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「ひどく崩れたMBC」、正常化したのですか?

[チャムセサン企画]文在寅100日を語る(4)言論・メディア改革は「これから」

クォン・スンテク(言論改革市民連帯) 2017.08.25 10:01

「MBCはひどく崩れた…積弊清算で最も重要なことの一つが言論」

文在寅(ムン・ジェイン)大統領が候補だった時、 MBCの「100分討論」に出演したときの発言だ。 文在寅候補の当選、 そして短いと言えば短く、長いと言えば長い100日が過ぎた。 しかし簡単には言論・メディア分野の評価はできない。 事実上、明確に評価できるものがないからだ。

MBCの「崩壊」は現在進行形だ。 キム・ミンシクPDの「金張謙(キム・ジャンギョム)は辞任しろ」で始まった響きは、 ゼネスト(賛否投票24日〜29日)に向かっている。 7月21日、MBCの11人のPDは「ハン・サンギュンはなぜ監獄にいるのか」という企画が幹部に拒否されたと明らかにした。 MBCと言えば「(インタビューを)お断りします」、 「MBCに出ることは望みません」、 「放送できるのですか」という答を聞かなければならなかったというのだから、 その苦しい心情は察してあまりある。 聖域も存在していた。 「セウォル号」、「労働組合」、「国家情報院」、「青瓦台」、「THAAD」…。 MBCでは禁止語だった。 MBCは放送の存在理由でもある社会的弱者を排除してきたばかりか、 権力監視にも失敗した。 そんなMBCが身じろぎしている。 PDを始め、MBCの時事製作局、映像記者会、報道局、報道局外の記者、 アナウンサーを含み、合計300人ほどが製作拒否に突入した。

MBCでは最近「カメラ記者の指向性を含む文書」と 「社長候補者の面接過程で言論労組所属の記者を報道本部から排除することを指示する内容を含む録音記録」が公開されて波紋が生じた。 MBC経営管理監督機関である放送文化振興会の高永宙(コ・ヨンジュ)理事長は、 言論労組所属のMBC本部の組合員を「残余人員」、「遊休人員」と言った。

BQ 高永宙理事長: 「われわれ放文振がMBCの内部事情を正確に把握できず気になっているのですが、 例えばアンカーにも言わせず、重要なリポートもさせないようにする 余力や方法はあるんでしょうか? どうですか?」
権在弘MBC社長候補:「言論労組ではなくて?」
高永宙理事長:「ええ。例えば報道本部….」 /BQ

KBSの状況もまた良くはないようだ。 KBS記者約300人は 「KBSを生かすために一番至急なのは高大栄(コ・デヨン)体制のすべての業務を拒否すること」とし、8月28日から製作中断に突入する。 KBSのPD協会は30日から参加する計画だ。 KBS全国記者協会と全国カメラマン協会も製作拒否賛否投票を行っている。 ではKBSではどんなことが起きているのか。 故金大中(キム・デジュン)大統領8周年の追悼式に参加した洪準杓(ホン・ジュンピョ)自由韓国党代表が居眠りをしているような姿がカメラに捕えられ、問題になった。 だがKBSデジタルニュース部の局長級幹部は記者に対し 「洪準杓代表の顔をクローズアップした画面を使うな」と指示したという。 どうしようもない。これがKBSの現実だろう。

この他にもYTNの新任社長公募は中断された。 OBS事態もまた解決策を見出すのが難しいのは同じだ。 国家基幹通信会社である聯合ニュースの記者また期数別に朴魯晃(パク・ノファン/パンノファン)社長の退陣を要求している。 放送は改革すべき所が幾重にも重なる山の中だ。

[出処:言論改革市民連帯]

言論・メディア改革は始まっている

文在寅政府の前と後、 公営メディアの姿は少しも変わらない。 MBCはむしろメインの「ニュースデスク」で文在寅政府を「言論掌握勢力」と規定するなど、 あらゆる自社利己主義的な報道を吐き出している。 それこそブレーキが故障した暴走機関車だ。

それでも政府が手をこまねいているのではない。 「放送政策」を管掌する放送通信委員会のイ・ヒョソン委員長は最近 「放送局内部の(製作拒否)動きが何を意味するのかを把握するため、 担当部署が綿密に実態調査をしている」と明らかにした。 8月23日、青瓦台業務報告でまた公正公営放送のために、 △放送・法律・言論など各界の専門家、製作・編成従事者代表、市民団体などを含む 20人内外で構成された「放送未来発展委員会」を設置し、 制度改善を推進すると明らかにした。 また、 △国会に係留中の放送関係法および解職ジャーナリスト特別法の制定・改定の議論を支援すると付け加えた。 この他にも、 △放送局の再許可・再承認時の報道・製作の中立性と自律性、人員運営などを重点審査する計画だ。

