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韓国:ネットの巨大な電柱『インターネット実名制』を引き抜け
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ネットの巨大な電柱『インターネット実名制』を引き抜け

選挙時にインターネット言論社を対象とするインターネット実名制に関するQ & A

イ・ジュニ(インターネット記者協会会長)/ 2008年03月25日16時19分

1. 選挙時期インターネット言論社を対象にした『インターネット実名制』とは?

=公職選挙法82条6項により、誹謗・中傷宣伝予防を目的として選挙運動期間中、 インターネット言論社は実名確認を経た者に限り、掲示板・対話室への書き込 みを許可します。この法により、中央選挙管理委員会が定めたポータル、イン ターネット言論社は、行政安全部などが提供する実名認証システムを設置しな ければなりません。今回の4・9総選挙では、3月27日から4月8日まで13日間適用 されます。

第82条の6 (インターネット言論社掲示板・対話室などの実名確認)(1)インター ネット言論社は、選挙運動期間中に当該インターネットホームページの掲示板・ 対話室などに政党・候補者への支持・反対の文を掲示できるようにする場合は、 行政自治部長官が提供する実名認証方法で実名を確認する技術的な措置をしな ければならない。
(2)政党・候補者は自分の名義で開設・運営するインターネットホームページ の掲示板・対話室などに政党・候補者への支持・反対の文を掲示できるように する場合には、第1項の規定による技術的措置をすることができる。
(3)行政自治部長官は、第1項および第2項の規定により提供された実名認証資 料を実名認証を受けた者、およびインターネットホームページ別に管理し、中 央選挙管理委員会がその実名認証資料の提出を要求した場合には遅滞なくこれ に従わなければならない。
(4)インターネット言論社は第1項の規定により実名認証を受けた者が文を書 き込んだ場合、当該インターネットホームページの掲示板・対話室などに「実 名認証」を表示する技術的措置をしなければならない。
(5)インターネット言論社は当該インターネットホームページの掲示板・対話 室などで文を掲示しようとする者に住民登録番号を記載することを要求しては ならない。
(6)インターネット言論社は当該インターネットホームページの掲示板・対話 室などに「実名認証」の表示がない政党や候補者に対する支持・反対の文が掲 示された場合には、遅滞なくこれを削除しなければならない。
(7)インターネット言論社は政党・候補者および各級選挙管理委員会が第6項 の規定による文の削除を要求した場合には、遅滞なくこれに従わなければなら ない。
[全文改正2005.8.4]

2. インターネット実名制はいつ導入されたのですか?

=インターネット実名制は2004年3月12日、国会政治改革特別委員会が公職選挙 法を改正して導入されました。当時ハンナラ党の李在五(イ・ジェオ)、ウォン・ ヒリョン議員などが法案の改正を主導しました。当時、盧武鉉大統領の弾劾政 局で、インターネット世論でとても弱かったハンナラ党が、インターネットの 世論を静める目的で法案を導入しました。当時、与党のヨルリンウリ党はイン ターネット言論弾圧と情報人権侵害などの理由を上げ、実名制導入に反対しま したが、結局投票で処理され、本会議を通過しました。インターネット言論団 体(インターネット言論社)と情報人権団体などの反対(憲法請願など)で実行が 留保されましたが、結局2006年の5.31地方選挙で初めて適用されました。

3. インターネット実名制導入でインターネット世論が萎縮したのですか? 特にインターネット言論社への影響はどうですか?

=インターネット言論社を対象とする実名制の適用で、選挙の時期にインターネッ トの世論が極度に萎縮しています。住民番号を入力して実名確認をしなければ 書き込めないので、個人情報の流出などを憂慮するインターネットユーザーは 自然に実名で文を書き込むことを敬遠するようになります。この結果、選挙の 時にインターネット空間で活発な政治参加と討論文化が失なわれます。大統領 選挙では、事実上インターネットの世論が死んだという事例を見るとよくわか ります。特にインターネット言論では、記事と討論掲示板などの反論コメント 討論は、双方向言論の長所を生かせるのですが、国家と政界が実名制を強制し たことで、双方向インターネット言論の長所が失われています。

4. 今回の4.9総選挙でもインターネット実名制が実施されますがインターネット世論の形成にどんな影響を及ぼすのでしょうか?

