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韓国:教員労組法の改正内容を調べる
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教員労組法の改正内容を調べる

解雇者を口実に法外労組…また「解雇」

チェ・デヒョン記者 2016.07.01 11:14

34人。 今年、全教組の労組専従をしていることを理由として不当解雇された教師の数だ。 解職教師を組合員と認める全教組を、教員の労働組合設立および運営などに関する法律(教員労組法)上の労組ではないとし、 法外労組にした朴槿恵政権が、また法外労組を口実に大量解雇をした。 全教組弾圧の悪循環を作ったのだ。 政府の論理のとおりなら、今回不当解雇されたピョン委員長など、選出された全教組執行部も、全教組の組合員になることができない。 労働組合活動をして不当に解雇された教師は、学校はもちろん、労組からも出て行けということだ。

教員労組法は去る1999年の1月29日に制定された。 そして同年7月1日に施行された。 法制処が運営する国家法令情報センターサイトで教員労組法制定の理由を見ると、 「これまで制限されてきた教員の労働基本権を保障することにより、 普遍化した国際労働基準を遵守できるようにし、 労使政委員会で合意した教員の労働基本権保障方案を尊重し、 その保障の範囲と団体交渉の構造などを定めようとする」となっている。

国際基準未達の中途半端な教員労組法

しかし教員労組法は、教員の労働基本権をきちんと表わすことができなかった。 むしろ労働基本権を制約した。 代表的な条項が、全教組法外労組の根拠になった2条だ。 この2条は、教員労組に加入できる教師を加入当時、学校で働いている教師だけとした。 これは、法の制定理由で言及された国際労働基準から外れる。 なぜなら国際基準によれば「解職者も組合員」だからだ。 韓国労働法学会によれば、経済協力開発機構(OECD)会員国の中で、解職教師の教員労組加入を認めない国は韓国だけだ。 国際労働機構(ILO)の結社の自由委員会は、2002年の327次報告書で「組合員資格要件の決定は、労働組合がその裁量により規約に定める問題で、 行政当局は労働組合のこうした権利を侵害するいかなる介入もしてはならない」と明らかにした。 特にILOは、全教組に対する法外労組通知に関して朴槿恵政権に2回も緊急介入をした。 憲法裁判所が2条に対する合憲判決をした時には、唯一反対意見を出したキム・イス裁判官も 「その立法目的が正当だったとしても、教員労組および解職教員や求職中の教師資格取得者などの団結権を過度に制限する条項」だと判断した。
法制定当時、労使政委が合意した方案も、解職教師の労組加入の道を開くものだった。 労使政委の1998年度の活動現況58-59ページで、解雇者・失業者の超企業単位労組加入を認める立法が行われれば、同じ超企業単位労組である教員労組も解雇教員の加入を認めることにした。 当時、政府側の実務担当だったキム・ソヨン責任専門委員の発言から確認できる。 2004年に裁判所は解雇者・失業者の超企業単位労組加入を認めた。 だが法2条は制定当時の内容そのままだ。

全教組は超企業単位労組

政府が全教組を法外労組にすることを防ぐ機会がなかったわけではない。 19代国会の時、2条を直す改正案2本が提出された。 解職教師も組合員になれるようにしたり(当時韓明淑(ハン・ミョンスク)民主統合党議員代表発議)、 教員免許を持つ人と大学教授までを組合員対象にする内容(当時沈(シム)サンジョン進歩正義党代表発議)だった。 これらの法案は、朴槿恵政権が全教組法外労組威嚇を加えた時期の2013年4月と10月に各々国会環境労働委員会に回付された。

1月、ソウル高等法院の2審判決の前に国会が法を改正していれば、 全教組が法外労組に追い出されなかったかもしれない。 しかし与党はもちろん、野党次元でさえ、まともな議論もなかった。 2年以上、環境労働委に係留されて、19代国会が閉会したことで、該当改正案も自動的に消えた。
全教組のピョン・ソンホ委員長が6月23日に国会の討論会で 「朴槿恵政権の政治的な弾圧であることはよくわかっているが、 国会が19代で問題の条項を直していれば起きなかっただろう」と指摘した理由だ。

組合員資格、行政当局は干渉すべきではない

全教組は現在、労組の加入対象を教員免許所持者だけでなく、大学教授や予備教師、教育機関および教育団体の従事者にも広げる案を有力な改正案の内容にしている。 全教組は1989年の創立以来、合法化されるまでの10年間は、 少なからぬ大学教授や行政室職員、全教組の常勤活動家などにも組合員資格を付与していた。 法外労組を契機として「全国教職員労働組合」という産別形態に合わせて組合員範囲を拡大する方向で、再合法化の道を模索する構想だ。

教員労組法は全教組の政治基本権にも制約を加えている。 3条には「一切の政治活動をしてはならない」と明示されている。 この条項も18年間、一度も直したり削除されたことがない。 一斉試験などの競争を強化して、民主主義を逆転させるような政府の教育政策に反対する時局宣言や大統領批判、 進歩政党支持などの全教組活動が弾圧の口実になった。

政府と与党は、自分たちは教員の労働条件と教育哲学などに影響する教育政策を作りながら、 これに対応する教員労組はどんな政治活動もできないように法で釘をさしているのだ。 OECD国家の中で労働組合の政治活動を一切禁じている法は見つけるのが難しいと法曹界は説明する。

カン・ヨング弁護士(民主労総法律院)は 「3条は教員労組活動の本質的な部分を制約する規定」とし 「教師時局宣言などを処罰すれば、 直接の適用法条項である国家公務員法集団行動禁止に対する改正も同時にする必要がある」と明らかにした。

全教組もこれに合わせて教員労組法改正案の3条を削除し、 政治活動を認める内容を入れた。 全教組は「使用者である政府が正しい教育を妨害する政策を強行した時に、 対抗勢力として機能するためには、政治活動が認められなければならない」と強調した。(記事提携=教育希望)

原文(教育希望/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


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