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キャンドル、そして二つの巨大な危機感

[企画:キャンドルに狂う]キャンドルの怒り、教育委員長選挙を通じて続くか

キム・サムグォン記者 quanny@jinbo.net / 2008年07月19日2時04分

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キャンドルは疲れる。しかし...

疲れる。デモする人も、防ぐ人も、見物する人も。皆が休まず燃え上がるキャ ンドルのおかげで、率直に言って疲れる。伝える記者も疲れるが、他の人々は さぞかし大変だろう。それでもキャンドルは相変らず現在進行形だ。どれくら い行くのか、どこへ行くのかについて、報道機関と専門家がそれなりの分析を したが、あまり的中していない。「今日どこに行くのか予想できないのに、何 の展望をするのか」。記者どうし冗談半分、真実半分で取材に出るときにやり とりする言葉だ。

約70日、キャンドルが韓国社会を吹き荒れている。単に牛肉問題だけではない。 米国産牛肉全面輸入反対に始まったキャンドルは、野火のように社会全般の議 題に広がっていった。振り返ると、キャンドルはすでに李明博政権の引継ぎ委 員会の時から予告されていた。

「オルィンジ」と表現される英語没入化教育、「コソヨン強富者」内閣、当然 指定制廃止などの医療民営化の議論。米国産牛肉以前にも、李明博大統領と彼 の手下どもの動きは、一つ一つが連日ニュースの種だった。また彼らの釈明は むしろさらに大きな議論を呼んだ。不動産投機疑惑に「自然の一部である土地 を買っただけで、投機とは無関係」、「癌でなくてありがたいと、夫が贈り物 にオフィスホテルを一戸買った」といった長官内定者の続いたとんでもない発 言は、単純な失言以上の意味を持っていた。それは国民に李明博政権のアイデ ンティティをありのままに見せ、国民的公憤を呼び起こすにも充分だった。

米国産牛肉問題に対する政府の対応も違わなかった。キャンドル集会が続き、 政府とハンナラ党は国民が「よくわからないから」あるいは「背後勢力の扇動」 のせいにだけした。政権を取って2か月で突然言葉を変え「米国産牛肉は99.9% 安全だ」と言うが、現政権に宗教的信念水準で支持する人ではなければ、これ をありのままに受け入れるはずがなかった。ソウル大のウ・ヒジォン教授の表 現のとおり、数か月間で変わったのは、ただ政権だけだったという点を市民は 誰よりよく知っていたようだ。

政府が牛肉再協議を拒否して見せ掛けをするほど、むしろキャンドルは大運河 を越えて「狂教育」、「狂医療」そして公営放送にまで進化した。もちろん、 キャンドルを消すための政府と保守陣営の苦闘もすさまじかった。一方はキャ ンドルをより大きく燃え上がらせるため、もう一方はそれを消すためにありっ たけの力をふりしぼったし、ふりしぼっている。

キャンドル市民、70日粘らせた原動力は何?

いわゆるキャンドル市民の怒りが集中した領域は、米国産牛肉とともによく知 らされる通り、教育、医療そして放送などだ。キャンドル市民の怒りには共通 して危機感と恐れがあった。

キャンドル集会序盤の去る5月、道路で会った市民クォン・ヨンフン氏は、政府 の牛肉交渉に関して「大切なことが何かこわれつつあるような感じがする」と し「国民の健康をかけて、政治的または経済的な面だけを評価するというのが とうてい納得できない」と話した。

医療と教育の領域にも市民の怒りの源泉は似たようなものだった。李明博政権 は業務引継ぎ委員会の時から国民健康保険当然指定制を廃止するといっていた し、4.15学校自由化措置で学生を無限の競争に追い込んだ。「狂牛」に似た 「狂教育」と「狂医療」という標語は、競争と効率の論理だけを押し出して市 民に普遍的に提供されるべき領域を完全に市場任せにしようとしているという 危機感の別の表現だった。

医療民営化に対する市民の反発が強まると、政府は方針を変えて当然指定制を そのまま維持すると発表した。それと共に政府は「医療の民営化はない」と断 言した。しかし市民の反応はまだ少し冷たい。わずか数か月で李明博政権を 「きちんと」学習した市民は、「見せ掛け」と片付けているようだ。

5才、7才の二人の子供とともに、17日のキャンドル集会に参加した主婦キム・ ギョンミン氏は「キャンドルが弱まっている」という一部の指摘に「道路に出 てきてキャンドルを灯す市民の数は減っても、李明博政権が変わらないのだか ら国民の怒りが弱まるだろうか」と反問した。

彼女は「今度、上の子供が学校に入る。そしていつでも子供たちは怪我をした り病気になることもある」とし「ところが政府は今、学校では劣等班を作り、 貧しい人々は行くこともできない病院を作ろうとしている。今よりも今後、残 された4年半がもっと恐ろしい」と心配した。

「政府が医療民営化は推進しないと発表したではないか」という質問にキム・ ギョンミン氏は「李明博大統領がいつあらかじめ米国産牛肉を輸入すると話し て輸入しただろうか。また国民がいまも再交渉しろというのに、安全だという 言葉を繰り返すだけではないか」「政府が信じられない」と政府に対する強い 不信を示した。

市民が70日間、道路でキャンドルを持てた原動力は、経済的で、政治的な論理 で、自分たちの食卓のような生活世界が侵犯されているという自覚と、その破 壊的な結果への恐れだった。

