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アリの一言:参政党提出「国旗損壊罪」は現代版「不敬罪」
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 参政党は27日、「日本国国章損壊罪」を盛り込んだ刑法「改正」案を参院に提出しました。「日本を侮辱する目的で国旗(日の丸)などを傷つける行為を罰する」(27日付朝日新聞デジタル)ものです。

 

<自民党と日本維新の会も連立政権合意書で来年の通常国会で「日本国国章損壊罪」を制定するとしており…3党がそろえば衆参両院で過半数に達し、可決・成立が可能となる。

 改正案は、日の丸を損壊するなどした場合に「2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金を科す」としている。>(同朝日新聞デジタル)

 

 参政党の神谷宗幣代表は「改正」案提出後記者団に、「参院選では、日本国旗にバツ印付けて、われわれの街頭演説を妨害する人がいた。国家に対する冒とくになる」と述べました(28日付京都新聞=共同)。

 

 きわめて危険な動きです。

 

 「日本を侮辱」「国家に対する冒とく」とはどういうことか。それを国家権力が判断して「国旗損壊罪」として取り締まる。国家権力批判を封じる思想弾圧法にほかなりません。

 

 そもそも「日の丸」は、日本の侵略戦争・植民地支配の文字通り旗印でした。

 

<海外侵略の走りであった台湾出兵(1874年)や江華島事件(1875年)でも、「日の丸」は日本の力の「誇示」に使われています。…日清戦争から日露戦争、台湾割譲、南樺太割譲、そして韓国併合。日本はアジアへの膨張を進めていきますが、その先頭にはいつも「日の丸」がありました。

 …昭和天皇を大元帥に頂いた日本の「日の丸」は1937年7月「盧溝橋事件」を口実に日中戦争に突入すると、12月には南京を占領して「南京虐殺事件」を引き起こします。この南京城に立てた「日の丸」は虐殺のシンボルともなりました。>(佐藤文明著『「日の丸」「君が代」「元号」考』緑風出版1997年)

 

 こうして血に塗られた「日の丸」を自民党政権は「国旗国歌法」(1999年)でそのまま「国旗」にしました。

 そんな「日の丸」に嫌悪感をもち、批判するのは当然です。むしろなんの違和感もいだかず「国旗」として掲揚するほうが異常です。

 

 また、自分の所有物をどう処分しようと(書き込みをしようと切り裂こうと)自由であることは言うまでもありません。「日の丸」ももちろん同じです。それを国家が刑法で禁じることは個人の自由・権利の侵害であることは明白です(他人の物や公共物を損壊したときは器物損壊罪が適用されます)。

 

 かつて日本には「不敬罪」という罪名がありました。1880年に登場し、1947年に廃止されるまで「天皇や天皇制に関する思想・言論の抑圧に猛威を振るった」(『天皇・皇室辞典』岩波書店)悪法です。

 

 「国家冒とく」を理由に「国旗(日の丸)損壊罪」を設けることは、侵略戦争・植民地支配批判を抑圧することであり、さらに「日の丸」と一体不可分の天皇・天皇制批判を取り締まることに通じます。まさに現代版「不敬罪」と言わねばなりません。

 

 高市早苗政権と参政党が組み、日本維新も加わって強行しようとしているファッショ立法。絶対に許すことはできません。




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