「雇用許可制は失敗した」 -アノアル委員長の手紙(8月8日付)

アノアル委員長は、7月21日付の手紙で、保護所内の人権侵害と不当な待遇を 暴露したのに続き、雇用許可制施行1年を評価して、雇用許可制の政策的失敗 を宣言する手紙(8月8日付)を送ってきました。

この手紙でアノアル委員長は、各種の甘言と偽りの宣伝で移住労働者の権利を 保障するという一方で、移住労働者に対する殺人的な摘発追放政策を取ってい る雇用許可制の二面性を指摘して、このような雇用許可制施行1年の中で移住 労働者が受けている苦痛と搾取を暴露しています。

また、すでに全体移住労働者の半分以上になっている未登録移住労働者の増加 傾向は、結局、雇用許可制の政策的失敗を意味するもので、これに対する政府 の認定と労働許可制の実施を要求しています。

8月8日付、アノアル委員長手紙専門(原文はベンガル語)

雇用許可制は失敗した!

「韓国にいる外国人労働者を合法化してやり、彼らの労働権をはっきりと保障 する」こういう嘘を宣伝しながら、雇用許可制法案は2003年の7月末に国会を 通過した。政府は外国人労働者全員を合法化するといったが、12万移住労働者 を制度から除外し、42万の移住労働者を分断した。

雇用許可制は、移住労働者の要求を一つも守らなかった。政府は移住労働者の 労働権を拡張すると言いながら、その言葉を守らなかった。事業場移動の自由 がないこの制度は、資本家に利用された。労働者はみんな奴隷になってしまっ た。韓国では97か国の人々が働いているが、MOU国家は6か国しかない。それは、 古い問題を解決せずに新しい問題を作った。移住労働者は、この滑稽な制度を 受け入れなかった。初めから反対の声をあげた。多くの移住労働者がこの制度 の犠牲になった。多くの韓国人の社会団体、人権団体、文化団体、労働団体、 政治家は、移住労働者の闘争を支持して共にした。われわれは長期間の籠城 闘争をした。

韓国政府は、市民と多くの団体を無視し、強制的にこの制度を施行しながら、 連合摘発団を作り、2003年11月15日から摘発追放を始めた。目標は、『2004年 8月17日の前に、12万の不法滞留者を強制追放する、そして新しい移住労働者 を流入させる』ということだったが、その時から新しい労働者がきても、政府 は12万の移住労働者を強制出国させることに失敗した。完全に失敗した。新し い移住労働者も、E9ビザで韓国に働きにきた移住労働者も不法化され始めた。 彼らはますます増えた。現在、不法滞留者は以前よりさらに増加している。こ れらの移住労働者は、好きで不法になったのではなく、誤った制度のために不 法になった。なりたくなかったのに不法滞留者になったのだ。

雇用許可制が通過して1年という期間、政府は雇用許可制を検討した。それに もかかわらず、未登録移住労働者の問題はきちんと解決されなかった。政府は それを認めず、なんとしてもこの制度を施行し続けるために、2005年3月には 出入国法案を改悪し、連合摘発団にゴム銃、網銃、ガス銃、電気銃、棒、手錠 が使えるようにして魔女狩りをした。彼らは、これらの武器を使って殴りつけ、 非人間的な摘発をしている。24時間中ずっとそうしている。私たちが人権侵害 だと問題を提起しても、政府はこれを無視して取り締まりを続けている。人権 団体が実態調査を施行し、こうした政府の態度を強く批判しても、政府は実力 で自身の行動を正当化している。

政府がいかなる方法を使っても、その目的を達することができないのは、雇用 許可制が病んだ制度だからだ。政府は多額の資金を投じて多くの人材が昼夜を 問わず働いたが、何の成果も達することができなかった。今の状況はさらに悪 化した。病気の治療方法も得られず、移住労働者を弾圧するだけだ。こんな法 は墓に送らなければならない。

最後に言いたいのは、人間は万物の霊長だということだ。地球に作られた法は 人間の生を発展させるために、社会を発展させるためにある。われわれは雇用 許可制のような奴隷制度を認めない。人間のために制度があるのであって、制 度のために人間があるのではない。制度を作りながら、権利を奪って弾圧する ことは、非人間的な態度だ。外国人労働者も人間だ。人間らしく暮す権利を持っ ている。労働者は自由に働き、自分の能力によって待遇される。移住労働者に そのような権利を享受しないのは不法だ。

今、21世紀になって、韓国はアジアゲーム、オリンピック、ワールドカップの 開催国になった。韓国人は外国の発展した文化や市民意識をよく知っている。 韓国人の考えや精神はさらに発展している。そのため、われわれはこの国の国 民に、中世の時代のような行動ではない前向きな行動を望む。したがって雇用 許可制のような法を国民に適用し続けてはならない。

韓国政府は、雇用許可制は失敗した制度と認めなければならない。こんな制度 で移住労働者を弾圧し、人権を侵害する行為を中断しなければならない。移住 労働者の要求を認めなければならない。移住労働者のために制度を作る時は、 移住労働者の言葉を一番最初に受け入れなければならない。強制は、人々も認 められない。現在の移住労働者の問題の解決は、移住労働者が要求する労働許 可制を通してのみ解決できる。他の方法ではうまくいかない。私たちが期待し ているのは、韓国政府が雇用許可制を廃止し、労働許可制を施行すること、現 在の不法滞留者(未登録移住労働者)を全面的に合法化することだ。それだけが 問題を解決できるだろう。

1. 8.8.

清州保護所で アノアル

原文

翻訳/文責:安田(ゆ)