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社会/社会化と労働

差し迫った日韓投資協定密室締結に命をかけて反対する!

出処:社会化と労働

日韓双方の政府が、年内に日韓投資協定を締結することに合意した。去る11 月14日、韓国で開かれた日韓投資協定の第8次本会議で日韓双方の政府は(12 月に日本で開かれる)第9次本会議で協定を締結することに合意した。日本で 日韓投資協定と自由貿易協定に対する反対闘争を行っている社会運動団体の 日韓民衆連帯によれば、既に10月の日韓首脳会談と11月のAPEC首脳会談で日 韓首脳間で年内に日韓投資協定を締結することで意見がまとまったという。

まずわれわれは、非常に重大な経済懸案のひとつである日韓投資協定を非公 開で急いで推進しようとする政府の態度に問題を提起せざるを得ない。この 2年間、民衆運動陣営は投資協定・WTO反対国民行動(以下国民行動)を中心に、 日韓投資協定にともなう無制限な投資の自由化の危険、および反民主性を問 題にしてきた。去る4月の国会討論会で、投資協定締結を担当する政府の各 部処の関係者に、投資協定の締結で民衆の生活はさらに苦しくなることを警 告し、日韓投資協定締結本会議が開かれるたびに声明書を発表し、交渉を即 刻中断することを要求してきた。それにも拘わらず、政府は日本との教科書 問題や水産業問題だけを世論化して、水面下では日韓投資協定締結のための 議論を進展させ続けてきた。

その結果、日韓両国の政府は数週間のうちに韓日投資協定をまとめることなっ た。去る11月、国民行動は密室で進められている韓日投資協定締結の企みに 対し、日韓投資協定の現況と内容の公開を要求する質疑書を政府に公式に提 出した。しかし、政府は協定が締結されるまでは協定内容を公開しないのが 両国の協議事項だというとんでもない理由をあげ、検討する価値のある内容 は一つもない書類を数枚送ってきた。はなはだしくは第9次本会議の開催日 さえ口をとざしている。このように、金大中政府は国民の目と耳をふさいだ まま、電光石火で韓日投資協定を締結しようとしているのだ。

日韓投資協定は、密室交渉という手順だけが問題なのではない。締結に対す る政府の焦りは、金大中政権が残る任期をどのように政局を運営して新自由 主義世界経済に従属的に編入するのかを見せるものだ。また、韓国が最初に 締結する二国間投資協定が占める重要性を示唆するものだ。

しばらく前、金大中大統領は、与党である民主党の分裂と危機にあたり、党 総裁の職を辞任して残る任期を不振な経済改革を終えさせることに総力を傾 けると宣言し、政策企画首席として新自由主義市場万能主義者のハンドクス 元OECD大使を任命した。金大中政府が語る不振な経済改革の仕上げの一軸に は、構造調整を加速化させるための公企業民営化をさらに徹底的に推進して、 金融市場の自由化をさらに進展させることを意味し、他の一軸としては多国 間及び二国間の投資と自由貿易協定締結を成功させるということだ。すなわ ち、国内経済を私有化、開放化し、貿易と投資を自由化することで超国籍資 本と国内独占資本の利潤を保障することが、つまり微弱な経済改革の完成と いうのである。12月8日まで開かれた定期国会で鉄道民営化法案推進を試み、 銀行の海外売却を積極的に推進し、ヨーロッパ歴訪で40億ドルの投資誘致を 取り出して、特に民営化が表面化しているガス産業に対する投資契約を取り つけたという点などは、金大中政府の今後の政局運営の方向を見せる実質的 な例といえる。

また一部の例外事項を除くと、公企業、金融、通信などのサービスや、株式 市場などにおける多国籍資本投資の完全な自由を保障することになる日韓投 資協定の締結は、こうした金大中政府の今後の政局運営の始発点であり、核 心になるだろうし、懸案に浮上した鉄道とガス産業のような国家基幹産業の 民営化と銀行の海外売却、金融市場の全面的な開放の触媒剤として、また背 後勢力として作用するだろう。