=第17代大統領選挙では、選挙法93条とともにインターネット実名制条項により、 インターネット世論は共同墓地そのものでした。単純な政治参加の文や候補者 と政党に関する風刺パロディ、意見を載せたと言う理由で、千人以上のインター ネットユーザーが刑事立件され、調査され、一部は検察に起訴されて現在、裁 判を受けています。インターネット実名制で、インターネットユーザーの選挙 参加は極度に萎縮しました。一言でいえば、インターネットユーザーは恐怖に 震えています。今回の4.9総選挙でもこうしたパフォーマンス効果が作用するで しょう。インターネットユーザーのインターネット選挙参加は萎縮し、一言で 『民心の声』がきちんと伝わらなくなるでしょう。

5. インターネット実名制を履行しないと、どんな処罰を受けるのですか?

=インターネット実名認証システムを導入しなければ、該当報道機関は最高 1000万ウォンの過怠金を払わなければなりません。実名認証システムを導入し ないサイトには3日の履行命令期間を与え、それでもしなければ基本の賦課額 500万ウォンに、毎日50万ウォンずつ加算金が賦課される方式です。これと共に 第82条の6(インターネット言論社掲示板・対話室などの実名確認)第6項の規定 に違反し、実名認証の表示がない文を削除しなければ、300万ウォン以下の過怠 金に処されます。

2006年の5.31地方選挙当時、実名制システムを設置しなかったインターネット 新聞、民衆の声に対し、中央選管委は1千万ウォンの過怠金を賦課しました。し かし正式な裁判の結果、法院は実名制条項の問題点を認め、200万ウォンの過怠 金を確定しました。2007年の第17代大統領選挙では、民衆言論チャムセサンが 応じず、中央選管委が過怠金を賦課しましたが、チャムセサン側は正式裁判請 求をしています。

実名制に応じないインターネットのユーザー個人には別途の制裁は加えられません。

第261条(過怠金の賦課・徴収など)
第82条の6(インターネット言論社掲示板・対話室などの実名確認)第1項の規定 に違反して技術的措置をしなかった者は、1千万ウォン以下の過怠金に処する。 [新設2004.3.12]
(2)次の各号のどれか一つに該当する行為をした者は、300万ウォン以下の過 怠金に処する。[改正2004.3.12、2005.8.4]

1. 第70条(放送広告)第3項・第71条(候補者などの放送演説)第10項・第72条 (放送施設主観候補者演説の放送)第3項[第74条(放送施設主管経歴放送)第2項 で準用する場合を含む]・第73条(経歴放送)第1項(管轄選挙区選挙管理委員会 が提供する内容に限る)および第2項・第272条の3(通信関連選挙犯罪の調査)第 3項または第275条(選挙運動の制限・中止)の規定に違反した者
2. 「刑事訴訟法」第211条(現行犯と準現行犯)で規定された現行犯または準 現行犯で第272条の2第4項の規定による同行要求に応じない者
3. 第82条の6(インターネット言論社の掲示板・対話室などの実名確認)第6項 の規定に違反して実名認証の表示がない文を削除しなかった者

6. インターネット実名制は時代に合わない悪法だと思うのですが?

=参加と開放、共有というウェブ2.0時代に全くふさわしくない悪法です。イン ターネット言論事業者だけに実名制を強制し、これに違反すれば過怠金を賦課 するという点で、過剰な規制処罰条項だといえます。まるで『インターネット 上の電信柱』と言うべき事業規制条項です。サイバー名誉毀損などは現行法で は処罰条項があり、いくらでも処罰が可能ですから、別途の実名制条項は即刻 撤廃されなければなりません。特に、実名制により国民の莫大な個人情報が政 府と信用情報提供業者などに蓄積されており、ハッキングなどによる個人情報 の流出が多発しているため、大きな被害が憂慮されています。

7. 選挙運動期間中は誰もがネットで何の制約もなく支持や反対ができますが、インターネット実名制条項とは矛盾するように思うのですが?

