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「個別に主体を攻撃する国家と資本の統制戦略」

[民主労総診断連続寄稿](4) -新しい『攻撃』のラッパを吹く国家と資本

キムヨンス (韓労政研)

カンスンギュ民主労総首席副委員長の背任収賄という犯罪行為に接し、ブルジョ ア階級が打った網にかかって抜け出せなくなり、逃げ出そうとして跳ねる魚を 考えた。彼らは普段通っている町角を通りすぎただけなのに、今日は縁起悪く 網にかかったと思ったのだろうか? さもなくば、前は網の目が大きく、簡単に 逃げられたのに、今日は網目がとても細かくて逃げられないことだけを残念に 思ったのだろうか? こうした疑問の尻尾をどうすれば切れるのかに悩まないわ けにはいかなかった。われわれ自身に問題があったのではないのかということだ。

盧武鉉政権以後、国家と資本は民主労組運動の指導部を狙撃する資料を構築し ているという知らせを、『まさか』と思いながら、ただ自衛した多くの人々。 2005年の序盤から、民主労組運動指導部の不正と腐敗という犯罪の知らせに、 いやそんなことができるというのかから、そんなことができたということまで、 民主労組運動の正当性は混とんのルツボに陥っている。

正当性とはいったい何なのか? 民主労組運動のために青春のすべてを捧げた活 動家ほど、今の状況は簡単に整理できないだろう。『不正と腐敗』の袋叩きに されている民主労組運動。民主労組運動の正統性を押し倒す歴史の罪人に置き 換えられている現実の民主労組運動。民主労総の中央で、すべての若さを捧げ た常勤活動家が集団で辞表を提出しなければならなかった心情に胸が痛く共感 せざるをえない。

個人の恥部により、労働組合と労働者階級を売り飛ばした御用のくびきを抜け 出して、労働者階級の解放の世の中を作ろうと思った民主労組運動の歴史を考 えれば、不正と腐敗を行った民主労組運動の指導部を批判しない人々は殆どい ないだろう。私も同じことだ。

ところが今は、『犯罪行為』の定規とは何だったのかを振り返ることでこみ上 げる怒りを和らげなければならない時でもある。民主労組運動自身がその定規 を考えたことがあったのかさえ疑わしいとすれば、その定規について悩み、労 働者の定規を作る時点でもある。もちろん、泥縄というべきかもしれないが、 言葉や文章だけの革新ではなく、手と足を実際に動かす革新のためにである。

国家と資本は、『不正と腐敗』の化身だ。金さえ儲けられれば、水火も辞さな いブルドーザーが、つまり国家と資本だった。労働者から絞り取る行為こそ、 最大の犯罪行為でなければ何だろう。ところが彼らは自分たちの利益を侵すよ うな事項、または侵そうとする一切の事項を犯罪と断定し、これに対し強制的 権力、すなわち刑罰を発動する要件と内容を法として規定した。特に、労働者 を対象とする法だ。1837年の工場法が、工場から労働者が抜け出せないような 状態で、労働者から絞り取ろうと思ったようにである。

カンスンギュ民主労総首席副委員長は、タクシー労働者を売り、個別資本から 金を受け取ったが、個別資本はカンスンギュ民主労総首席副委員長に金を払い、 多くの利益を得た。個別資本の立場から見れば、彼に背任収賄という犯罪行為 を適用させる理由はない。しかしブルジョア階級は、総資本の利害のために、 いつも個別資本の利害を侵害させつつ、その資本と共謀した労働者を攻撃する。 特にその労働者が総資本の利害を脅かす労働組合の指導部なら、である。その ラッパ手はまさに『共同善』の美名の下に、絶対的な権力を振り回す国家だ。

これまで、国家と資本は民主労総を名実共に社会的合意主義の主体に引き込み、 非正規労働者に関する法を共に作ろうとした。国家と資本、そして民主労総の 上層指導部のそうした意図は、民主労総組合員の力により失敗に終わった。民 主労総の上層指導部だけが労使政府委員会の変形である『労使政代表者協議会』 に参加する水準に留まり、非正規労働者に関する労働者の闘争は強固に展開し た。宣言的な水準に留まる可能性があったとしても、2005年下半期に非正規労 働者に関する法案の改悪を阻止する闘争も計画されている。国家と資本は民主 労総の上層指導部の指導力に失望したのだろうか? さもなくば、権力を無視す る民主労総組合員が憎かったのだろうか? 分からない。また民主労総の上層指 導部を攻撃すれば、組合員の力が弱まると信じていたのだろうか? 分からない。 だが、これだけは明らかなようだ。国家と資本は、これ以上、民主労総自身が 社会的合意主義の主体に変化することを待ってはいないということだ。国家と 資本は、社会的に大きな波紋を呼び起こしかねない『個人攻撃(personal target)戦略』、すなわち今の民主労組運動の個別的主導者を攻撃するという 新しい統制戦略を駆使し始めた。