キャンドルの進化に驚いた保守、対抗する

キャンドル市民が疲れを知らず、毎日のように通りを埋めると、保守陣営も極 度の危機感を表わして「応戦」した。

しかし保守陣営が示す危機感は、キャンドル市民のそれとは完全にニュアンス が異なっていた。保守陣営では、キャンドル市民は「サタンの群れ」または 「アカ」であり、彼らのキャンドル集会は「集団騒動」だった。だから保守陣 営にとって、キャンドル集会は軍靴で踏み潰すべき「鎮圧」の対象以上でも以 下でもなかった。

チョ・ガプジェ前月刊朝鮮代表は6月初めの「72時間連続キャンドル集会」に、 「光化門一帯が不法デモ隊に占拠され、事実上解放区になった。警察が大韓民 国の心臓部を扇動勢力に渡した」とし、キャンドル集会鎮圧のため軍動員を主 張して波紋が生じた。

作家李文烈氏も先月17日のキャンドル集会を「集団騒動」と規定して「以前か ら義兵というものが、国家が外敵の侵入を受けた時だけでなく、内乱に処した 時にも義兵が起きるものだった」とし「義兵蜂起論」を主張した。その時、保 守団体はキャンドル集会中断を要求する応戦集会を相次いで開催した。

このような保守イデオロギーと保守団体の支援に力づけられた政府の反応は、 予想通り「強硬対応」。「女子学生軍靴暴行」などで論議になり、しばらく停 滞していたが、政府はオン・オフラインを問わず、全方向からキャンドル市民 を圧迫した。特に政府はキャンドル市民を「一般市民」と「運動圏」に分離し て、「アカだけ捕らえれば良い」という調子だった。今は退いた「大運河伝道 師」のチュ・ブギル前大統領府広報企画秘書官は、ある祈祷会でキャンドル市 民に「サタンの群れがこの土地にはびこらないよう祈ってくれ」と話すほどだった。

保守陣営のこうした激しい反応は、キャンドル市民の要求が自分たちの利益と いかに反するのか、また市民に軍隊を動員しろという主張は、キャンドルに対 する保守陣営が持つ恐れの大きさを逆説的に見せるものだった。

公務員試験を準備していると言う市民、チョン・ヨンイル氏は17日のキャンド ル集会で「私が守ろうとしているのは大層な理念やそんなことではない」と話 した。それと共に彼は保守陣営に向かって「政府と保守団体はよく背後云々と 言って『アカ、アカ』というが、アカだったとしてもBSE牛肉を食べず、金がな い人も病気になれば病院に行けるように願うことがアカならば、私もアカだ」 と述べた。

キャンドルの怒り、教育委員長選挙につながるか

キャンドルは現在、韓国社会を横切る二つの巨大な恐れと危機感の間に置かれ ている。まだキャンドルがこれをどう突破し、どんな方向に進化していくのか の出口は見えない。「キャンドルを持ち続けなければならない、やめなければ ならない」、「議会政治で取りまとめなければならない」という議論が続いて いるが、どんな道も明確ではない。

一つ、キャンドルの行方をめぐって多くの人々が、この30日に実施される住民 直選市道教育委員長選挙に注目している。17日のキャンドル集会で、片手に 「730住民直選ソウル市教育委員長選挙」と書かれたプラカードを持ってデモ行 進をした大学生イ・ハナ氏は「教育委員長選挙があると最近知った」とし「教 育委員長という地位が教育政策に関してとても重要だというので、少なくとも 今回の選挙では私が望む候補を選ぶ」と話した。

彼女は「保守と進歩は別として、政治家はうんざりだ」とし「今回の選挙で狂 教育をちょっと正せる人が教育委員長になってほしい」と今回の選挙の意味を 強調した。

チョン・ヨンイル氏も「教育委員長を直選で選ぶということを知ってから、い くらも経たない」とし「総選挙や大統領選挙があれば、本当に今回確かに政界 を審判したのに残念だが、教育委員長でもきちんと選ひ、李明博政権を審判す る」と話した。市民が李明博政権の中間評価として今回の教育委員長選挙を見 ていることが分かる部分だ。

特にソウル市教育委員長選挙に立候補した候補の指向は、現政権教育政策の路 線に忠実に従う候補とそうではない候補に明確に分れる。だから今回のソウル 市教育委員長選挙は、キャンドルで表出された大衆の怒りが選挙空間を通じ、 いかに発現するのかを探るリトマス試験紙になるものと見られる。

こうした理由で保守言論などの保守陣営は、反全教組連合を形成し、ソウル市 教育委員長選挙で進歩あるいは中道改革候補が当選してはいけないと声を高め ている。進歩・改革性向の候補は、反対に選挙で李明博政権の教育政策を審判 しようと訴えている。今回の選挙で、果たしてソウル市民がどんな選択をする のかを見守りたい。

一方、他の選挙と同じように、教育委員長選挙も直接的な教育当事者である青 少年は投票ができない。そのため青少年団体は教育委員長候補の公式選挙運動 が始まった17日、ソウル市教育庁前で記者会見を行い「教育大統領と呼ばれる ソウル市教育委員長を選ぶ選挙だが、まさに教育の最も重要な主体である青少 年には選挙権がない」とし「教育委員長選挙の過程で青少年の投票権許容など、 民主的な参加方案を用意すべきだ」と要求した。

「小中高」と戦っている李明博大統領が、彼らの要求をどう考えているのかが 気になる。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2008-07-24 10:15:31 / Last modified on 2008-07-24 10:15:32 Copyright: Default

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