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News Item 20040730kim
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「投機資本には永住権、熟練労働者は強制追放?」

移住労働者闘争、 「永住権議論」に移るのか

パククォニル記者 kipark@digitalmal.com

7月29日、ソウル出入国管理事務所では 移住労働者強制追放を阻止する木曜集会が開かれた。 この日の集会には約20人あまりの平等労組所属の解雇労働者と学生達が集まり、 政府の移住労働者強制追放に抗議し、彼らに永住権を与えるよう要求した。 6月末現在、不法滞留者数は16万7千人で、昨年12月に比べ 5万人近く増えた状況。 政府は8月17日に実施される雇用許可制を控えて、 長期滞留者数を削減するために苦心している。

▲出入国管理事務所前集会

しかし、さまざまな市民団体や労働団体は 「5年以上、韓国の産業現場で熱心に働いてきた移住労働者が多いだけに、 これら長期滞留者に労働ビザを発給したり、市民権(永住権)を付与する等、 労働者としての応対」を要求している。 人権死角地帯に置かれたまま、不安な逃避生活をしている移住労働者を 積極的に韓国社会内部に編入させることが労働力難で苦しむ 中小企業のためにも効率的だと主張する。

平等労組のイムミリョン委員長は 「17万近い長期滞留労働者たちを無条件に追放しても、 構造的な問題は解決できない」と指摘した。 イム委員長は「移住労働者は、今日のように自分たちの集会にも参加できない。 外に出るだけでも出入国管理所職員に捕えられるから」だと語った。

移住労働者、「人間狩」を恐れて集会に参席できず

彼女は出入国管理所職員の形態を「人間狩」と描写した。 現行制度の下で移住労働者は入国3年を過ぎると本国に帰らなければならない。 ではひとまず本国に帰り、また韓国にくれば解決する問題でないか。 だがイム委員長は、それは現実的にほとんど不可能だと語る。 「韓国のお金で数千万ウォンをかけてなんとかかんとか韓国に来た移住労働者に、 またお金を借りて再入国しろというのは事実上、永久追放と同じだ。 長期滞留者を見ると7〜8年以上韓国で生活している人々も多い。 事実上、韓国労働者と同じだ。 韓国の経済発展に貢献した熟練労働者と認定してやらなければならないと思う。」

▲平等労組イムミリョン委員長

集会に参加したヨウソン氏は解雇労働者だ。 彼の話によれば「大法院で解雇無効確定判決を受けても復職できず」 平等労組で解雇労働者復職闘争をしている。 彼は「事実上、民主労総に属する大型事業場労働者でなければ、 不当に解雇されてもちゃんと復職できるのは珍しい。 追い詰められた道に、そのまま追い出されることになる」と話した。 ヨ氏は移住労働者の集会に参加する理由についてこう説明した。 「同じ労働者ですから。そして移住労働者は私たち解雇労働者たち以上に 崖っぷちに追い詰められた人々でないですか。 未組織労働者たちは疎外される労働者です。 保護してくれる組織がないのですよ。 それで私たちなどが移住労働者を積極的に保護しなければならないと考えます。」

集会車両のマイクを握ったある活動家は 「移住労働者にも永住権を受ける権利がある」と主張した。 「海外の投機資本家が3年間50万ドル以上を韓国に投資すれば永住権が与えられます。 社会的寄与度によって永住権を与えるということですよ。 ところが韓国で10年間働いてきた外国人労働者は、 韓国の社会に寄与したのではありませんか。 投機資本にも永住権をあたえるのに、何故産業現場で働いてきた労働者には 永住権を与えないのでしょうか? われわれは3年間で50万ドルを投資する投機屋より、 移住労働者のほうがさらに大きな社会的寄与をしたと思います。 投機屋は、自分が利益を残して金を取って、この土地から出て行ってしまえば、 そこまでだからです。」

「外国人投機資本家たちだけに永住権を与えるのは不条理」

事実、移住労働者に永住権を保障する問題は、関連団体の間でも 意見の差が紛紛としている。民主労総は、政府の雇用許可制に反対して、 5年の時限を保障する労働許可制、事業場移動の自由などを主張してきたが、 永住権という単語を持ち出したことは一度もない。 ただし、安山外国人労働者センター所長の 朴天応(パクチョンウン)牧師が最近移住労働者の「市民権」を提起したことがあった。

▲出入国管理事務所前集会.

外国人労働者対策協議会は、まだ本格的に永住権を論じてはいないが、 最近検討を始めているものと見える。この団体で活動している チョンジョンフン弁護士は、「移住労働者の市民権-法律的問題に対する試論的検討」 という報告書で、「一般的に国籍取得(帰化)より永住権取得のほうが、 さらに容易でなければならないにもかかわらず、 韓国は永住権取得のほうが帰化よりさらに難しい」と指摘した。 続いて彼は「政府の雇用許可制は、 長期滞留移住労働者を社会的費用とだけしか認識しない差別的視点に 基盤しており、未熟練労働者を量産し、質的な労働力の安定的供給を望む 企業界の要求を無視している」と主張した。

未熟練労働による労災発生率の増加と不法滞留を誘引する要素として作用し、 むしろ社会的費用を加重させる方向に作用するということだ。 それでチョン弁護士は「長期滞留移住労働者を熟練労働者として 社会的資源として活用しようという認識の転換が必要だ」と結論を結ぶ。

移住労働者の永住権付与の議論は今、始まった段階だが、 この問題は移住労働者等の権利にだけ限られるのではない。 国際社会を見ても、移住労働者に対する態度はその社会全体民主主義の 成熟度を判断する重要な定規だからだ。

▲ソウル木洞出入国管理事務所

2004年07月30日

原文

翻訳/文責:安田(ゆ)


Created byStaff. Created on 2004-08-01 04:28:21 / Last modified on 2005-09-05 05:17:45 Copyright: Default

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