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韓国:「特殊雇用職労働者性」に反対だけして席を離れた経済人総連
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「特殊雇用職労働者性」に反対だけして席を離れた経済人総連

国家人権委主催特殊雇用討論会で労働者のひんしゅくを買う

チェ・イニ記者 flyhigh@jinbo.net / 2007年03月30日20時58分

3月30日午後2時、プレスセンター7階のレイチェル・カーソンルームで「特殊 雇用従事者労働権侵害実態調査結果発表および公開討論会」が国家人権委員会 主催で開催された。今回の討論会は、国家人権委員会が昨年6月から12月まで 韓国労働社会研究所に特殊雇用従事者労働権侵害実態調査を委託した結果を発 表し、政策の代案を用意するためにもうけられた。

実態調査の結果分析と「特殊形態勤労従事者に対する対応と政策的課題」は、 委託研究チームのキム・ヨンド韓国労働社会研究所研究委員とイ・スンオク梨 花女子大教授がそれぞれ問題提起を行い、これに対する討論者にはパク・テギュ 建設運送労組委員長、イ・ホグン労使政委員会専門委員、チェ・ジェファン経 済人総連政策本部長、カン・ソンテ漢陽大教授が行った。

最近の特殊雇用労働者問題に関する内外の高い関心を反映するように、この日 の討論会には政府-資本関係者をはじめ、生コン運転手、貨物運転手、ゴルフ 場競技補助員(キャディ)、学習誌教師など、建設産業連盟とサービス連盟所属 の特殊雇用労働者約100人が参加、席を埋めた。参加人員を予想できなかった 主催側が貸与した場所が狭く、多くの参席者は床に座ったり資料が足りなくな ったりもした。

「調査対象の10職群はすべて労働者性を持つ」

キム・ヨンド韓国労働社会研究所研究委員

キム・ヨンド韓国労働社会研究所研究委員が発表した「特殊雇用職従事者実態 調査結果分析」によれば、今回の調査対象はゴルフ場競技補助員、学習誌教師、 生コン運送車主、テレマーケット、アニメーター、貨物運送記事、ダンプカー 運転手、宅配運転手、バイク便配達員、介護人など10の職群だ。

面接調査とアンケート調査の結果、主にこれらの特殊雇用従事者の労働者性に 言及したキム・ヨンド研究委員は、労働者性に関する事項を業務時間・場所・ 方法の統制、指示と監督、服務規定と懲戒、必須サービスの有無、勤労提供の 継続性と専属性、作業手段所有の有無、教育実態、独自事業展開の可能性など の側面から多様に検討し、これらの特殊雇用従事者が労働者性を持っていると いう内容を発表した。

キム・ヨンド研究委員は、今回の分析の結果のなかで、労働者性に対する示唆 する点として「調査対象の10の職種の従事者はすべて一定水準以上の人的およ び経済的従属性を持っていた」とし「調査した職種の従事者の絶対多数は自ら を労働者と見なしており、勤労基準法をはじめとする労働法の適用を望んでい るという主観的要求も重く考慮すべきだ」と話した。

「特殊雇用従事者に労働法を適用すべき」

イ・スンオク梨花女子大法科大学教授

イ・スンオク梨花女子大法科大学教授は「特殊形態勤労従事者に対する対応と 政策的課題」を発表、主に「勤労基準法上勤労者概念と労働法上、勤労者の概 念は異なる」という要旨の主張をした。

つまり「労組法上の勤労者の概念は、勤労基準法上の勤労者概念と較べると、 経済的従属性という側面では量的・質的に同一だが、人的従属性の側面では 質的に同一でも量的には差があると解釈するのが妥当だ」ということで、 この観点から見れば「現行法の解釈によっても前の実態調査に該当する職群に 対しては労組法上の勤労者性は十分に認める余地がある」という。

イ・スンオク教授はその課題として「保護するための特別法制定」をあげ、 「特殊形態勤労従事者への労働保護法的な規律は、特別法によって行うことが 望ましいが、集団法的地位に関しては勤労者と同じく労組法を適用しなければ ならない」と主張した。

また「長期的な観点から見ると、『誰が勤労者なのか』ではなく、『誰に労働 法を適用するべきか』を問うべきであり、労務提供だけを生計維持の手段とす る者に対しては特別な政策的理由がない限り、労働法を適用するのが望ましい」 と明らかにした。

イ・スンオク教授はこのような観点の延長線で、国家人権委員会が特殊雇用職 の労働者に関する陳情を相次いで却下したことを指摘して、「勤労者の概念が 各法の目的により異なるので、厳格に解釈してきた判例を根拠に特殊雇用従事 者が勤労者ではないと判断したのは人権委の義務を放棄すること」と批判した。

