- 放送社運転職派遣労働者闘争の経過-放送社運転職派遣労働者たち、不当解雇撤回と派遣法撤廃闘争に乗り出す
放送社非正規運転職労働組合は、各放送社の派遣・用役非正規運転職労働
者を組織対象としてする職種別単一労働組合で、民主労総を上級団体とす
る等の規約を用意し、5月31日ソウル市から労働組合設立畢証を受けまし
た。労組結成直後労組執行部はKBS、SBS、MBC、YTNなど放送4社を巡回し
て労組加入を広報し、6月5日現在140余名が加入した状態です。
去る6月5日、放送社非正規運転職労働組合は昼12時から1時まで、KBS本館
前で放送社の不当解雇撤回と直接交渉を要求する集会を持ちました。組合
員と民主労総ソウル地域本部、社会進歩連帯、非正規職労働者支援連帯、
全国労働団体連合、ソウル地域女性労働組合とマンハッタンホテル労働組
合の委員長などが参加したこの日の集会では、運転職派遣労働者らに対す
る不当な契約解約を糾弾し、勤労者派遣制の撤廃を主張する発言が溢れま
した。特に昼休みを利用した合法的集会だったことにもかかわらずKBS側
で車両部控室にあった組合員等の集会参加を妨害し、集会参加者等と荒々
しい衝突があり、この渦中に組合員張ソンウク(40歳)氏が司法警察に殴ら
れて失神し、病院に緊急後送される事件が起きました。
集会の参席者は、KBS側の派遣労働者に対する不当な契約解約を行なって
いるだけでなく、正当な組合活動を弾圧して、労働組合の2回にわたる交
渉及び面談の要求にも応じないなど、事態解決に全く誠意を見せないこと
に憤怒しながら、今後、毎朝の宣伝戦、週1回ずつのKBS本館前集会、派遣
法違反と不当解雇・賃金未払いに対する告訴・告発を進行する等活発な闘
争を展開することに決議しました。
- 各放送社の派遣・用役運転手活用の実態
各放送社は1987年ごろから放送車両運営に用役を導入して、現在正規職運
転手はごく少数にしかならなくて大部分派遣・用役運転手が投入されて運
営されています。以下は放送4社の派遣・用役運転手活用の実態です。
この票で分かったように、放送社運転職派遣労働者等の雇用形態は用役と
派遣に分けて見ることができます。まず用役運転手の場合、用役業者(栢
山住宅総合管理、ウリヴィジョンなど)がレンタカー業者(大韓通運レンタ
カー、アビスなど)に運転手を派遣して、レンタカー業者が彼らを放送車
両と共に各放送社に再派遣する二重派遣の構造です。そして派遣運転手の
場合は派遣業者(ヒューマンリンク、ミョンシンバンホ、ユニエスなど)を
通じて人材派遣をする形態で雇用されています。
しかし用役、派遣など雇用形態の区別は純然に形式的でしかなく、実際に
は彼ら派遣運転手は各放送社で数年以上長くは数十年間勤務しつづけ、派
遣業者が変わっても慣行的に雇用が継承されてきました。一例として、派
遣運転手の採用過程で放送社総務部が面接を通じて採用の可否を決定し、
派遣業者とは形式的な勤労契約を締結するケースが多かったです。またレ
ンタカー業者や派遣業者が変わる時にも既存の派遣運転手等の所属をどの
ように変更することかは放送社が一方的に割り当てる方式で決定されてき
ました。
以下はKBSから5/31日付で契約解約された派遣労働者の車ジュン氏の勤続
期間と所属変更の記録。
- 1.7-1994.1.12:大韓レンタカーを通じてKBS派遣運転手として勤務
- 2.21-1995.1.10:アビスレンタカーからの派遣としてKBSで継続勤務
- 1.11-2000.5.31:大韓レンタカーからの派遣として継続勤務。
KBS側により2000.5.31不当解雇される。
車ジュン氏の場合、実際にKBSで勤続した期間は1992.1.7から2000.5.31ま
での8年4か月余に達しますが、放送社側の派遣会社と新しく契約をする時
ごとに所属会社だけを代えて使われ続けてきたのに、勤労者派遣法が発効
2年になる2000.6.30日を控えて派遣法の直接雇用義務条項を回避しようと
