなければならないという条件だ。つまり、4年10か月間一つの事業場 だけで、あるいは移動回数に含まれない事業場移動をした場合だけに機会を与 えるということだ。事業場と再契約して本国に3か月戻らなければならないとい う条件もついた。

結局、一つの事業場だけで働いた移住労働者には最長9年8か月間、働く機会が 開かれた。この改正案は今年7月から施行される予定だ。労働部は報道資料を出 して確定した具体施行方案を発表したが、これによれば移住労働者がこの制度 の適用を受けるには、『農畜産業、漁業または30人以下の製造業』で働かなけれ ばならない。

[出処:カトリックニュース・いまここ]

背景;未登録移住労働者の量産

この改正案が出てきた背景は、雇用許可制が想定していた移住労働者雇用期間 が一循し、雇用期間が終わっても出国しない労働者が増加しているということ だ。2004年に始まった雇用許可制で、2010年から雇用期間満了者が出てきたが、 2011年には3万余人、2012年には6万余人になる。だがこのうち、現在30%程度 が超過滞留をしている。数字では3万人になり、この数字は2013年にはさらに増 えるだろう。そして2012年には未登録滞留者の数も17万人を越えた。

雇用許可制導入の当時から、移住運動陣営では雇用期間が終われば超過滞留の 労働者が増えると批判して『短期循環』の問題を提起し続けてきたが、これが 現実になっているのだ。政府としては、未登録滞留者に残る彼らを送り返した くても一挙に摘発して送りだす能力も可能性もない。企業らもなじんだ人員を 望む。それで未登録滞留者を減らし、企業の利害にも服務するために、政府が 金科玉条と考えてきた短期循環の原則を実質的に否定し、再入国政策を立てる ことなったようだ。

誠実勤労者?

労働部はこの制度を『誠実勤労者再入国制度』と言っている。「事業場の変更 なく誠実勤労後に自主帰国した外国人労働者は、3か月後に再入国してまた4年 10か月間働く道が開かれる」(労働部報道資料、2012.5.9)と発表した。ここに われわれは、『事業場変更をしない移住労働者が誠実な勤労者』という政府の 認識を見ることができる。つまり事業場にどんな問題があっても、労働条件が いかに劣悪でも、事業場を変えなければ誠実な勤労者と見て再入国の機会を与 えるということだ。

移住労働者に事業場を変えるなということだ。しかし事業場の労働条件やその 他の状況が良好なら誰が移動するだろうか? 事業場移動が不可避だから、雇用 許可制法でも、4年10か月に5回までの変更を認めているのではないのか? 同じ 法の中で、ある条項は事業場移動を認め、他の条項では移動しない労働者に 再入国の機会を与えるというのだから法自体も矛盾が生じる。

結局『事業場を変更しない場合』という条件は、移住労働者をさらに事業主に 強く従属させる効果を生む。労働条件や事業場の処遇、寄宿舎状態などがいく ら気に入らなくても、再雇用のためには我慢しなければならず、事業主はこれ を利用して労働条件をさらに低下させる可能性も大きい。

3か月の出国?

もうひとつの条件は4年10か月以後、事業場と再契約を締結して3か月間出国し なければならないということだ。なぜ3か月なのだろうか? 当初、労働部では1 か月の方案を出していたが、法務部の主張で3か月に延長したという。継続雇用 せず出国要件をおく理由は、移住労働者に永住権を申請する機会を与えないた めだ。韓国に合法的に5年以上居住した移住民は、永住権を申請する資格が発生 するが、政府は雇用許可制の移住労働者に定着させないために、初めから雇用 期間も4年10か月に制限していた。再雇用にも出国要件をおくことにより『5年 継続居住』を満たさないようにしようとしているのだ。つまり5年継続居住を 確実に遮断するため、法務部は3か月という十分な断絶期間をおこうとしてい るのだ。

初めから政府が堅持すると標榜する原則は、内国人力補完性(不足の人員だけを 受け入れる)、短期循環(短期間労働した後に送り返し、他の人員をまた受け入 れて循環させる)、定住化防止(雇用許可制できた人員の定着を防ぐ、家族招請 も禁じる)だ。つまり韓国の資本が必要な時に限り移住労働者を導入し、短期間 に最大限搾取して使って送り返し、新規の移住労働者を受け入れる制度が雇用 許可制だ。低賃金・長時間・高強度・非正規労働をアジア次元で作動させる 『短期循環労働搾取』システムである。

今、雇用期間の一循が終わり、システムの矛盾が表出している状況で、政府は 根本的な問題に触れず、表面的な処方で、それも事業主に労働者をさらに従属 させ、搾取を強化する小賢しい案を出したのだ。

無条件に長期滞留の権利保障を

事業場を変更しない移住労働者に限り、4年10か月の雇用期間をもう一度付与す るという政策は、また4年10か月後に同じ問題が発生する。つまり2017年にまた 滞留延長の問題が台頭するほかはないということだ。3か月の出国要件があると 言っても、一部の移住労働者にとって実質的には9年8か月の長期滞在が可能に なるということは、彼らが韓国社会にそれだけ共存し、共に労働して暮らすと いう意味だ。それなら短期循環という原則に執着するだけでなく、長期滞留が 不可避な現実を直視して、これを保障する政策が必要だ。

西欧でもほとんどが初めは短期で移住労働者を受け入れ、その後、問題が発生 すると、長期滞留を可能にする制度に転換した。長期滞留を移住労働者が選択 できる権利として保障することが人権にも合致し、合理的だ。

したがって、今回の改正案で事業主への従属性を強め、労働搾取をさらに深刻 にする『事業場変更をしない移住労働者』、『3か月の出国期間』という条件は なくさなければならない。移住労働者が長期滞留を選択できる権利を保障する 方向に行かなければならない。今年の8月には雇用許可制施行8年を迎える。 根本的な制度変換の議論が必要な状況だ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2012-06-04 10:49:46 / Last modified on 2012-06-04 10:49:47 Copyright: Default

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