経済人総連、「勤労者ではない、明白な個人事業者だ」

チェ・ジェファン経済人総連政策本部長

問題提起が終わった後、討論者の討論時間になった時、スケジュールを理由に 最も遅く到着したチェ・ジェファン経済人総連政策本部長が討論順序を変えて、 先に発表した後、退出を要請、フロアーから不満の声が溢れた。司会者が「進 行は司会者に一任してほしい」と提案し、参加者はチェ・ジェファン本部長と の質疑応答を要求してしばらく騒がしくなった。

チェ・ジェファン本部長の討論文が前に発表した二人の研究者の発表内容を全 面的に反対する立場だったことも、特殊雇用当事者の参席者から怨まれた。 チェ・ジェファン本部長は、キム・ヨンド研究委員の実態調査結果に対して、 韓国ゴルフキャディー協会の調査結果を根拠としてゴルフ場競技補助員の月平 均所得と労働者性を否認し、学習誌教師と生コン運送車主などにも「使用従属 関係がない」とし「勤労者ではない」と主張した。

チェ・ジェファン本部長は「政府が再び保護方案を議論するのは理解できない」 とし「特殊形態勤労従事者の問題は、労働法ではなく民法、商法、経済法、公 正取り引き法などで解決すべき」と話した。

「ゴルフはしても、キャディの労働条件は知らないのか」

チェ・ジェファン本部長が討論文発表を終えてスケジュールを理由に退場しよ うとしたが、聴衆の要求で2種類の質問が許された。ゴルフ場競技補助員キム・ ギョンスク氏は「チェ・ジェファン本部長が反論の根拠に提示した『韓国ゴル フキャディー協会』のアンケート調査質問用紙は私も受け取ったが、労働者と 個人事業者の概念を正確に理解していないほとんどの競技補助員は、矛盾に陥 る質問だった」とし「事業者の意図によって行われた調査が正当な結果といえ るのか」と反論した。

また「経済人総連にいらっしゃるのでゴルフもされるだろうが、では競技補助 員が来場客の予約時間に合わせて、出退勤するということもよくご存知のはず だ。それなら配車時間によって出退勤するバスの運転手も労働者ではないと言 うのか」と尋ねた。キム・ギョンスク氏は「競技補助員が勤労所得税を出さな いと指摘されたが、私は出したくても出せない」と声を高めた。

「20年間生コン運転手をした」という参席者は「生コン運送車主は業者から独 占的に物量を運送することで自分たちの営業上の利益を増大させるので、生コ ン業者と運送請負契約を締結した個人事業者」というチェ・ジェファン本部長 の発言に全面的に反論した。彼は「会社からの物量が減少し、5、6年使った車 両を買い取らなければ止めろという圧迫があり、毎月返していっている」と吐 露して「復帰時間が任意に決定できるという言葉も全く事実ではなく、すべて の車両にGPSが設置され、監視されている。経済人総連の資料はとてもくやし い」と話した。

貨物労働者だという参加者も「何も知らない20代のときに会社の勧誘で委託受 託をした」とし「貨物連帯が不法集団行動をしたというが、自営業者だと言い ながら、自営業者が仕事をしないことがなぜ不法ストライキか」と問いかけた。 参席者からの質問攻勢が溢れ、司会者が発言を制止し、国家人権委員会関係者 が質問しようとする聴衆を引き止めるなど多少の騒乱が起きもした。

「経済人総連のためにきたのに...」日当を放棄して来た労働者たちは虚脱

チェ・ジェファン本部長は、労働者の声に対して「勤労者かどうかの結論を出 したのは経済人総連ではない」とし「『韓国ゴルフキャディー協会』の質問対 象者3千8百人が何もわからないという無責任なことを言うな、キム・ヨンド先 生の調査発表対象者は正確にわかっている人か」と言い返した。生コン労働者 の問題提起に対しては「生コンの特性上、GPSの設置は瑕疵管理厳格化次元で 良く理解しなければならない」等と簡単に答えた後、討論会の席を立った。

特殊雇用労働者であるほとんどの聴衆は「そういうことがまさに管理監督だ」、 「反対だけして出て行くのか」、「討論会に参加しようとするなら日程を充分 に取るべきで、そんなことなら出席しないほうがましだ」などの不満を吐き出 した。主催側の国家人権委員会に対しても討論が十分にできるよう考慮しろと いう指摘があった。

特殊雇用労働者の労働者性認定はもちろん、政府の特殊形態勤労従事者保護の 方案にも確実に反対の意志を貫いてきた経済人総連が、特殊雇用労働者の労働 権の侵害の実態を発表する討論会場に参加するというので仕事をやめて討論会 場を埋めた大多数の労働者は、チェ・ジェファン本部長の態度に虚脱感を隠せ なかった。

「スケジュールが忙しい」と言って討論会場を出るチェ・ジェファン本部長の 背中で「私は今日の日当を放棄してきた」というダンプ運転手、「1億3千万ウォ ンで毎月270万ウォンのローンを払う車を止めて参加したのに」という生コン 運転手のため息混じりの声が上がった。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


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