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「ウィシュマさん名古屋入管死亡事件裁判 第21回裁判(医師証人尋問)報告 | ||||||
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「入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合・東海」&「エルクラノの会」の小野です。
長文・BCC重複送信をお許しください。転送転載・SNS拡散をお願いします。 ◆「ウィシュマさん名古屋入管死亡事件裁判(名古屋地裁)」第21回裁判(医師証人尋問)報告(2025.12.12 小野政美) いつも、「ウィシュマさん名古屋入管死亡事件」国家賠償裁判支援・傍聴やウィシュマ・サンダマリさんのご遺族である原告の妹さん(ワヨミさん、ポールニマさん)とお母さんへの激励やご支援、裁判傍聴、裁判支援、弁護団支援やカンパなど、ほんとうに有難うございます。 (1)2021年3月に名古屋出入国在留管理局施設で収容中に死亡したスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)の遺族が国に損害賠償を求めた訴訟(名古屋地方裁判所民事第10部「事件名 国家賠償請求事件 令和4年(ワ)第891号」)の第21回口頭弁論が、昨日、12月11日午後、前回に引き続き、名古屋地裁(大竹敬人裁判長)で行われました。今回は、診察した施設内科医の新美医師への2回目の証人尋問で、当時の判断は「不合理ではなかった」とするウィシュマさんの担当医の新美医師の「陳述書」に基づき、原告・遺族側の代理人による新美医師の主尋問が行われました。 (2)ウィシュマ・サンダマリさん本人は、名古屋出入国在留管理局施設で収容当時、体調不良の訴えや極度の体重減少があり、飢餓状態で点滴治療や、原因となる緊急入院治療が必要であり、点滴治療や緊急入院治療を求めていました。当時、新美医師はウィシュマさんの診療を担当していました。 スリランカから日本で英語の教師になるのを夢みて日本に語学留学したウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)は、収容された名古屋入管施設で、飢餓状態になるほどの体調悪化し亡くなりました。 2020年8月20日から収容されたウィシュマさんは、遅くとも2021年1月18日ごろには摂食困難となり、2月15日の尿検査で「ウロビリノーゲン3+」「ケトン体3+」「蛋白質3+」を示しました。 これは「飢餓状態」で電解質異常や腎機能障害を起こしている可能性を意味するのにもかかわらず、本人や支援者が再三求めた点滴や入院、一時的に収容を解く「仮放免」も許されないまま死亡しました。 2021年2月23日の名古屋入管施設で撮影された映像では、「担当さん、病院の点滴お願い」、「もうがまんできない、息もできない」と訴えている声が記録されています。3月3日付の「申出書」には「薬をください」という言葉もあります。 その3日後、2021年3月6日、ウィシュマ・サンダマリさんは、本人と支援者の訴えにもかかわらず、救急搬送もされず、飢餓状態であることがわかっていながら、病院に救急搬送されることもなく、点滴などの治療も受けられないまま亡くなりました。 (3)12月11日の口頭弁論にはウィシュマさんを名古屋入管内で診察した唯一の医師であり、当時、名古屋入管でウィシュマさんを計4回対面で診察したとされる非常勤医師の新美医師が証人として出廷し、原告・遺族側の代理人による新美医師の主尋問が行われました。 この裁判の焦点の一つは、収容中に行われた尿検査の評価です。体調不良を訴えるウィシュマさんに、2021年1月26日と2月15日の2回、尿検査が行われました。体の維持に必要な糖が不足したときに生成される「ケトン体」が検出され、1回目よりも2回目の結果が「ケトン体3+」と悪化した数字が出ましたが、点滴や入院治療などは行われませんでした。 前回の第20回口頭弁論・証人尋問(2025.12.4)では、新美医師は、2回目の結果を受けて点滴をしなかった理由を被告・国側から問われ、「入管には点滴のための設備がなく、私には点滴の判断をする権限がなかった」と述べ、「希望があれば外部の医師に依頼する。判断するのは外部の医師だ」などと証言しました。また、前回、被告・国側の主尋問に続いて行われた遺族・原告側からの尋問で、2回目の「ケトン体3+」の結果について「一般的に重篤な状態になる可能性がある結果だという認識があったか」と問われると「はい」と答えました。