一方、後で詳しく述べるが、二国間投資協定は基本的に労働権、環境、国内 の自律的な経済政策など、国内労働者・民衆の生活と緊密に関連する部分を 無視、または侵害して個別投資者等の権利を無制限に保障する内容で満ちて おり、必然的に労働者・民衆の反発を引き起こすことになる。その例として、 二国間投資協定の原形といえる多国間投資協定(MAI)は、1998年に全世界の 社会市民運動陣営の反発で失敗し、日韓投資協定に先立って論議された韓米 投資協定の場合も、スクリーンクォーター制度のような自国の文化的自律性 と多様性を侵害することに反発した映画界と社会市民団体の反発で足止めさ れている状態であり、韓チリ自由貿易協定もやはり農産物の全面開放に反発 する農民の抵抗と闘争で停滞している。金大中政府は、これまでのこのよう な失敗を教訓に(!)、最初に締結される二国間投資協定の日韓投資協定を最 大限、資本の利益にするためには、事前にはいかなる介入の余地も与えず、 締結された後は「既に終わった交渉をどうしようというのか?」といなおろ うという作戦だろう。

多国籍資本の無制限な利益保障の集大成であるMAIを原形とする韓日投資協定

日韓投資協定は、政府も言うように多国間投資協定(MAI)を原形としている。 MAIは投資における内国民待遇と最恵国待遇を保障し、投資自由化のためで あれば国内生産品調達政策、現地人雇用義務などの国内経済政策、労働権、 人権、環境など、すべてを障害物だと規定して、規制緩和及び撤廃を要求す る、まさに多国籍資本の無限搾取を保障するものの集大成だといえる。また、 MAIが規定する投資の概念はたいへん曖昧で広範囲であり、短期投機資本ま でを投資として認めようとしており、多国籍資本が国家を提訴する権利さえ 付与するなど、歴史に例のない暴力的な多国間協定だといえる。結局、この ように反民衆的で危険なMAIは、98年に全世界の民衆の広範囲な抵抗で失敗 してしまった。しかしMAIは、二国間投資協定とNAFTAのような地域自由貿易 ブロック、そしてWTOという多国間貿易体制を通してその核心をなす内容が 実現されている状況で、韓日投資協定はこのような機制のひとつだといえる。

日韓投資協定の危険は、随所に埋められている

公開された日韓投資協定の主な内容を見ただけでも、協定が韓国経済におよ ぼす危険と反民主性を容易に把握できる。まず、投資の自由化による韓国経 済の成長と雇用の創出が偽りだということが分かる。むしろ経済が恒常的な 危機にさらされる状況に直面させられ、雇用はさらに不安定化し、労働権は 深刻に破壊される。

日韓投資協定によれば、海外の投資者に対して国内資本と同等の待遇をする という内国民待遇と、海外投資者の中で最もよい待遇をその他の海外投資者 にも適用するという最恵国待遇を保障すると同時に、海外投資の元金と利潤 の自由な送金を保障する一方、海外投資者には一定以上の国内財貨やサービ スを使用する義務、技術・生産工程などの国内移転の義務を課すことなどを 禁止している。すなわち投資の自由化は、国内の経済成長よりも多国籍資本 の自由な移動による利潤の追求を保障するものだといえる。これは、海外資 本の自由な流出入が可能な条件で、海外資本が国内経済を蚕食する可能性を 一層拡げ、国内経済をさらに不安定にする結果をうむだろう。

一方、投資の自由化が雇用と労働権に及ぼす影響は、二つの条項を注意深く みることで分かる。ひとつは現地人雇用義務の禁止で、もうひとつはいわゆ る真摯条項というものだ。海外資本は、国内に工場を設立しても、企業を買 収しても、あるいは株式を通して経営権を掌握しても、それで雇用を創出す るどころか現地人雇用義務禁止条項を口実に雇用を抑制し、構造調整による 人材の縮小や非正規職化など、労働の不安定化を推進することになるだろう。 また、真摯条項とは、日本企業が韓国に進出したとき発生する労働争議など 各種の労使紛争を真摯に取り扱うことを要求する条項で、これは国内の労働 運動が日本企業に及ぼす影響を憂慮した日本当局から出された要求事項であ る。ここで、労使紛争を真摯に取り扱うという意味は、国家が介入して労使 紛争を封鎖しろということであり、極端な場合は労働組合の設立さえ許可で きないようにしろというもので、労働権に対する深刻な侵害を引き起こさざ るを得ない、危険な条項だ。 日韓投資協定の危険性と反民主性はこれにとどまらない。海外の投資者と政 府の間での紛争で、海外の投資者が国内法によらず、世界銀行などの国際的 な紛争解決機関に提訴できるようにすることにより、メキシコ州政府が米国 の超国籍企業のメタルクラード社に環境汚染問題にともなう制裁を課そうと したとき、メタルクラード社が投資の自由を妨害しているという根拠でメキ シコ州政府を提訴したように、投資自由化の前では環境、人権、労働権が完 全に毀損されても適切な制裁を加えることができなくなる点も大きな問題だ といえる。

