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News Item 20030126antidoo...
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労働組合団体行動時の個別組合員に対する損害賠償請求、財産仮差押さえの問題点

「斗山はあまりにひどい。解雇者18人、懲戒者約90人、財産仮差し押さえ、 給与仮差押さえ、労働組合抹殺、あくらつな政策で… 出勤停止が終わって現場に復帰したが、何が面白くて一生懸命生産に従事できるというのか。 二日後は給与を受ける日だ。 約6ケ月以上、給与をもらっていないが、 二日後にもやはり私に入ってくる金ないだろう。 斗山は血も涙もないあくらつな人間でないか」-故ペダロ氏遺書より

会社による労組組合員への「損害賠償請求」と「財産、賃金、退職金仮差押さえ」は、 故ペダロ氏を焼身自殺にまで追いやった主な原因であり、「新種労働弾圧」と呼ばれている。 去る2002年、斗山重工業会社は自分たちの労働組合不認定、 交渉拒否によって発生した労働組合のストライキに対して、 逆に労働者に責任を負わせ、計54人の組合員に対して65億の損害賠償を請求した。 そしてこれとは別に、組合員42人の賃金と退職金30億に対して仮差押さえを実施し、 11人に対しては不動産5億ウォンを仮差押さえした。 その後もまた7月には組合員等の賃金、退職金と不動産10億ウォンを仮差押さえした。 当時、労働組合は会社側に損賠仮差押さえの取下げを強力に要請したが、 会社は労組圧迫用として使うためにこれを拒否した。 これが生計を不安定な状態にされた労働者の焼身自殺という惨劇を起こしたのだ。

労働者が憲法に保障された労働三権を行使したという理由で、 一生かけて用意した家と貯蓄通帳だけでなく、これからの生活に必須な 月給、退職金まですべて仮差押さえすることは、 すなわち労働者に会社の奴隷になるか、死を選択しろという強要以外の何者でもない。 しかも会社は、労組の組合費や数名の労組代表者ばかりでなく、 一般組合員にまで損賠仮差押さえを請求している。 さらにひどいことに、入社時に保証人になった親戚の財産までを仮差押さえの対象としている。 はなはだしきは先祖代々の墓所まで仮差押さえしているというのが現実だ。 会社を黒字にしたのに、赤字を賠償しろと、 数百億ウォンにおよぶ損賠仮差押請求さえ出している。

このように、会社が労働組合に対して告訴告発、損賠、仮差押さえを乱発する理由は、 いまだに労働問題に関する法の執行が、全的に使用者側にあるためだ。 去る98年以後、労使摩擦により、労働者は何と892人が拘束された (98年219人、99年129人、00年97人、01年241人、02年206人など二日に一人の割合)。 同じ期間に企業主の不当労動行為は何と3334件も発生したにもかかわらず、 起訴率はその1/3に過ぎず、不当労動行為で拘束された企業主は一人もいない状況だ。 過去と比べれば、ストライキ現場に警察が直接武力を行使することは減ったが、 政府の法の執行はいまだに一方的に企業主だけを保護している。

今回、故ペダロ氏を死に追い立てた損賠、仮差押さえの問題は、 単に斗山重工業だけの問題ではなく、最近全国的に発生している事案である。 これに関する制度的な改善が絶対に必要だ。 労働部の統計によれば、2000年以後、2002年10月までに、 ストライキなどの労組活動と関連して請求された損害賠償仮差押さえ金額は、 何と1612億800万ウォンに達している (仮差押さえ44業者176億7300万ウォン/損賠請求58業者535億3500万ウォン)。 この他にも、去年11月4日には鉄道庁が労組の上部団体を民主労総に変更することを妨害するために、 9か月前のストライキと関連して労組員92人に78億ウォンの仮差押さえを申請する等、 金額は増加し続けている。

これらの中の代表的な事例をあげると、

1) 長銀証券の場合、構造調整の過程で労使合意で名誉退職慰労金を支給したという理由で 労組委員長に計13億3千万ウォンの損害賠償を払わせ、 労組委員長の身元保証人である父親と叔父、祖母の家と墓所など 3億4千万ウォンを仮差押さえして家族と親戚全体を苦痛に追いやっている。

2) 発電労組員3千人あまりに211億の仮差押さえが下され、 ストライキが終わった後も毎月の月給の50%を天引きし、 ある労組幹部の通帳には、毎月賃金が天引きされても足りずにマイナス31億という金額が 鮮やかに天刑のように記されている。 会社が提示する誓約書に捺印した人に限り仮差押さえを解くという方法で、 労組を瓦解させる手段としている。 しかもストライキ期間中、発電会社は赤字ではなく、むしろ黒字を出したものと発表された。

3) 64人の組合員と保証人にまで12億9501万ウォンの仮差押さえをしたドンガンジュ病院は、 労組活動から抜ければ仮差押さえを解くと懐柔し、 一部は職場を離れたが、仮差押さえが解かれなかったため、財産権行使ができなかった。

4) 建設運送労組レミコン技士22人に対して7億7600万ウォンの仮差押さえがあり、 韓国シグネティクス労組員91人も賃金と住宅など7億5千万ウォンの仮差押さえにあい、 蔚山暁星労組員237人には何と366億3千万ウォンの仮差押さえ損害賠償訴訟が起こされた。

特に、仮差押さえは何も問題がなければ裁判所で速かに受け入れられる。 この時から労組員や家族は財産権を行使することができなくなり、 深刻な圧迫を受けることになる。 誤った仮差押さえなら、正式裁判で撤回させられるが、 正式裁判は会社が損害賠償請求訴訟を起こさなければ始まらない。 この点を悪用して会社は損害賠償訴訟を可能なかぎり遅らせ、 仮差押さえ事件をずるずると引きのばし、 たとえ正式裁判で労組が勝訴しても会社に特別な制裁方法がないため、 やられ損の状態だ。 仮差押さえや損害賠償訴訟になると、月給はもちろん、 家族の財産権や財産を奪われるため、 労働者たちが味わう苦痛は言葉で表すことができないほどで、 そのために相当数が労組活動をやめたり会社をやめることになる。

これについて、国際労働機構から何回も韓国の労働関係法や刑法を直して、 憲法の精神に合わせて労働三権を保障するように勧告されてきた。 また国内の法曹界でも、暴力や破壊行為がない単純なストライキに対しては、 損害賠償や刑事責任を問わないように直すよう要求している。 民主労総と自分の市民社会団体は、 労働組合の団体行動に対して個別の組合員に責任を問うことは、 労働三権を保障している憲法の精神に反するものであり、 これを規制するための法案改正を要求している。

http://cyberact.or.kr/2003_bdh/info_1_5.php


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