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韓国:民主性の危機に駆け上がるハイニックスマグナチップ職権調印
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[論説]民主性の危機に駆け上がるハイニックスマグナチップ職権調印

金属労組は職権調印放置で闘争戦列を動揺させるな

キム・テヨン(論説委員)/ 2007年05月25日23時47分

5月19日、全国金属労働組合ホームページにチョン・ガプドク委員長による 「ハイニックスマグナチップ合意関連謝罪文」が掲載された。謝罪文の冒頭で 書かれているように、15万金属労組の5期執行部2か月で発生した事件だ。 これは5月16日、金属労組中央執行委員会でハイニックスマグナチップ合意案を 不承認とすることに決めたことによる。

しかし謝罪文は事案の重大さを表わしていない。中執で合意案が不承認になり、 合意に介入した首席副委員長と事業担当者の問責の程度問題が議論されること によって、職権調印であることは明確だった。それでも謝罪文はこれを明確に せずにいる。

さらに深刻なことは、謝罪文の最後に「敵前分裂の様相は自制しなければなり ません。今回のことを契機に、賢く金属労組内部の差異を克服して...」とい う部分だ。いつから職権調印が「賢く克服すべき内部の差」の問題になったの か? 87年労働者大闘争以後、御用労組執行部の職権調印を粉砕して「民主性」 の原則を確立してきた。職権調印は、民主労組運動においては内部の差異では なく、清算の対象なのである。

さらに「敵前分裂」云々という部分は背筋が寒くなる。過去の独裁者たちが、 民衆の批判を押さえ込むためにマッカーシズムと共に伝家の宝刀のように振り 回した「国論分裂」を想起させるからだ。この論説が掲載されると、あるいは 「ひとつの表現をめぐって言葉尻をつかむ」という反論コメント文がつけられ るかもしれない。だが、言葉尻をつかもうとしているのではない。5月22日、 チョン・ガプドク委員長が会員になっている組織だという現代自動車現場組織 実労会は、現場に配布された印刷物で「過度な政治的攻勢は利敵行為」だと主 張した。「今後、執行権の掌握に目が見えなくなって...」、「政治的攻勢」 など、常套的だが背筋が寒くなるような内容だ。

金属労組委員長の謝罪文でも認めるように、ハイニックスマグナチップ社内下 請労働者たちは、極限的な生計の困難と度重なる資本と政権の弾圧にも屈する ことなく、2年6か月闘争をしてきた。昨年の下半期から金属労組の統合産別労 組建設と選挙により、ハイニックスマグナチップ問題が放置されていた状況で も、ハイニックスマグナチップ組合員は資本が強要してきた金銭解決を拒否し てきた。統合金属労組の闘争を期待していたからだ。しかし15万金属労組執行 部は、何の闘争計画を提出せず、むしろ首席副委員長がきて降伏文書に印鑑を 押してしまった。そんな事情なのに、職権調印ではないと強弁するのは組合員 大衆の選択権を封じ込め、全責任を組合員に転嫁する卑劣な行為だ。

87年の労働者大闘争以後、民主労組運動の歴史は御用労総体制の下で日常茶飯 事のように強行された職権調印粉砕闘争の歴史だ。ところが、15万金属労組は 最初から職権調印をして、それを曖昧にやり過ごせば、民主労組運動の先頭に 立ってきた金属労組が「民主性」原則を破壊する結果を招く。

「非正規問題を解決する産別労組」を主張してきた最大産別労組の金属労組が ハイニックスマグナチップ問題をこんな形で処理すれば、どんな結果を持たら すだろうか? 資本は「がんばればいくらかの金で頭が痛い人員整理問題を解決 できる」と自信を持つだろう。反面、現在闘争する非正規長期闘争事業場はも ちろんだが、これから雇用問題にぶつかる労働者は闘争の展望が持てなくなる だろう。

5月22日、金属労組産別交渉に自動車完成4社をはじめとする主な資本は出てこ なかった。この日の交渉の席上で、資本側は産別労組中央が現場に対する確実 な統制力を発揮することを要求している。統制力とは何か? 現場の闘争と要求 を産別中央が制御することだ。今回の職権調印問題は、まさにハイニックス組 合員の雇用保障の要求を上から統制し、現場闘争自体を封じ込めることだ。 最近、労働組合上層の一部の指導部が主張する産別交渉を解決するための 「政治力」とは何か? 民主性の原則まで破壊し、組合員大衆の闘争と要求を 制限することでしかないのではないかという疑問を消せない。

韓米FTA交渉粉砕と非正規悪法廃棄のための6月末闘争を控えている。金属労組 執行部は職権調印問題を放置し、闘争戦列を動揺させてはならない。さらに、 民主労組の原則の問題に関する内部批判を利敵行為云々で、分裂を加重させる ような非民主的、分派的行為は中断されなければならない。5月16日の金属労組 5次中執で関連者の問責の程度を議論している間にチョン・ガプドク委員長は 「執行部が処理する」と会議を終わらせた。自らボールを持って行ったわけだ。 それなら金属労組執行部が関連者の厳重問責など、速かに事態を解決し、 闘争で力を集めなければならない。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2007-05-29 06:17:17 / Last modified on 2007-05-29 06:17:19 Copyright: Default

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