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韓国:名前だけは国立、月給は100万ウォンの1年契約職
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名前だけは国立、月給は100万ウォンの1年契約職

国立オペラ合唱団大量解雇...「常任団員の期待で6年がんばったのに」

公共労組/ 2009年01月19日20時43分

『国立』といえばまず最高という感じがする。学校なら、誰でも国立大学に行 くことを望み、一番よく病気を治してくれるのも国立大学病院だ。

芸術も同じだ。芸術団体に『国立』とあれば、その部門では我が国最高の実力 を持つ人々が入る。入るまで刻苦の努力も必要で、当然競争率も高い。

我が国最高の実力を持っているのだから、暮らしの心配はないだろうと思う。 待遇も我が国で一番良いだろうと考える。一回で何十万ウォンもする高級クラ シックの公演をする人なのだから。『国立オペラ合唱団』の団員たちはそうで はない。

[出処:公共労組]

「実力は世界的なオペラ演出者と指揮者が私たちを見習えというほどですね。 2007年には『大邱国際オペラフェスティバル・オペラ大賞』で大賞の栄誉にあ ずかりました。」

2002年の創立以来6年間、『国立オペラ合唱団』団員として活動してきたソン・ テソプ氏の話だ。国立オペラ合唱団は、国立オペラ団の公演で演技と合唱を専 門にすることを目標に、2002年に創立された。2002年の創立後、彼らは一般芸 術団の練習時間の何倍も努力して、実力をつけた。その結果、彼らの実力が最 高だというのは、国内外の指揮者と演出者の誰もが認める。

だが彼らは基本給とリハーサルおよび公演出演料などを合わせて月100万ウォン 未満の賃金しか受けとらないる。その上、公演がない月は最低賃金にもならな い70万ウォンの基本給しか受け取れない。この額では自分の公演のチケットさ え何枚も買えない。その上、身分は1年の契約職だ。世界最高のオペラ合唱団の 賃金水準がこの程度という事実を知る国民はどれほどいるだろうか?

▲国立オペラ合唱団員ソン・テソプ氏. [出処:公共労組]

ソン氏が話を続ける。「賃金も賃金だが、私たちには四大保険もありません。 この前はリハーサルの途中、団員1人が舞台の下に落ちましたが、何の補償も受 けられませんでした。」

『国立』という言葉が面目を失う。それなら彼らはなぜこのように常識外の待 遇でも国立オペラ合唱団員の生活を続けてきたのだろうか?

「初めての採用の時はそうは言われませんでした。常任化(正規職化)するといっ て、私たちはその約束だけを信じて最低賃金にもならない報酬で頑張ってきま した。多分『国立芸術団員』という自負心がなければ頑張れなかったでしょう」。

『国立』という名前。芸術をするという自尊心が70万ウォンの薄給に、1年契約 という不安に、四大保険もない不合理にも、ただ黙黙と耐えさせたのだ。

もうそんな自負心も一日で崩れてしまった。1月8日、国立オペラ団が団員に合 唱団の『解体』を通知したのだ。それまでオペラ団は解体について一言半句も なかった。ソン氏をはじめとする団員たちは衝撃と怒りに包まれた

「昨年から合唱団をめぐり、不安な噂が飛び始め、オペラ団側に何度か面談を 要求したのに、たった一度も応じてくれませんでした。そのうちに今年になっ て突然面談をするというので少し戸惑いました。団員たちはそれが『解体』の 通知とは夢にも予想できませんでした。」

8月に赴任した団長との最初の面談が解雇面談になった。

オペラ団側は常勤合唱団を解体して、公演の時だけ合唱団を募集して使う方針 だ。消耗品のようにその時その時に必要なだけ使うということだ。しかし国立 オペラ専門合唱団ではない一般合唱団で公演をするのは、公演芸術の質的な部 分は放棄するという言葉と同じだと合唱団は言う。

国立オペラ団の公演回数は2002年に20回、2003年に28回、2004年に35回、2005 年に31回、2006年に50回、2007年に56回、2008年は54回に達する。

これまで国立オペラ団が公演した都市は60か所を越える。東海、統営、燕岐、 扶安、河東、栄光、居昌、蔚珍、キジャン、コリなど、到底創造もできない多 くの地域を巡回して「訪問音楽会」により国民の文化享有のために努力してき たのだ。

[出処:公共労組]

「大規模な公演のためには普通100時間以上練習をします。われわれは35タイム と表現しますが、1タイム当たり3時間程度です。このように大きな作品2-3本を 含み、1年に平均50本の作品を共に準備して、呼吸を合わせるのですが、作品ご とに人を募集するというのはこうして呼吸を合わせる過程を完全に無視すると いう話です。」

合唱団が解体すれば良質のオペラはさらに難しくなるだろう。ソン氏は合唱団 が解体すれば観客の立場では『良質の公演』を見るのは難しくなると断言した。

さまざまな人が共に公演をすると、声一つ一つ、身振り一つ一つがただ合うの ではないということだ。国立オペラ合唱団が世界的に実力を認められる理由は、 長時間共に練習して鍛えられた最高の呼吸とパートナーシップのためだという。 団員の半分以上が6年以上、呼吸を合わせた創立メンバーという事実とも決して 無関係ではない。今これからまた誰かがこの席に上がるために新しく始めなけ ればならない。彼らよりはるかに厳しい条件でだ。

ソン氏が最後に話した。

「国立オペラ団」で、独自の劇場、練習場、所属常勤団員がない国は韓国だけ です。当然国家が支援すべき国公立芸術団体さえ経済の論理なのです。その上、 非正規団員で構成された合唱団さえなくそうとしているのですから...」

国立オペラ合唱団の団員は労組に加入して、対応方法を議論している。

▲国立オペラ合唱団院らが最近労組員に加入した公共労組はダウム・アゴラで請願運動署名を受けている。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2009-01-25 02:50:57 / Last modified on 2009-01-25 02:50:59 Copyright: Default

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