この戦略は民主労組運動の多くの指導者を脅かす。民主労組運動は、これまで 国民の税金は自分たちが使わずに誰が使うのかを名分に打ち出し、多くの制度 的装置に参加し、国民の税金を一緒に使ってきた。当然の権利であるかのよう に要求してきた。この過程で、民主労組運動が国家と資本の定規により裁断さ れる犯罪行為から自由でなければ、すなわち国家-資本-民主労組運動が国民の 税金を使い果たす共犯なら、民主労組運動の指導部は国家と資本の顔色を見な がら国家と資本の二中隊役をしなければならない。犯罪のドロ沼で、犯罪者に 転落しまいとする苦闘だけが存在できる。

このような統制は、5.16軍部クーデターにより政権を取った朴正煕も駆使し、 光州抗争を血で染めた全斗煥も駆使した戦略だ。『旧悪一掃あるいは社会正義 実現』といったものを掲げ、労働者を弾圧した。労働者を制度圏の蜜ツボに酔 わせた状態で、彼らが作り出したいわゆる『正義の刃物』を振り回してきたの だ。この刃から自由な人々は、権力への『恐れ』に中毒したり、あるいは本当 に民主労組運動から自由になることだった。

これまでの民主労組運動は、制度圏に参加することを闘争の成果だと強弁した りもした。だが、統制のドロ沼になるという事実には口を閉じてきた。労働組 合運動が現実の問題を解決するための『仕方のない選択』だといいながらも、 そうした選択の陥穽は無視してきた。労働者階級にとって、これが犯罪行為で はなくて何だろうか!

また、民主労組運動は『裏合意』という共犯行為に馴染んでいる。社会的に公 開される合意の内容とは違う合意案で、互いが困難に陥る行為だ。このような 裏面合意は、労働組合を統制する手段として作用した。『裏合意』をする労組 だけでなく、似た業種の労組も国家-資本の戦略から自由でなかった。これこ そが国家-資本-労働組合が共同で労働者階級をだます犯罪行為であった。われ われの組合員のためであれば、全体労働者階級を売ってもかまわないという意 識の一環だ。労働者階級にとって、これが犯罪行為ではなくて何だろうか!

民主労組運動の誇りは、先輩労働者の闘争の歴史だった。全泰壹烈士の闘争、 1987年の闘争、全国労働組合協議会の闘争、そして1996-7年の闘争の歴史は、 上得意のメニューだ。国家と資本に対して自主的・民主的・階級的に闘った歴 史を継承しようと思う現実の希望だろう。ところが現実の闘争が歴史の陰から 抜け出せなければ、自身の力のために歴史を売り飛ばす行為の一環だ。

ブルジョア階級のアイデンティティーに照応し、義務と責任を全うするブルジョ ア階級と別に、ある瞬間から民主労組運動の各種の闘争に対する評価と責任が 消えた。労働者階級にとって、これが犯罪行為ではなくて何だろうか!

『新しい世の中』を作ると言い放った主体は、まさに民主労組運動だった。資 本主義の世の中のすべての矛盾が資本に始まるのなら、資本を廃止することが すなわち新しい世の中であろう。新しい世の中を作る過程は容易ではないとい うことは、誰もが認める。新しい世の中の青写真どころか、資本主義の世の中 の腐った写真だけを真似ることが、労働者階級にこれが犯罪行為ではなくて何 だろうか!

国家と資本が提示する犯罪の定規はゴムひもだ。彼らは必要ならいつでも労働 者階級を犯罪者に追いやり、徹底的にそのために必要な準備をしている。反面、 労働者階級はどうか? 犯罪行為への主体的な定規もない。労働者階級の定規を 作るための過程は、すなわち民主労組運動の革新過程であろう。

もちろんこのように抗弁する人々も多いだろう。民主労組運動を『絶対善』と 見なすな! 労組運動をよく知らない人だけがそんな話をすると! その言葉には 反対しない。だが、そんな話をする人々にこのひと言はぜひ必要だ。『民主労 組運動を語るなら、労働者階級と労働者大衆を、個人と政派の利害と必要によっ て利用するな !労働者階級にとってこれが犯罪行為ではなくて何だろうか!』

キムヨンス氏は韓国労働理論政策研究所副所長で働いている。

2005年10月16日22時11分

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2005-10-21 07:07:01 / Last modified on 2005-10-21 07:07:39 Copyright: Default

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