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韓国:偽造された電子旅券、空港で問題なく通過
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「偽造された電子旅券、空港で問題なく通過」

[寄稿-電子旅券の話](2)電子旅券はなぜ導入したのか?

キム・スンウク(進歩ネットワークセンター)/ 2008年10月07日14時52分

電子旅券を偽・変造する方法(エルビス・プレスリーの電子旅券)

電子パスポートは、既存の旅券が偽・変造に弱かったため、偽・変造ができな い最先端のパスポートとして導入された。もちろん2005年9月に導入された写真 転写式旅券も同じ理由で導入され、当時の公示はこうだった。

「旅券の品質改善と偽・変造防止のために開発した写真転写式新旅券の全国 発給を9月30日から開始」 (2005年10月17日外交通商部報道資料)

2005年に導入された最新写真転写式旅券がどれほど偽・変造されたのか、どの ようにして偽・変造されたのかについては何の研究や報告もなく、2006年から 電子旅券が推進され、結局2008年に発給されている。全てが同じだ。ただ、 チップが一つ追加されただけだ。

ところで外交通商部は「電子チップが壊れても入管ができるのですか?」という 人権団体の質問に「入管は可能だ」と回答している。回答を見よう。

「入管が可能です。たとえ電子チップが作動しなくても、入管審査者の肉眼審 査と機械判読で入管が可能だからです。一方、電子旅券の国際標準を定める政 府間国際機構の国際民間航空機構(ICAO)は、電子旅券のチップが判読できない 場合でも他の特別な問題がなければ入管を認めるように勧告しており、入管審 査時の電子旅券判読を実施する国家は同勧告を遵守していると把握されていま す。」 (2008年9月17日、人権団体質問に対する外交通商部回答)

電子チップがなければあとは写真転写式旅券と全く同じだ。外交通商部の主張 の通り、写真転写式旅券が偽・変造ができたとすれば(これは主張されただけ だ)、チップを壊して同じ方法で偽・変造ができる。パスポートを偽・変造する 人は電子チップを追加して偽・変造する費用と時間をかけるより、これまでの 通りにできるのならそちらを好むだろう。偽・変造防止が目的だった電子旅券 が導入され、電子チップが追加されたが、それが実はオプションだったという 告白! ではまったく偽・変造防止にはならないのではないか? 事実、現在はチッ プを壊す必要もない。なぜなら米国を除くほとんどの国が電子旅券を導入して も、当の入国審査システムは変更されていないからだ。韓国も同じだ。

不必要かもしれないが、電子チップを偽・変造する方法も調べよう。電子新聞 にこれについて詳しい説明が出ているので、そのまま引用してみたい。

「この電子署名はDS認証という認証書で、偽・変造の有無を検証するが、DS認 証書が電子旅券の中に保存され、まるで錠と鍵が一緒にあるようなものだと主 張されている。DS認証書自体は各国が保存しているCSCAという認証書で、再度 認証過程を経ることになるが、すべての国が必ずしも認証手続きをしていない という。CSCA認証書を保護する公開鍵ディレクトリ(PKD)コードシステムを導入 している国は、電子旅券を導入した40数か国のうち5か国しかない」(電子新聞 2008/9/30 「電子旅券偽・変造の可能性提起...」)

電子旅券には、個人情報の偽・変造を調べる認証書が一つ入っているが、その 認証書をあける鍵(暗証番号)も一緒に旅券に入っている。記事に書かれている 通り、錠と鍵が共に入っている。だから個人情報を変更したときは、鍵も変更 すれば良く、認証書は新しく生成すれば良い。これを防ぐために公開鍵ディレ クトリ(PKD)があるが、きちんと運営されていないという。この問題についての 外交通商部の回答は次の通りだ。

「CSCA認証書問題の場合、認証を導入している国が多くないという問題で、電 子旅券そのものの問題ではない。一つ二つ多くの国が導入を進めているので、 この問題は近い将来解決されるだろう」 (電子新聞上の記事)

つまり、問題があるにはあるが、電子旅券の問題ではなくシステムの問題だと いう説明だ。電子旅券とシステムは別ものか? そして数日前にヨーロッパでエ ルビス・プレスリーに偽造された電子旅券が空港でうまく作動するという知ら せが伝えられた。実際の動画と共に! 電子旅券リーダーの画面に出てくるエル ビスの顔を鑑賞してみよう!