放通委はインターネットでの表現の自由を増進するために、 △ポータル臨時措置に対する異議提起手続き新設、 △政治的表現物に対し2022年までの完全自主規制を目標とする公的規制の縮小を優先して推進すると明らかにした。 この他にも △放送外注製作市場の不公正取り引きとホームショッピング社の納品業者への製作費押し付けなど、 放送通信市場の甲乙関係を改善するための実態調査とそれにともなう改善法案を用意し、 不公正な取り引き行為に対しては匿名申告センターを運営する計画だ。 このように文在寅政府の言論・メディア改革はもう始まっているといえる。 その結果が出るまでにはまだ多くの時間が必要だということだ。

雇用労働部側も同じだ。 MBCの特別勤労監督を行っている金栄珠(キム・ヨンジュ)雇用労働部長官は8月22日 「PD、記者を専門外の分野に業務配置をして、常識外の管理をしたことは不当労働行為と認められるので捜査している」と明らかにした。 捜査が終われば検察に送検する方針だ。 送検、そして検察の捜査とその結果が出るまでには長い時間が必要にならざるをえない。

改革、その方向と限界は?

それでも小さな変化が感知されるのは事実だ。 文在寅大統領は業務報告で 「重要なことは、放送の自由と独立を保障しようとする政府の意志と哲学」としつつ、 「政権の意に合わせる魂のない公職者になってはいけない」と強調した。 放送通信委員会のイ・ヒョソン委員長は先立って 「どんな政権にも左右されない不偏不党な放送を作るように全力を尽くす」と答えた。 「政権の意に合わせるな」、「どんな政権にも左右されない不偏不党な放送」、 その約束を見守るべき時だ。

何よりも放送通信委員会と科学技術情報通信部は、 CJハロービジョン、カヤ放送などの24社のSO(総合有線放送)の再許可を承認し、 「協力業者従事者の雇用安定」等を明示した勧告事項を賦課したことは注目すべき変化だ。 視聴者に放送が伝えられるまで、その中で行われている労働も調べるということだ。 EBSのドキュメンタリープライム、「野獣と方舟」編を撮影するために南アフリカ共和国に行き、 不意の事故で亡くなったパク・ファンソンPDとキム・グァンイルPD、 そしてtvNの「一人酒男女」助演出のイ・ハンビッPDの死亡もまた同じ文脈で見るべき問題だ。

しかし心配も大きい。 放送通信委員会が有料放送政策についての全般的な主導権を持つのは難しいという点だ。 朴槿恵(パク・クネ)政権で生まれた「恐竜部署」である未来創造科学部(現科学技術情報通信部)が持っていった放送関連の一部の領域を回収できなかった。 「検閲」の議論が大きかった放送通信審議委員会の組織もそのまま維持された。 今では放送通信審議委員会が自主的に「最小審議」の精神に合わせて動くように祈るしかない状況だ。 他にも議論はある。 「個人情報」担当部署が相変らずいろいろな所に散らばっていることも問題だ。 これまで市民社会は「個人情報」は専門性を備えた個人情報保護委員会を拡大し、 関連のすべての業務を管掌しなければならないという立場だった。 だが夢は貫徹されなかった。 そして放送通信委員会は 「4次産業革命の重要な資源として、安全に個人情報が活用されるようにする」と明らかにした。 「安全な個人情報活用」、その曖昧な、しかし危険なレトリックが相変らず生きている。

今やっと始まった文在寅式言論・メディア改革、今は見守るべき時だ。 その最初の試験台は、11月に予定されたKBS・MBCなどの地上波の再許可に合わされるものと見られる。 放通委は視聴者の疑問に答える義務がある。 そして視聴者はしつこく尋ねなければならない。 「不公正放送MBC、再許可をするのですか?」と。 新しい地上波を想像しよう。make it yours.

[連載順序]
労働 |キム・ヘジン(撤廃連帯)
朝鮮半島 |ペ・ソンイン(韓神大)
教育 |カン・ドンジン(フォーラム社会福祉と労働)
言論・メディア |クォン・スンテク(言論連帯)
文化 |パク・ソンヨン(文化連帯)
医療、福祉 |イ・ヒョン(全教組正しい教育研究所)
女性 |韓国性暴力相談所
政治 |イ・グァンイル(聖公会大)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-08-28 23:21:09 / Last modified on 2017-08-28 23:22:49 Copyright: Default

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