2010年6月2日に実施されたソウル市教育監選挙の進歩陣営候補単一化の過程で
辞任したソウル教育大のパク・ミョンギ教授に代価性の金を渡した疑いで拘束
起訴されたカク・ノヒョン ソウル市教育監の1審判決が19日に延期された中で、
キム・スンファン全北教育監が「憲法学者としての意見」とし「カク・ノヒョ
ン ソウル市教育監は無罪と判断される」という意見書を『カク・ノヒョン教育監
事件』の担当判事に提出した。
キム・スンファン教育監は「事件初期に検察は公職選挙法第232条第1項第1号
(事前買収罪)に集中したが、カク・ノヒョン候補とパク・ミョンギ候補の辞意
の合意は証明が容易でなく、金銭提供などの合意を立証できなかった」とし、
「その後、検察は同条同項第2号(事後買収罪)の条項でクァク教育監を拘束後に
起訴した」とし、検察のころころ変わる捜査方向と起訴を批判した。
続いて「事後買収罪は事前合意が前提でなければならないが、裁判で明らかに
なった通り、事前合意はなかった」とし「金を渡されたパク・ミョンギ教授は
その金がカク・ノヒョン教育監の金だという事実さえ知らなかったと法廷で陳述
した。誰の金なのかも知らず、その金の性格に『代価性』という犯罪構成表示
をつけられるのか、きわめて疑問だ」と検察の『事後買収罪』主張には根拠が
ないと指摘した。
またキム・スンファン教育監は「クァク教育監は、候補単一化当時、金銭提供
などによる候補単一化に積極的に反対意志を表明していたことが裁判の過程で
明らかになった」とし「検察の金銭提供の主張と断定は、論理の飛躍」と説明
した。それでキム・スンファン教育監はパク・ミョンギ教授に渡された金は
「カン・ギョンソン教授を通じ、パク・ミョンギ教授の経済的窮乏状態を知り、
これに対する緊急の扶助という面で行われたと見られる」とし「パク教授の差
し迫った事情を無視できなかったクァク教育監の行為は道徳的次元で賛辞を受
ける部分もあると判断される」と話した。
キム・スンファン教育監は意見書で、検察が起訴した『事後買収罪』に細かく
反論し、「パク教授の候補辞任前に金銭提供などの事前合意がなかったとすれ
ば、カク・ノヒョン教育監は無罪と判断される」という意見を出した。(記事提携=
チャムソリ)
『カク・ノヒョン教育監事件』に関する憲法学者キム・スンファン意見書
尊敬するキム・ヒョンドゥ裁判長様、
私は2010年6月2日に実施された全羅北道教育監選挙で、全北道民から選ばれて
現在、全北教育監として教育の主体の教師と学生そして父兄と共に全北の教育を
率いているキム・スンファンです。
教育監の当選で、当然退職するまで全北大学校法科大学と法科専門大学院で、
憲法専攻教授として25年間、憲法の授業と研究をしてきました。また韓国憲法
学会の会長を歴任したことがあります。
私は憲法学者として、『カク・ノヒョン教育監事件』の該当条項、つまり検察
のカク・ノヒョン教育監起訴条項の公職選挙法第232条第1項第2号(別名『事後
買収罪』)条項などについて、憲法と法律家の良心による意見書を『カク・ノヒョ
ン教育監事件』裁判所に提出します。
公職選挙法第232条第1項第1号(事前買収罪)は、候補者を辞任させる目的で候補
者に金銭などの提供をする行為を処罰するように規定しています。『候補者を
辞任させる目的』があったかどうかは、候補辞任をした者と、辞任をさせた者
の間での合意を証明することです。ここでの合意は、両当事者の直接の合意の
事もあり、当事者の委任や指示を受けた人の間での合意であることもあります。
この事件の初期に検察は、公職選挙法第232条第1項第1号(事前買収罪)に集中し
ました。しかし検察は、事前買収罪の犯罪構成要件の決定的な部分である当時
カク・ノヒョン候補とパク・ミョンギ候補の間の合意の証明が容易ではありま
せんでした。検察は、カク・ノヒョン教育監の拘束の前後に被疑事実の公表と
共に、証明されていない内容を言論に流し、その後、検察は一定部分、事実を
歪曲したという批判に直面しました。教育監選挙の時、カク・ノヒョン候補と
パク・ミョンギ候補の間で候補辞任に関する金銭提供などの合意を立証できな
かった検察は、その後、公職選挙法第232条第1項第2号(別名『事後買収罪』)の
条項でカク・ノヒョン教育監を拘束後起訴しました。
公職選挙法第232条第1項第2号(別名『事後買収罪』)は、候補辞任に対し代価を
目的として候補者だった者に金銭などを提供すれば処罰すると規定しています。
事実上、韓国の公職選挙法の別名『事後買収罪』は、外国の法例にはほとんど
見あたらない法条項です。それでも公職選挙法第232条第1項第2号の該当条項を
『体系的に』解釈すると、事後買収罪の条項も事前合意、または事前合意に
類似の意思を前提にしていると判断されます。
考えてみて下さい。事前合意がなかったのに、または事前合意程でなくとも、
事前に両当事者間で互いに意思の交換が全くなかったのに、選挙後に当選した
者が候補者から退いた者に金銭などの利益を提供するケースを想像できますか?
