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文化系積弊、刀を抜いたが...議論の代わりに安定を選んだ政府

[チャムセサン企画]文在寅100日を語る(5)文化…改革は選択ではない

パク・ソンヨン(文化連帯) 2017.08.27 17:15

去年の冬のキャンドル市民革命は、腐敗した権力を倒して民主主義の力が国民にあることを再度確認させる歴史的事件だった。 その過程でいわゆる「文化系ブラックリスト」と呼ばれる文化芸術界に対する国家的検閲の問題が重要な問題に浮上し、 結局、朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弾劾に重要な役割を果たした。 ブラックリスト事件は、これまで隠されていた古い腐敗した文化行政の恥部を世の中にさらけ出し、 文化行政の改革と革新の必要性を互いに共感し、確認する機会になった。

[出処:キム・ハンジュ記者]

出発点は「文化系ブラックリストの積弊清算」から

その意味で文在寅(ムン・ジェイン)政府の文化政策は「文化系ブラックリストの積弊清算」が何よりも優先されるのは自明だ。 文化系ブラックリストの問題は、単に行政機関が政府の政策に反対する芸術家を政府の支援事業から除外した事件ではない。 文化芸術界全体の表現の自由を侵害し、文化芸術界を権力維持の手段に転落させた国家犯罪であった。 自分の意志だろうが他意だろうが、ほとんどの文化行政官僚は文化系ブラックリストを遂行する共犯者になった。 地域の現場まで、行政と民間の不信で埋め尽くされ、正常な活動ができないほど文化芸術の生態系は徹底的に破壊された。

キャンドルデモの真っ最中だった今年の初め、文化部が「文化系ブラックリスト」事件に謝罪し、自ら事件解決のための対策を出した。 だが、そんな真心のないセルフ対策は、文化芸術界の現場と世論の嘲笑を買った。 文化系ブラックリスト事態に対する徹底した真相調査と責任者処罰、 ブラックリストの主要な主体だった国家情報院・文化部・韓国文化芸術委員会をはじめとする文化芸術支援機関の反省と再発防止の努力、 現場との積極的な疎通と協力がなければ本質を外した弥縫策になるほかはない。

そのためれで文在寅政府が国政課題の最初を「積弊の徹底して完全な清算」とし、 「文化系ブラックリスト関連の事実関係の把握、再発防止および文化行政体系の革新」と 「文化行政の革新を主導する官民協議体の設置・運営」を提示した点は歓迎できるとしても、当然のことだ。 実際、7月31日には文化芸術界と文化部が共同で「文化芸術界ブラックリスト真相調査および制度改善委員会(真相調査委)」を公式に発足させた。 真相調査委は、発足の準備過程から文化芸術界の現場の声を積極的に受け入れ、 ブラックリスト問題で長い間活動してきた文化芸術界の人々が調査委に大挙投入された。 特に都鍾煥(ト・ジョンファン)文化部長官もブラックリスト問題に積極的な意志を見せており、 真相調査委の今後の活動がさらに期待される。

革新と改革が不足した文化政策

だが文在寅政府はブラックリストの積弊清算に対する積極的な意志と推進力と比べ、 文化政策の具体的な目標と推進計画については惜しみが残る。 去る7月に発表した「文在寅政府国政運営 5か年計画」を見ると、 文在寅政府が最近の文化政策の主要な争点を把握し、 現実的な代案と改善の意志を見せている点は肯定的に評価される。 だが逆に言えば、積極的かつ改革的な政策が不足しており、 変化する社会環境と条件に能動的な対応ができなくなっているという限界を見せる。

具体的に見れば、生活文化政策の場合は主要事業の内容が文化享有権の拡大や文化施設インフラ構築程度の水準に止まっている点だ。 すでに世界的な流れと現場は、文化芸術と日常の結合、地域の特性を考慮した生活芸術共同体、 専門芸術家と市民との協業を考えるように発展している。 だが、文在寅政府の生活文化に対する認識水準は、これには非常に至らない。 むしろ朴槿恵政権の事実上唯一の文化政策だった「文化がある日」事業の延長線に近いほどで、限界は明確だ。

芸術家労働の場合にも文在寅政府は政策目標として芸術家の地位と権益を保障するための法制定と芸術家雇用保険制度の導入などの制度的基盤を用意すると提示している。 もちろん重要なことだ。 だが芸術家に対し、労働者に準じる社会的な地位を認め、普遍福祉体系で彼らを受け止められる体系を作ることが優先されなければならない。 これは数年間の経験から、誰もが共感する部分だ。 そのためには文化部だけでなく、労働部や企財部のような他部署との協力が必須だ。 文在寅政府が芸術労働問題に対する解決の意志があるのなら、 こうした部署間の壁の問題に対する改革の意志が必要だ。

文化産業の問題は、この数十年間、大企業・プラットホーム・流通資本中心に深刻に傾いて久しい。 中小の創作者は資本の搾取と行政の無関心の中で生存の威嚇を感じるほどに切迫した状況だ。 公正な文化産業生態系も重要だが、すでに傾いている運動場を正すためには、 中小の文化産業創作主導者に対するさらに強力な支援政策がなければ不可能な状況だ。

最後に平昌冬季オリンピックに対する現実的な対応計画も必要だ。 現在、文化部は部署改編を断行しながら、平昌冬季オリンピックの成功的開催のための強力な意志を見せている。 だが、平昌冬季オリンピックは準備段階の前から加里旺山の原始林毀損による環境破壊や天文学的な予算投入で、 江原道の地方財政にとって深刻な負担になるという批判を着実に受けてきた。 昨年までもオリンピックの肯定的な効果を強調した文化部と保守言論さえ、 最近になって赤字財政と競技場の事後活用についての問題に言及し始めたことを見れば、 すでに開始前から平昌冬季オリンピックの失敗はある程度予見されている状況だ。 文在寅政府は平昌冬季オリンピックの成功的な開催のための広報事業に予算を注ぎ込むのではなく、 開催後に発生する問題に対する具体的な対応計画と戦略を樹立することが至急だ。

終わりに

文在寅政府は「文化系ブラックリスト事件」を反面教師として、 文化芸術に対する独立性を何度も強調してきたし、 そのために「アームズ・レングス原則」の必要性も着実に力説してきた。 そして「文化隆盛」を国政基調としていた以前の政府が文化行政の腐敗と混乱により没落したことを考慮して、 議論の余地を減らし、安定した文化政策を率いようとする傾向を見せている。 このような部分は十分に理解できるが、文化系の現場の声はむしろ積極的な改革の必要を要求している。 これはこの数年間、繰り返されてきた文化行政の混乱と、現場と疎通しない行政の結果だ。 文在寅政府は現場と疎通して協力する努力ほどに、今、文化系が必要としているものは何なのかを考えなければならない。 それでこそ後で文在寅政府が文化的価値を社会的に拡散させ、文化民主主義を具現した政府として評価される。

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原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-08-28 23:22:24 / Last modified on 2017-08-28 23:22:26 Copyright: Default

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