いう放送社側の圧力で2000.5.31付けで不当に契約解約された事例です。
- 低賃金・無権利の派遣労働者
低賃金・長時間労働 - 中間搾取の構造化、法廷手当ての未支給、勤労基準法上の労働時間超過
派遣労働者たちが低賃金に甘んじるしかない第一の理由は、中間搾取が
構造化しているためです。大慨の派遣企業等が人材募集と供給、月末賃
金精算以外には実際的な労務管理を全くしておらず、1人当り20-30%の賃
金を中間搾取しているのが実情です。たとえば、KBSと
1998.3.16-2001.3.15までレンタカー及び運転用役契約を締結した大韓レ
ンタカーが締結した契約上、賃金は24時間交代で乗用車を運転する派遣
労働者の場合、月120万ウォン以上を支給することになっていますが、二
重派遣の構造を経て実際に該当労働者に支給された賃金金額は各種の共
済金を引くと936,670ウォンにしかなりません。
また、勤労基準法上の労働時間を超過する勤務が日常化し、法廷延長勤
労手当て、夜間勤労手当て、年月次手当てもきちんと支給されていませ
ん。そして、放送社や派遣業者が自動車総合保険及び運転手保険に加入
しているにもかかわらず、実際の交通事故が発生した時には、派遣運転
手の過失如何を問わず、損害賠償及び治療費一切を派遣労働者に強要し
ています。
雇用不安の日常化
多数の派遣運転手たちが一放送社で数年以上、長いときは数十年間継続
して働いてきても、派遣・用役労働者という身分のために、簡単に契約
解除されていて、雇用不安が深刻な状況です。ほとんどの場合、放送社
と派遣契約を締結する派遣業者が変わっても、雇用が継承されるのが慣
行ですが、放送社や派遣業者の恣意的判断によって派遣労働者を契約の
解約が出来る訳です。韓国の労働法では、臨時職や日雇いでも1年以上継
続使用した場合、期間の定めがない勤労契約を定めたものとして、使用
者の恣意的な解雇を防ぐことが出来るようになっていますが、派遣・用
役労働者の場合は中間に派遣業者をはめ込む間接雇用の構造になってい
るため、「契約する」という方式で解雇にともなう法的責任を避けるこ
とができるのです。
そして、大部分の派遣企業等が使用業者との派遣契約期間と派遣労働者
との勤労契約期間を同一にすることで、ひとまず使用業者と派遣業者の
派遣契約が終了すれば、派遣労働者の雇用保障は誰も責任を負わないの
が普通です。たとえばKBSに新しく運転手を派遣することになった栢山住
宅総合管理が労働者等と結んだ派遣勤労契約書には、「元請社の大韓通
運レンタカーから解約通告を受けた時は勤労契約を解約でき、勤労契約
期間を当社と元請け社と契約満了日までを基準として、用役請負業者の
業務終了時は業務の終了日に勤労契約が終了する」と規定されています。
労働三権の剥奪
このように、派遣労働者等の雇用形態上の不安定性は労働者たちが当然
享受すべき憲法上権利の労働三権を行使するのにあたり、根本的な障害
として作用しています。特に、労働組合が結成された後、契約解約の威
嚇を押し出して労組加入を妨害したり、正当な組合活動を弾圧する事例
が頻繁に発生しています。放送社の総務部署や派遣業者が労働組合に加
入すれば、契約解約や契約更新拒否をすると威嚇し、不当労動行為をす
る事例が表れ続けており、正当な組合活動を理由に配車しなかったり、
採用を拒否する事例等もあります。特に、放送社の非正規運転職労働組
合が各放送社の派遣・用役運転職労働者を包括する職種別単一労組の体
系であるため、労組の執行部が各放送社別支部の組合員に会うために事
業場に出入することを暴力的に阻止している状態です。
しかし、派遣労働者等の労働三権の行使にあって何よりも難しい点は、
雇用及び労動条件に対する実際的決定権を持っている放送社との団体交
渉が拒否され続けている事実です。労働組合は、去る5月24日、派遣労働
者に対する不当解雇撤回と雇用安定方案を議論するための団体交渉をKBS
側に要求しましたが、放送社側は直ちに「当公社は労働組合と団体交渉
