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マクドナルド、そして最低賃金

[人権オルム]マクドナルド占拠デモに注目すべき理由

オ・ジノ(非正規職ない世の中ネットワーク) 2015.04.03 11:23

「この60年間、年齢、学歴、性別にかかわらず、 一生懸命、誠実に働くすべての人に成長の機会を提供した。 … 1万8000人のわが職員は、誇らしい職場であるマクドナルドで働くことに強い自負心を持っている。」

3月30日、マクドナルドの関係者が言った言葉だ。 韓国で400店舗、1万8000人の人員を雇用するマクドナルドは、雇用創出のモデルケースかも知れない。 実際に2014年10月9日に雇用労働部と韓国雇用情報院が発表した 「2008〜2013年5年間の雇用成長指数(企業雇用創出指数)が最も高かった企業」で、 マクドナルド(韓国)は5位を占めた。 同年5月、マクドナルドは「全国採用の日」を開いた。 "I'm lovin' It." われわれは良い雇用創出の先頭に立つ企業、マクドナルドを愛するほかはないのか。

雇用創出のモデルケース、マクドナルドを占拠する

「…われわれは繰り返しマクドナルドに要求します。 不当解雇を撤回してください。 労働組合活動を理由にした不当な解雇だったことを認め、またイ・ガヒョン組合員が働けるようにしてください。 また売り上げと人件費の割合を統制するレイバーコントロール・ポリシーを直ちに廃棄してください。 そしてアルバイト労働者の時給を上げてください。 マクドナルドの就業規則により、6か月に一回の賃金交渉をしてください。 そしてマクドナルドの正規職の割合も増やしてください。 こうした問題を議題で、労組との交渉に出てきてください。 こうした要求がまた黙殺されるのなら、われわれは2次マクドナルド占拠デモを行います。 今回は1次よりさらに多くの店舗で占拠デモが行われるでしょう…」

3月12日、2次店舗占拠デモをするというアルバ労組の警告状が貼りだされた。 2月7日の1次占拠デモの後、マクドナルドの立場が変わらなかったため、 解決を要求して貼りだした警告状だった。 そして3月28日、マクドナルド新村、鍾路、弘済店の三か所で「占拠デモ」が行われた。 当時、ソウル市内の主なマクドナルドの前には警察兵力が常駐する珍しい光景が見られ、 一部の店舗は客を入れずにシャッターをおろした。 店舗を占拠したアルバ労組と店の扉を閉めたマクドナルド。 何があったのだろうか。

事態はマクドナルドのクルーだったイ・ガヒョン氏の解雇事態から始まる。 2014年5月、「勤務時間操作による賃金不払い」などのマクドナルドの不当な労働環境を証言する記者会見に参加したイ・ガヒョン氏は、9月に解雇された。 会社は契約満了だといったが「お前の労組活動を不愉快に思う人がいる」というマネージャーの態度は、 イ・ガヒョン氏の解雇が労組活動の弾圧であることを示すものだった。 これに対して抗議を続けてきたが、変わらないマクドナルドの態度に怒った彼らが占拠デモに動いたのだ。

マクドナルド、大韓民国のフランチャイズの基準

マクドナルド労働者の暮らしを見ると、問題の深刻性がわかる。 2014年12月にアルバ労組がマクドナルドのアルバイト経験がある労働者を対象にした実態調査の結果によれば、 勤労契約書を作成しなかったケースは35%で、賃金未払いも22%に達した。 賃金未払いにあった人のうち、実際に働いた時間と月給に反映された勤務時間が違っていたというケースは44%だった。 週休、残業、夜間手当てがきちんと払われないケースも70%あった。 実態調査の結果は時給が7000ウォン〜9000ウォンにもなるというマクドナルドの広告が偽りであることを暴露した。 客が少ないという理由で早退を要求する別名「コッキ」を受けたケースも64%に達した。 これらの数字はマクドナルドのアルバイト労働者たちの労働環境が非常に不安定で、 それぞれが期待していた月給さえきちんと受け取れない現実を見せた。 マクドナルドの素顔はそうだった。

今回のマクドナルド占拠デモに注目すべき理由は、こうした実態がマクドナルド一か所だけでなく、 韓国社会フランチャイズ全般に広がっているからだ。 効率性、計量の可能性、予測の可能性、統制の増大を称する「マクドナルド化」は、 労働者にも同じように適用される。 管理職以外の職員はすべて非正規職で、彼らの賃金水準は最低賃金に過ぎないマクドナルドは、 韓国のほとんどのフランチャイズ企業の尺度になっている。 ソウル市25区のアルバイト現況(2015)によれば、 主に大企業のフランチャイズであるファーストフード店の平均賃金は5898ウォン、 コーヒー専門店は5544ウォン、コンビニは5434ウォンだという。 「最低」の基準として決めた最低賃金が平均賃金になっている歪んだ労働環境を作るのにマクドナルドが先頭に立っているのだ。

さらに多くの望みと意志を集める時

今では保守言論も最低賃金について積極的な反応を見せている。 ある漫画では「ビッグマック指数」を問題にして 「なぜ最低賃金をビッグマックのセット一つを買えるかどうかで判断するのか」とし、 探してみれば最低賃金より安いセットもあり、単品を買って食べることもできるのだという発想の転換を提示する。 小商工人の困難を語り、今日一食をラーメンで過ごす人もより良い明日を夢見ていると話す。 そして最低賃金の値上げを要求する人々に「従北」、「左アカ」のレッテルを付ける。 それでも最低賃金値上げを要求する声は高まっていく。

国連社会権委員会は「(2)社会権規約第7条第(a)項第(ii)号により、勤労者とその家族の人間らしい生活を営める適切な生活水準の賃金」を話す。 しかし韓国社会における最低賃金の現実は、人間らしい生活のための最低限の保障という名目からはほど遠い。 今の最低賃金は1人の最低の生計費をまかなうにも非常に足りない。 一週間に一回ぐらいは良い食事をしたいという望み、 携帯電話料金の心配をしたくないという望み、 慶弔事を怖がりたくないという望み、 こうした素朴な望みを持つ多くの「乙」が最低賃金を大幅な値上げをしろと叫ぶ。 最初は誰もが大ボラだと言った「最低賃金1万ウォン」は、 民主労総をはじめとする主要市民社会団体の共同の要求になった。 何よりも最低賃金1万ウォンが貴重なのは、統計的な数値から提出されたのではなく、 人間らしく暮らしたいという望みから算出された数字だという点だ。

最低賃金を論じる時、いつも登場したビッグマック指数はマクドナルド占拠デモを経て、具体的な人生に入ってきた。 ビッグマックは難しい計算で作った統計ではなく、ビッグマックを作るマクドナルド労働者たちの手中にある。 保守勢力は最低賃金が上げられれば、誰がその費用を負担するのかと尋ねる。 2013年の家計所得は2008年より26.5%増加し、その間企業所得は80.4%増加した。 大韓民国10大財閥の社内留保金は500兆を越えたという。 大韓民国の1年間の予算を軽く超える企業の社内留保金だけで十分に負担できる。 今や、もっと多くの望みと意志を集め、声をあげる時だ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-04-04 06:47:05 / Last modified on 2015-04-04 06:47:06 Copyright: Default

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