刑事法はありえる場合を予想して、そうしたケースが発生すれば『法的非難』
をします。
これと違い、両当事者の何の内的な意思の関連もなく、選挙がすべて終わった
後に金銭などの利益が行き来するということは予想できないことです。そうし
た場合を予想できると言えば、つまり検察が主張するように公職選挙法第232条
第1項第2号を解釈すれば、それは法解釈を装ったむなしい想像でしかありません。
現在までの裁判で明らかになった通り、教育監選挙の後、カク・ノヒョン教育
監は、カン・ギョンソン教授を通じてパク・ミョンギ教授に金を渡したのは、
事前の合意によるものではないことはもちろん、いかなる代価性もなかったと
判断されます。金を渡されたパク・ミョンギ教授も法廷での陳述で、その金が
カク・ノヒョン教育監の金だという事実さえ知らなかったと述べました。金を
受け取った人が、誰からの金なのかも知らないのに、その金の性格に『代価性』
という犯罪構成表示を付けられのるか、きわめて疑問です。
この事件で渡された金銭が『代価性』のある金銭提供であり、したがってカク・
ノヒョン教育監が有罪だと判断するためには、ぜひとも存在すべき事実、つま
り条件があります。最初に金を受け取ったパク・ミョンギ教授が『カク・ノヒョ
ン教育監が渡した金だという認識』がなければなりません。二番目、カク・ノ
ヒョン教育監がカン・ギョンソン教授を通じてパク・ミョンギ教授に金を渡す
時、『候補者を辞任したことの代価として渡されたのだという認識』がなけれ
ばなりません。
ところがカク・ノヒョン教育監の選挙後の金銭提供行為は、上の2つの事実、
つまり条件を欠如しています。
2010年の教育監選挙候補単一化の議論で、カク・ノヒョン候補は金銭提供等に
よる候補単一化について積極的に反対意志を表明していたことが裁判の過程で
も明らかになりました。事実がその通りなら、教育監選挙前に代価性ある金銭
提供の事前合意を徹底して拒否したカク・ノヒョン教育監が、選挙の後に代価
性のある金を渡したと見ることは、かなり無理があります。したがって検察が
カク・ノヒョン教育監の選挙後の金銭提供行為を代価性ある金銭提供行為だと
主張・断定するのは論理の飛躍です。
カク・ノヒョン教育監が選挙後にパク・ミョンギ教授に金銭を提供した行為は、
第一に、カク・ノヒョン教育監が自ら両選挙事務所の関係者の口頭合意で金銭
提供の口頭合意についての委任権限を該当選挙事務所の関係者に与えたことも
なく、その後、該当の口頭合意について追認したこともなく、したがって、い
かなる金銭提供の義務などは発生しなかったが、カク・ノヒョン教育監自身の
選挙事務所の関係者が関与し、また口頭合意の事実を信じていたパク・ミョン
ギ教授への道義的責任により行われたと見られて、第二に、カン・ギョンソン
教授を通じてパク・ミョンギ教授の経済的窮乏状態を認知し、これに対する
緊急な扶助の意味でなされたと見られます。このような点を考慮すれば、むしろ
パク・ミョンギ教授の切迫した事情を無視できなかったカク・ノヒョン教育監
の行為は、道徳的次元でも賛辞を受ける部分もあると判断されます。
尊敬する裁判長様、憲法的な観点から判断すると、公職選挙法第232条第1項
第2号も、両当事者の事前合意または事前合意と類似の意思の関連は存在
しなければならないということを概念必然的に内包しています。
結論として、カク・ノヒョン教育監とパク・ミョンギ教授の間にパク・ミョン
ギ教授の候補辞任前に金銭提供などに対する事前合意がなかったとすれば、カク・
ノヒョン教育監は無罪だと判断されます。カク・ノヒョン教育監の行為には、
公職選挙法第232条第1項第1号ばかりか、起訴条項である公職選挙法第232条
第1項第2号による法的非難の可能性が全くないためです。
2012年1月3日 憲法学者 キム・スンファン