相手ではないと判断され、労働組合の組合員を雇用した所属会社が交渉
対象と思料される」という拒否の回答を送ってきました。しかし、韓国
の派遣法が労働時間と有給休日・休暇等に対する勤労基準法上の責任が
使用業者にあることを明確にしている以上、派遣業者所属労働者たちで
構成された労働組合という理由だけで団体交渉自体を拒否することは、
明白な不当労動行為を構成するといえます。その上、現在の葛藤が放送
社側の違法な不当契約解約によって発生しただけに、放送社が団体交渉
に応じる義務は明確に認定されるというべきです。
- 放送社の不法派遣使用の問題点
不法な派遣労働使用
各放送社は1998年7月、勤労者派遣制が合法化されるずっと前から車両運
転業務に派遣・用役運転手を不法に活用してきました。KBS の場合を見
れば、1987年から正規職運転手の自然減少人員を充員しない代わりに用
役運転手を採用してきましたし、1998-99年にわたり、名誉退職方式の整
理解雇を通じて正規職運転手を全員派遣・用役に代えてしまいました。
ところが1998年7月以前に派遣労働者を使用することは職業安定法違反だっ
たため、KBSは1987年から1998年に達するまで何と11年間にわたり不法を
行なってきたわけです。放送社側では派遣労働者を使用したことがなく、
レンタカー業者に業務委託ないし労務請負を与えたものと主張しますが、
これは派遣労働者等の勤労関係の実質に照らして見れば明白な嘘です。
既に説明したように、派遣労働者等の採用、配置、解雇の全過程に放送
社が実質的な権限を行使したばかりでなく、具体的な業務の遂行過程で
も放送社側の指揮監督を受けてきたためです。KBS側のレンタカー及び運
転用役契約が勤労者派遣に該当しているかどうかを労働部に質疑し、派
遣法の適用を受けなければならないという回答を受けると、急いで用役
運転手を契約解除した事実だけを見ても、放送社側の主張が欺瞞だとい
うことがわかります。
派遣法の規定を回避するための不当な契約解約と転換配置
このように、放送社側が永らく不法な派遣労働を使用してきたにもかか
わらず、さて派遣法が発効されると労働者だけが解雇の威嚇に苦しめら
れるという不当な事態が起きています。1998年7月に発効した派遣勤労者
保護等に関する法律は、第6条第3項で「使用事業主が2年を超過して継続
的に派遣勤労者を使用する場合には、2年の期間が満了する日の翌日から
派遣勤労者を雇用したものとみなす」という規定をおいています。
当初、この条項は、派遣労働者を常時的な業務に使用することを防ぎ、
長期間使われた派遣労働者の場合に雇用安定を保障するための趣旨で作
られました。ところがこの条項を回避するために、使用業者が2年以上に
なる派遣労働者を他の派遣労働者に交替する場合に対する何の対策もな
いため、むしろ派遣労働者等の周期的な失職事態を産むことになったわ
けです。
放送社側はこの点を悪用し、派遣法が発効してから派遣契約期間が2年に
なった労働者を契約解除し、全く同じ業務に新しい派遣労働者を投入す
る形式で違法を恣行しています。さらにとんでもない事実は、放送社間、
派遣業者間で派遣労働者の対等交換も推進されていることで、たとえば
ウリヴィジョン所属の派遣運転手がSBS、MBC、YTN間で交替派遣されてい
る実情です。放送社側のこういう違法行為は派遣法第6条第3項が規定し
た使用事業主の雇用保障の責任を悪意的に回避しようという行為である
ばかりでなく、派遣期間を最長2年に制限することにより、派遣労働の常
傭化を防ごうとする派遣法の趣旨にも正面から反するものです。
外国では、このような場合に対応し、派遣労働者との契約が期間満了で
終了した後、一定期間は同じ業務に他の派遣労働者を使用できないよう
に規定しています。また、派遣事業体が派遣労働者に対する雇用契約期
間と派遣契約期間を一致させ、雇用の責任を負わないことも禁止されて
います。しかし、韓国の労働部は派遣労働者等の大量失職事態が表面化