〈エルビス・プレスリーのものとして偽造された電子旅券、空港で問題なく通過した〉

偽・変造が不可能? どうして? 「ここがロードス島だ。ここで走れ!」

電子旅券はなぜ導入したのか?

整理しよう! 電子旅券の性能を個人情報流出と偽・変造防止の二つの側面に分 けて考察することができる。まず個人情報流出の側面で、あらゆるいたずらが 可能になった。個人情報は以前にない方法で流出している。外交通商部が危険 をすべて隠したため、国民は目で見ていながら、個人情報スリにあうことになっ たわけだ。われわれは電子旅券が導入され、さらに簡単な方法で、つまり非接 触でさらに多様な情報が、つまり「住民番号+デジタル写真+名前」の3点セット で、さらに致命的な形態で、つまり電子的な形態で、さらにこっそりと、見て いながらすられるように個人情報の流出が可能になったと理解する。ここに外 務通信部の主張を加えてみよう。以前と違わないという。総合すれば、「悪く なったか、今まで通りか」

二番目、偽・変造防止の側面で! 電子チップが壊れても無関係だという回答と、 電子チップで偽・変造を防止できるという主張は、完ぺきな矛盾のハーモニー を作り出している。また、電子チップ自体を偽・変造したり、複製したり、代 替したりという他の可能性は絶えず提起されていて、外交通商部も問題がある と答えている。システムがまだあまり普及していないと。そのためヨーロッパ ではエルビス・プレスリーの電子旅券が空港を歩き回る。とにかく、結果的に 「偽・変造防止の側面での改善は全くない」

こうした電子旅券の導入に支出された予算は次の通り。2007年、電子旅券統合 情報管理システム構築事業に155億ウォン、同年、電子旅券eカバー事業に320億 ウォン。2007年、電子旅券事業予算配分は10億ウォンだったが、とにかくどん な魔法を働かせたのか、支出された金額は上の通りだ。今年は電子旅券の予算 が昨年より1470.6%増えた157億ウォンで編成された。この金額を含み、旅券業 務の先進化だけで764億ウォンが配分されたが、これは外交通商部所管歳出予算 の6.6%を占める金額だ。一方、今年電子旅券の製作に投入された費用の44%が外 国企業に支給され、今後も217億ウォン程度が基礎固有技術を保有するドイツ、 オランダなどの外国企業に支払われる展望だという。一言で浪費ではないのか? 「悪くなるか、これまで通りか、効果がないか」の事業にかかる金だ。

外交通商部は個人情報が流出しないようにするには「旅券の身元情報面をなく さなければならない」という非合理な結論に達すると抗弁している。「合理」 の基準で答えるなら、電子チップによる個人情報流出の危険とその致命性はさ らに大きくなるのに、偽・変造防止の面で効果が全くないのなら、当初から電 子チップを挿入せず、上に羅列した予算を別のところに使うことこそ合理的な 結論ではないのか?

電子チップに保存されようが身元情報面に出力されようが、世界で唯一旅券に 住民登録番号を収録することで、それを旅券を開く誰もが確認してみられるの なら、政府が好きなグローバルスタンダードに合わせて住民登録番号は当初か ら入れないことが合理的な結論ではないのか? それは指紋についても同じだ。

外交通商部の主張のとおり、電子チップに対する偽・変造がすでに不可能なら、 2010年からは旅券のセキュリティのために指紋まで追加するという決定は非合 理ではないのか? すでに電子チップに保存されている顔、姓名、住民番号、旅 券番号、国籍などの情報を偽・変造する行為が入管の審査台で見つけられるの なら、現在の電子旅券はそれ自体が完ぺきで、あえて指紋を追加して「韓国旅 行者特別指紋押捺検査」を全世界に要請する必要がどこにあるのか? あるいは 偽・変造が可能なら、電子チップで顔写真を偽・変造する方法で指紋も変えら れるが、新しく指紋を追加しても効果がないのではないのか? 外交通商部には 矛盾が合理なのか?

以上で外交通商部の合理的な思考方式に符合する適切な回答になったことを期 待して、文を終える。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2008-10-09 05:51:49 / Last modified on 2008-10-09 05:51:50 Copyright: Default

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