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「四大保険ですか? 勤労契約書さえないのです」

[インタビュー]キム・アミ済州観光通訳案内士労組委員長

イム・キファン現場記者 nokdu21@jinbo.net / 2007年07月10日20時55分

「旅立つ〜二人で
全てを捨てて〜
済州島の青い夜その星の下...」

青い海、絶景の観光地で有名な済州。済州にくると、日本や中国などの地から 来た観光客の群れが眼に入る。そして間違いなく彼らと共に笑顔で済州の風景 と情愛を紹介する『観光通訳案内士』とも簡単に会える。

▲キム・アミ済州観光通訳案内士労組委員長

7月5日に会った済州観光通訳案内士労働組合のキム・アミ委員長も、経歴17年 の中堅案内士だ。彼女は4月に労組を結成した後、しばらく仕事を休んで労働 組合活動に専念している。

「日当1万5千ウォンです。基本給はありません。四大保険ですか? 勤労契約書 さえないんです。延長、休日、夜間手当ても、私たちとは無関係の話と考えて きましたよ」

一日の日当が1万5千ウォン。 いつからこの金額だったのかは正確にはわからない。 25年の経歴の先配も、初年度から1万5千ウォンを取っていたというので、30年 は充分に越えたという推測だけだ。

現在済州で働く案内士約200人のうち、正規職は10%内外。 低い日当でも正規職は四大保険が適用されるが、契約職にはそのような条件も ない。契約職は、専属職と二つか三つの業者から非定期的に仕事を配分される フリーパート(free part)に分れる。彼らは最低賃金はもちろん、四大保険さ え適用されない労働法の死角地帯に置かれている。

観光業界の誤った慣行が低賃金を強要

昨年最低賃金水準の賃金引き上げと四大保険適用を要求して、日当を公開した 時、家族もいぶかしいといった。

「夫も観光(ホテル)業界に従事しています。夫も私の日当がいくらか知らずに 生きてきましたよ。事実、内部でも日当の公開には話が多いです。多くの方が 大学で観光学や日本語を専攻して、外国で勉強して、非常に苦労して国家資格 を取得して、観光通訳案内士になるのです。ところが実際に入ってきてみれ ば.... 自負心と希望、これらすべてが崩れます」

キム・アミ委員長は大学で観光経営学を専攻した。大学4学年の時、資格試験 に合格して、現在案内士17年目だ。日当と手数料などの副収入を合わせれば、 平均100万ウォン程度を受け取るという。

そして一方では観光業界の手数料の慣行を指摘する。

「私どもも他の人々のように堂々と月給で暮したいです。副収入がなければと ても生活できないのに、どうすればいいのでしょう。旅行商品原価構成項目に 案内士の賃金はないのが現実です。物乞い商売のように、勝手に儲けて食えと いうのと何が違いますか」

文字通り、観光業界はショッピングとオプション商品手数料で利益を上げ、案 内士の低賃金を強要しているわけだ。観光業界の慢性的な慣行が今も続いている。

日当引き上げ要求に『就職禁止ブラックリスト』、ロッテ、韓進など大型旅行会社主導

昨年、案内士の日当引き上げの要求に対して、業界の反応は驚くほどだった。

3月から四回にかけて、25の業者が連判状を回し、『キム・アミ委員長をはじ め13人の採用と配分をしないこと』という内容のブラックリストに署名した後、 これを済州国際旅行業協議会の会員会社50社に発送したのだ。

さらに驚くべきことは、日当引き上げに強く反対して、『ブラックリスト』を 主導した業者が、中小旅行業者ではないロッテ、韓進、大韓などの大型旅行会 社だという事実だ。こうした大型企業が無資格者の雇用を拡大する反面、一部 の中小企業は日当を3万ウォンに引き上げた。

「業者の不当行為に対しては、陳情以外に特にできることはありません。どん な(観光客)チームを配分されるかによって収入が大きく変わるので、組合員も 不利益がこわくて公開も敬遠しているのが実情です。むしろ業者は、業界をか き回して自分たちが被害を受けている、ただでは済まさないと公然と脅迫をし たりもします」

キム・アミ委員長は精神的に疲れているようだった。この8ケ月間、彼女に行 われたことは、一人で耐えられるのは容易ではない事だった。

「苦しいですが、私たち(業界)の矛盾を表面化しなければ前に進めないと思い ます。ことを荒立てずに適当にしようとも思いましたが、業界の誤った慣行を 知らさなければ月給制も、質の良い観光サービスもはるかに遠いと考えます」

観光従事者義務雇用制、禁止行為規定など関連法の改正が必要

周辺に望むことについての質問には「小さな関心も、ただありがとう」という 言葉しかない。そして組合員たちに呼び掛ける言葉を付け加える。

「配当の不利益のために、副収入の小さな違いのために、共に声を出すことが できなければ、永遠に矛盾した構造の犠牲になるほかはありません。まだ共に 声を出すまでの道はとても遠く感じられます。どうなるかは、組合の構成員た ちが決定をすることと考えます」

2003年1月、観光従事員義務雇用制が廃止され、業者が低賃金無資格案内士を 雇用して、通訳案内士の勤労条件はもちろん、観光サービス質も低下したとい う意見が多い。そのためキム・アミ委員長は最近、チョン・ヨンセ議員が発議 した観光振興法改正に力を集めて力を注いている。

いつだろうか。彼女がまた笑顔で観光客を迎える時は... 17年前、自負心とと きめく心で第一歩を踏み出したあの時のように..

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2007-07-12 09:57:56 / Last modified on 2007-07-12 09:57:57 Copyright: Default

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