しているにもかかわらず、使用事業体の直接雇用義務履行を監督して失
職の危機に処した派遣労働者等の雇用を保障できる実效性ある対策を出
していない状態です。むしろ表面的な失業率を下げることだけに及々と
して、派遣業者間の交替派遣を推奨する等、使用業者と派遣業者の違法
を扇っている実情です。
整理解雇後の派遣労働使用
放送社が行っている不法行為のもう一つの事例は、整理解雇直後から同
じ業務に派遣労働者を代替使用しているという事実です。派遣法第16条
第2項は「何人も勤労基準法第31条の規定による経営上の理由による解雇
(整理解雇)をした後、大統領令が定める一定期間が経過しなければ当該
業務に派遣勤労者を使用してはならない」と規定しています。また、派
遣法施行令第4条で、整理解雇後2年間は同一業務に派遣労働者を使用す
ることができないように規定して、ただし労働者の過半数で組織された
労組や労働者過半数の同意がある時にはこの禁止期間を6ケ月に短縮でき
ると規定しています。
ところがKBSの場合、1998年には名誉退職の形式で、1999年には整理解雇
の形式で正規職運転手を解雇し、直ちに同一業務に派遣運転手を代えた
ばかりか、解雇された正規職運転手を派遣業者を通じて再雇用する破廉
恥な不法行為を行ないました。MBCの場合も1998年名誉退職の形式を借り
た整理解雇を断行した後、直ちに同一業務に派遣労働者を代替投入した
ことがあります。このような不法行為は派遣法違反だけでなく、整理解
雇の正当性さえも否定されるべき事案といえます。現在、KBSの整理解雇
運転手43人が整理解雇の不当性を争う訴訟を提起しようとしています。
- 労働組合の要求と今後の闘争の方向
労働部の集計によれば99年末を基準に、許可を受けた派遣業者は全国的に
1244か所で、使用業者の数は6488か所、派遣労働者は53,218人に達してい
ます。このうち、自動車運転員が4700余名に達し、派遣許容業務26業種中
3位を占めています。しかしこれは公式的に集計された規模だけで、許可
されていない派遣や労務請負を偽装した不法派遣まで含めると、その規模
はたいへんなものになると推定されています。現行派遣法が禁止している
製造業の直接生産工程への人材派遣も広範囲になされており、民主労総所
属金属産業連盟蔚山本部の調査によれば、地域内社内下請け業者が259社、
社内下請け労働者数は13,456人に達すると報告されました。そして、99年
の定期国会環境労働常任委員会に提出された国政監査資料によれば、派遣
業者中派遣期間・対象業務規定違反など、核心事項違反が全体の65.2%に
達し、重い懲戒などの取り締まり実績は3.6%にしかならないことがわかり、
派遣法が不法派遣・用役拡散に実效性がないことが表れました。
また、既存の正規職労働者を整理解雇した後、派遣労働者や臨時職労働者
として再雇用する事例も広がっており、整理解雇制と派遣勤労制が雇用不
安の最大の要因になっています。KBSも99年、大々的な整理解雇を断行し
た後、彼らを派遣運転手としてまた採用しましたが、今回の派遣法の規制
を回避するためにまた彼らを契約解約する反人権的なことをしています。
今回の放送社非正規運転職労働組合の結成は、勤労者派遣制のこうした実
像を暴露し、来る7月から大量解雇事態に置かれた派遣労働者等の生存権
と雇用保障を要求する最初の事例になるでしょう。放送社非正規運転職労
働組合は、各放送社と派遣業者を相手に雇用保障と労動条件改善を要求す
る計画です。労働組合は各放送社に勤労者派遣法の規定通り、2年以上使
用した派遣運転手等の直接雇用を要求し、これと関連した関係部署と国会
の特別勤労監督及び国政監査を要請する計画です。また、各放送社が派遣
契約解約に固執する場合、不当解雇及び勤労者派遣法違反等で法的訴訟も
提起する予定です。何よりも労働権の死角地帯に置かれている派遣労働者
等の実態を知らせ、派遣法撤廃と直接雇用争奪のための闘争を諸般労働・
社会団体と共に力強く行っていきたいと思います。