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アリの一言:高市政権誕生ですすむ立憲民主の右転落
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 高市早苗政権が誕生して2週間(自民党総裁に選出されて1か月)。所信表明やトランプ大統領との会談で軍事費「GDP比2%」の今年度中前倒し達成、「安保3文書」をさらに実戦向けに改定する意向を表明するなど、極右政権の本質を早くも露にしています。

 

 そんな中で注目されていませんが、野党の中にも重大な変化が生まれています。野党第1党の立憲民主党の右傾化が加速していることです。

 

 1つは、高市氏とトランプ氏の会談に対する評価です。

 

 会談は、高市氏が「日米同盟の新たな黄金時代をともにつくりあげたい」と述べ、トランプ氏が「日本は最も重要な同盟国」と応じるなど、日米軍事同盟を「新たな高みに引き上げる」(高市氏)ものでした。高市氏は終始トランプ氏に媚びを売り、メディアも「露骨な追従と見られても仕方あるまい」(朝日新聞10月29日付社説)というほどでした。

 

 ところがこの日米首脳会談に対し、立憲民主の野田佳彦代表は、「まずは成功裏に終わったのかな」(10月28日のコメント=写真)と評価したのです。およそ野党党首のコメントではありません。

 

 もう1つは、高市政権の大軍拡路線のレールを敷いた安倍晋三政権の戦争法(安保法制)に対する評価を根本的に変えたことです。野田代表、枝野幸男最高顧問(元代表)が相次いで表明しました。

 

 戦争法(安保法制=2015年9月19日成立)は、集団的自衛権行使に公然と道を開く明白な憲法違反です。立憲民主(前身の民主党)は当時、「憲法違反」だとして反対しました。党の基本政策で「違憲部分を廃止する」とし、今年7月の参院選の公約でもそれを掲げました。

 

 ところが野田氏は10月16日のテレビ朝日の番組で、「政権交代した場合には「(安保法制)存続のもとで政権を運営する」とした」(10月29日付朝日新聞デジタル)のです。明確な戦争法容認です。

 

「引き金となったのは、臨時国会での首相指名選挙だ。立憲は政権交代を目指し、国民民主の玉木雄一郎代表も念頭に、野党の一本化を呼びかけた。野田氏は、日本維新の会も含む3党首会談で「安保法制を直ちに廃止しなければいけないということではない」と表明。安保法制の必要性を訴える他党に歩み寄った」(10月29日付朝日新聞デジタル)

 

 さらに枝野氏は10月25日、さいたま市での講演で、「安保法制について「違憲の部分はない。だから変えなくてもいい」と主張。憲法のもとで認められてきた個別的自衛権の範囲内で説明できるとの考えを示した」(10月29日付朝日新聞デジタル)のです。「違憲部分を廃止」というこれまでの政策の根本的転換です。

 

 立憲との「共闘」を追求してきた日本共産党の小池晃書記局長は10月27日の記者会見で、枝野氏の発言を批判する一方、「(枝野氏の表明は)立民の党見解ではないとして、野党共闘を巡る協議には影響しないとの考えも示した」(10月28日付京都新聞=共同)といいます。党代表と最高顧問がそろって表明している見解が「党見解ではない」とはどういうことでしょうか。

 

 日本の政党が与野党問わず日米安保条約(軍事同盟)を(程度の違いはあっても)支持・容認していることは周知の事実で(政策では「安保条約廃棄」を降ろしていない共産党も選挙などでは訴えていない)、その根本においてすでに一体化していますが、憲法違反が明白な集団的自衛権に道を開いた戦争法(安保法制)まで野党第1党の立憲民主が公然と容認したことは、日本政治の大政翼賛化をさらに強める大きな画期と言わねばなりません。


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