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News Item 20050910gatt
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韓国最高裁、学校給食条例はWTO協定違反の判決

市場化された学校給食システムに 安価な輸入農産物が大挙流入の憂慮

ラウニョン記者 hallola@jinbo.net

WTO貿易秩序がわれわれの日常生活に及ぼす最も赤裸々な例になる大法院(最高 裁)の判決が下された。大法院は、全北教育庁が提起した「全北学校給食条例 に関する関連規定無効訴訟」に対し、「WTO協定に違反する」として原告勝訴 の判決をした。子供たちが食べる学校給食には、国産の農産物を使うという 条例の規定が、世界貿易機構(WTO)協定に背くということだ。新しい販路を模索 していた韓国農業と韓国農業を保護するために始まった国民の自発的な動きに 大法院が冷水を浴びせたのだ。

WTOに違反-学校給食条例に関する初めての裁判所の判決

全北教育庁は、2004年1月、全北学校給食条例の関連規定無効訴訟を提起した。 全南地域22の一線市郡も、一昨年から同じ内容の学校給食条例を相次いで制定 した。また全北教育庁の無効訴訟の提起後、慶南、京畿、ソウル、忠北教育庁 も、該当地方自治体条例に訴訟を提起した。現在、学校給食に国産の農産物を 使わせる条項を規定しているところは、16の全国広域市道のうち釜山を除く15 か所で、基礎自治団体の場合は全体234個所から82個所が全北道議会と類似の 条例を制定したり推進している。

この過程で9日に大法院3部は全北教育庁の訴訟に「学校給食に韓国産農産物を 使わせる関連条例規定は、世界貿易機構(WTO)協定に違反する」とし、原告勝 訴の判決をした。大法院3部は判決文で「国内産品の生産を保護するために輸 入産品を国内産品より不利な待遇をしてはならないというGATT第3条第1項に違 反する」と判決の背景を明らかにした。

もちろん、今回の判決により、学校給食で国産農産物の使用が制限されたり禁 止されるわけではない。しかし、学校の直営でない民間業者に給食を委託する 学校では、営利を狙う企業が安価な国籍不明の輸入農産物を使っても、それを 防ぐ根拠がなくなったと見られる。

さらに今回の判決は、学校給食条例に関する最初の判決であり、他の訴訟にも 影響を与えるものと見られる。また、国会でも学校給食に国産農産物を使うと 規定している学校給食法の改正案が議論されており、今回の判決が法案議論の 過程にも影響を及ぼすものと予想される。

学校給食条例、大法院は誰の手をあげたのか

事実、学校給食条例は国産農産物の使用を明文化し、学校給食に安全な食材を 使わせて、地域農産物の安定した販売網を構築して、地域農業経済をよみがえ らせようという取り組みの中から、地域の市民団体の要求で推進された。

今回の判決に関連して「学校給食法改正と条例制定のための国民運動本部」は 「韓国産の農産物支援、直営学校限定支援、無償給食拡大が、国民的・時代的 大勢に固まっているのに対して冷水を浴びせる判決」だとし、最後まで闘うと 明らかにした。

また、これまで学校給食条例運動をしてきた民主労働党も「非常に遺憾だとい う反応」を示し、「値段が安い国籍不明の食材と食中毒で苦しむ子供たちはど うするのか、いつまで学校給食への財政支援の拡大を拒否するのか、なぜ対策 もなく学校給食に韓国産の農産物を使おうとする国民の努力に執拗に冷水を浴 びせるのか、果たして子供たちの健康と生命より重要なものとは何なのか」と 反問した。そして、民主労働党もまた「学校給食の根本的な改善の努力を今後 もたゆむことなく進める」と明らかにした。

GATT協定文3条1項-内国民待遇規定

大法院の判断基準に作用したGATT協定文の3条は「内国税および国内規制に関 する内国民待遇(national treatment on internal taxation and regulation)」 を示す規定で、特に1項は「締約国は内国税とその他国内課徴金、そして商品 の国内販売・販売のための提案・購買・輸送・分配あるいは使用に影響を与え る法律・規則および要件、そして一定の数量または割合で商品の混合・加工ま たは使用を要求する内国の数量規制が国内生産を保護する目的で輸入商品また は国内商品に適用されてはならないことを認める」ことを内容とする。

GATTが規定する内国民待遇原則は、輸入されるすべてのサービス、商品に対し て国産と輸入を差別せず全く一緒に待遇しなければならないということで、す べての法律規則およびその他の要件などについても国産品と同じ待遇を与えな ければならないという規定だ。この規定に基づくと、学校給食条例は特典規定 になり、通商摩擦が発生するというのが大法院と外交通商部の解釈だ。

2005年09月10日14時11分

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2005-09-10 21:18:40 / Last modified on 2005-09-10 21:19:50 Copyright: Default

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