=そうです。公職選挙法は、選挙運動期間中に一般有権者にも選挙運動を認めて います。つまり第18代国会議員選挙の選挙運動期間である3月27日から4月8日ま での13日間は、選挙権がないか、公務員など選挙運動ができない人を除き、誰 もが自由に選挙運動をすることができます。特に、自由なサイバー選挙運動が 可能です。中央選管委によれば、選挙運動ができる人は選挙運動期間中にイン ターネットのホームページとその掲示板、対話室などに候補者を支持・反対す る文やUCC、または候補者の情報を掲示して電子メールを発送するなど、サイバー 空間での選挙運動が可能です。ただし、電子メールや携帯メールで選挙運動を するときは、『選挙運動情報』であることを表示して簡単に受信拒否ができる ようにする方法を同時に表示しなければなりません。選挙運動期間中でも候補 者とその家族への誹謗または虚偽事実掲載は禁止さ続けます。このように公選 法ではインターネットのホームページの掲示板、対話室などで自由な選挙運動 を可能にしているのに、インターネット言論社の掲示板、対話室には実名確認 をしなければ選挙に関する文が書けなくする法条項は、インターネット言論の 世論を遮断する過剰規制です。選挙の時のインターネット言論社を対象とする 実名制は、公選法の他の条項にも反しており、なぜこのような過剰規制が存在 するのかという疑問を感じます。選挙時のインターネット実名制は世界でも類 のない悪法中の悪法であり、過剰規制の中でも最高にたちの悪い過剰規制です。

8. インターネット実名制、改正の可能性は?

=現在の17代国会では改正の可能性は全くありません。言論市民団体が改正案を 請願していますが、不動の姿勢です。統合民主党とハンナラ党には改正の意志 が全くありません。李明博政権がサイバー上の電信柱のようなインターネット 実名制廃止法案を国会に上程しなければなりません。6月初めに発足する第18代 国会で与野が前向きにこの実名制廃止法案を処理するべきだと思います。

9. インターネット実名制の代案は?

=実名制を導入して、誹謗中傷が減ったという統計は、現在まで統計の数値上で は確認されていないということです。インターネットの反論コメントの文化が 元気になるように、民間の自主的なキャンペーンと自浄運動を持続的に拡げて いかなければなりません。

まず、段階的に実名制を適用されるインターネット言論社の範囲を縮小しなけ ればなりません。旅行、医療など、選挙とは全く無関係なサイトを含み、約 1300の全インターネット言論社のホームページを対象にしています。時事政治 を専門とするインターネット言論社に限り、その範囲を大幅に縮小すべきです。 また現在、実名制に応じなければ強制的に処罰されますが、この条項を自主条 項に改正しなければなりません。つまり『インターネット言論社は... 実名を 確認する技術的システムを設置しなければならない』ではなく『設置できる』 に直さなければなりません。また過怠金条項をなくさなければなりません。政 治家、候補者、政党ホームページは『実名制システムを設置できる』という 自主的勧告条項になっています。

選挙時期のインターネット実名制は、インターネット言論社だけをターゲット として過剰な規制を加える悪法中の悪法です。究極的には選挙時期のインター ネットでの政治参加と投票参加を活性化する方向で、実名制条項を前向きに廃 止しなければなりません。規制撤廃に命をかけている李明博政権が『選挙時期、 インターネット言論社だけを対象とする実名制(サイバー上の巨大な電信柱)』 を放置し続けるのは、二律背反です。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2008-04-07 03:25:40 / Last modified on 2008-04-07 03:25:41 Copyright: Default

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