また現在、鉄道とガスなどの国家基幹産業の民営化推進も、日韓投資協定と 緊密な相関関係がある。日韓投資協定は投資の自由化について、いくつかの 例外条項をおいているが −その例外条項が何なのかは全く公開されていな い− 日本の競争力が絶対的な優位にある通信、鉄道、金融などは日本資本 の要求であっても私有化と海外売却をするものと見られる。その上、去る8 月に開かれた韓国の全経連と日本の経団協などによる日韓自由貿易協定締結 のためのビジネスフォーラムでは、日本の鉄道会社のJRが韓国の鉄道を買収 したいという立場が述べられた。現在、政府が公企業の私有化及び海外売却 を推進し、銀行などの金融市場をさらに開放しようとしているのは、日韓投 資協定を始めとする二国間・多国間投資協定と自由貿易協定などの世界資本 主義経済体制の趨勢に入る手順だと考えられる。

このように、日韓投資協定が労働者民衆の生活全般はもちろん、国家の経済 政策と経済状況にも大きな犠牲と危険を抱かせるということが明らかなのに、 じっと座ったままで殴られるばかりでいろというような金大中政府の態度に、 われわれは慨嘆と憤怒を禁じえない。いったいこの政権は何ために、誰のた めに存在するのか、1年余の任期を残した金大中政府に尋ねざるをえない。

信じられるものは労働者・民衆の新自由主義世界化に対抗する国家権力との闘争だけだ

被害が直接的に差しせまった農民の苦しい闘争の他には特別な問題の提起や 抵抗がなかったWTOニューラウンドが、大衆はもちろん、運動陣営の無関心 の中で発足してしまったように、現在の日韓投資協定は大多数の運動陣営の 対応不足と無関係心の中で、急いで締結されようとしている。しかし、WTO 多国間貿易体制と日韓投資協定のような各種の投資、貿易関連の協定は、貿 易と投資自由化のためのグローバルスタンダード(地球的規範ということだ が、実際には米国の規範)を多国間及び二国間協定の形で各国に強要する機 制であり、これを受け入れない諸国家には貿易障壁をはじめとする世界資本 主義経済構造から排除するという圧力を加えている。そして、これを積極的 に受け入れて世界資本主義経済秩序に入ろうとする金大中政府は、グローバ ルスタンダードにあわせていく次元で金融市場を開放し、公企業の私有化と 海外売却の推進を拡張しており、構造調整による整理解雇と下請け、契約職 労働の拡大など、不安定労働の普遍化を推進し、農業を放棄しているのであ る。

したがって、WTO反対闘争や日韓投資協定締結反対のような闘争は、現実に 進められている民衆生存権闘争と鉄道民営化阻止などの公企業民営化反対闘 争とは分離できない闘争だ。むしろ、一見孤立して展開しているそれぞれの 闘争を連係させ、各領域の民衆の連帯のために新自由主義世界化反対闘争は 一層広範囲に展開されなければならない。現時期における新自由主義世界化 反対闘争を展開するにあたり、われわれは超国籍資本の利益を最大限に保障 するためにグローバルスタンダードを強要する各種の投資協定と貿易協定に その焦点を合せなければならず、これを積極的に受け入れて国内の労働者・ 民衆の生活を犠牲にする金大中政権を狙わざるを得ない。

このような問題意識の下で、われわれはこれから強力な日韓投資協定反対闘 争を展開しなければならない。鉄道などの国家基幹産業を海外資本に売却し、 労働者の雇用安定はもちろん、基本的な労働権さえも保障せず、投機性資本 さえ投資という名の下に合法化させることにより、経済構造全体に脅威を与 える内容をその核心に含む投資協定を絶対に阻止しなければならない。特に、 日韓投資協定の締結は、今後の韓米投資協定など、締結を待っている各種の 協定に出口を開く契機でしかなく、日韓投資協定に対する闘争は非常に重要 だ。

民衆の生存権が随所で蹂躙されている昨今の状況で、憤怒に身を震わせて闘 争の戦列を整えるに先立ち、われわれは何がわれわれを怒らせ、何に対する 闘争をすべきかという理性的で階級的な判断が要求される。

記事入力日:2001年12月12日

チャムセサンニュース chamnews@jinbo.net

http://news.jinbo.net/show/show.php?p_cd=0&p_dv=0&p_docnbr=18693

日本語訳文責:安田


Created byStaff. Created on 2001-12-13 05:30:30 / Last modified on 2005-09-05 05:16:42 Copyright: Default

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