低栄養を示した2021年2月15日の尿検査結果について被告・国側代理人に「点滴の必要性を感じなかったか」と問われ、「受け答えがはっきりしていて意識レベルに問題はなく、必要な状態に当たらないと思った」と答えました。また、「亡くなる兆候は見られず、亡くなったと聞いたときは驚いた」などと当時の認識を語りました。 (4)昨日の証人尋問では、ウィシュマさんを名古屋入管内で診察した新美医師は、「記憶がない」と繰り返しました。原告側から「ウィシュマさんの体重を確認していたのかどうか」、「入管職員に対してウィシュマさんが点滴を望んでいたこと」について聞かれると、医師は「記憶がありません」と繰り返しました。ウィシュマさんの尿検査で、糖質が不足した時に確認される物質が検出されたにもかかわらず、点滴をしなかったことについて、医師は「入管内に点滴の設備がないことからしなかった」と答え、「支援者が入管に点滴するよう要望していた」という質問には、「自分(新美医師)には伝えられていなかった」と証言しました。ウィシュマさんが名古屋入管収容後に食事を吐くなどして体調不良を訴え体重が急減していましたが、医師は食事や経口補水液の摂取量については、「確認した記憶がない」と語り、「施設職員らに摂取量などを記録するよう指示しなかった」と述べました。また、名古屋入管でウィシュマさんを計4回対面で診察した際に、ウィシュマさんが自身で歩行出来ないため「車椅子」で受信したことを聞かれ、「記憶にありません」と何度も答えました。 証人尋問の最後に、原告・遺族側の代理人が、「今、この法廷にウィシュマさんご遺族のポールニマさんが参加されていますが、ご遺族に何かお話することはありませんか」と問われると、新美医師は、「大変気の毒に思います。哀悼の意を表します」と淡々と答えました。新美医師は法廷での証言の間、証言席に座ったまま、何度も「貧乏ゆすり」を続けていました。 (5)昨日の裁判後、ウィシュマさんのご遺族である妹のポールニマさんは、新美医師の証人尋問の最後に、原告・遺族側の代理人から、「今、この法廷にウィシュマさんご遺族のポールニマさんが参加されていますが、ご遺族に何かお話することはありませんか」と問われ、新美医師が「大変気の毒に思います。哀悼の意を表します」と淡々と答えたことに対して、「悲しい。謝罪もなく、このような無責任な医者が姉ウィシュマを診察していたことに怒りを感じます。今も名古屋入管で収容者の診察を続けていると聞いて驚くばかりです」と語りました。また、ウィシュマさんが自身で歩行出来ないため「車椅子」で受信したことを聞かれ、「記憶にありません」と何度も答えた新美医師に対して、「ショックを受けました。新美医師に怒りを感じます。自分には責任がないと言われて悔しい」とポールニマさんの怒りと悲しみの言葉が続きました。さらに、ポールニマさんは、今後の裁判で、ウィシュマさん収容時の名古屋入管局長、処遇担当統括、ウィシュマさんの担当の看守、看護師などの証人尋問が行われることを強く求めました。 (6)原告(ウィシュマさんご遺族)と弁護団は、これまでの裁判で、ウィシュマさんを診察した外部病院の医師の他、当時の名古屋入管局長、処遇担当統括、ウィシュマさんの担当の看守、庁内内科等医、庁内整形外科医、看護師の証人尋問を求めています。今回の裁判で、原告・遺族の求める今井医師と下(しも)医師の証人尋問は実施されることになりましたが、今回の口頭弁論時点では、未だ、当時の名古屋入管局長、処遇担当統括、ウィシュマさんの担当の看守、庁内内科等医、庁内整形外科医、看護師の証人尋問は認められていません。被告・国は、既に当時の名古屋入管における医療体制などの事実関係は明らかになっており、また、当時の名古屋入管局長を証人尋問する必要はなく、医師以外の証人尋問は不要であるという見解の意見書を出しています。 (7)なお、2022年、名古屋地検は、殺人容疑などで告訴された当時の局長らを死因が特定できないため刑事責任を問えないとして不起訴決定し、名古屋第一検察審査会の不起訴不当決定後に、再度不起訴としましたが、名古屋地検の依頼で作成された2022年2月28日付の鑑定書2通のうち1通に死因が記載され、「食思不振(食欲の低下)による脱水と低栄養」に、血液中のリンパ球が異常となる「血球貪食症候群」が合併した多臓器不全と記されていました。 (8)名古屋地裁に提出された新美医師の「陳述書」では、新美医師は、入管の非常勤内科医で、21年1〜3月にウィシュマさんの診療を担当し、合計4回の診察を行っていました。新美医師の「陳述書」では、医師は、「ケトン体3+」という結果が「低栄養の状態を示唆する要素となると認識している」、「重篤な脱水や低栄養の状態になると、意識障害が生じたり、血圧が低下したり、皮膚が乾燥したりすることがある」と説明しています。 その診察の3日後の2月18日の診察でウィシュマさんに意識障害がなかったことや、看護師などから嘔吐はするものの食事や経口補水液は摂取していると聞いていたことなどから、「重篤な状態(重症)に至っているとは考えなかった」としています。 国が21年8月に公表した「調査報告書」で、新美医師は「2月18日の診療時に尿検査結果を把握したかどうかの記憶は定かではないと述べている」とされていましたが、「陳述書」では、「私が2回目(2月15日)の尿検査の結果を認識していないという可能性は考え難いと思う」と訂正していました。「私だけではなく、医学教育を受けている看護師等の医療従事者もウィシュマ氏の様子を日々見ていたのであり、仮に、急を要する状態であれば、看護師等から私に報告をしてくることもあると思われるが、そのような事情もなかった」としています。 「陳述書」では、診察時に「点滴をしてほしいなどの要望はなかった」と繰り返し記述。「私の判断は、診療時のウィシュマ氏の状態や各検査結果、他の医師の判断を踏まえたもので、各時点で私が把握していた情報を前提とすれば、不合理なものではなかったと考えている」と主張しています。 「陳述書」には、「亡くなるほどの疾患があるとは思っていなかったので、(死亡に)大変なショックを受けた」、当時の医療判断について、「不合理なものではなかったと考えている」としていました。ウィシュマさんが収容された部屋を真上から撮影した監視カメラ映像にも「点滴をお願い」と職員に懇願するウィシュマさんの声が記録されていました。 (9)次回12月24日、被告・国側の求める野村医師の証人尋問、原告・遺族の求める今井医師の証人尋問、2026年1月14日、原告・遺族の求める今井医師の証人尋問、1月28日(水) 原告・遺族の求める下(しも)医師の証人尋問が名古屋地裁で実施されます。 全国各地の皆さんの裁判傍聴をよろしくお願いいたします。 <ウィシュマさん名古屋入管死亡事件国賠訴訟 証人尋問の今後の予定について> ◆第22回口頭弁論 2025年12月24日(水) 10:30〜16:30(予定)◆傍聴整理券配布は名古屋地裁裏で9時からの予定。 名古屋地方裁判所・第2号法廷 被告・国側の求める野村医師の証人尋問 ◆第23回口頭弁論 2026年1月14日(水) 10:30〜16:30(予定)◆傍聴整理券配布は名古屋地裁裏で9時からの予定。 名古屋地方裁判所・第2号法廷 原告・遺族の求める今井医師の証人尋問 ◆第24回口頭弁論 2026年1月28日(水) 10:30〜16:30(予定)◆傍聴整理券配布は名古屋地裁裏で9時からの予定。 名古屋地方裁判所・第2法廷 原告・遺族の求める下(しも)医師の証人尋問 (10)「名古屋入管ウィシュマさん死亡事件国家賠償請求訴訟」についてのカンパなどの支援については、以下をご覧ください。 ◆ウィシュマさんの妹さんお二人の滞在費や裁判費用等のために、カンパにもぜひご協力をお願いします。名古屋入管死亡事件弁護団→事件の真相究明のために結成された弁護団です。 カンパは、国家賠償請求訴訟、ご遺族の日本滞在等に使われます。 https://wishmalawyers.wordpress.com/%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%91%E3%81%AE%E3%81%8A%E9%A1%98%E3%81%84/ ◆◆ウィシュマさん事件国家賠償請求弁護団→カンパは、国家賠償請求訴訟に使われます。 https://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000094 全国各地の皆さん、これまでの「名古屋入管ウィシュマさん死亡事件国家賠償裁判」へのさまざまな温かいご支援に心から感謝を申し上げます。 「名古屋入管ウィシュマさん死亡事件国家賠償裁判」が4人の医師の証人尋問が行われ、次回12月24日(水) 10:30〜16:30の法廷・証人尋問の裁判傍聴を含め、さまざまな形でのご支援を今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 お元気で。再見。 Created by staff01. Last modified on 2025-12-12 08:05:55 Copyright: Default | ||||||